資金調達を考える際には、銀行の融資という選択肢とビジネスローンという選択肢があります。どちらにもメリットとデメリットがあり、自社の業務内容や財務状況、返済計画など様々な事を検討して選択する必要があります。この記事では、ビジネスローンと融資の違いについて、解説していきましょう。

ビジネスローンと銀行融資の違い

事業者にとってはどこで融資を受けるかは、月々の返済額などを考えると大きな事です。ビジネスローンにもメリットデメリットがあり、銀行融資にもメリットとデメリットがあります。一般的には、次の点が違うと言われているポイントとなっています。

・融資可能額
・金利
・審査時間
・審査の厳しさ
・審査の必要書類
・保証人や担保の有無
・借入金の使い道

これらは借り入れを申し込む上でも、返済をしていく上でも重要なポイントとなっています。ここからはこれらの違いについて、詳しく解説していきましょう。

融資可能額

融資可能額は2つの違いが浮き彫りになっています。銀行の融資では担保などがあれば、数億円の融資すらも可能になります。一方のビジネスローンでは1000万程度の融資が上限という会社もあり、長期間の借り入れで高額になる設備資金などには向いていません。
運転資金などには短期の借入で低額のビジネスローンで十分であり、中小企業などはビジネスローンを選ぶ傾向にあります。この融資金額の差は、利用者が最も気にしているポイントでもあります。

金利

金利は大きな違いがあり、2つの特色をよく表しています。例えば、2000万円を借り入れる場合には、年利2.0%の時と年利10.0%の場合では、単純な計算では年間で160万円もの差が出てしまいます。銀行であれば金利相場は1.5~3.0%となっていて、かなりの低金利を実現しています。
一方のノンバンクのビジネスローンであれば18%までの金利が許されているので、金利の差はかなりの大きさになってしまいます。これは総返済額に大きな影響を与えるために、しっかりと確認したい項目となっています。金利を甘く見ると総返済額は膨大な額になってしまい、最悪、返済不能という事態を招くことになるので注意が必要です。

審査時間

審査時間はビジネスローンと銀行の融資では、大きな違いがあります。銀行の融資では1か月~2か月の審査機関があります。これでは急に現金が必要になった時には対応できません。しかし、ビジネスローンであれば、中には即日の融資も可能になります。即日融資は午前中に融資を申し込み、午後に融資されるという大きな利点を持っています。

審査の厳しさ

審査の厳しさは、最大のネックになるでしょう。銀行の融資の厳しさはよく知られていて、信用情報や財務状況はもちろん、市場の広がりや事業の将来性、反社チェックにまで至ります。過去に審査履歴に傷があると、融資を受ける事はまず不可能でしょう。それほどまでに審査は厳格なのです。
その一方で、ビジネスローンの審査は、銀行の審査ほど厳しくありません。実績のない中小企業やスタートアップ企業でも、審査を通過する事ができます。この審査の緩さこそがビジネスローンが多用されている最大の理由と言えます。

審査の必要書類

審査の必要書類はビジネスローンと銀行の融資ではかなりの違いがあります。銀行の融資には多くの書類があり、煩雑な準備が必要になってきます。銀行によって10種類以上の書類を用意しなければいけない場合もあるほどです。その書類は、個人情報が分かる書類から、会社の収支が分かる書類、確定申告の書類まで多岐にわたります。
その一方でビジネスローンであれば、Webでの審査も可能で、3種類ほどの書類で十分な場合もあるほどです。忙しい業務のなかで、煩雑な書類の準備がない事はビジネスローンのメリットと言えるでしょう。

保証人や担保の有無

保証人や担保の有無も重要な違いです。銀行の融資では連帯保証人などを求められる場合もあります。銀行側は厳格な審査をして、担保や保証人も査定の対象になります。
ビジネスローンであれば、無担保の融資も可能です。銀行の審査では、保証人などへの審査もあるために、審査の時間が長引く事に繋がってしまいます。ビジネスローンは保証人や担保がないという事が高金利で、低額な融資額に繋がってしまうという点があります。

借入金の使い道

借入金の使い道も違います。銀行の審査では、その用途なども審査の対象です。運転資金に使用するのか、設備資金に使用するのかなども、しっかりと吟味されています。
ビジネスローンでは、事業目的という入口はありますが、それ以外で使用しても問題はありません。利用の用途が限定されるかどうかも、重要な違いとして覚えておいた方がいいでしょう。

ここで紹介した違い以外にも様々な違いはありますが、ここであげたものは特に重要な違いです。重要なのは違いをしっかりと認識し、融資を受けたい会社を調べておく事です。

ビジネスローンと銀行融資の使い分けとは

ここでは、ビジネスローンと銀行融資の使い分けを見ていきましょう。ビジネスローンと銀行融資にはそれぞれ長所と短所があり、自分の事業などが向いている方を選ぶ事が重要です。ここからはどんな場合にビジネスローンを選んだ方がよく、どんな場合に銀行融資が向いている方がいいかを解説していきます。

ビジネスローンが向いている人

銀行の融資には多くのハードルがあり、高額な融資の代わりに、多くの時間と労力が必要となってきます。ビジネスローンが向いている人の特徴は以下の通りです。

・審査の通過が厳しいと考えている人
・短期間だけ借り入れたい
・スピード感がある融資を希望している
・つなぎ融資を目的としている
・担保や保証人が用意できない

審査の通過が厳しいと考えている人は、ビジネスローンがピッタリです。信用情報に傷があり、銀行などでは融資が受けられないという人も少なくありません。ビジネスローンは審査が簡単で、書類も最小限で済むために、信用情報はそこまで気にしなくてもいいという利点があります。過去に返済遅延などがある場合でも、少額の融資であれば融資してくれるビジネスローンも少なくないので、心当たりのある方にはビジネスローンが最適です。

短期間だけ借り入れたいという場合もビジネスローンが向いているでしょう。金利が高くても、返済期間が短ければ総返済額の負担も薄まります。長期ではなく、短期間だけで返済の目途が立っている場合には、ビジネスローンは有益な借入先となります。

スピード感がある融資を希望している人もビジネスローンを選ぶべきです。銀行などの融資では1か月以上審査にかかる場合があるので、運転資金などで急に現金が欲しくなった場合などにも対応できます。金利が高くても、このスピード感を優先して借り入れる人も多くいます。

つなぎ融資を目的としているという人もビジネスローンが向いています。短期間でスピーディーな融資が可能という事で、つなぎ融資を目的とした場合にも適している金融商品です。

担保や保証人が用意できない場合には、ビジネスローンを利用した方がいいでしょう。銀行融資などでは連帯保証人などを立てるように要請されることもありますが、ビジネスローンの中には無担保型のビジネスローンも存在しています。担保や保証人が要らないことで若年層でも借り入れることができ、様々な人が借りる事ができる金融商品となっています。

銀行融資が向いている人

銀行融資が向いている人の特徴は以下の通りです。

・安定した業績がある
・低金利で借り入れたい
・多額の資金を希望している人

安定した業績がある会社は、銀行での融資を選んだ方がいいでしょう。審査を通るほどの実績などがあれば、問題なく借り入れる事ができます。銀行側が重視するのは「信用」であり、事業が順調で信用履歴に問題がなければ、申し込んだ方がいいでしょう。

低金利で借り入れたいと思っている人も銀行での融資が必要です。低金利の融資は月々の返済額が楽になります。さらに、長期の借り入れをする場合には総返済額が小さくなるという大きなメリットがあるのです。

多額の資金を希望している人は、銀行の融資の方がいいでしょう。担保にするものが用意できる場合には、億単位の融資も可能で、10年、20年という長期間にわたっての融資が可能になります。そのため銀行融資は運転資金だけでなく、設備資金としても使用したい人は銀行融資を選んだ方が賢明でしょう。

併用も可能

ビジネスローンと融資の両方を併用する事も十分に可能です。例えば、銀行の融資を申し込み、審査期間が1か月かかる場合には、その1か月は融資が早いビジネスローンを申し込むといった事をする業者も存在します。1か月後には融資金が振り込まれるので、その融資金でビジネスローンを返済すればいいという事です。こうした使い方をすることで、資金調達のためのエアポケットをなくすことができます。

ビジネスローンと銀行融資の違いのまとめ

ビジネスローンと銀行融資の違いは、ひとつだけでなく様々な事が考えられます。特に重視されるのは融資金額と金利であり、月々の返済額にも大きく関わってくるので、その違いを知っておくとより適した融資を受ける事ができます。
この記事で開設したビジネスローンと銀行融資の違いを参考にして、資金調達のご参考にしてみてください。