今年2月に開始されたロシアによるウクライナ侵攻。

当初は、短期間での収束が予想されたこともあったものの、約半年が経過した現在も攻撃が止む気配がみられない毎日が続いています。

遠く離れた地で続く激戦の影響は、日本に住む私たちの生活や企業活動にも大きな打撃を与え続けてきました。

侵攻開始直後から大幅に跳ね上がった原油価格。

そして円安の急速な進行。

ガソリンスタンドの価格表示を見れば、レギュラーガソリンが1リットル160円を超えるのは当たり前。

ハイオクにいたっては180円近くにまで昇っているのも珍しくはなくなりました。

さらには、電気料金や食料品の値上げ。

連日のようにニュースで伝えられる生活必需品の値上げには、もはや驚きもなく、ただただ落胆を繰り返すのみです。

こうした社会経済情勢の悪化によって、個人も企業もそれぞれを取り巻く環境は厳しさを増す一方であり、「一体いつになったらこの状況から脱せられるのか」「このままでは生活も企業活動も成り立たなくなる」といった不安を抱えるのも無理はないでしょう。

となると、やはり期待したいのは政府による経済関連政策です。

こういう有事でこそ、政府が先導して迅速かつ効果的な政策を打ち出し、積極的に暮らしや経済活動のサポートに徹してもらいたいものですが、現状においては、どうも真剣味が感じられる対応を行なっているようには思えないのです。

参院選期間中に発生した大事件後の対応に忙しいからでしょうか。派閥間の意見の調整が優先的だからでしょうか。

とにかく現在の物価高と円安傾向に対する不安と危機感に対して、民間と行政の間に温度差があるようにしか感じられないわけです。

最近では、各自治体が物価高に影響を受けた企業や個人事業主の資金面を支援する施策を徐々に実施し始めているようですが、国からの支援政策の打ち出しは物足りない感が漂っているように思えます。

そんななか、帝国データバンクが興味深いアンケート結果を発表していました。

それが、「企業が求める経済関連政策に関するアンケート」というもの。

今回はその結果を参照しながら、いま、企業に必要な支援策について考えていきたいと思います。

多くの企業が求める物価高対策
多くの企業が求める物価高対策

まずは、企業が求める経済関連政策の上位3項目を確認してみましょう。

1位 物価高対策 50.8%
2位 中小企業向け支援策の拡充 50.4%
3位 個人消費の拡大策 43.1%

(参照:PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000499.000043465.html

やはり、最も求められている政策として挙げられたのは、「物価高対策」

アンケートに回答した5割の企業が求め、そのうち「運輸・倉庫」業では7割超の企業が希望しているという結果になったようです。

具体的に求められる政策の内容としては、ガソリン減税や購入補助費の支援、それに事業者への資金繰り支援といったようなもの。

確かに、燃料価格高騰によって直接的な打撃を受け続けているのは主に運輸業であり、物流におけるコスト増が食料品などの価格高騰を招いていることもあり、この結果は納得のいくものです。

また、すべての企業においていえることですが、安定的な電力供給に向けた対策や電気料金の補助費も求められているのではないでしょうか。

今年に入ってから、全国的な節電要請が出されたこともありましたが、その際に業務の縮小を余儀なくされた企業も少なくなかったかと思います。

これから猛暑が続くようであれば、再び節電要請が出される可能性もあるほか、電力需要が増す冬も油断はできない状況なのは確かです。

電力使用の制限は、企業個々の利益に影響を与えるのみならず日本全体の経済的な損失にも関わる大きな問題もあるため、今冬までに何らかの効果的な対策がとられることを期待したいものです。

中小企業は人手不足や資金繰りの改善につながる政策を希望
中小企業は人手不足や資金繰りの改善につながる政策を希望

次点となった「中小企業向け支援策の拡充」は当然ながら、中小企業の希望であり、企業規模別にみれば「物価高対策」とほぼ同等程度の割合で求められているようです。

具体的には、「人手不足への対応」であったり、現状の支援策に関する手続きの簡易化、事業展開に直結するような補助金や助成金の拡充なども希望されていることでしょう。

また、今回の回答では別々にはなっているものの、「中小企業向け支援策の拡充」の内にも、物価高に対する支援策を間接的に求める思いが含まれていることかと思います。

今後は、「電子帳簿保存法」や「インボイス制度」の導入によって捻出が必要になるであろう保守料、さらには最低賃金の高騰にともなう人件費の上昇など、資金繰りが一層厳しくなることも予想されます。

さらに、昨今は、金融機関の融資においても渋い対応に終始されてしまうという中小企業も多いこともあり、早急に資金繰りの安定につながるような政策の発表が待たれることでしょう。

まとめ
まとめ

今回は、帝国データバンクが発表した企業へのアンケート結果を基に、いま求められる政策について考えてきました。

大企業も中小企業も、歯止めのきかない物価高の高騰を喫緊の問題と捉えており、大きな危機感をもっていることがはっきりと分かります。

規模を問わず、すべての業種の企業にとって効果的にはたらく政策の迅速な発表に期待したいものです。