銀行融資などと比較して融資スピードが早い、審査もゆるく借り入れできる可能性が高いということでビジネスローンの利用を検討している事業者もいるでしょう。
ただビジネスローンは使い方を誤ると、事業が立ち行かなくなることもありうるので注意が必要であり、失敗例も多数報告されています。
ここではビジネスローンにありがちな失敗例と自分が失敗例にならないためにはどのようなことに気をつけるべきかについて紹介します。
これからビジネスローンに申し込もうと思っている人は、失敗例を反面教師にしてうまく使いこなすように心がけてください。
目次
高金利で債務が雪だるま式に…
ビジネスローンは借りやすく、審査も銀行融資などと比較するとそんなに厳しくありません。
しかしその代わり、ほかの資金調達方法と比較すると金利は高めに設定されています。
返済期間が長引けば、それだけ余計に利息を支払わないといけなくなります。
返済を後回しにして、借金で苦しめられた法人の失敗例について紹介します。
失敗例その1:ビジネスローンで急場をしのげても…
印刷会社を営んでいたAさんは、ある日取引先からの売掛金の回収が遅れてしまって、資金繰りが急速に悪化しました。
このままでは資金がショートしてしまうと考えたAさんは、スピーディに融資を受けられるビジネスローンを利用することに決めました。
特に業績面でもこれまで大きな問題はなかったので、すんなりと借り入れができました。
当面必要だった運転資金を確保して、何とか急場をしのぐことに成功しました。
Aさんはビジネスローンの債務のことはもちろん頭にありました。
しかし回収が遅れていた売掛金が入ってくると、従業員の給料や取引先への支払いなどに充ててしまいました。
ビジネスローンを後回しにしていると、その間に利息がどんどん膨らんでいきました。
その結果、結構な借金が手元に残り、返済するのも窮するようになりました。
ビジネスローンは高利なことを理解しよう
今回のAさんの失敗例のポイントになるのは、ビジネスローンは高金利である点です。
このため、返済を後回しにしているとどんどん利息支払いが大きくなってしまっていつまでたっても借金が減らないといったことになりかねません。
ビジネスローンはメガバンクや地銀、ノンバンクといろいろなところがサービス展開しています。
それぞれの金利の相場を見てみるとメガバンクが1.0~14.0%、地銀で2.0~15.0%、ノンバンクになると5.0~18.0%といったところです。
銀行融資の場合、だいたい1.0~3.0%が相場といわれているのでかなり金利の高いことがわかるでしょう。
Aさんの失敗例もより確実に融資を受けるために、ノンバンクのビジネスローンを利用していました。
その結果、利息制限法ぎりぎりの18.0%が適用されていました。
もし18%の金利で100万円をビジネスローンで借り入れていて、1カ月間放置したとしましょう。
すると支払わないといけない利息は100万円×18%÷365日×30日=14,794円になります。
それなりにまとまった利息が負担としてのしかかってくるわけです。
ビジネスローンを借りたら早めに返済すること
ビジネスローンの利息は日割りで計算されます。
つまりできるだけ早く返済すれば、それだけ余計な利息を支払わずに済むわけです。
事業を経営していると、日々いろいろな支出が発生します。
仕入れ代もあるでしょうし、従業員への給料支払いもあるでしょう。
そのほかにも事務所にかかわる経費も発生して、何かとお金が出ていくかもしれません。
だからと言ってビジネスローンの返済を後回しにすると、気が付いたときには結構大きな債務額になっている恐れがあります。
そうならないためにも、まず支出で抑えられるものはないか、いったん考えてみましょう。
加えて売上などでお金が入ってきたら、優先的にビジネスローンの返済に充ててください。
返済しているときには資金繰りが大変かもしれません。
しかし結果的には利息の余計な支払いを圧縮でき、将来的な資金繰りを楽にする形になります。
ビジネスローンを利用したら、何を置いてもすぐ返済を心がけてください。
利便性の良さが仇に
ビジネスローンは審査も甘めですし、提出する書類も銀行融資と比較して少なめです。
しかも中には最短即日融資に対応しているようなところもあります。
緊急事態でも当面必要な資金を確保できるので、事業者からしてみると本当にありがたいサービスでしょう。
しかしその利便性の高さに味を占めて、ちょっと困るとビジネスローンでとりあえず借り入れしようとする経営者もいます。
そんな手軽さが仇になってしまう失敗例をここで紹介します。
失敗例その2:緊急事態回避で味を占め…
とある自動車関連の部品製造を営んでいたBさんは、ある時資金繰りがうまくいかなくなる事態に遭遇しました。
このままいくと資金がショートしてしまうという切迫した事態になり、ビジネスローンで緊急の融資を受けました。
その結果、何とか資金繰りが綱渡りではありましたが乗り切ることができました。
しかしBさんはこの成功に味を占めてしまいました。
その後もお金に少し困ると、「ビジネスローンで借り入れればいい」という発想になってしまいました。
Bさんはあまりそのことに後ろめたさは感じませんでした。
しかも借り入れている額は数十万円程度とそんなに大きな借金でもありません。
ところが何度も繰り返し借り入れていた結果、気が付いたときにはかなりの債務額を抱えることになってしまいました。
結果的に借金返済に苦しむようになり、またも経営危機を招くことになったわけです。
借りやすいビジネスローンは諸刃の刃
このような失敗例は、個人でも法人でもしばしば起こりうることです。
個人の場合、カードローンでこのような失敗例はしばしば見られます。
キャッシュカードで預金を引き出すような感覚でATMにて借り入れできるのでついつい借りすぎて、気が付いたときには結構な借金を抱えるパターンに似ています。
ビジネスローンのいいところは、借り入れしやすい点にあります。
ノンバンクの中には、最短即日融資にも対応しているようなところもあります。
申し込んだその日のうちに借り入れできるので、緊急的な出費を強いられ難を逃れたという経営者も少なくありません。
しかしそれでビジネスローンに甘えてしまう人もいます。
ただ他の借金同様、ビジネスローンを借りたらいずれは返済しなければならないことを忘れないでください。
本当にピンチな時だけに利用しよう
ちょっとお金に困った時にビジネスローンをついつい借りようと思ってしまう事業者もいますが、いったん立ち止まって考えましょう。
本当に今借金をしなければならないのか、別の方法で捻出できないか考えてみてください。
一見すると手持ちがないように見えても実は近い将来入ってくるお金がある、経費の一部を節約して資金ができる場合もあるはずです。
このように本当に自力では現金を用意できないのか、よく考える習慣をつけてください。
またどう考えても不足する資金がある場合、いくら不足するのかきちんと計算して正しい不足額を捻出することも大事です。
経営者の中には不足額をきちんと算出していなくて、「念のため少し多めに借り入れよう」と考える人もいます。
ビジネスローンの利息は、借り入れ額をベースにして算出されます。
つまり借り入れ額が多くなればその分利息の支払いも大きくなり、結局後々の返済に苦しんでしまいます。
ですからビジネスローンに申し込む際には、まず本当に借り入れないといけない額を計算してください。
そして必要最小限の金額を借り入れましょう。
そうすれば、将来の借金返済の負担も最小限に抑えられます。
審査に受かるかと思いきや…
ビジネスローンは金利が高い半面、銀行融資などと比較すると審査が緩めといわれています。
しかし審査が甘いといっても、だれでも借り入れできるわけではありません。
今回は審査落ちして資金調達に苦労した経営者の失敗例を紹介します。
失敗例その3:融資を受けられると思ったけれども…
不動産会社を営んでいるCさんは、緊急の支払いが必要になりました。
ところが手元には支払いを充当できるだけの十分な金額はありませんでした。
そこで審査が甘いといわれているビジネスローンに申し込んで、当面の資金を確保しようとしました。
直近の決算は黒字ですし、経営も安定しているので審査は大丈夫だろうとCさん自身も思っていました。
ところがまさかの審査落ちで、資金調達をどうすればいいか途方にくれました。
親族や得意先にお願いしてお金を融通してもらって、何とか急場をしのげました。
別に経営上は特に問題のなかったCさんは「なぜ自分が審査落ちしたのか?」と今も疑問に思っています。
書類の不備の可能性
今回の審査落ちの失敗談を見てみると、経営上に特に問題がなかったので書類に何かしらの不備のあった可能性があります。
提出書類の中で足りないものがあった、申し込みフォームに誤った情報が記載されていたなどです。
書類に不備があると情報が一致しないなどの問題が起こります。
「虚偽申告している」と疑われ、融資が認められない事態も起こりえます。
特に近年来店不要のWeb申し込みに対応しているビジネスローンも少なくありません。
Web申し込みの場合、タイプミスや変換ミスで正しい情報を記載できない恐れがあります。
軽微なミスで融資が受けられなくなる失敗例もあるので、申込書を作成し終えたらミスはないかいったん確認するといいでしょう。
まとめ:失敗例から学んで健全な借り入れをしよう
ビジネスローンは利便性が高いですが、使い方を間違えるとかえって借金で自分の首を絞める事態にもなりかねません。
今回紹介した失敗例は、少なくない経営者が陥りがちなミスです。
失敗例を参考にして、どう借り入れれば無理なく返済できるのかをよく考えて、計画的にビジネスローンは利用しましょう。