長野でビジネスローンを利用するために、何から始めてどうすればいいのか?
長野県で自社に最適なビジネスローンを見つけるためには、まず、長野県の経済が置かれている現状を掴み、そこから自社が利用可能なビジネスローンを探しはじめるのがベストな道筋です。そこで今回は、長野県経済の解説から、長野県で利用できるビジネスローンを金融機関別に、またビジネスローンの種類ごとに銀行員が融資を審査する視点で紹介していきますので、長野でビジネスローンによる資金調達を考えるときにはぜひ参考にして下さい。

ビジネスローンを長野で利用するベストな方法を探る〜1.長野県経済の現況は?

長野県でビジネスローンを検討するときには、まず長野県の経済状態を掴むことが必要です。それはなぜかと言えば、自社の基盤がある長野県経済の先行きは、長野でビジネスローンを扱っている金融機関の融資姿勢や、ビジネスローンの商品性、取り扱い条件にも影響してくるからです。

長野県経済の現況

少し古い各種統計資料を含みますが、長野県の置かれている現況をまとめてみました。

● 【地理的要因】
長野県は周囲を高い山々に囲まれた山間地で、面積は全国第4位
南北に長く、北信(善光寺平)、東信(佐久平)、中信(松本平、諏訪盆地)、南信(伊那谷)と呼ばれる地域に分かれる
各地域がそれぞれ特色ある文化、経済圏を形成してきたが、全般的に「ものづくりの県」と言われる

● 【地域の特色、産業構造】
長野県は多種多様な産業、特に機械・電気・食品など製造業が近隣地域を牽引している
また農業、中でも果樹はブランド作物などの高い市場性と生産量を誇る
自然に恵まれた観光でも善光寺をはじめとした歴史的遺産や温泉、国立公園など豊かな資源に恵まれている
産業構造では、製造業など第2次産業の長野県全体における構成比は32%で、全国平均値を上回っている
観光など第3次産業の構成比は70%と高位である反面、農業など第1次産業は2%と構成比は低いが、それでも全国平均比2倍の水準で、農業も盛んな県といえる

● 【人口】
人口は214万人(2012年水準)で全国の1.7%を占める
人口では全国で16番目に位置しており、同規模の県は、宮城県や岐阜県である

● 【経済規模】
長野県の経済規模としては、県内総生産は2000年度に8兆9,007億円とピークを記録したあと減少に転じ、2009年度は7兆9,185億円とピーク時より低迷
全国平均に対しシェアは約1.7%で、全国15位の水準
1人当たりの県内総生産(GPP)は2009年度・長野県は約367万円と全国平均約372万円よりやや低い水準
県経済の所得水準を表す、1人当たり県民所得では2009年度・約270万円(全国で14位)で全国平均:約279万円を下回る
家計の所得水準を表す月額賃金(残業代抜きの基本給)を表す所定内給与額は、2011年6月分・273,600円で、全国平均の296,800円をやや下回る(全国20位)

● 【産業別の業況】
業種別の状況を見ると、製造業では自動車関連の回復がみられる反面、中国経済の減速を朱印とし、長野の強みである電機・電子製品の受注・生産も弱含みが続き、製造業全体では連続して前期比マイナスとなっている
建設業や卸売業も、厳しい受注状況が続き前期比マイナスとなったいっぽう、小売業、飲食業、宿泊業はコロナ禍からの脱却が見られ、プラス傾向となり非製造業全体では2期連続して前期比プラスで推移
雇用情勢としては、令和4年11月の有効求人倍率は 1.61倍(前月比プラスで全国の 1.35 倍) 新規求人倍率でも2.88倍(前月比2倍、全国比も2倍)の好循環が続く)

新幹線や道路網の延伸などで首都圏・北陸圏との近接性が高まる点が地域経済に寄与している反面、紛争をはじめとした国際政情の不安定からくる、原油等のエネルギーや、原材料価格の高騰により、依然として厳しい状況が続いているのが長野県経済の現況です。
では、続いてこうした特徴を踏まえ、銀行員目線でビジネスローンを紹介します。

ビジネスローンを長野で利用するベストな方法を探る〜2.長野でビジネスローンを扱っている金融機関や事業者

次は、長野でビジネスローンをあつかっている金融機関と事業者について解説します。
なおビジネスローンは一般的にノンバンクの事業資金融資を指しますが、金融機関でも同様なビジネスローンの取り扱いもあり、また事業資金が調達できるという点で、いわゆるビジネスローン以外の融資商品も広義のビジローンであるとして、事業資金調達手段に使える融資商品も合わせて紹介していきます。

長野のビジネスローン1.金融機関

長野に営業基盤がある金融機関、又は本店や支店がある金融機関の数は以下の通りです。(筆者調べ)
<長野の金融機関>
● メガバンク:4(みずほ・三菱UFJ・三井住友及び、りそな銀行)
● 地方銀行:2(第一地銀・1、第二地銀・1)
● 信金・信組:7(信金・6、信組・1)
(*JA・ろうきん等は業種や労働者限定なので今回は含まず)
地元の金融機関は多くありませんが、首都圏や近畿圏などを除けば全国平均的な数です。とはいえ選択肢は限られるので、金融機関とビジネスローンの選択が重要です、
ではまず、金融機関でビジネスローンと称する融資商品の概要を説明します。(公式HP等より筆者調べ)

<長野・金融機関のビジネスローン>(地元金融機関のケース)
【①銀行・ビジネスローン・証書貸付タイプ】
● 利用対象者:金融機関営業区域内で事業を営む個人事業主、法人
● 業歴:業歴1年以上、最低1期の決算書または申告書の提出が必須
● 資金使途:運転資金、設備資金
● 融資限度:100万円以上1千万円以内
● 融資期間:運転資金5年、設備資金7年以内(据置6ヶ月)
● 返済方法:元金均等返済
● 信用保証:長野県信用保証協会の保証が必要(別途保証料が費用として発生する)
● 借入利率:変動金利・審査内容等により決定
● 保証人 :原則不要(法人で代表者が保証人となる場合も)
● 担保:原則不要

【②銀行・ビジネスローン・証書貸付タイプ】
● 利用対象者:金融機関営業区域内で事業を営む個人事業主、法人
● 業歴:(記載なし)
● 資金使途:運転資金
● 融資限度:10万円以上500万円以内
● 融資期間:1ヶ月以上12ヶ月以内
● 返済方法:元金均等返済または期限一括返済
● 信用保証:不要(銀行のプロパー融資)
● 借入利率:年1.0%〜14.0%・変動金利・審査内容等により決定
● 保証人 :原則不要(法人で代表者が保証人となる場合も)
● 担保:原則不要

【③信用金庫・ビジネスローン・カードローンタイプ】
● 利用対象者:金融機関営業区域内で事業を営む個人事業主、法人
● 業歴:(記載なし)
● 資金使途:運転資金、設備資金
● 融資限度:100万円以上2千万円以内
● 融資期間:1年または2年(継続審査通過で再延長)
● 返済方法:随時返済(利用残高に応じ毎月利息を支払う、元金返済は自由)または定額返済(例・毎月元金1万円ずつ定額返済など)の選択が可能
● 信用保証:長野県信用保証協会の保証が必要(別途保証料が費用として発生する)
● 借入利率:変動金利・審査内容等により決定
● 保証人 :個人は原則不要、法人は代表者の保証人が必須
● 担保:原則不要

長野県の金融機関では、ビジネスローンで信用保証協会の保証が必要なものが主流のようです。また金利についても「◯%から」などの目安となる水準が明かされていないところがあるので、利用を検討する際には他の条件とあわせて確認する必要があります。
いっぽうで、一般的な金融機関の事業資金融資に比べると審査や融資実行までのスピードは早く、また手続きも簡素になっているので、利用しやすさがあるところが魅力になっています。(ただし、信用保証協会の申請から承認まで時間を要する場合もありえますので、必ずしもスピーディーだとは言えないとも銀行員の私は考えます)

長野のビジネスローン2.消費者金融大手

長野県で利用可能な、消費者金融大手の内容です。

【①・消費者金融大手A・ビジネスローン・カードローンタイプ】
● 利用対象者:個人事業主(法人は対象外)
● 業歴:業歴1年以上(最低1期の申告書が必要)
● 資金使途:自由(事業資金以外にも利用可能)
● 融資限度:1万円以上300万円以内
● 融資期間:分割・最長89回まで
● 返済方法:定率リボルビング方式(*)
● 信用保証:不要
● 借入利率:変動金利・年12.0%〜年18.0%審査内容等により決定
● 保証人 :原則不要
● 担保:原則不要
(*消費者金融の返済方法は数多くあり、イメージとしては残高に応じ分割返済額と金利が段階的に増えるものが主流です。具体的な内容はご自身で確認してください。)

【②・消費者金融大手B・ビジネスローン・証書貸付タイプ】
● 利用対象者:個人事業主、法人
● 業歴:記載なし
● 資金使途:事業資金
● 融資限度:1万円以上500万円以内
● 融資期間:分割・最長120回まで
● 返済方法:借入後残高スライド元利定額リボルビング返済方式
● 信用保証:不要
● 借入利率:変動金利・年3.0%〜年18.0%審査内容等により決定
● 保証人 :個人は原則不要、法人は代表者の保証人が必須
● 担保:原則不要
【③・消費者金融大手C・ビジネスローン・証書貸付タイプ】
● 利用対象者:個人事業主(法人は対象外)
● 業歴:記載なし
● 資金使途:事業資金
● 融資限度:1万円以上500万円以内
● 融資期間:分割・最長120回まで
● 返済方法:残高スライドリボルビング方式
● 信用保証:不要
● 借入利率:変動金利・年4.5%〜年18.0%審査内容等により決定
● 保証人 :原則不要
● 担保:原則不要

消費者金融大手は、どれも条件や内容が同じようで、微妙に異なる部分もあります。利用できるのが個人のみ、といったところがあるのも、従来は個人の会社員向けの消費性資金のカードローンやキャッシングなど、あくまで個人向け融資が中心だからです。
また借入金利の幅も多少違いますが、実際には申し込んで審査に通った後に決まるものなので、下限が低いからと言ってその会社が有利とは言えません。

長野のビジネスローン3.中小貸金業

長野県知事登録の貸金業者は5社(筆者調べ)ですが、ホームページ等で調べた結果、ビジネスローンや事業資金融資をあつかっているものは見つけられませんでした。
なお、貸金業者は長野県内のみで貸金業を営んでいる場合は県知事の登録、全国規模の大手や、2つ以上の県をまたいでしている場合には、財務省財務局の登録が必要です。したがって、これら県知事や財務省財務局登録がない貸金業者は非正規の業者、つまりいわゆる「闇金、街金」の可能性がありますので注意してください。

長野のビジネスローン4.制度融資

次は長野県で利用できる制度融資(国や県などがサポートする融資で、低利かつ固定金利で借り入れできるなど有利な条件で事業資金調達ができる融資の総称
【中小企業振興資金(一般枠)】長野県制度融資
● 利用対象者:経営の安定又は合理化のために資金が必要な個人事業主、法人
● 業歴:業歴1年以上、最低1期の決算書または申告書の提出が必須
● 資金使途:運転資金、設備資金
● 融資限度:運転資金5千万円以内、設備資金1億円以内
● 融資期間:運転資金7年、設備資金10年以内(据置1年以内)
● 返済方法:元金均等返済
● 信用保証:長野県信用保証協会の保証が必要(保証料融資額に対し2.20%以内)
● 借入利率:固定金利・年2.10%
● 保証人 :原則不要(法人で代表者が保証人となる場合も)
● 担保:原則不要(業況や借入額によっては必要になる場合もある)

【経営健全化支援資金(物価高対策)】長野県制度融資(*令和5年12月受付開始予定)
● 利用対象者:急激な物価高の影響を受け、売上が前年比減少している個人事業主、法人(売上減少率などの要件あり)
● 業歴:明記なし(ただし、対象は事業を継続している事業者に限定されている)
● 資金使途:運転資金、設備資金
● 融資限度:運転資金8千万円以内、設備資金6千万円以内
● 融資期間:運転資金7年、設備資金10年以内(据置2年以内)
● 返済方法:元金均等返済
● 信用保証:長野県信用保証協会の保証が必要(県・市町村の補助があり、保証料の自己負担は0.44%以内)
● 借入利率:固定金利・年1.20%
● 保証人 :原則不要、法人は代表者の保証人が必要
● 担保:原則不要(業況や借入額によっては必要になる場合もある)

【小規模企業発展資金】長野県制度融資
● 利用対象者:「小規模企業者」従業員20人以下(商業・サービス業は5人以下)の個人事業主、法人
● 業歴:業歴1年以上、最低1期の決算書または申告書の提出が必須
● 資金使途:運転資金、設備資金
● 融資限度:運転資金、設備資金合計で2千万円以内
● 融資期間:運転資金7年(据置6ヶ月以内)、設備資金10年以内(据置1年以内)
● 返済方法:元金均等返済
● 信用保証:長野県信用保証協会の保証が必要(保証料融資額に対し2.20%以内)
● 借入利率:固定金利・年1.90%
● 保証人 :原則不要(法人で代表者が保証人となる場合も)
● 担保:不要

低利かつ固定金利で、また元金返済に据置期間があるなど、利用者に優しい制度設計になっています。また信用保証協会保証は必要なのですが、ここでも補助があり信用保証料の自己負担が軽減されるなどのメリットがあります。

ビジネスローンを長野で利用するベストな方法を探る~まとめ

他の地域と同じように、コロナ禍からの脱却をしつつある状況のいっぽう、国際政情が不安定なことによるエネルギー・物価高等の影響で、長野県経済の先行きも、まだまだ予断を許さない状況が続いています。
しかしながら、そうした将来が不透明な時期だからこそ、事業資金調達について知識を備え、自社に適した事業資金調達方法を見つけることが重要になってきます。
この記事が参考になれば幸いです。