会社の経営者や個人事業主にとって、資金繰りは常に頭の片隅にあるでしょう。
資金がショートしないために、資金調達方法はいくつか用意しておく必要があります。
その中のひとつに、今回紹介するビジネスローンがあります。
銀行融資や公的融資と比較してスピーディに借入できる、手軽に融資してもらえると人気です。
ここではビジネスローンの契約の流れや、注意すべきポイントについてまとめました。
目次
ビジネスローン契約までの流れ
ビジネスローンと契約して借入するまでの流れについて、まずは見ていきます。
取扱会社によって、若干手続きの異なるところはあるかもしれません。
しかしおおよそ以下のような流れで、借入する形になると考えてください。
申し込み方法は2種類
ビジネスローン会社によってまちまちなものの、申し込み方法は大きく2種類に分類できます。
それは店頭申し込みと、Web申し込みです。
店頭申し込みはビジネスローンを取り扱っているところの店舗に行って、申し込み用紙に必要事項を記入し、必要書類を提出して審査を受けます。
対面なので、店員の指示に従って手続きできます。
しかしわざわざお店に行かないといけません。
お住まいの地域によっては、近くに店舗がないことも考えられます。
また必要書類を、あらかじめ持参しなければなりません。
不備があると取りに帰るか、後日改めて申し込みをする形になります。
Web申し込みとは、インターネットを使った手続き方法です。
会社のホームページに申込フォームがありますので、こちらで手続きをします。
必要書類は画像にアップして提出する形になります。
おすすめなのは来店不要な点です。
事業を営んでいると、なかなか平日に日中お店に行けないという人もいるでしょう。
そのような人でも事務所からそのまま申し込み可能です。
またネットの場合、24時間いつでも申し込みできます。
深夜や早朝でも手続きできるのが魅力です。
ただしWeb申し込みの場合、基本自力で進めないといけません。
わからないことがあれば、電話もしくはメールなどで問い合わせないといけません。
人によっては面倒に感じるかもしれないので、注意しましょう。
以下ではビジネスローン申し込みから、契約までの流れについてみていきます。
ここでは横浜銀行の「ビジネスフリーローン」をベースにして、紹介します。
多少の違いはあるものの、大まかな流れは一緒と考えておきましょう。
ステップ1:申し込み
まずは申し込みです。
申し込みフォーム、もしくは申込用紙に必要事項を記入して提出します。
横浜銀行の場合、Web申し込みのほかにもfaxもしくは、郵送で手続きする方法も用意しています。
借入申込書のほかにも、直近2期分の決算書が必要です。
また必要に応じて、資金用途の確認できる資料の提出を求められる場合もあります。
横浜銀行では口座をもっていない人対象の、ビジネスローンのサービスを提供しています。
その場合には商業登記簿謄本もしくは履歴事項全部証明書や、印鑑証明書が必要になるでしょう。
また住民票や直近の納税証明書、3か月分の通帳のコピーなども必要です。
ステップ2:審査
提供された書類をベースに、審査が実施されます。
審査は横浜銀行の場合借入まで、1~2週間で完結するといわれています。
ノンバンクのビジネスローンであれば、最短即日なところもあるでしょう。
銀行融資の場合、1か月以上かかることも珍しくないので、スピーディな借り入れが可能です。
ステップ3:審査結果の通知
審査が完了すると、電話もしくは郵送で結果が通知されます。
もし融資可能であれば、正式な契約手続きに移行します。
横浜銀行の場合、審査結果の有効期間は3か月です。
3か月以内の契約手続きを済ませましょう。
ステップ4:契約手続き
契約手続きは横浜銀行の場合、来店して手続きする形になります。
契約手続きをする際には普通預金の届出印や実印、印鑑証明書が必要になるので忘れずに用意しましょう。
そして行員の案内に従って、手続きを進めてください。
ステップ5:借り入れ
契約ができれば、あとは借り入れです。
皆さんの指定する口座に銀行振り込みという形で、融資が実行されます。
ビジネスローン契約前の注意点
ビジネスローンの契約をする前に、いくつか注意すべきポイントがあります。
注意点は以下のような項目です。
1.金利が高め
2.融資限度額は低め
3.用途が限定的
4.銀行融資の審査に影響が出る
ビジネスローンは最短即日など、スピーディに借入できるのが魅力です。
一方でデメリットもあります。
メリットとデメリット両面を比較して、借り入れすべきかどうか判断しましょう。
金利が高め
ビジネスローンの金利はほかの資金調達方法と比較して、高めな点は留意しておきましょう。
商品によってさまざまなものの、低くても3%・高いものだと18%くらいの年利のものもあります。
日本政策金融公庫の「小規模向け一般貸付融資」の場合、2.06~2.55%です。
銀行融資の中小企業向けの融資の場合、金融機関によって若干ばらつきが見られるものの、おおよそ2%台が相場です。
こうしてみるとビジネスローンの金利は、高めに設定されていることがわかるでしょう。
長期の借り入れになると、それだけ余計に利息を支払わないといけないので、後々の返済負担が大きくなります。
融資限度額は低め
ビジネスローンはそもそも、小口取引をメインとした商品です。
このためほかの借り入れ方法と比較すると、融資限度額は低めに設定されています。
日本政策金融公庫の「小規模向け一般貸付融資」の場合4,800万円、設備投資の場合7,200万円までの、融資に対応しています。
銀行融資の場合も、数千万円単位の融資が可能です。
金融機関や借入希望者の信用力があれば、1億円程度の融資に対応してもらえるかもしれません。
一方ビジネスローンの場合、数十万円からおおよそ数百万円単位の融資にとどまります。
それほどまとまった資金の融通ができません。
まずはいくら当面資金が必要かを具体的に算出して、ビジネスローンで対応できるか検討してください。
用途が限定的
ビジネスローンの場合、用途はあくまでも事業のための資金です。
生活費の支払いなど個人利用には充てられないので、注意しましょう。
法人の場合はまず大丈夫でしょう。
しかし個人事業主の場合には、とくに注意が必要です。
個人事業主の場合、どこまでが事業資金でどこからが生活費なのか、あいまいなところがあります。
もし余裕があれば、契約するまでにどこまでが事業資金として認められるのか、相談するのがおすすめです。
もし後日異なる用途に利用していたことが判明すると、何らかのペナルティを課される可能性があります。
次回の融資が厳しくなる、最悪契約破棄でそれまで借り入れていたお金を即刻一括で返済するように求められることも考えられます。
十分な注意が必要です。
銀行融資の審査に影響が出る
企業を営んでいたり個人事業をしていたりする人は、将来銀行融資をお願いするシチュエーションも、出てくる可能性はあります。
もしビジネスローンの借り入れをしていると、銀行融資に申し込んだときに、審査でマイナスになるかもしれません。
銀行融資の必要書類のひとつに、決算書があります。
もしビジネスローンを利用していた場合、決算書にその旨を記入しなければなりません。
もしビジネスローンの借り入れがあった場合、銀行側が「資金繰りに苦しんでいるのでは」と、思ってしまう恐れがあります。
そうすると不良債権化する可能性が高いと判断されてしまって、融資を断られる可能性があります。
ただしビジネスローンを利用しても、銀行融資に申し込む段階で完済していれば、決算書に記入する必要はありません。
もし銀行融資を検討しているのであれば、その前にビジネスローンの完済を目指すのがおすすめです。
ビジネスローンの気になる審査について
ビジネスローンの契約を希望するにあたって「審査通過できるだろうか」と、不安に思っている事業者もいるでしょう。
ビジネスローンの審査の中で重視されるのは、以下のポイントです。
1.事業の業績
2.資金計画が詳細か?
3.信用情報
それぞれどのような部分がチェックされるのかについてまとめました。
気になる人はチェックしてみてください。
事業の業績
申し込んだ企業がこれまでどのような業績を有しているかは、審査の中で重視されます。
ビジネスローンによって若干の違いはあるかもしれません。
しかし基本的に2年以上の業歴のあることが、好ましいでしょう。
そのためビジネスローンの必要書類の中で、2期分の決算書もしくは確定申告書を提出するように求められることが多いのです。
それでは事業を始めて2年未満ならばビジネスローンの融資が受けられないかというと、決してそうではありません。
もし商品概要で「事業開始から2年以上経過している」もしくは、必要書類で「直近2期分の決算書もしくは確定申告書」が必須となっていなければ、2年未満でも申し込みが可能です。
この場合1年以上業歴があれば、1年分の決算書や確定申告書で考査されます。
もしくは次に紹介する資金計画の結果次第で、融資の可否を判断する形になります。
資金計画が詳細か?
ビジネスローンは事業のために使用するのであれば、原則使い道は自由です。
申込書にも用途について記載する欄があります。
これだけではどのように使うのか、どのようにして返済するのかまでは分かりません。
そこで事業計画書を提出するように求めるところも多いのです。
この事業計画書が現実的な内容になっているか、詳細に記載されているかで融資するかどうかが決まります。
事業計画書を作成する際には、慎重に作ることが審査クリアするためのポイントです。
事業計画書を作成する際には、まず現状を正直かつ詳しく記載しましょう。
そのうえで今後売り上げがどの程度上がるのか、その中の粗利はいくらでどの程度の収益が見込めるのかについて、現実的な数値で紹介します。
この売り上げを実現するためには、いくら資金が不足しているのかという流れで記載しましょう。
資金面の計画をメインに作成していくのをおすすめします。
また返済の見通しについても記載しましょう。
毎月のキャッシュフローを紹介したうえで、毎月いくら返済に充てられるのか説明すれば、説得力も増します。
返済期間が月々の返済金額を想定する、根拠を明示できるような事業計画書を提出すれば、先方にも伝わりやすいでしょう。
信用情報
大体ビジネス関係の融資の場合、会社の代表者が連帯保証人になる代表者保証が一般的です。
そこで代表者の信用力もビジネスローンの融資にあたっての、貴重な判断材料になりえます。
万が一会社が倒産して資金回収できなくなった場合でも、代表者が個人的に債務を背負うことになります。
そこで代表者の信用力、返済能力は融資判断を大きく左右する要因になりえるでしょう。
もし代表者の信用情報に傷があると、審査が通りにくくなるかもしれません。
とくにいわゆるブラック情報といわれる、過去に債務整理を行ったことがあると厳しいかもしれません。
また3か月以上の悪質な延滞をしたことがあると、審査通過も厳しくなるでしょう。
信用情報には過去のローンや、クレジットカードの利用状況と返済履歴が記載されています。
1回や2回滞納している場合、うっかりミスとして審査には影響しないでしょう。
しかし頻繁に延滞の印が残っていると「お金にルーズな人」と判断されて、融資に慎重になる恐れもあります。
もし信用情報に問題があれば、ほかのだれかに連帯保証人を変更するなどの、対策を講じなければならないでしょう。
ビジネスローンの契約に関するまとめ
ビジネスローンは銀行融資と比較すると必要書類も少なく、簡単な手続きで契約できるのが魅力です。
中には最短即日融資できるような、商品も見られます。
銀行のビジネスローンでも最短申し込みから、1週間くらいで借入できるので、銀行融資よりもスピーディです。
手軽に借入できる半面、注意点もいくつかあります。
また契約の前に、審査を通過しなければなりません。
自分の信用力や会社の業歴などで審査通過できるか、慎重に吟味してから申し込みましょう。