会社が安定した経営を続けていくためにも、常に意識を向ける必要のある資金繰り

資金繰りとは、経費や仕入れなどの支払いに対応できるよう収入と支出を管理して資金の調整を行うことであり、安定した資金繰りのためには月商の3ヶ月分の現金を確保することが必要だといわれています。

しかし、何かしらの原因が生じることによって、収支のバランスが崩れ運転資金の不足が生じるケースが発生します。これがいわゆる資金繰りの悪化です。

莫大な資産や社会的信用を抱える巨大企業であれば、たとえ資金繰りの悪化に陥ろうとも、あらゆる対応策を講じて乗り切れる可能性が高いものですが、中小零細企業の場合は、たった一度の資金繰りの悪化がたちまち経営破綻を招く恐れも十分に考えられるものです。

また中小零細企業の経営者は、自身も現場に立つプレイヤーである場合も多いため、資金管理への意識が薄れて資金繰り悪化の兆候をつかめきれないまま、気づいた時には自助努力では改善不能なほど悪化しているなどということもしばしばあるようです。

資金繰りはまさに経営の生命線。安定した経営を維持する上でも常日頃から悪化の原因をしっかりと把握して対策を立てる必要があることは言うまでもありません。

では、資金繰りの悪化にはどのような原因が考えられるのでしょうか。

耳にすることが多い7つの原因について解説していきます。

1.売上の減少と経費の増大

売上の減少と経費の増大

資金繰りの悪化は、収支のバランスが崩れることによって資金不足が生じることです。

つまり、単純に考えても売上が減少すれば収入も同様に減少し、支払いに窮することになりますので、資金繰りは悪化し始めるといえます。

また売上は減少していない、または増加している場合であっても、経費が収入額を上回るようなことになれば、当然ですが資金繰りを圧迫させることになります。

したがって資金繰りを安定させるためには、収入に応じた支出を心がけることが何よりも大切であり、そのバランスが崩れると判断した際には、ただちに固定費の削減といった経費の抑制を行うなどの対策が不可欠です。

2.売掛債権のデフォルト

売掛債権のデフォルト

資金繰りの悪化は、何も自社だけに原因があるとは限りません。

現代のビジネスでは掛取引が基本ですが、たとえば取引先が期日になっても売掛金や手形の支払いを完了できずにデフォルトしてしまった場合、その分の収入は得られず資金繰りに悪影響を与えることになります。

そのようなケースを回避するためには、取引先の業況に注視した上で与信管理を徹底させていくことも重要になってきます。

そして、もしもデフォルトの可能性があると判断できた場合には、掛取引を注視して現金払いに切り替えるか、最終的には取引の停止も検討する必要があるといえるでしょう。

3.過剰在庫の発生

過剰在庫の発生

過剰在庫を抱えることも資金繰り悪化の原因になりかねません。

商品や材料の仕入れによって支出が発生するのはもちろんですが、これらを保管するためには併せて管理費の支払いも必要です。

つまり在庫を過剰に抱え、予定よりも長く保管が必要になるケースなどが生じれば、採算が取れなくなり、結果的に資金繰りを圧迫させることも十分に考えられるわけです。

仕入れの際には、過剰在庫による余分な費用の支払いを避けるためにも数量の調整を入念に行い、必要に応じて適宜仕入れるようにすることが大切です。

4.支払サイトの短縮や入金サイトの長期化

支払サイトの短縮や入金サイトの長期化

取引先の業況によっては支払いサイトの短縮を求められたり、入金サイトが長期化するといったケースがあります。

これまで築いてきた信頼関係を維持するためにも、取引先から要望には出来る限り応じたいものですが、それらに応じることで自社の資金繰りを悪化させてしまえば本末転倒です。

1ヶ月程度の早い支払いや遅い入金であれば、大きなダメージは受けないだろう」といった軽い気持ちが、資金繰りに悪影響を与えることもありますので、慎重に判断しなければなりません。

5.返済金の増大

返済金の増大

金融機関やノンバンクなどから資金の融資を受けている企業も多いかと思いますが、借入金が増えれば増えるほど毎月の返済金として現金が流出することを忘れるわけにはいきません。

そのため、売上が思うように伸びず、返済金の支払いが資金繰りを圧迫していると判断できる場合には各融資元に対してリスケジュールを申し出るなどして可能な限りの支出の抑制を図ることを検討すべきでしょう。

6.受注の急激な増加

受注の急激な増加

受注の急激な増加は、一聞すると喜ばしいことのように思えますが、実は資金繰りの悪化を招く可能性が潜んでいます。

これは、受注の急激な増加と比例するように仕入れも増大する上に、売上金の回収よりも先に仕入代金の支払いが発生するため。

資金繰りの悪化を防ぐためにも、多額の売上金の回収が見込めるからと楽観して安易に受注することはせず、仕入代金の支払いを賄える範囲での受注に止める決断も時には必要です。

7.投資の失敗

投資の失敗

思い切って設備増設に踏み切ったものの、計画通りの売上を上げられず、結果として資金繰りを悪化させてしまった」というのもよく耳にするケースです。

投資は成功に至れば、その見返りとして収益の増大につながるものですが、逆に考えれば、失敗するとその分の支出は無駄になるだけでなく、運転資金をますます増大させてしまう恐れがあります。

ですので、投資を検討する際には成功と失敗のリスクを天秤にかけた上で、資金繰りにどれだけの影響を与えるかを冷静に見極めた計画を立てなければならないといえるでしょう。