今回は、利息制限法とビジネスローンの関係について、よく知られていること、他のネット記事でも書かれていることに加えて、もう一歩深堀りをして銀行員が解説します。

利息制限法とビジネスローンの関係1.ビジネスローンの利息が利息制限法の範囲内か?

ビジネスローンの利息が、本当に利息制限法の範囲を超えていないか?モデルケースで検証しましましょう

上限利息

利息制限法の上限利息を、ここで再確認しておきましょう。 

 <利息制限法の上限利息>
・元本が10万円未満⇒上限利息は年20%
・元本が10万円以上100万円未満⇒上限利息は年18%
・元本が100万円以上⇒ 年15%

この、利息制限法の上限利息を前提として、ビジネスローンの利息例を見てみます。

ビジネスローンと上限利息の検証

1.消費者金融のビジネスローン・借入は30万円で利息は年18,0%
⇒◎ 融資元本10万円以上100万円未満の上限利息・年20%より低いので上限利息を超えていない
2.銀行のビジネスローン・借入は1千万円で利息は年16.0%
⇒✕ 融資元本100万円以上の上限利息・年15%より高いので、上限利息を超えている

これはあくまでモデルケースなので、実際はノンバンクも金融機関も上限利息を超えない利息でビジネスローンを融資しています。しかし貸金業者の認可を受けていない事業者(いわゆる「ヤミ金・街金」)や、インターネットで個人同士の融資をやり取りする「個人融資掲示板」などの利息は、そもそも違法なので上限利息などと無関係に、文字通り「法外」な高金利になっていますので、利用しないように注意してください。

みなし利息〜借入利息以外で上限利息の規制対象になるもの、ならないもの

利息制限法では、融資を返済する利息以外に、融資に関連するお金も利息と同様に上限利息の規制対象としています。これらを「みなし利息(利息でないが、利息とみなす)」と呼び、融資の利息にみなし手数料を加えて上限利息を超えないようにする事になっています。ビジネスローンなど融資に関連するお金には、みなし利息として上限利息の計算に含まれるものと、みなし利息にならないものがあり、分類すると以下の通りになります。
 
 <みなし利息になるもの>
・手数料(融資手数料、事務手数料など)
・保証料(信用保証協会や保証会社に支払う保証料、手数料)
・調査費用(不動産を担保にする場合の調査費用など)

 <みなし利息にならないもの>
・ローン専用カードなどの「発行手数料」
・有料の借入明細、残高証明書など文書の「発行手数料」
・返済日に残高不足で引き落としできず、再引き落とし処理の「口座振替手数料 

一般的にビジネスローンでは手数料や保証料は不要となっているので、みなし利息はあくまで知識として覚えておく程度で問題ありません。

遅延損害金

利息制限法では、毎回の返済が滞納したときに加算される遅延損害金(延滞利息、延滞金などとも)についても「遅延している元本の1.46倍まで」と上限が定められています。具体的には、上限利息と遅延損害金の関係は以下のとおりです。

<利息制限法の上限利息と遅延損害金>
・元本が10万円未満⇒上限利息は年20%⇒遅延損害金は年29.2%
・元本が10万円以上100万円未満⇒上限利息は年18%⇒遅延損害金は年26.28%
・元本が100万円以上⇒ 年15%⇒年21.9%⇒遅延損害金は年21.9%

遅延損害金についても、ビジネスローンで上限を超えていないか?いくつかの例で検証してみましょう。
 <金融機関、ノンバンク各社・ビジネスローンの遅延損害金>
・銀行A:遅延損害金は年20.0%
・銀行B:遅延損害金は年14.5%
・信金C:遅延損害金は年18.25%

・消費者金融D:遅延損害金は年20.0%
・消費者金融E:遅延損害金は年20.0%
・消費者金融D:遅延損害金は年20.0%

このように、遅延損害金(融資元本に関係なく一律)は各社とも、利息制限法の上限を超えていないことが分かります。

利息制限法とビジネスローンの関係〜まとめ

今回はビジネスローンと上限利息について、銀行員がわかりやすく解説してきました。
もちろん自社が資金調達するときには少しでも低金利であることが理想なのですが、金融機関でもノンバンクでも、事業資金でビジネスローンを利用する場合には、それを規制する法律と上限利息について、最低限の知識を持つことが大事だと銀行員の私は考えています。ですからこの記事が、みなさんの事業資金調達の参考になれば幸いです。