銀行は個人だけではなく、法人に対しても融資を行っています。銀行には様々な金融商品があり、どれを選ぶかによって融資金額や返済期間、金利なども変化していくのです。個人では借り入れることができない額を法人であれば融資してもらえるために、事業者にとって法人融資は欠かせない資金調達法となっています。この記事では法人の銀行融資について様々な事を解説していきましょう。

法人が銀行の融資を受ける方法

法人が銀行融資を考える時には、多くの金融商品から自社に適した融資方法を探す必要があります。単純な銀行の融資からビジネスローン、カードローン、売掛債権を使った融資に至るまでその資金調達法は多岐にわたります。法人融資を考えるうえで、銀行の融資には以下の種類が考えられます。

・ビジネスローン
・カードローン
・不動産担保ローン
・信用保証協会付融資 
・売掛金債権融資
・プロパー融資

これらにはそれぞれに特色もあり、メリットとデメリットをしっかりと押さえておくと安心して法人としての銀行融資を受ける事ができるでしょう。ここでは、上記で挙げた資金調達法について一つ一つ解説していきます。

ビジネスローン

ビジネスローンは事業用の資金の調達のためのローンであり、法人も利用できる金融商品です。事業用ローンであるために個人では契約する事はできません。ビジネスローンの利点としては審査が非常にスピーディーな事でしょう。即日で融資が終わる金融商品も存在し、資金調達法としても非常に有益です。融資額がいくらになるか、有担保か、無担保かにもよりますが、ほとんどのビジネスローンが申し込みから1か月以内には融資が完了するというかなり早いタイプの資金調達法と言えるでしょう。ビジネスローンは金利が高いと思われがちですが、銀行のビジネスローンであれば1%台の金利を実現している銀行も存在しています。

カードローン

カードローンは近年では銀行も扱う金融商品となっています。これらはATMで借り入れをすることができ、無担保・無保証で利用できる個人向け融資となっています。契約すると、キャッシュカードやローン専用のカードを貰う事ができます。
そして、年収や利用履歴、返済履歴などによって、限度額が決定されてその範囲内であれば何度でも借り入れと返済を繰り返すことができます。ネックとなるのは、融資金額が少ない傾向にあり、事業用の資金としてはそれほど有益とは言えないでしょう。

不動産担保ローン

不動産担保ローンは、高額な融資を可能にするローンです。担保として不動産の査定をしてもらい、億単位の資金を調達する事ができます。不動産は極めて信用度の高い担保となり、金利が0%台から5%台と低く設定される傾向にあります。不動産担保のローンでは長期間の契約が可能で、最大で35年間という長期にわたる融資をしてくれる銀行も存在しています。
しかし、審査には時間がかかる事がデメリットと言えるでしょう。不動産価値の算出や不動産登記などの手続きにも時間がかかるため、短時間で資金が欲しい時には向いていません。

信用保証協会付融資

信用保証協会付融資というのは、保証人として信用保証協会をつける事を条件とした融資です。仮に返済不能という事態になっても、信用保証協会が代わりに支払をしてくれるという事です。このタイプの融資の特徴は、まず信用保証協会の審査を受ける必要があるという点でしょう。
信用保証協会は、企業の規模や収支、業務内容などから、企業の信用度を算定して、保証人になるか否かを決めます。様々な条件があるために、信用保証協会付融資を受ける時には、信用保証協会のホームページなどから条件などを調べておく必要があります。

売掛金債権担保融資

売掛金債権担保融資は売掛債権というモノを担保にした融資です。売掛金は信頼性の高い債権ですが、取引先が売掛金債権を担保にすることを禁止にしている場合にはこの方法は使えません。デメリットとしては、担保として売掛金が回収されてしまうという事でしょう。もし返済が滞ると、金融機関側は担保となっていた債権を現金化して返済に回します。その場合には、収入が無くなってしまうので、経営状態が一気に悪くなってしまう事は覚悟しなければいけないでしょう。

プロパー融資

プロパー融資は、事業用に銀行から直接融資を受ける方法です。この場合は信用保証協会が保証人として入っていないために、金融機関が大きな責任を負う事になります。もし返済が滞った場合には、金融機関がその補填を自らでしなければなりません。あるいは、補填できずに、金融機関が大きな損失をすることになります。
こうした事から厳しい審査があり、そもそも信用度の高い企業しかプロパー融資は受ける事ができません。借り入れる側のデメリットとしては、プロパー融資は返済期間が短く設定される傾向にあるため、月々の返済額が負担になる事があるという事です。

銀行融資の3つの種類

銀行融資の形態は主に以下のような種類があります。銀行には貸し付ける際に、様々な形態が用意されていて、申し込み時にどれかの形態で契約されます。それぞれの形態のどれを選べばいいかは、企業の資金ニーズや財務状況に応じて決める事が必要です。

・手形貸付
・当座貸越
・証書貸付

これらの種類の貸付方法は、返済にも大きく関わってくることなので専門家などに相談して決めた方がいいです。ここでは、銀行融資の3つの種類に関して、解説していきます。

手形貸付

手形貸付は借り入れた時に、銀行側が約束手形を振り出す貸付方法の事です。約束手形は一般の人でも知っている程に有名な貸付方法ですが、詳しい情報はそれほど知られていません。約束手形とは、期日までに所定の額を支払うという種類であり、有価証券の一種として扱われています。
手形貸付の特徴は、短期の貸し付けになる事です。1年間の貸し付けになる事がほとんどであり、運転資金などの短期の資金繰りに非常に有効な貸付方法となっています。長期的な借り入れの際には、手形貸し付けの形を選ばないことが一般的です。

当座貸越

当座貸越は金融機関と借入側で当座貸越契約というモノを結ぶ事で貸し付けを成立させています。限度額の範囲内で融資額が決定されるために、その限度額を超えなければ何度でも貸し付けを行えることが最大の特徴です。利用する側にとっては足りなくなった金額だけを借り入れる事ができ、最小限の借入額だけで済むという利点があります。
当座貸越は銀行側にとってはリスクの多い貸付です。いつ融資を行うかが見えにくい貸付法なので、銀行側は厳しい審査を通過した優良企業とだけ当座貸越の契約を結ぶことが多くなっています。

証書貸付

証書貸付は借入ごとに契約を交わして、貸付けるタイプです。金銭消費貸借契約をその度に結び、融資額や返済期間、利率なども借り入れるごとに設定されます。こちらは手形貸付とは違い、長期での融資に適しています。融資金額も高額になる傾向があるために、融資の際には厳しい審査が行われています。
この審査には時間を要するために、スピード感のある貸付ができません。さらに、融資の度に契約を結ぶのも煩雑な手続きとなり、負担になる場合もあります。様々なデメリットも存在しますが、法人にとっては高額の融資を受ける事ができるためにメリットも大きい貸付方法です。

法人の銀行融資の申し込み手順

法人の銀行融資の申し込み手順を知っておくと、融資までの煩雑な作業もスムーズに進める事ができます。審査が長くなることもあり、書類に不備などがあるとやりなおしになってしまう可能性もあります。銀行融資までの流れは以下の通りです。

・事前相談
・書類提出
・審査
・契約

一般的にはこの流れで契約が進んでいくので、ここではその流れを解説していきましょう。

事前相談

申し込み前には金融機関が準備している相談窓口に行く方がいいでしょう。法人の銀行融資は複雑になる事も多く、事前に専門家に相談する事が重要です。融資に際して必要な書類や金利の説明、融資額の決定など、様々な事がここで吟味できます。

書類提出

法人が銀行融資に際して、必要な書類は一般的には以下の通りと言われています。

・決算書
・試算表
・資金使途明細
・受注明細
・事業計画書
・資金繰り表
・登記簿謄本
・印鑑証明書
・納税証明書
・銀行取引明細書
・確定申告書

これらの書類をしっかりと準備した上で、銀行の融資担当者に提出します。その際に、不備や不足があれば、再び提出という事になるので、必要書類に関しては一度で準備しておきたい所です。

審査

必要書類が揃い、不備がなければ融資申込書を提出は終了します。その後、正式な申し込みになり、銀行側の法人の審査が入ります。審査は融資を受けて完済までしっかりと経営できるかに焦点を置きます。時には追加情報を求められることもあり、長期の融資に際しては特に厳格な審査が行われています。審査は銀行では定量評価と定性評価という二つの側面で進められ、場合によっては1か月以上の審査の末に結果が通知されます。

契約
審査の結果により、「正常先」という評価になった場合には、融資が行われます。契約は「金銭消費貸借契約書」などへサインが必要で、複数の契約書を確認する必要があります。多くの書類の確認作業が終わり、契約書に不備ない状態であれば契約の締結となるのです。
その後、融資が終わり、資金調達は終了となります。そこからは返済条件によって様々ですが、基本的には月々に決まった額の返済をして、完済すれば終了です。

法人の銀行融資のまとめ

法人の銀行融資は、様々な手法が考えられます。法人の融資は長期間の融資になる事も少なくないために、申し込む前にしっかりとした情報収集が必須です。個人の銀行融資とは、金利や審査なども異なってくるので、担当者や専門家と話し合う事も重要でしょう。
この記事で紹介した法人の銀行融資に関する情報を参考にして、資金調達をご検討ください。