今月17日、ついに日本でも新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。また、緊急事態宣言の効果が現れた証なのか、全国の新規感染者数も徐々に減少している傾向にあり、再び感染拡大が落ち着きを取り戻しつつある中で、本格的にwithコロナへの準備も整ったといえるのではないでしょうか。

一方、企業の経済活動はどうでしょうか。

同じく今月の15日、新型コロナワクチンへの期待の高まりや内閣府が発表した2020年10月〜12月のGDPが前期比12.7%であったこと等が影響し、東京株式市場では約30年ぶりに日経平均株価が3万円の大台を回復しました。

まさに、コロナ渦における“空前の株高”が続いている状況にあり、昨年の同時期に比べれば企業の経済活動に対して前向きにとらえる経営者や投資家の方々が増えているように思えます。

また、一時は業績に大きな不安を抱えた製造業や小売業などでは、売上高を上方修正する企業も多くみられるなど、ゆるやかではありながらコロナ渦以前の活況を取りもどしつつあるように思えます。

では、全国の倒産状況はどうでしょうか。

東京商工リサーチの発表によると、今年1月の倒産企業件数は474件。昨年7月から7ヶ月連続で前年同月比を下回っている結果となったほか、1月度の倒産件数は4年ぶりに前年同月比を下回っています。これは、政府や各自治体が実施する資金繰り支援策が奏功している結果といって間違いはないでしょう。

ただし、新型コロナウイルス関連の倒産件数をみると、1月は99件。
昨年10月の104件をピークに、増減を繰り返していることからも、依然として新型コロナが経営を圧迫するほどの脅威であることに変わりないことを証明する結果といえます。

倒産に至る理由は様々ですが、やはりいくら新規感染者数が現象傾向にあっても、ワクチンの接種が開始されたといっても、新型コロナの感染拡大が続く限り、経営者の方々はコロナ関連の倒産リスクを抱えていることを肝に命じておかなければなりません。

では、いざ経営の危機に瀕した際、経営者の方々はどのような手段をとるべきだといえるのでしょうか。

経営危機になったら経営者がとるべき4つの手段

経営危機になったら経営者がとるべき4つの手段

新型コロナの影響も含め、企業が倒産の危機に瀕した際に経営者の方がとるべき行動は主に4つ。「事業」「資金繰り」「雇用」の3つの見直しに加え、「M&A」を視野に入れることです。

ひとつずつ見ていきましょう。

事業の見直し

まずは事業の見直しです。

企業が展開する事業は、常に「需要」に合っていなければ、はっきりいって存在価値はないものと断言できます。

ここでいう需要とは、時代や社会、市場が求めるものであり、これらの目まぐるしい変化に適応させていかなければ、倒産は現実的な問題となり経営に重くのしかかってきます。

新型コロナの感染拡大は、信じられないほどの速さで社会を大きく変化させました。つまり、もしも現在展開している事業で不利益を被っており、倒産の可能性がチラつくようであれば、早急に事業の見直しを図る必要があるといえます。

たとえ思い入れの強い事業があったものの、不採算部門や赤字事業があるようなら切り離しの決断を下すとともに、時代や社会や市場が「何を求めている」かを見極めたうえで、可能であるなら新たな事業に乗り出すといった、思い切ったテコ入れが倒産回避のための大きなカンフル剤となりえるといえます。

資金繰り

2つめは資金繰りの見直しです。

企業の資金繰りの関しては、営業活動における収支状況だけで成り立つものではなく、社会情勢もそのバランスを崩す大きな要因となるといえます。

したがって、社会を大きな混乱に陥れたコロナ渦においては、経済活動に係る収支状況だけにとらわれることなく、冷静に社会状況を分析した上で、前もって不要な経費を削減するといった細かな資金繰りの見直しが功を奏するといえるでしょう。

雇用

3つめは雇用の見直しです。

倒産の危機に瀕した企業の多くは、経費削減を図るために、まずは従業員の雇用解除を検討する傾向にあります。

従業員の賃金は大きな経費の支出であるため、事業継続のための資金確保をするには致し方ない判断だとはいえるのは確かです。

ただし、従業員は経営資源のひとつです。安易な従業員解雇は事業を継続するにあたって支障が生じる可能性も十分にあり、経費削減を目的としていたはずが、経営活動が立ち行かなくなって、さらなる経営危機に陥るリスクも孕んでいるといえるのではないでしょうか。

雇用の見直しにあたっては、事業にどれほどの影響を与える可能性があるのかを見極めた上で、それでもなお人件費の削減が必要だと判断した場合は、雇用形態の変更やそれに伴う副業の解禁に踏み切るといった多様な選択肢から決断するべきだといえるでしょう。

M&Aの検討

最後は、M&Aの検討です。

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略語で、企業の合併と買収のことを指します。また、広義においては資本提携もM&Aのひとつといえます。

合併や買収と聞くとネガティブなイメージがつきまといますが、M&Aを実施できれば、経営危機に瀕した企業であっても展開する事業を継続させることが可能になります。つまりM&Aは、事業が消滅する倒産を避けるための生き残り戦略のひとつなのです。

冷静な判断に基づいた手段の決行を

冷静な判断に基づいた手段の決行を

新型コロナの感染拡大が減少しているとともに、ワクチン接種の開始という、安定したwithコロナ時代をきずくためのかすかな光が見え始めた一方で、東京商工リサーチの発表の通り、新型コロナ関連の倒産件数は決して大きく減少しているとはいえません。

決して他人事とはいえない新型コロナ関連の倒産を避けるためにも、経営者の方々には冷静な判断に基づいた手段の決行が求められます。