ビジネスローンに似た言葉にカードローンがあります。どちらも「ローン」とついているため違いが分かりにくいです。また両社ともカード式でATMで簡単に引き出せる点では同じです。しかし、両者には明らかな違いがあります。今回はビジネスローンとカードローンの特徴を確認しながら両者の違いを明確にし、資金調達の場面ごとに最適なローンがどちらかなどを解説していきましょう。
目次
ビジネスローンとカードローンは似て非なるもの
ビジネスローンとカードローンはどちらもカード式で、ATMで繰り返し融資が受けられるため見た目は非常に似ています。しかし、実際には似て非なるものなので注意しましょう。大きな違いは資金調達の目的で、ビジネスローンはビジネス(事業)用ですが、カードローンは消費者向けのローンのため、原則事業用には使えない金融商品です。
ビジネスローンとは
ビジネスローンは事業用のカードローンという言葉がもっとも近いです。カードローンよりもどちらかと言えば銀行などの事業融資に近いもので、以下に特徴を紹介します。
1.一般的な事業融資よりも心理的なハードルが低いローン
2.事業融資よりも金利が高め
3.融資速度が速い
4.あくまでビジネス用途として使える
5.借入限度額は最大3000万円程度
6.担保が必要な商品もある
以下、詳しくみていきましょう。
1.一般的な事業融資よりも心理的なハードルが低いローン
ビジネスローンは、銀行の事業融資よりも借りやすいローンです。カードローンと間違えるほど気軽な印象を出しているので、心理的なハードルが低いローンと言えます。
2.事業融資よりも金利が高め
銀行の事業融資とビジネスローンを比べると、ビジネスローンのほうが金利が高めです。その代わり銀行の融資よりは審査に対して少し柔軟性があります。
3.融資速度が早い
ビジネスローンは融資の速度が、事業融資などよりも早く、仮審査であれば即日に結果が出て、2・3日以内に本審査の結果が出るため申し込んでからの資金調達が早いです。そのためカードローンとの区別がつきにくくなっています。
4.あくまでビジネス用途として使える
ビジネスローンは名前の通り、ビジネス用途として使うものです。つまり事業資金用の融資となっているので、事業資金以外で使うことは禁じられています。
5.借入限度額は最大3000万円程度
ビジネスローンはカードローンと比べて借入限度額が高めに設定されています。商品によって違いはありますが、事業用資金ということでおおむね3000万程度までの融資に対応します。カードローンは高くても1000万未満であることが一般的です。
6.担保が必要な商品もある
ビジネスローンは商品によっては不動産などの担保を必要としている場合があります。担保があるほうが金利が安くなる可能性があります。
カードローンとは
ビジネスローンに対してカードローンの特徴をいくつか確認しましょう。
1.一般消費者向けのローンで金利が高い
2.融資速度が早い
3.用途が自由
4.無担保無保証が原則
以上4点について、以下詳しくみていきます。
1.一般消費者向けのローンで金利が高い
カードローンは、一般消費者向けのローンの総称です。かつてはサラリーマン金融などと呼ばれていて、ノンバンク系のカードローンが多いです。金利は法律で定められた利息最大のところが多く金利が高いのが特徴です。
2.融資速度が早い
カードローンは融資速度が非常に早いです。最近の物はパソコンやスマホからの申し込みで1時間以内に結果が出て、即日融資が増えて来ています。そのため急な出費で困った時にとても重宝します。
3.用途が自由
ビジネスローンのように事業目的ではなく、目的が特に決まっていないのがカードローンの特徴です。そのため、消費者の私的利用として旅行などで使われることが多いです。逆にカードローンは事業資金での利用は禁止されています。
4.無担保無保証が原則
カードローンは、原則無担保無保証です。そのため安定収入があってブラック(信用情報)に問題がなければ融資を受けられますが、カードローンには年収の3分の1以下などの総量規制があります。
ビジネスローンとカードローンの違いとは
ビジネスローンとカードローンは目的からして違いますが、その他にも細かい違いがいくつかあります。
1.借りたお金の利用目的が違う
2.審査内容が違う
3.金利が違う
4.限度額が違う
5.総量規制の有無が違う
以下、詳しく確認してみましょう。
1.借りたお金の利用目的が違う
最大の理由は利用目的です。ビジネスローンはあくまで事業資金用でのみ使用できるのに対して、カードローンは自由に利用ができます。
2.審査内容が違う
審査内容もビジネスローンは事業の可能性などを審査するため少し厳しめですが、カードローンは安定した収入があるなど大きな問題がない限り審査が通りやすいとされます。
3.金利が違う
金利面でも両社が微妙に違います。金融商品によって異なりますが、カードローンの利息は、もっとも低くても数パーセントの利息が発生しますが、ビジネスローンの場合は2%を切る利息の商品があります。利息の上限については、ビジネスローンでも法的な利息ぎりぎりの18%のものがあります。
4.限度額が違う
借入限度額が違います。カードローンは最も高い場合でも800万円程度が最大の借入限度額ですが、ビジネスローンの場合は通常でも数千万の借入限度額が設定されています。
5.総量規制の有無が違う
ビジネスローンは、総量規制の対象外となっているのに対して、カードローンは総量規制の対象となっており、年収の3分の1以下までしか借りられません。
ビジネスローンとカードローンを使い分けるコツ
事業を営む場合、資金調達にはビジネスローンが最適ですが、状況によってはカードローンやそれ以外の資金調達を用いる場合が有利なことがあります。
1.事業拡大などで長期的な計画がある場合
2.事業資金が少し足りない場合
3.創業1年未満の場合
4.業績が良く担保なども充実している場合
5.赤字で目先の資金が必要な場合
以上、5点について詳しくみていきましょう。
1.事業拡大などで長期的な計画がある場合
事業を拡大するために大きな資金が必要で、長期的な計画で資金を回収して返済することを考えている場合は、ビジネスローンが最適です。借入限度額が高く、総量規制の対象外、そして担保を付けるなど条件が整えば低い金利での融資が受けられます。
2.事業資金が少し足りない場合
事業拡大ではなく目先の現金が少し足りないといった場合であれば、カードローンが利用できます。ただ金利が高いのと、原則的にビジネス用途では使えないので、個人利用で一時的に資金を流用する場合に使うイメージになるので、余り高い金額の融資は受けないほうが良いです。
3.創業1年未満の場合
創業1年未満の場合は、原則としてビジネスローンは難しいです。ビジネスローンは2年目以降で前年度の事業の成績が審査対象になるため、1年未満では審査の材料が足りないからです。その為カードローンの利用になりますが、カードローンは事業資金は原則使えない、金利が高めという理由があるので、日本政策金融公庫などの政府系の金融機関の融資制度や補助金、助成金で該当するものがないか調べて資金調達を試みる方法があります。
4.業績が良く担保なども充実している場合
既に事業を何年も続けていて業績が黒字続きで成長を続けていて、かつ不動産担保も所有している場合は、ビジネスローンでの審査は通りやすいと考えられます。しかし、ビジネスローンよりもさらに金利の低い銀行融資でも審査に通る場合があるので、銀行融資を申し込んでみる事も検討できます。
5.赤字で目先の資金が必要な場合
赤字の場合はビジネスローンは難しいと考えるべきでしょう。カードローンとなりますが、事業資金用途は原則禁止されているのと金利が高く、一時的に資金が手に入っても後々厳しくなる恐れがあります。この場合売掛債権を持っているのなら、手数料を引いた額を現金化できるファクタリングを資金調達手段として用いる事も検討しましょう。
ビジネスローンとカードローンの違いのまとめ
ビジネスローンとカードローンはネーミングが似ていることもあり、同じようなものだと錯覚しがちですが、明らかに別の金融商品です。事業資金が目的であるビジネスローンは、審査が厳しめですが、総量規制の対象外で融資限度額も高いので、事業拡大の融資には最適です。一方カードローンは消費者用のローンで使途は自由ですが金利は高め、ビジネス利用は原則できないので両者の違いを理解して最適な資金調達を行いましょう。