今回は、最近多くの事業主の方々が注目する「オンライン融資」についての解説です。

言葉だけをみれば、インターネット上で手続きを行う融資であることは想像できるかと思いますが、その具体的なサービス内容や仕組みはどのようなものか。

基本的知識やメリット、デメリットを中心に説明していきます。

金融業界の最重要キーワード「フィンテック」

事業主様の資金調達には、銀行融資やノンバンクのビジネスローンのほか、補助金や助成金、売掛金を売却するファクタリングなど、多くの手段があります。

これらのサービス内容や利用方法は、時代の移り変わりとともに様々な変化を遂げながら、今日も事業主様にとっては欠かせない事業資金調達手段として活用され続けています。

そして2020年代に入った昨今、その変化は過去最大級のものとなると予想されています。

近年の金融業界において、最重要キーワードとされている「フィンテック(FinTech)」。これは、Finance(金融)とTechnology(技術)を組み合わせた造語であり、IT技術を駆使した金融サービスを指す言葉でもあります。

IT技術が目ざましく進化を遂げたことによって、金融業界ではユーザーの利便性と人件費などのコスト削減を目的に、フィンテックの積極的な活用が進められています。

急速に普及率が高まったスマホを使ったキャッシュレス決済も、IT業界と金融業界が連携したフィンテックによって生まれたサービスのひとつです。

その流れは、大規模な資金力をもつIT企業や、メガバンク、証券会社等のみならず、私たちのようなノンバンクの金融事業者にも訪れています。

例えば、ファクタリング。

従来では、契約に当たって、担当者同士が直接顔を合わせた対面式による面談の実施が必須とされてきましたが、フィンテックの活用により、オンライン上ですべての契約を完結できる「クラウドファクタリング」が登場。

「売掛金の売却による資金調達」というファクタリングのサービス自体に変わりはありませんが、直接対面での面談が不要になったことや、提出書類の削減などにより、資金化までの所要時間が大幅に短縮されました。

また、面談の省略や書類の目視という過程がカットされることにより、ファクタリング事業者にとっても業務の効率化という大きなメリットにつながっています。

人工知能がサービスの核とした「オンライン融資」

人工知能がサービスの核とした「オンライン融資」

ファクタリング業界におけるクラウドファクタリングのように、融資事業者が積極的に導入を進めているのが「オンライン融資」です。

オンライン融資も、クラウドファクタリングと同じように、申し込みから審査に至るまでのすべての手続きをオンライン上で完結させられるサービス。大手のメガバンクが独自に展開するだけでなく、ベンチャー系のIT企業が金融事業者と連携して参入を続けるなど、融資業界においては、今最も活況を呈するサービスといえます。

オンライン融資の核となっているのが人工知能(AI)です。

サービスを提供する事業者は、企業の財務データや講座の入出金データといった様々な情報を人工知能によって分析し与信(スコアリング)モデルを作成。

一方、利用する企業は、自社で使用するクラウド会計ソフトなどに蓄積されたデータを融資事業者に送信、またはシステムと連携するのみで手続きは完了。

従来の融資審査では、膨大な書類を長時間かけて確認して審査結果を導き出していたため、最低でも1週間、銀行融資にいたっては1ヶ月以上かかるのが当たり前となっていましたが、人工知能により作成した与信モデルの作成と、それに基づく審査によって、審査にかかる時間は大幅に短縮されました。

メリット

利便性の向上と業務の効率化

最大のメリットは、なんといっても手間と時間をカットできる利便性の向上と業務の効率化です。

オンライン融資では、事業者向けの融資を利用するにあたって大きな負担となっていた、提出書類の作成や整理などの手間が省けるとともに、融資事業者にかかるマンパワーでの確認作業も不要となります。

そのため、利用企業にとっては緊急を要する資金繰り改善にも役立つほか、最短でも即日に審査結果が判明するため、仮に審査に通過できなくても、すぐに別の資金調達手段の検討に移ることが可能です。

一方の融資事業者にとっても、アナログな作業を削減することで業務の効率化を図れるとともに、コストの削減にもつながります。

デメリット

セキュリティ面の不安

利用企業の利便性向上と融資事業者の業務効率化につながる一方で、オンライン融資の「ネット上ですべての手続きが完結する」という仕組み上、不安なのがセキュリティ面です。

オンライン融資を提供する金融事業者が、万全のセキュリティ対策を実施していることに疑いの余地はありませんが、やはりインターネット上でのデータのやり取りである以上、情報漏洩の可能性が100%ないとは言い切れません。

ですので、高い利便性よりも機密性を重視する事業主様にとっては不安要素が大きくなるため、不向きの資金調達手段であるといえるでしょう。

“何”を重視した融資を選択するかは事業主様次第

“何”を重視した融資を選択するかは事業主様次第

フィンテックの発展により、金融サービスはより高い利便性を実現できたことで、利用企業だけでなく各金融事業者の双方が大きなメリットを得られるようになりました。

その金融サービスのひとつが「オンライン融資」です。

オンライン融資の登場により、利用企業にとっては「事業資金を“借りたい時”に、手間も時間もかけることなくスグに審査結果が判明する」というメリットが。対する融資事業者には、業務の効率化によるコスト削減というメリットが生まれるなど、互いにフィンテックの恩恵を受ける形になっています。

ただ、インターネット上でのデータ通信のみでの手続きのみため、不安を抱える事業主様も多く、資料の提出や対面式の面談が必須となる融資商品を選ばれるケースも多々存在します。

資料の提出や対面式の面談の実施は、インターネット上の手続きのみでは難しい、人と人の対話による信頼度の向上につながり、数値だけでは判断しきれない要素を考慮した審査を可能にさせます。

事業資金の融資を検討する際に重視するのは、利便性か機密性。または人対人で生まれる信頼性か。

慎重に考えて、融資商品を選択するべきだと言えるでしょう。