経営者にとって頭の痛い問題として、資金繰りがあります。
資金調達の方法は銀行融資はじめ、さまざまな方法があります。
しかしいざ申し込むとなると「審査通過できるのか?」と、不安に感じるでしょう。

そういった方々におすすめの資金調達方法に、今回紹介するビジネスローンがあります。
ビジネスローンは比較的審査に通りやすいといわれています。
ここではビジネスローンは審査を通りやすいのか、ビジネスローンの中でもさらに審査の甘いところの見分け方について、解説しましょう。

ビジネスローンの審査は通りやすい?

「ビジネスローンの審査は甘い」という話を、ネットなどでしばしば目にしたことがあるでしょう。
この話は本当なのでしょうか。
ビジネスローンの審査が甘い説の真偽について、まず見ていきましょう。

銀行融資と比較して通りやすい

ビジネスローンを提供しているところはさまざまとあります。
審査もピンキリですが、一般的には銀行融資と比較して審査は通りやすいといえるでしょう。
銀行が独自に行っている融資のことを、プロパー融資といいます。

プロパー融資の特徴は、第三者を介さずに直接貸し付けする方式です。
万が一債務者が返済できなくなった場合、銀行が直接損害を被る形になります。
自分たちの身を守るために、確実に返済してくれる信用力のある人に絞って貸し出します。
そのためどうしても、審査が厳しくなるのです。

一方ビジネスローンの場合、保証会社を介して貸し付ける形をとっています。
万が一債務者が返済できなくなった場合、保証会社が代わって弁済するので、損失リスクがプロパー融資よりは低いのです。
多少審査を通りやすくして、返済リスクのある人に貸し付けても、会社が大きなダメージを受ける心配がありません。

銀行融資よりも金利が高め

ビジネスローンの特徴として、銀行融資よりも金利は高めの傾向がみられる点も、審査の甘い根拠のひとつです。
銀行融資の場合、1~4%台が相場といわれています。
メガバンクになると、下限金利が1%未満というところのあるほどです。

一方ビジネスローンを見てみると、1%台から18%くらいが相場です。
これを見ても銀行融資と比較して、高めであることがご理解いただけるでしょう。

ビジネスローンは審査を甘めにしているので、貸し倒れリスクがどうしても高いのです。
そこで債権回収できなかったことを想定して、金利を高めにし利息収入で損害を少しでも減らしているわけです。

ビジネスローンであれば、借入はしやすいかもしれません。
しかし返済では、利息の支払いが大きくなりがちです。
もし借り入れたのであれば、できるだけ返済を優先的に行い借入期間を短くすることが大事といえるでしょう。

審査期間が短い

銀行融資は審査が厳しいだけでなく、審査に時間がかかるのも資金調達する際にネックになりがちです。
どれほど早くても、数週間はかかります。
1か月前後かかるのも決して珍しくないので、融資実行されるまでに資金ショートすることもありえます。

ビジネスローンの場合、審査期間はどれほどかかっても1週間から10日程度です。
早いところだと、即日融資に対応してくれるローン会社もあるほどです。
急にお金が必要になった時などに、重宝するサービスといえるでしょう。

審査期間が短いことは、銀行融資ほどにそこまで細かくチェックしていないとも解釈できます。
よって審査も通りやすいといえます。

審査の通りやすいビジネスローンの特徴を紹介

ビジネスローンは銀行融資と比較すると、総じて審査は甘めです。
ただしビジネスローンの中でも、審査はピンキリです。

確実に資金調達したければ、審査の甘いところに申し込みましょう。
審査の甘いビジネスローンには、いくつか特徴があります。
以下のような特徴のあるところに申し込むとよいでしょう。

1. 消費者金融が運営
2. ビジネスローン専門の会社
3. 上限金利が高い
4. 証書型のローン
5. 有担保ローン

それぞれどのようなところが、審査が甘いのかについてここから紹介していきます。

消費者金融が運営

ビジネスローンを運営しているところは、数多くあります。
銀行や信販会社・クレジットカード会社、消費者金融などさまざまです。
この中でも消費者金融系のビジネスローンが、最も審査に通りやすいといわれています。

消費者金融系の商品を見てみると、ほかと比較して金利が高めです。
そのような部分でリスクヘッジしているので、審査が緩めの傾向が見られます。

またそもそも消費者金融は銀行などで借りられなかった経営者を対象にして、サービスを展開しています。
よって銀行と同じような審査難易度にしてしまうと、集客できません。
そこで銀行よりも審査を甘くして、新規顧客の開拓に努めている事情も関係しています。

消費者金融の中でも大手があれば、中小もあります。
大手は日本全国に店舗を展開していて、コマーシャルなどで大々的に宣伝しているようなところです。
CMで消費者金融の宣伝を目にしたこともあるでしょう。

このような大手よりも中小の消費者金融のほうが、審査は甘めといわれています。
中小の消費者金融を利用する経営者は、銀行や大手の消費者金融に引っかかってしまった場合が多いからです。
このような銀行や大手の消費者金融の融資から、あぶれた経営者を対象にサービス提供しているので、審査が甘めになるわけです。

ビジネスローン専門の会社

ローン会社の中には、ビジネスローンに特化してサービス提供しているところもあります。
ほかのローンも幅広くラインナップしているところと比較して、審査が甘めといわれています。

ビジネスローン専門のところは、事業者に融資をしないと収益を確保できません。
そこで審査を甘くして、融資しやすくする必要があるわけです。

またビジネスローン専門のところは、スタッフも事業者向けの融資や資金繰りに関しても精通しています。
経営者の資金調達事情も理解しているので、フレキシブルな対応をしてくれるところが多いのも、審査が甘いといわれる根拠のひとつです。

上限金利が高い

ビジネスローンの金利を見てみると「○%~○%」と、金利幅を持たせているところがほとんどです。
一般的に信用力のある業者に対して、下限金利で貸し付けます。
初めて借入する際には、返済してくれるかどうか未知数です。
そこでほとんどのところで、初回借入では上限金利もしくはそれに近い利率での、貸し出しになると思ってください。

そのため上限金利でどこに申し込むか考えましょう。
のちの返済のことを考えれば、上限金利の低いところの方がおすすめです。
しかし審査通過できるかどうか不安であれば、あえて上限金利を高く設定しているところに申し込むのも一考といえます。

上限金利が高いのは、より多くの利息を受け取ることで貸し倒れリスクをカバーすることが目的です。
見方を変えれば、それだけ信用リスクがある程度予測できる事業者にも、貸し付けているとも解釈できます。

上限金利を見てみると、銀行よりも消費者金融はじめノンバンクのほうが全体的に高めとなっています。
銀行系を見てみると上限金利は、14~15%といったところが相場です。
一方ノンバンクをみると18%と、利息制限法で定められている上限金利ぎりぎりの設定にしているところが多いのです。
上限金利が高いというところで見ても、消費者金融のほうが審査は通りやすいといえるでしょう。

証書型のローン

ビジネスローンのスタイルを見てみると、証書型とカードローン型とに分類できます。
カードローン型とは個人向けのカードローンと同じように、審査通過するとローンカードが発行されます。
そしてローン会社もしくは提携先のATMにて、借入や返済をする方式です。

カードローン型の場合、設定された借入限度額の枠内であれば繰り返し借入もできます。
一方証書型とは、借入のたびに契約をするスタイルのことです。
借入したらあとは返済するのみで、繰り返し借入はできません。
借入額は増えることがないので、カードローン型と比較して不良債権化するリスクが低く、審査も甘くしても問題ありません。

またカードローン型の場合、スコアリングシステムといってコンピューターが審査するところも多いのです。
スピーディに審査結果が出る半面、融通が利かないところは難点といえるでしょう。

一方証書型の場合、審査は人の行うのが一般的です。
担当者のこれまでの経験なども審査に反映されるので、多少なら融通の利くところも多くあります。
コンピューターによるスコアリングシステムよりも、審査に通りやすいといわれています。
そのためより着実に審査に受かりたければ、証書型のところを利用するとよいでしょう。

有担保ローン

もし法人で資産を有しているのであれば、それを担保に差し出すとよいでしょう。
そのためには無担保だけでなく、有担保でローンを組めるところに申し込むのがおすすめです。
無担保ローンの場合、もし債務者が返済不能になれば残債がまるまる損害額になってしまいます。

しかし有担保ローンで担保を差し出して融資を受ければ、たとえ返済不能の状態になっても担保を差し押さえられます。
その担保を売却すれば、債権回収できるわけです。
不良債権を抱えるリスクが低いので、審査を多少甘めにしても問題ないわけです。

担保といわれると、土地や家屋などの不動産を連想する人もいるかもしれません。
しかし不動産のほかにも預金や有価証券、売掛債権なども担保にできる場合もあります。
もし担保に出せる資産があれば、有担保のローンから候補を絞り込んでいくとよいでしょう。

ビジネスローンの審査を通りやすくするコツについて理解しよう

着実に資金調達したければ、まず審査の通りやすいところに申し込むことが大事です。
またこちらの対策次第で、審査通過の確率を高められます。
では具体的にどのように工夫すればよいのか、主に以下のようなポイントを押さえるとよいでしょう。

1. 借入希望額は少なめに
2. できるだけ早めに申し込む
3. 税金はきちんと納める
4. 申し込みフォームを今一度確認する
5. 開業間もない申し込みは避ける
6. 保証人を用意する

それぞれなぜポイントを押さえることが重要なのか、詳しく解説していきます。

借入希望額は少なめに

申し込む際にフォームに、借入希望額を申告する必要があります。
この時の金額は、必要最小限の額にとどめておきましょう。

ビジネスローンの審査では、借入希望額が多くなればなるほど審査は辛めになるからです。
ローン会社としてみれば、多額の貸付をすれば債権回収不能になるリスクも、おのずと高くなるからです。

そのため申し込む前に手持ち資金がどのくらいあって、今後支払いにどの程度現金が不足しているかを把握しましょう。
「おおよそこれくらい足りないが、もしものためにもう少し借入希望額を増やしておこう」と、適当に希望額を決めるとよくありません。
結局自分で自分の首を絞める形になりかねません。

また最初のうちは、少額の借入に抑えるように心がけましょう。
そして期日通りにきちんと返済を繰り返します。
そうすると次第に信用力がついていきます。
信用力が付けば、より多額の借入にも対応してもらえるようになるでしょう。

できるだけ早めに申し込む

もしできるだけ速やかに融資を受けたいと思っているのであれば、午前中の早い段階で申し込みましょう。
即日融資を謳っているビジネスローンもあります。
しかしこの場合銀行振り込みで、融資実行される場合がほとんどです。

ご存じのように銀行は、平日午後3時までに店舗を閉めてしまいます。
つまり3時までに振り込みが実行されていないと、審査通過しても口座に入金反映されません。

振り込みのための事務手続きもありますし、審査も行わないといけません。
となると即日融資してもらうためには、正午前に申し込みが完了していないと厳しくなります。

申し込んだ当日に入金されなくてもよかったとしても、午前中に申し込み手続きを済ませるのがおすすめです。
というのも申し込んだところで、融資の認可を100%受けられると限らないからです。
もし審査落ちになったら、別のところで申し込まないといけません。

審査に受からず何社かに申し込むとなると、午後から作業を始めると融資先が見つからないことも考えられます。
時間的な猶予を確保するためにも、1日のうちのなるべく早い段階で申し込むのがおすすめです。

税金はきちんと納める

ビジネスローンは事業者が資金調達する手段の中では、審査が甘めといわれます。
しかし審査基準が緩めのローンでも、税金の滞納や未納があると審査で否認される恐れがあります。
納税は国民の義務でそれを履行していないとなると、不信感を抱かれてしまうからです。

とくに銀行系のビジネスローンでは税金の延滞があると、まず審査通過するのは無理と思ったほうがよいでしょう。
またただ単に融資が受けられないだけでなく、税金の延滞は社会的な信用を失うことにもなりかねません。
「納税すらできていないのは、かなり経営がよくないではないか」と取引先に思われてしまいます。
取引停止や規模の縮小をされて、ますます経営のかじ取りが難しくなるかもしれません。

そのため納税は、優先的に実施しましょう。
でないと必要な時に、どこからもお金を借りられない事態を自ら追い込むことにつながりかねません。

申し込みフォームを今一度確認する

現在はWeb申し込みできるローン会社が増えています。
来店不要でネットに接続できる環境であれば、どこからでも申し込めるので便利です。
しかしWeb申し込みの場合、誤って入力してしまう恐れがあります。
申し込みフォームに必要事項を入力し終わったら、すぐに送信ボタンをクリックするのではなく、いったん見直しましょう。

もしかすると入力ミスがあるかもしれないからです。
とくに文字変換でミスが起きることも多いので、注意してください。

単なる入力ミスでも、審査する側からするとそれがケアレスミスなのか、意図的に虚偽の情報を入力したか見分けがつきません。
入力ミスがあると決算書や、本人確認書類と情報が一致しません。
意図的に虚偽情報を入力した可能性も、だれかが経営者の名前をかたってなりすましで申し込みしている可能性もあります。
そこで融資は不可という審査結果になりかねないので、正しく記載できているか確認する習慣をつけましょう。

開業間もない申し込みは避ける

起業して間もない段階にて申し込んでも、審査落ちの憂き目を見る可能性が高いのです。
ビジネスローンの審査基準で、業歴を重視する傾向がみられるからです。
ある程度業歴を有しているところの方が実績もあり、信頼できると判断されます。

とくに開業資金を融資したお金の使い道を認めていないところは、業歴の浅い所への融資を渋る傾向が見られます。
おおよそのビジネスローンでは、直近2期分の決算書を申し込み時に提出するよう求めるところが多いのです。
つまり2年以上の業歴のあるのが好ましいでしょう。

逆に起業や開業してから1年未満の段階でビジネスローンに申し込んでも、審査通過は難しいでしょう。
まだ未知数すぎて、貸し出したお金が戻ってくるかどうか判断付きかねるからです。

もしこれから起業しようと思っている・創業して間もなければ、日本政策金融公庫という政府系の金融機関を利用するのがおすすめとなります。
新創業融資制度といって、これから事業を始める方や税務申告2期終えていない経営者を対象に、融資する制度を有しているからです。
無担保、保証人なしで借入できるのでこちらの利用を検討してみるとよいでしょう。

保証人を用意する

これは個人事業主がビジネスローンを利用する際に、審査通過の確率を少しでも通りやすくするためのコツです。
ビジネスローンの商品概要を見てみると、法人の場合原則代表者が保証人になることが前提です。
しかし個人事業主の場合、保証人なしでも借り入れできるような商品も見られます。

ただしもし審査通過できるかぎりぎりのラインにある場合、交渉の中で保証人を立てると融資を受けられる場合もあります。
もし保証人になってくれそうな人がいれば、相談してみるとよいでしょう。
家族などで保証人となってくれる人がいるかもしれません。

ただし無理に保証人を、血眼になって探すような必要まではありません。
保証人を立てられるのであれば、審査には多少有利に働く程度の感覚でいましょう。

銀行融資よりも審査の通りやすいビジネスローンのまとめ

銀行融資と比較して、ビジネスローンは審査を通りやすいといわれていて、借入しやすい商品といわれています。
また審査もスピーディで、即日融資も可能な商品もあるほどです。
資金繰りに行き詰っていて、今すぐに現金が必要なひっ迫したときには重宝するサービスとなります。

ビジネスローンは審査が甘いのは確かなものの、その中でも難易度はピンキリです。
より確実に借入したければ、ビジネスローンの中でも審査が甘いといわれるところへ、優先的に申し込みましょう。

ただし審査に通りやすいビジネスローンは金利が高いので、返済負担は大きくなります。
返済期間を短くして、利息の支払いをできるだけ少なくするように、資金繰りを見直していくことも大事です。