法人経営を続けていると、想定外の出来事に出くわすことはよくあります。
その中でも深刻なのは、支払期限が迫っていて手持ちが足りない場合です。
予定していなかった出費が発生した、売掛金の回収が遅れているなど、資金が枯渇することは十分ありえます。
そういった時には緊急的にどこかから融資を受けて、その場をしのぐことも考えないといけません。
とくに法人にとって緊急性が高い場合には、即日融資してもらえるところを探さなければならないでしょう。
法人用に即日融資可能なところがあるかについて、ここで解説します。
目次
銀行で即日融資は不可
法人が資金調達する先として、銀行を連想する方は多いでしょう。
しかし結論からいうと、銀行融資は即日融資に対応していません。
なぜ銀行融資は、スピーディな融資決定ができないのでしょうか。
かつては即日融資に対応していたが…
実はかつて銀行では、即日融資も可能な商品を取り扱っていました。
しかし2018年を境に、即日融資を業界で控えるようになったのです。
2018年に業界で、新規の融資の審査を厳しくすると取り決められました。
警察庁のデータベースの紹介といった、新しい審査事項を盛り込むことによって、即日融資できない仕組みにしました。
そのため個人・法人ともに、銀行からの即日融資はまずできないと思ったほうがよいでしょう。
なぜ銀行は即日融資をやめたのか?
かつて行っていた即日融資のサービスを銀行がやめてしまったのは、主にふたつの理由があります。
過剰貸し付けが社会問題化した、反社チェックを厳格に行う必要性が出てきた、このふたつです。
過剰貸し付けの問題ですが、これは主に法人ではなく個人に対する貸し付けで問題になりました。
消費者金融に対する、貸し付けの規制が強化されたのです。
2011~17年の6年間で、銀行カードローンの貸し出しはおおよそ、2兆5,000億円も増大したといわれています。
消費者金融の場合、総量規制のルールに基づき融資しなければなりません。
申込人の年収の1/3を超えて、貸し付けてはならないというものです。
しかし貸金業者ではない銀行の場合、総量規制の対象外です。
しかも消費者金融と比較して低金利なことも相まって、次々に貸し付けるようになりました。
ただこれが過剰貸し付けを引き起こし、2017年9月にはメガバンクや主要な地銀に、金融庁の立ち入り調査を受けることになりました。
そこで全国銀行協会が、2017年に審査の見直しを申し合わせるようになったわけです。
もうひとつは反社チェックが義務付けられたことです。
現在日本は政府をあげて、反社の排除を進めています。
銀行も例外ではなく、反社会勢力との関係を断ち切るよう迫られています。
そこで借入審査時に警察庁の保有する、反社のデータベースとの照会が義務付けられるようになりました。
新しい審査項目が盛り込まれたことで、以前と比較して審査に時間がかかるようになりました。
データベースの照会は最短でも、回答は翌営業日以降です。
よって申し込み当日に、審査結果が出なくなりました。
銀行が即日融資してはならないという、法律はありません。
しかし上記にて紹介した事情で、実質即日貸付は不可能になったわけです。
法人が緊急性の高い資金調達する際には、銀行の利用は選択肢から外しましょう。
ビジネスローンなら即日融資が可能
銀行融資で即日融資は、まず無理です。
それでは法人が即日資金調達するためにはどうすればよいか、おすすめはビジネスローンです。
ビジネスローンは審査がスピーディなので、場合によっては即日融資で資金の確保も十分できます。
消費者金融のビジネスローンを利用すべし
ビジネスローンといっても、さまざまなところが商品提供しています。
主に以下のような会社が、ビジネスローンをラインナップしているのです。
· 銀行
· 信販会社
· 消費者金融
この中でも銀行はたとえビジネスローンでも、即日融資はできません。
上で紹介した事情によって、即日融資には対応していません。
ただ一般的な銀行融資と比較すると、審査はスピーディです。
従来の銀行融資の場合、短くても1か月くらい融資実行されるまでに時間がかかります。
銀行ビジネスローンは、これよりは短期間で融資してくれます。
しかしそれでも3~5営業日は待たなければならないので、今すぐ資金を確保したければ不向きといえるでしょう。
一方消費者金融のビジネスローンの中には、最短即日融資に対応しているところもあります。
信販会社も一部最短即日のところもあるものの、おおよそは最短でも3営業日程度は時間がかかります。
そのため今すぐ資金を用意しなければならない、緊急性の高い場合には消費者金融をメインに、どこに申し込むか検討しましょう。
ビジネスローンは審査が甘めなところも魅力
ビジネスローンは審査がスピーディなだけでなく、審査基準が甘めなところも魅力です。
つまり従来の銀行融資では審査クリアが厳しい法人でも、ビジネスローンなら借り入れができるかもしれません。
そもそもビジネスローンは、銀行融資の受けにくい中小企業などの法人をメインターゲットにして、開発された商品だからです。
そのため審査基準を甘くして、より多くのところに貸し付けられるようにしています。
ただしその分、金利は高めに設定しているので注意しましょう。
銀行ビジネスローンは、1%台から14.0%といったところが相場です。
銀行よりも消費者金融のほうが、さらに審査が緩めといわれています。
ただしその分金利はさらに高くなります。
消費者金融のビジネスローンの金利相場は、5.0~18.0%です。
審査を甘くすれば、債権回収不能のリスクも高まります。
そこで少しでも損害を少なくするために高金利にして、利息を多くとろうというわけです。
法人が即日融資を受けるにあたってのポイント
法人が即日融資を受けるためには、消費者金融系のビジネスローンを利用することです。
ただしより確実に即日融資で資金調達するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
1. 早めに申し込む
2. 必要書類をあらかじめ準備する
3. 申し込みフォームを見直す
4. 一度に複数のところに申し込まない
5. ローンカード型のビジネスローンに前もって契約する
それぞれなぜ即日融資のために必要なのか、以下で詳しく解説します。
早めに申し込む
即日融資の場合、銀行振り込みという形で融資実行されます。
つまり銀行の閉店時間である午後3時までに、振り込みに関する事務手続きが、すべて完了していなければなりません。
また消費者金融を見てみると、午後2時から2時半以降の申し込みの場合、事務手続きが間に合わないと判断するところもあります。
このため審査通過でも実際の融資手続きは、翌営業日に持ち越してしまうかもしれません。
事務手続きだけでなく、審査の手続きもあります。
そのため確実に即日融資で資金を受け取るためには、午前中の早い段階で申し込んだ方がよいでしょう。
必要書類をあらかじめ準備する
ビジネスローンに申し込む際には、いくつか必要書類を提出しなければなりません。
必要書類を申し込み当日に準備するとなると、それなりに時間をロスします。
書類がすべて集まったら、正午すぎていたということも起こりかねません。
そこで資金が必要になった段階で、早めに必要書類を調達しておきましょう。
そしてビジネスローンに申し込む段階までには、必要書類が一式そろっている状態を作るのが理想です。
ローン会社によって必要書類は若干変わっていきます。
一般的には以下のような書類を、法人の場合用意しないといけません。
· 法人代表者の身分証明書
· 登記事項証明書
· 直近2期分の決算書
銀行融資と比較すると、用意する書類の数は少ないものです。
しかし登記事項証明書は法務局などで入手しなければならないので、早めに準備しておきましょう。
ただ一部ローン会社は、資金用途の証明できる書類を用意するように求めるかもしれません。
たとえば設備資金であれば商品の見積書、仕入用の場合先方との契約書や注文書などです。
ローン会社のホームページに必要書類は記載されているはずなので、まずこちらを確認してください。
申し込みフォームを見直す
ビジネスローンの審査落ちでよく見られるのが、提出書類の不備です。
記載ミスがあれば、必要書類の内容と一致しないので審査で否認されてしまいます。
ほかの誰かがなりすましで申し込んでいる、虚偽申告をしていると疑われるからです。
近年ではWeb完結のビジネスローンも出てきています。
わざわざお店に出向く必要がないので、便利といえるでしょう。
しかし申し込みフォームにパソコンもしくはスマホで作成する場合、どうしても入力ミスが起きがちです。
また漢字変換したときに、自分の思うような漢字が出てこないことも十分ありえます。
変換ミスによって審査落ちも考えられます。
そのため申し込みフォームが完成したら、そのまま送信するのではなく内容を見直しましょう。
変換ミスがないか、数字の入力間違いで誤った住所や電話番号になっていないか、確認のうえ提出しましょう。
一度に複数のところに申し込まない
法人で緊急性の高い資金調達になると、より確実に借入できるような態勢を整えたいと思うかもしれません。
そうすると中には、複数のビジネスローンに同時申し込みしようとする法人も出ていきます。
より多くのところに申し込めば、どれかひとつ融資してくれるだろうという考えでしょう。
しかし一度に複数のローン会社に申し込むのは、自分の首を絞める結果につながります。
ローン会社は審査の際に、信用情報の照会をします。
信用情報にはローンの借り入れ状況や、返済履歴などが記載されているのです。
もし一度に複数のところに申し込むと、特定の信用情報に複数のローン会社が殺到する形になります。
そうなるとローン会社も不審に思うでしょう。
「これだけ多くのところに申し込んでいるのは、よほどお金に困っているに違いない」とみられます。
「つまり融資しても返済してもらえないのでは」と、思うからです。
そのため申し込む際には、ひとつのローン会社に絞って申し込んでください。
もし申し込んだところで融資を受けられなかった場合には、別のローン会社に申し込むという形です。
第一希望のローン会社で借入できるとは限りません。
審査落ちして別のところを探して、また申し込み手続きをするとなると、どうしても時間もかかります。
そのため午前中の早い段階で、申し込みを始めたほうがよいでしょう。
ローンカード型のビジネスローンに前もって契約する
ビジネスローンの中には、ローンカード型のものもあります。
個人のカードローンと同じように、一定の借入限度枠が設けられています。
ATMで預金を引き出すのと同じような感覚で、借入できる形式です。
もし別に借入の必要がなくても、今後もしかすると融資が必要だと思うかもしれません。
その際は安定している段階で、ローンカード型のビジネスローンに申し込んでおくのも一考です。
申し込んで審査通過すれば、後日ローンカードが届きます。
そしていざ資金調達の必要性が生じた際には、そのローンカードを使って融資を受ければよいのです。
「審査に受かるかどうか」「銀行の営業時間までに、振込完了できるか」と不安に思う必要もありません。
またとくに資金調達の必要のないときに、ローンカード型のビジネスローンに申し込んでおくのもおすすめです。
審査通過できる確率がアップするのも、メリットとなります。
経営の順調な法人であれば、ローン会社としても安心して貸し付けられるからです。
法人が即日融資を希望する場合のまとめ
銀行では業界内の取り決めや反社チェックの義務化によって、たとえビジネスローンでも即日融資が、実質不可能になりました。
一方消費者金融は審査がスピーディで、即日融資に対応しているところも見られます。
もし法人にとって緊急性の高い資金調達が発生したのであれば、消費者金融系のビジネスローンの中から、審査通過しそうなところを探してください。
また午前中の早い段階で必要書類を取り揃え、申し込み手続きを済ませることも重要です。
Web申し込みの際、入力ミスもしばしば起こります。
申し込みフォーム作成できたら、間違いがないか確認することも忘れないようにしましょう。