法人がビジネスローンを利用するときに連帯保証人は不要なのでしょうか?金融機関が用意している金融商品にもよりますが、法人のビジネスローンでも連帯保証人は不要な場合と必要な場合があります。今回は連帯保証人が必要な場合について、連帯保証人とはどういうものでならずに済む方法を紹介します。さらにそもそも連帯保証人が不要な法人の資金調達方法について解説します。
法人のビジネスローンで必要な連帯保証人とは
法人が多くのお金を資金調達する場合、連帯保証人は不要でしょうか?ビジネスローンの中でも主にノンバンク系の高い金利のビジネスローンでは不要ですが、低い金利で限度枠が大きな融資を受けようとするなら、保証人が必要となります。しかしその場合、法人代表者(社長)は連帯保証人(代表者保証)にならなければならない場合が多いです。まずは代表者保証について簡単に解説します。
連帯保証人と保証人の違いとは
融資では保証人や連帯保証人が必要な場合があり、両者は言葉としては似ていますが、実は別の役割を持っています。どちらも債務者からの返済ができなくなる事態になれば、保証人が代わりに債権者に返済をするのですが、連帯保証人というのは、債務者と一緒にお金を借りているとみなされます。つまり連帯保証人のほうが保証人よりも非常に重い責任を持ち、状況次第で借りた債務者本人よりも早い段階で財産の差し押さえなどの措置が取られる恐れがあります。
連帯保証人になれる人の条件
連帯保証人は家族や親族がなる場合が多く、両親もしくは子供が、当事者に変わって借金を返済するというパターンがあります。安定した収入があれば友人関係でも連帯保証人になれますが、連絡が取れなくなる場合があるので、認められないことも多いです。
法人代表は基本的に連帯保証人になる
個人と違い、法人の場合の連帯保証人は通常法人代表者です。例えば株式会社の出資者は有限責任なので、出資金額以外の負債を負担する必要はないことになっていますが、法人の代表者は、連帯保証人なので代表者は法人の借金を連帯保証人として代わりに支払い続けなければなりません。
代表者保証とは社長が会社の借金を保証する
代表者保証は、会社の代表(社長)がビジネスローンなど事業用の資金の融資を受ける際に、求められるもので、法人の代表者が法人の連帯保証を求められることです。つまり法人としてビジネスローンの融資を受けた際に、法人代表者が連帯保証人になることで、法人の借金の返済の際には、代表者も同等に返済を求められます。
法人代表がビジネスローンの連帯保証人にならない方法
法人代表がビジネスローンで経営者保証(連帯保証人)にならずに済む方法はあるのでしょうか?可能性としては次の4点があります。
1.他の保証人を用意する
2.担保を用意する
3.金利は高いが無担保無保証のビジネスローンを利用する
4.信用保証協会を利用する
ひとつずつみていきましょう。
1.他の保証人を用意する
法人代表自らが保証人にならずにビジネスローンなどの融資を受ける場合、別に保証人を用意することになります。保証人が代表者の家族や親族である場合、連絡が取れるという事で保証人として認められる可能性があります。
2.担保を用意する
ビジネスローンの融資の内容によりますが、担保を用意することで保証人不要の場合があります。不動産担保ローンは、不動産の資産価値が高ければ担保として認められ、万一支払いが滞れば担保として拠出した不動産が競売にかけられてそのお金が融資の返済に充てられる仕組みになっているので、保証人にならなくて済む場合があります。
3.金利は高いが無担保無保証のビジネスローンを利用する
ビジネスローンの中には無担保無保証の商品があります。保証人が必要なビジネスローンと比べて金利が高めで融資の限度額が低いですが、審査にも柔軟性が高く保証人も不要です。
4.信用保証協会を利用する
信用保証協会は、代わりに融資の保証をしてくれる団体で、ビジネスローンの中には信用保証協会を通じた保証を条件にしている場合があります。信用保証協会の保証制度を利用しての融資であれば、法人代表が保証人になる必要はありません。
法人がビジネスローン以外で連帯保証人不要の資金調達をするには
法人がビジネスローン以外の方法で連帯保証人を用意せずに資金調達する方法は数多くあります。
1.政府系金融機関からの融資を活用
2.補助金や助成金を活用
3.代表者個人のカードローン
4.リースバックを活用
5.ベンチャーキャピタルを活用
6.株券を発行して出資者を募る
7.社債や転換社債の発行する
8.クラウドファンディングを活用
9.ファクタリングを活用
上記内容について、以下に詳しくみていきましょう。
1.政府系金融機関からの融資を活用
日本政策金融公庫は政府系金融機関として中小企業や個人事業主に低金利で融資を行っています。多くは無担保無保証で受け付けている場合があります。申込時には事業計画書や返済計画書をしっかりと用意し、新規開業の場合は業界経験がわかる書類などを用意しなければなりませんが、連帯保証人にならずに資金調達できる可能性が高いです。
2.補助金や助成金を活用
自治体などが用意している補助金や助成金も保証人を用意せずに資金調達ができる方法です。事業に関係する内容で要件を満たして申請を行えば事業者に給付されます。多くの場合は後払いになるため補助金を得るための事業を進めるために別途資金は必要ですが、指定された条件をクリアすれば資金が調達でき、その資金は融資ではないので返済の必要もなく、保証人も不要です。
3.代表者個人のカードローン
ビジネスローンに似たものにカードローンがあります。カードローンは金利が高いですが無担保無保証で、使途自由のため、特に急な資金調達にはとても便利です。カードローンの場合は事業性資金の融資ではないので、代表者が個人名義で申し込む必要があります。
4.リースバックを活用
リースバックは、住んでいる家を売却した上で、以降は家賃を支払って住み続ける方法です。持ち物ではなくなりますが、まとまったお金が入るので、安易に資金調達できます。ただ家賃が払えなくなると家から追い出される恐れがあるので注意しましょう。
5.ベンチャーキャピタルを活用
ベンチャーキャピタルは、ハイリターンが見込めるようなビジネスモデルを持っている事業者に対して出資をしてくれる会社です。もし、非常に将来性の高いビジネスモデルを持っていた場合はベンチャーキャピタルからの出資をしてもらう方法も選択肢に入れてみてはいかがでしょう。よほどリターンの高いものでないと相手にしてもらえないかもしれませんが、この場合は出資であり、融資ではないので、出資の資金そのものを返済する必要はありません。保証人も不要です。その代わり配当や経営面で口を挟まれる恐れはあります。
6.株券を発行して出資者を募る
法人で、株式会社であれば株券を発行して出資者を募ることは可能です。非上場の場合はベンチャーキャピタルほどでは無くても株を購入したメリット、成長や将来の上場を目指していることなどが期待できるような事業でないと、なかなか出資者は集まりません。また株券を多く出してしまい、株式比率が変わると経営面で介入される恐れはあります。
7.社債や転換社債の発行する
法人としての借金、社債や転換社債を発行する方法があります。銀行からの融資のように審査もなく保証人は要りませんが、事業が中・長期的に魅力があり、成長が見込める事業でないとなかなか社債を発行しても購入してくれる相手が見つからないかもしれません。
8.クラウドファンディングを活用
株券や社債の発行よりも簡単に出資者を募れる方法としてクラウドファンディングがあります。ネットを介して多くの賛同者を集め、資金提供者に見返りを用意すれば比較的容易に資金が集まりやすいです。融資ではないので資金を返済する必要も保証人も必要ありません。
9.ファクタリングを活用
ファクタリングは、売掛債権を現金化して資金を集める方法です。手数料が別途必要ですが、融資ではないので返済の必要もなく、負債も増えないのでバランスシートへの影響が少なくて済みます。もちろん保証人は必要ありません。
まとめ
法人がビジネスローンを申し込む際に連帯保証人が必要な場合と不要な場合があります。銀行融資に近いビジネスローンであれば連帯保証人が必要です。法人の連帯保証人は経営者保証と言われ、代表者が法人の負債を一緒に返済するイメージになります。金利が高いものであれば無担保無保証のビジネスローンがありますし、連帯保証人浮揚の資金調達方法は他にも色々あります。