事業資金調達を考えると、どこかで必ず「ノンバンク」という言葉が登場します。
ところでノンバンクとは何でしょう?
わかっているようで意外と答えづらいのが「知識、常識」というものですが、そこでこの記事でノンバンクの定義や銀行事業資金融資との比較を加えてわかりやすく解説します。

「ノンバンクってなに?」
今さら聞けない基本のお話なので、事業資金融資を検討している人は参考にしてください。

ノンバンクとは?〜ノンバンクの意味と特徴

まずノンバンクの意味と、特徴から説明することにします。

<h3>ノンバンクとは?</h3>
ノンバンクとは、銀行のように預金を持たず融資(融資のことを「与信業務」などとも呼びます)する会社の総称です。
ビジネスローンなどの事業資金や、個人のカードローン・キャッシングなど「借金」を扱うことから、広い意味で金融機関とも言えますが、いわゆる銀行と区別するため「ノンバンク:Non・Bank⇒銀行じゃない)」と表現しています。
また対象となる法律でいうと、ノンバンクは「貸金業法」で規制される「貸金業者」となり、いっぽう銀行は「銀行法」信用金庫は「信用金庫法」でそれぞれ規制されるといった具合です。

<h3>3種のノンバンクがある</h3>
一言でノンバンクと言いますが、ノンバンクでも取り扱う業務などで、大きく以下の3つの種類に分けられます。

<ノンバンクの種類>
クレジットカード
信販会社
消費者金融

ノンバンク1.クレジットカード

クレジットカード(クレカ)を扱うクレジットカード会社は、クレジットカードでキャッシングやカードローンを扱う貸金業者でノンバンクとなります。
大手では「三菱UFJニコス」「三井住友カード」「JCB」「クレディセゾン」(*法人格は省略)などがあります。
ちなみに「VISA(ビザ)」「Mastercard(マスターカード)」はクレジットカードの世界基準ブランド名で、言ってみればクレジットカードの「流派」(華道や茶道の「〇〇流」)とイメージすればわかりやすいと思います。

ノンバンク2.信販会社

信販会社は「割賦販売(かっぷはんばい)」つまり商品を購入して代金の分割払いを取り扱う会社です。
(例・携帯電話の機種代金分割払いも割賦販売)
信販会社もカードローンなどを扱うのでノンバンクに含まれています。
大手は「ジャックス」「オリエントコーポレーション(オリコ)」「セディナ」 などです。

ノンバンク3.消費者金融

個人向けのカードローンや事業資金融資のビジネスローンを取り扱う金融専門の会社で、以前は「サラ金」などと呼ばれていた時期もありますが、現在は大手銀行傘下になり(詳細は後述)テレビコマーシャルなどで知名度やイメージも向上しています。
「アコム」「アイフル」「プロミス」「レイク」「SMBCモビット」の大手5社があげられます。

【参考】貸金業者について

貸金業者という言葉が登場しましたが、これは個人が過大な借金を背負わないように事業者も規制するという観点の「貸金業法」という法律で規制される業者のことで、都道府県知事などに登録を申請し許可を得たのが正規の貸金業者で、いっぽうそうした登録を受けていないのが属に「闇金、街金」と呼ばれるものとなり、当然ながら無許可なので利息が法外だったり、取り立てが厳しすぎたりといった問題がありますので注意が必要です。

【参考①】
日本貸金業協会/貸金業法について
https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/
金融庁/貸金業者登録一覧
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasi.pdf

ノンバンクと金融機関の相関関係

実は、ノンバンクは銀行などの系列会社であるなど、かなり密接な関係があります。
というのも、カードローンやビジネスローンなど融資の資金源は銀行などから調達する必要があるからです。
そのため銀行側も、ノンバンクを傘下にしたり、提携したりしているのです。
そこで、大手のノンバンクと銀行の相関関係をまとめてみました。
やはり銀行との結びつきが強いことがわかります。

<ノンバンク大手と金融機関の相関関係)>(関係性は筆者調べによる)
【クレジットカード】
三菱UFJニコス:<銀行HD>MUFG(三菱UFJホールディングスグループ)内企業の意味 以下<銀行HD>
三井住友カード:<銀行HD>三井住友フィナンシャルグループ
JCB:独立企業
クレディセゾン:独立起業(前身は西武グループ企業)

【信販会社】
ジャックス:独立企業だが三菱UFJ銀行の持分法適用会社で関係性は強い
オリエントコーポレーション:独立企業だがみずほフィナンシャルグループの持分法適用会社で関係性は強い
セディナ:<銀行HD>三井住友フィナンシャルグループ
「セディナ」はブランド名で社名はSMBCファイナンスサービス㈱

【消費者金融大手】
アコム:<銀行HD>MUFG
アイフル:独立企業
プロミス:<銀行HD>三井住友フィナンシャルグループ
レイク:<銀行HD>SBIホールディングス
SMBCモビット:<銀行HD>三井住友ファイナンスグループ
「SMBCモビット」はブランド名で社名は三井住友カード

ノンバンクとは?〜ノンバンクと銀行の比較

ここからはノンバンクと銀行(信金・信組を含む)の違いをいくつか比較して説明します。

審査

ノンバンクは何と言ってもスピードが売りなので「最短で即日融資」などその速さをアピールしています。
いっぽう銀行では、比較的スピード審査が可能な小口ビジネスローンでも数日〜1週間程度は審査の時間が必要です。
これはノンバンクがスピード審査・スピード融資を実現するために、融資審査や契約の体制を整えているのが原因で、決してノンバンクの審査が緩いということではありません。
「審査が甘い〇〇」とか「審査なしで借りれるカードローン」といった見出しをネット記事で見かけることがありますが、ノンバンクが早いからといって審査自体は銀行もノンバンクも大きく違いはなく、ただ重視するところやプロセスなどが違うだけなのです。
最近では銀行系のカードローンやビジネスローンでもスピード審査回答、スピード融資が可能なものもありますので、審査のスピードに関しては、今後差が縮まってくるのではないか?と銀行員は考えています。
そして審査の厳しさについても、現在はやはり銀行のほうがどうしても審査は厳しいところがありますが、今後は銀行の審査も柔軟化・簡素化が進むと思われます。

金利

スピード、柔軟な審査と引き換え、というわけではありませんが、金利はノンバンクのほうが高めになっています。

<ノンバンクと銀行・金利の比較>(金利は各融資の最高水準・筆者調べによる)
【事業資金ビジネスローン】
ノンバンク:最高年18.0% 銀行:最高年15.0%
【個人カードローン】
ノンバンク:最高18.0% 銀行:最高18.0%

相関関係の項で触れましたが、ノンバンクと銀行は関係性が強く、両者の垣根も分かりにくくなっているのが現状です。
金利についてはほぼ同水準で、若干銀行系が低めにはなっているようです。

ノンバンクとは?のまとめ

今回はノンバンクの意味や特徴を説明し、銀行との比較も解説してきました。
事業資金融資を検討しているなら、両者の違いや特徴をつかみ、自分にあった相手を選ぶ事が重要になります。
この記事がそうした選択の参考になれば幸いです。