今回は、ビジネスローンの平均利息についてわかりやすく解説します。

1.ビジネスローン・各社の利息平均値を知る

まず、ビジネスローンの平均利息を考えてみましょう。

平均利息は極秘事項?

実際には、ビジネスローンを利用している顧客の平均利息などのデータは外部に公開されていません。これはなぜかと言うと、仮にビジネスローンで利息の平均値を公表したなら、自社に適用された利息が平均値より高いと不満やトラブルの元になるからです。また消費者金融などのノンバンクや、銀行などの金融機関の融資は、顧客の支払う利息を利益(儲け)としているので、その儲けの内容は公表できないわけです。

平均利息は投資家向けには公表している

しかし一方で、消費者金融も営利会社として投資家から株式の購入などの投資を求めているので、そうした投資家向けの資料には「貸付金平均利息」などの数値が公開されています。つまり「我が社はこれだけ金利で儲けています(だから投資して!)」というデータになります。

ビジネスローンの平均利息

こうした点から、公表されている資料をもとに、ビジネスローンの平均利息を推定してみました。
(*以下、この記事で使用するビジネスローン平均利息などの数値は、筆者調べにより筆者が推定したものであり、公開されている情報ではありませんので、あくまで参考ととらえてください)

<ビジネスローンの平均利息>( )内は融資利息の分布
1. 消費者金大手A:平均利息15.7% 
(15%以上18%まで・70% 10%以上15%未満・20% 10%未満・10%)

2. 消費者金大手B:平均利息:13.0%
(15%以上18%まで・70% 15%未満・30%)

3. 消費者金大手C:9.7% 
(15%以上18%まで・40% 15%未満・60%)

(*消費者金融大手の公開決算データ等で筆者調べ・試算による)

筆者による推定では、消費者金融大手3社のビジネスローン平均利息からさらに平均値を見ると、ビジネスローンの平均利息は年12.8%程度と考えられる、と言えます。
ちなみに貸金業法で定められた、ビジネスローンなど融資の上限利息は年18.0%から20.0%のあいだなので、平均値も上限利息を超えていないことが分かります。また消費者金融大手のあいだで平均利息が異なるのは、開示されている平均利息には個人のカードローンなども含まれ、また数値の基準値も異なるからで、決して金利が低いところばかりではありません。消費者金融業界も競争社会なので、上記したビジネスローンの平均利息はほぼ同水準と考えられます。

2.利息を決める要素

ここまで説明した通り、平均利息は公開されていませんが、ある程度の目安として掴むことはできます。では、そもそも融資利息はどうやって決まるのでしょうか?
自社の融資利息が他社と比べて高いのはなぜか?平均値との比較ではどうなのか?といった点を考えるには、まず利息が決定される基準や根拠、利息に左右する要素を知っておくことも重要です。
金融機関でも消費者金融などのノンバンクでも、融資したお金は当然ですがしっかり最後まで返済してもらわなければいけません。なぜなら、金融機関では顧客から預けられている預金をもとに融資をして、融資利息を加えて返済してもらい、預金には利息を付けて満期に返すというサイクルになっています。こうしたサイクルのことを「金融の仲介機能」と呼び、ここから銀行などを「金融機関」と表現しているのです。
一方、消費者金融などは預金を集めるのではなく、金融機関から借りて調達(このため消費者金融大手などは銀行系列になっている会社が多い)した資金をもとにビジネスローンなどを融資しています。(金融仲介機能がない⇒銀行ではない⇒「Nonn・Bank ノンバンク」)
前置きが長くなりましたが、銀行は顧客から預金として、そしてノンバンクは金融機関から調達して、つまり「他から借りたお金をビジネスローンとして貸しているので、返してもらわないと、自分も返せない」という理屈なのです。返してもらえなくなった融資金が、つまり「不良債権」になるので、融資したビジネスローンを不良債権にしないために、審査で様々な点をチェックし、「返してもらえない確率」(「貸倒リスク、デフォルトリスク」などと呼ぶ)が高いほど、ビジネスローンの利息も高くなるのです。
では、利息を決定づける要素をいくつか見ていきましょう。

1.決算内容〜返せるのか?

こちらは融資したお金の返済確実性、つまり「返せるのか?」という要素のことです。例えば個人カードローンや住宅ローンは、借りる人の給料年収をもとに返済比率(年収の30%以内が理想とされている)を計算し、返せそうもない人は審査落ちになります。ビジネスローンもこれと同じで、個人の年収が会社・個人事業主では「利益(個人なら「所得」)」となります。つまり赤字なら手元にお金がないので、ビジネスローンを借りても返すお金がないということになるのです。しかし、会社や個人事業主も経費計上するお金を考えると、赤字だからお金がないというケースばかりではないのです。しかし黒字より赤字のほうが、お金を貸す側から見ればリスクは高くなるので、融資利息も高くなることになるわけです。

2.保全〜返せなくても融資金を「回収」できるか?

ビジネスローンは原則として保証人が不要(会社で代表者が保証人になるケースがあります)で、また不動産などの担保も不要です。
そのため、こうした保証人なし・無担保の融資では、返済ができなくなっても、保証人に返済を要求したり、担保を売却して融資金を回収したりは当然ながらできません。(ちなみにこうした保証人なし・無担保の融資を銀行の隠語で「丸裸(まるはだか)」などと呼ぶことがあります)
こうした点から、もともとビジネスローンの融資利息は高めに基本設計されているのです。
しかし、保証人なしといっても、融資されたお金は返さなければいけないので、たとえば保証人ではなくても社長なら、自分の不動産や預貯金を処分して返済することになります。そのため、ビジネスローンの申込では所有する預貯金などの金融資産や不動産を記載するのが普通です。そして審査では、所有不動産の登記内容を閲覧するなど、資金化した場合の値踏みをしておきます。このように、担保にはなっていないので強制的に換金できないとしても、その会社がいざというとき融資返済に充てられそうな資産のことを、銀行などでは「保全(足りないものを補って完全にするといった意味)」と呼んでいます。そして、ビジネスローンや事業資金融資で利息を左右する要素の1つに保全があり、当然ながら価値の高い不動産など(ただし先に担保設定があればそれを差し引いて)を持っている方が審査と、利息面では有利になります。

3.信用〜そもそも貸して良い相手なのか?

貸しても良いのか?といっても、反社会的勢力に属しているのは問題外で、これは審査をする以前の問題となります。それ以外でも個人信用情報に問題がある(返済の長期滞納など個人信用情報に異動の記録がある、いわゆる「ブラック先」)場合には、融資をしても良いのか?慎重に判断します。ブラック先だから、すべて審査落ちになるわけではありませんが、ビジネスローンを融資する側からすれば、リスクは高くなります。そのため、審査の結果融資はできることになったとしても、リスクを考えたうえで利息が高めになる可能性はあります。

ビジネスローンの平均利息とは?〜まとめ

今回は、ビジネスローンの平均利息について解説してきました。大事なことは、平均がどうとか、その平均と比べて自分は上か下か?ということではありません。平均利息を一つの目安として、それより高ければ自社の経営を見直すなど前向きにとらえることが重要だと、銀行員の私は考えます。そのために、この記事が参考になれば幸いです。