ビジネスローンをすでに利用している法人はいませんか?
もし当てはまるのであれば、今借り入れているビジネスローンが皆さんにとってベストの商品か考えたことはありますか?
もしかすると、もっと良い条件で借入できる商品があるかもしれません。

もしより良い条件で借り入れたければ、今回紹介するビジネスローンの借り換えを検討するのも一考です。
ここではビジネスローンの借り換えとは何か、借り換え先にどのようなローン会社があって、どんな点に注意すればいいかについてみていきます。

ビジネスローンの借り換えについて解説

「借り換え」という言葉について知らない、きちんと理解できていない法人代表者の方もいるかもしれません。
もし借り換えについてはっきり理解できているかどうか自信がなければ、以下で借り換えの基本について解説しますので読み進めてください。

借り換えの仕組みについて解説

借り換えとは、Aというビジネスローンですでに借り入れていたけれども金利が高いなどで返済が厳しかったとします。
そこで情報収集してみたところ、AよりもBというビジネスローンの方が金利も低く返済負担が軽減できることがわかりました。

そこでBでAに返済する資金を借り入れます。
そしてその返済資金を使って、Aの残高を一括全額返済します。
以降Bに対して返済していく方式を借り換えといいます。

おまとめローンとの違いとは?

借り換えに似たような形式として、「おまとめローン」と呼ばれる商品があります。
おまとめローンと借り換えを混同したり、同じようなものだったりと思っている人も多いようです。
確かに両者は類似していますが、その性質上異なるポイントがあります。

おまとめローンとは、複数借り入れていたビジネスローンを一本化するための商品です。
一方借り換えは借入先を別のローン会社に変更するのが目的の商品です。
ですから両者は借入先を変える点は同じですが、その性格は別物と思ってください。

また追加借り入れができるかどうかも両者の異なるポイントです。
借り換えの場合、もし借入限度額に余裕があれば追加での借入も可能です。
一方おまとめローンは返済専用のローンなので、一本化した後は追加借り入れができずあとは返済だけを続ける形になります。

ビジネスローンの借り換えのメリット

ビジネスローンの借り換えを実際に行っている法人代表者は少なくありません。
なぜ借り換えを行うのか、それはメリットがあるからです。
主なメリットとして、以下の2点が考えられます。

1.利息支払いを少なくできる
2.返済期間の延長が可能

以上2点のどのようなところがメリットなのか、以下で詳しく紹介しましょう。

利息支払いを少なくできる

ビジネスローンの借り換えを行う目的の中で大きいのは、金利の低い商品に切り替えるためです。
ビジネスローンの中でも金利はピンキリです。
ノンバンク系の場合、年利18%近くと利息制限法の上限金利ぎりぎりに設定しているものも少なくありません。

しかし銀行系のビジネスローンであれば、上限金利でも14~15%のところが多いです。
このように金利の低いところに借り換えれば、利息支払い額を少なくできます。
結果的に返済総額も少なく抑制でき、負担も軽減されるわけです。

ビジネスローンを利用するにあたって、ある程度まとまった額の借入を行う法人も多いでしょう。
数百万円や数千万円単位の融資を受けているところもあるはずです。

このような大きな金額の借入の場合、ちょっと金利が下がるだけでも利息の支払い額がかなり変わってくることもあり得ます。
今の金利が高く、利息の支払いだけでもかなりの負担になっている自覚があれば、より低金利商品に借り換えることも検討したほうがいいでしょう。

またビジネスローン同士で借り換えるだけでなく、ほかの借入手段に切り替える方法もあります。
例えば銀行融資です。
銀行融資の場合、平均金利は2~3%といわれています。

ビジネスローンと比較して、圧倒的な低金利です。
銀行融資に切り替えれば、かなりの返済負担の軽減につながるとみられています。

一例として、金利15%のビジネスローンで借り入れていたと仮定しましょう。
500万円になった時点で、金利3%の銀行融資に乗り換えたとします。
返済期間3年、元利均等返済方式で返済していった場合、ビジネスローンだと返済総額は624万円弱です。

一方金利3%の銀行融資に乗り換えた場合、540万円弱にまで返済総額を抑制できます。
つまり返済総額を80万円以上も抑制できるわけです。

銀行融資は審査に時間がかかるので、緊急で資金が必要になった時には不向きです。
そこで即日融資にも対応しているような融資のスピーディなビジネスローンでいったん借り入れます。
そして審査に時間のかかる銀行融資の審査通過したところで乗り換えるのも一つの方法です。

返済期間の延長が可能

ビジネスローンの借り換えによって、返済期間を延長できるのもメリットの一つです。
もしビジネスローンの返済が負担になっていて、そのせいで資金繰りが厳しくなっているのであれば、返済期間を長くできるビジネスローンに借り換えることです。
返済期間を延長できれば、支払い回数が増え、月々の返済額を少なくできます。

またビジネスローンの返済期限が近づいていて、自力で返済資金を用意できない場合も借り換えをして乗り切る方法が考えられます。
借り換えをして現在借入しているビジネスローンを一括返済してしまいます。
そして新たに借り入れたところに返済することで、返済期限までの猶予ができるからです。

借り換えによって返済期間を延長できますが、延長すれば利息の支払い期間も多くなり、結局返済総額は大きくなります。
月々の返済額を少なくして、もし資金的に余裕があれば、繰り上げ返済もうまく活用してください。

ビジネスローンの借り換えはどこでできる?

もしビジネスローンの借り換えを検討しているのであれば、どこで借り換えるかを検討しなければなりません。
借り換え先の候補として、以下のようなところが候補に挙がります。

1.銀行融資
2.自治体
3.不動産担保ローン
4.他社のビジネスローン

それぞれのメリットデメリットがありますので、以下で詳しく紹介します。
借り換え先の候補を絞り込む際の参考にしてください。

銀行融資

ビジネスローンから銀行融資に借り換えるという法人は少なくありません。
銀行融資への借り換えのメリットとして大きいのは、金利を低くして利息支払い負担を軽減できる点にあります。
銀行融資の金利は金融機関によってさまざまですが、ほとんどのケースで金利を5%以下に抑制できると考えられます。

しかも銀行融資の場合、借入限度額が大きいのも特徴です。
ビジネスローンの場合、借入出来てもせいぜい500~1,000万円といったところが限界です。
しかし銀行融資の場合、審査結果にもよりますが5,000万円~1億円程度の融資も十分可能です。

これだけの借入枠があれば、借り換えのほかにおまとめローンにも活用できます。
借り換えをしても枠に余裕があれば、追加融資を途中でお願いすることも可能です。

ただし銀行融資の場合、審査は厳しめと思っておきましょう。
借入までに1カ月前後時間がかかると思ってください。
さらに担保や保証人を用意するように求められる可能性も高いです。

銀行融資を利用するのは審査が厳しそうと思うのであれば、地銀や信用金庫など地域密着型の金融機関に申し込むのも一考です。
メガバンクと比較すると金利はやや高めかもしれません。
しかしビジネスローンと比較すれば、金利水準は十分低いです。

地銀や信用金庫は利益重視以外にも、地方経済を支えるといった社会的使命もあります。
ですからメガバンクの審査は落ちてしまうような法人でも、十分審査にクリアして融資を受けられる可能性はあります。
今後長いお付き合いをするために借り換えして、メインバンクにしていくのも一考です。

自治体

自治体によっては、法人向けの貸出制度を独自に用意している可能性もあります。
公的融資の中で申し込み対象になっている制度があれば、申し込んで借り換えるのもおすすめです。
公的融資の場合、金利など借り入れ条件はビジネスローンよりも有利なものが多いです。
金利も低いので、無理のない返済計画を立てられます。

ただし自治体からの公的融資の場合、手続きが面倒な可能性があります。
ビジネスローンと比較して、申し込みの際に必要な書類も多くなる可能性があり、準備に時間がかかるかもしれません。
借り換えまでに時間がかかる可能性も出てきます。

国が公的融資を行っている場合もあります。
有名なのは、新型コロナウイルス感染症特別貸付です。
直近1カ月もしくは過去6カ月間の平均売上高が前年もしくは前前年と比較して5%以上減少した場合などの方が対象です。

新型コロナの流行で、不要不急の外出をしないように言われ、緊急事態宣言も何度か出て大打撃を受けたお店や業者も多いでしょう。
このように広範囲にわたって被害が出た場合には、国が救済策を講じる可能性があります。
最新の救済措置が出ていないか、ニュースなどで最新情報を確認しておくといいでしょう。

不動産担保ローン

もし法人やその代表者が担保価値のある不動産などを保有している場合、その物件を担保にして借入するのが不動産担保ローンです。
この不動産担保ローンを使って、ビジネスローンの借り換えを行う場合もあります。

不動産担保ローンに借り換えるメリットとして、金利が低くなり返済負担を軽減できる可能性の高い点に注目です。
いざという場合には不動産を担保にしているので、貸し出す側としても不良債権化するリスクは低くなります。
よって担保なしでも借り入れできるビジネスローンと比較して、金利を低くしても大丈夫なわけです。

またもし担保にする不動産の価値がそれなりにあれば、まとまった額の借入も可能です。
そうなれば借り換えに加え、今後の運転資金や設備資金を調達するために追加の借入も可能になります。

しかし不動産担保ローンの場合、不動産など担保として差し出せる資産を持っている人のための金融商品です。
資産を持たない中小・零細企業はそもそも、こちらの方法をとることができない側面もあります。
またもし返済が滞ってしまった場合、担保にしているお手持ちの不動産を金融機関に持っていかれてしまうリスクもあることは理解しておきましょう。

他社のビジネスローン

他のビジネスローンに借り換えるのも選択肢の一つです。
ビジネスローンへの借り換えのメリットとして大きいのは、手続きのスピーディさです。
場合によっては申し込んだその日のうちに融資実行される可能性はあります。

ただしビジネスローン同士の借り換えの場合、金利はそこまで下がらないかもしれません。
ということは金利を低くして、返済負担を軽くするという本来の借り換えの目的は果たせない可能性が高いです。

日本政策金融公庫は利用できない

事業性資金を調達するにあたってよく使われるポピュラーな手段として、日本政策金融公庫の融資制度を利用するアプローチがあります。
公的融資の一種なので、金利などの条件も有利です。
しかし日本政策金融公庫は借り換えのためには活用できないので、注意が必要です。

新型コロナや自然災害などで業績が悪化した場合に特例として認められる以外に、日本政策金融公庫では借り換えを認めていません。
もし民間のビジネスローンなどから借り換えできるようにすれば、金利の低い日本政策金融公庫を利用したいという法人が増えてしまいます。
その結果、公的機関のせいで民間の経営を圧迫することにつながりかねません。
これは政府の望むことでもありません。
ですから借り換えの条件を厳しく制限しているわけです。

借り換え以外の方法も検討しよう

借り換えをする基本的な目的として、資金繰りの改善を目指す方法が挙げられます。
もし資金繰りの改善を目指すのであれば、借り換え以外の方法もあります。
主要なアプローチとして以下のようなものが挙げられます。

1.追加融資の申し込み
2.繰り上げ返済の活用
3.リスケジュールの検討
4.在庫管理の徹底
5.売掛債権の早期回収

以上なぜこれらの方策が資金繰り改善に効果を発揮するかについて説明しますので、参考にしてください。

追加融資の申し込み

借り換えではなく、追加融資を検討するのも一つの方法です。
例えば事業拡大などのために追加で資金調達が必要になった場合には検討してみる価値はあるでしょう。
追加融資の申し込みの場合、審査にはそれほど時間がかかりません。
比較的早い段階での資金調達もやりやすいでしょう。

しかしこれは事業拡大など明確な目的がある場合には、有効です。
ただ単に手元資金を増やして資金繰り改善したいというのであれば、こちらの方法は慎重であるべきです。
追加融資を受ければ、それだけ返済負担も大きくなります。

追加融資を受ける際には、無理のない返済計画が立てられるかシミュレーションをしておきましょう。
もし月々の返済額が増えるのであれば、自分たちの返済能力の範囲内か検討してください。

繰り上げ返済の活用

もし業績が好調で手持ち資金に余裕があれば、繰り上げ返済を行うのも一考です。
繰り上げ返済とは通常の返済プラスアルファで返済する手法で、返済ペースを早くし、返済期間を短縮化できます。
返済期間が短くなることで、利息支払いを少なくできます。

繰り上げ返済をする場合、融資している側からいい顔をされない危険性があることも理解しましょう。
返済期間が短縮化することで、本来はいるべき利息の徴収ができなくなるからです。
取引先とも今後良いお付き合いをしたければ、安直に繰り上げ返済に頼るのは慎重であるべきです。

リスケジュールの検討

もし資金繰りが厳しくなっているのであれば、リスケジュールを検討してみる価値もあるでしょう。
リスケジュールとは、本来の返済期日を先延ばしにするスケジュール調整方法です。

リスケジュールの申し込みをして、相手が認めてくれるのかと疑問に感じる人もいるでしょう。
しかし貸し出している側としてみれば、不良債権化するくらいであれば多少返済期日を伸ばして回収したほうがよっぽどましです。
ですから交渉に応じてくれる可能性は結構あります。

ただしリスケするためには、先方を説得する材料が必要です。
事業改善計画や返済計画を作成・提示して、「このスケジュールなら着実に返済でき、先方に迷惑はかけない」と説明しましょう。

またリスケする場合、業績悪化に伴う条件変更と解釈されます。
よって新規で融資を受けるのは難しくなる点も、あらかじめ理解しておきましょう。

在庫管理の徹底

また社内改革を目指すことで、資金繰りの改善を目指すアプローチも考えられます。
特にビジネスを進めていくうえで欠かせない資金の一つに、運転資金があります。
運転資金は売掛債権と棚卸資産を加えたものから、仕入債務を差し引く形で算出可能です。

もし運転資金を圧縮して資金繰りを好転させたければ、棚卸資産すなわち在庫の管理をしっかり進めましょう。
滞留期間といいますが、在庫の寝ている時間が長期化していれば運転資金もかさみ、資金繰りの悪化を招きます。
その結果、ビジネスローンからの融資を仰がないといけなくなって返済資金も確保しなければなりません。

滞留期間を短縮する方法として、棚卸を進めましょう。
そのためには在庫管理システムの導入を検討するといいでしょう。
初期費用は掛かりますが、今後資金繰りが効率化できれば結局自分たちにとってプラスになるでしょう。

売掛債権の早期回収

売掛債権を現金化するまでの期間が長くなれば、手持ち資金が少なくなって資金繰りは悪化していきます。
売掛債権の回収漏れを防ぎ、迅速に回収することでも資金繰りは改善していきます。

そのためにまず検討してほしいのは、売掛金台帳を作成することです。
いつ売掛金が発生し、回収予定がいつなのかのスケジュール管理をしましょう。
そして回収漏れはないか定期的に確認することで、本来入ってくるべき売掛金を回収し忘れるようなこともなくなります。

もし売掛金の支払いが遅れているようであれば、迅速に入金するように催促することも大事です。
入金滞納が見つかれば、取引先に連絡しましょう。
相手を非難するのではなく、入金が遅れている理由といつ入金できるのかを確認してください。

まとめ:必要に応じてビジネスローンの借り換えを利用しよう

最短即日融資など、ビジネスローンは急な出費の時などに重宝するサービスです。
しかし金利が高めなので、返済が厳しくなっている法人もあるかもしれません。

そんな時におすすめなのが、借り換えです。
銀行融資などのビジネスローンよりも低金利の商品に借り換えすることで、返済負担を軽減できます。

借り換えは資金繰りを好転するための対処法の一つです。
資金繰り改善の方策はここで紹介したように、他にもいろいろなアプローチがあります。
できる対策を講じて、無理のない資金繰りができるように改善すべきところは改善してください。