不動産担保ローンの必要書類を解説します。不動産担保ローンに限らず必要書類は融資を受ける際に用意しなければなりませんが、不動産担保ローンは通常のローンと比べて、提供する担保の情報など必要書類が多くあります。今回は一般的な不動産担保ローンを申し込む際に必要な書類や契約時に必要なものを紹介しましょう。
目次
不動産担保ローンを申込・契約時に必要な書類は多い
無担保無保証人のビジネスローンなどと違い、比較的資産価値が安定している不動産を担保に融資を受ける不動産担保ローンは金利も安く、不動産を所有していれば大いに活用したいですが、不動産担保ローンの場合は担保として提供する不動産の情報など必要書類が多いのが大きな特徴です。
申込書・同意書
不動産担保ローンに限らず、ローンを申し込む際には、申込書と同意書が必要です。申込書は融資を受けたいという申し込みの書類で、同意書とは承諾書ともいわれるもので、相手に対して将来の事実や法律における行為に同意する旨を伝える書類です。
本人(法人の場合は代表者)の確認書類(1点のみでOK)
本人確認書類(法人の場合は代表者)も申し込む時点で必ず必要な書類です。本人確認書類は1点だけで問題ない書類と複数必要な書類に分かれます。
1.住民基本台帳カード
2.運転免許証
3.個人番号カード
4.特別永住者証明書
5.在留カード
6.パスポート
1点だけで問題ない書類は上の6点です。ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
1.住民基本台帳カード
いわゆる住基カードと呼ばれているもので平成28年以降はマイナンバーカードに引き継がれましたので、あまり所持している人は少ないかもしれません。ただ所持している場合は本人確認書類として有効です。
2.運転免許証
自動車などをのる人が所持する必要がある運転免許証も顔写真付きで不動産担保ローンの申込時の本人確認書類として有効です。
3.個人番号カード
いわゆるマイナンバーカードのことで、住民基本カードに代わって登場したものです。個人番号の本人の写真などが乗っており、本人確認書類として有効です。
4.特別永住者証明書
不動産担保ローンは外国人でも利用できます。その際に国内に在住する特別永住者に交付される特別永住者証明書を提示すれば本人確認書類として認められます。
5.在留カード
日本で3か月以上の在留資格を持っている場合に発行される在留カードも本人確認書類として有効です。
6.パスポート
海外渡航に必要なパスポートも不動産担保ローンの本人確認書類として有効です。ただし2020年2月4日以降に発行されたパスポートは住所などの記載箇所がありません。そのためパスポートだけでは本人確認書類にならない場合があります。その場合、補完書類の提出が求められます。
本人(法人の場合は代表者)の確認書類(複数の掲示が必要)
以下の本人確認書類の場合は複数の提示が必要です。
1.健康保険証
2.年金手帳
3.母子健康手帳
4.戸籍附票の写し
5.住民票
6.住民票記載事項証明書
詳しくみていきましょう。
1.健康保険証
健康保険証だけでは本人確認書類では不十分ですが、複数の書類を提示すれば有効です。
2.年金手帳
年金手帳も複数の書類のひとつとして提出を行えば本人確認になります。
3.母子健康手帳
子どもが誕生して小学生に入るころまで有効な母子健康手帳も複数書類を提出すれば本人確認書類として使えます。
4.戸籍附票の写し
戸籍が作られてから現在までの住所が記載されている戸籍附表の写しも複数提出で本人確認書類に利用できます。
5.住民票
住民票も複数提出という条件で本人確認書類になりえます。
6.住民票記載事項証明書
住民票の記載事項の中で住民側から記載して欲しいと要望があった事柄の記載を証明する書類ですが、これも複数提出で本人確認書類として利用できます。
担保となる不動産関連の書類
不動産担保ローンで必要な書類には、担保となる不動産を証明するための書類が必要です。
1.土地・建物の登記事項証明書
2.公図・建物図面
3.地積測量図
4.売買契約書や重要事項説明書
5.名寄台帳もしくは固定資産評価証明書
6.前年度の固定資産税納付を証明
7.評価証明書・公課証明書
上記、7項目について詳しくみていきましょう。
1.土地・建物の登記事項証明書
担保として用意している土地や建物の登記事項が印刷された証明書を提出することで、担保にしようと考えている土地や建物の権利関係などを金融機関に伝えることができます。登記事項証明書は窓口や郵送での請求の他、オンラインでの請求も可能です。
2.公図・建物図面
担保として用意している土地の位置や形状がわかる公図や建物の図面を用意します。公図・建物図面は法務局などの登記所で取得でき、請求方法は窓口、郵送、オンラインから選べます。
3.地積測量図
土地を担保として出す場合、道路や隣接地との境界がわかる地積測量図も用意します。法務局などで取得可能です。
4.売買契約書や重要事項説明書
担保用の土地や建物の所有がわかる売買契約書、管理状況や権利などが記載されている重要事項説明書も用意しなければなりません。
5.名寄台帳もしくは固定資産評価証明書
担保用に取得している土地や建物は通常課税対象です。課税対象になっている物件を所有者ごとに一覧にした書類が名寄台帳です。不動産担保ローンを借りる際には、名寄台帳か固定資産の評価がわかる固定資産評価証明のどちらかが必要です。
6.前年度の固定資産税納付を証明
担保用の固定資産で、前年度に支払った固定資産税の納付証明の書類も必要です。
7.評価証明書・公課証明書
固定資産課税台帳に登録されている固定資産の面積や所在地、評価額を証明する書類である評価証明書や公課証明書も用意しておきます。
収入・納税状況を示す書類
その他に必要な書類は申込者の収入状況や納税状況を示す書類です。担保を提出しているとはいえ、しっかりと融資した金額が、金利をつけて戻ってくるかどうかを金融機関が審査をするために必要です。
1.確定申告書または源泉徴収票(個人)
2.所得税・住民税・固定資産税の納税証明書(個人)
3.決算書(法人)
4.法人税・法人事業税の納税証明書(法人)
5.決算書(2期分など)や事業計画書(法人)
6.商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書(法人)
7.返済計画書
8.借入計画書
個人の場合と法人の場合とでは書類に違いがあります。以下、詳しくみていきましょう。
1.確定申告書または源泉徴収票(個人)
個人の場合は、収入証明として最新年度の確定申告書もしくは源泉徴収票が必要です。
2.所得税・住民税・固定資産税の納税証明書(個人)
収入証明に加えて納税を証明する書類が必要です。所得税や住民税、担保として提出する予定の所有している固定資産税の証明書です。
3.決算書(法人)
法人の場合は前期の決算書が必要です。黒字が望ましいですが不動産担保ローンの場合は、赤字でも応じてくれる金融機関があります。
4.法人税・法人事業税の納税証明書(法人)
黒字の決算が出た場合に、納付が必要な法人税や法人事業税の納税証明書が必要です。
5.決算書(2期分など)や事業計画書(法人)
決算書は金融機関によっては2期分求められる場合があります。これは融資先の企業の成長具合を確認するためで、事業計画書が必要な場合もあります。
6.商業登記簿謄本または履歴事項全部証明書(法人)
法人の場合は、法人の状況がわかる商業登記簿謄本もしくは履歴事項全部証明書が必要です。
7.返済計画書
融資を受けたお金を計画立てて返済をすることを記載した返済計画書が求められます。
8.借入計画書
金融機関が用意している借入申込書に記載して提出する必要があります。
契約時に必要なもの
申込時に提出した書類をもとに審査が行われ、問題がなければ審査が通り契約の段階になります。契約時には申込時とは別の書類などが必要です。
1.実印(法人の場合は会社の印鑑)
2.印鑑証明書
3.登記済権利証、または、登記識別情報通知
4.住民票(同居家族全員の続柄が記載されているもの)
以下、詳しくみていきましょう。
1.実印(法人の場合は会社の印鑑)
個人の場合は実印が必要です。法人の場合は法人の実印と言える会社の印鑑を用意します。
2.印鑑証明書
所持した印鑑が実印であることを示す印鑑証明書も持参します。
3.登記済権利証、または、登記識別情報通知
担保となる土地などの不動産を登記した際に、登記所が登記名義人に交付する権利に関する登記済証となる、登記済権利証もしくは登記識別情報通知を用意します。
4.住民票(同居家族全員の続柄が記載されているもの)
住民票も必要ですが、このときに同居している家族全員の続柄が記載されているものを用意しましょう。
不動産担保ローン必要書類のまとめ
不動産担保ローンを申し込む際には必要書類が多く、他のローンでも必要な個人の基本情報や本人確認、収入の証明に加えて、提供する不動産の情報が必要です。実際にどの書類が必要なのかは金融機関によって異なるので、申し込む前にどの書類が必要なのか把握し、事前に取得しておくようにしましょう。