「急な大口受注で仕入れ資金が足りない」
「主要取引先からの入金が遅れ、月末の支払いが厳しい」

上記のような資金繰りの悩みで、お困りの経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

銀行に相談しても審査に時間がかかったり、そもそも断られたりして、八方塞がりだと感じるときもあるかもしれません。
そんなときには、ファクタリングがおすすめです。

本記事では、ファクタリングの意味や仕組み、メリット・デメリットを銀行融資との比較を交えながら解説します。

ぜひ、参考にしてください。

ファクタリングとは売掛金を売却する資金調達方法

ファクタリングとは、企業が保有している売掛債権をファクタリング会社に売却し、支払い期日よりも早く現金化する資金調達方法です。

あくまで自社の資産（売掛債権）を譲渡・売却する取引であり、金融機関からお金を借り入れる融資やローンとは異なります。

ファクタリングは民法で定められた債権譲渡契約に基づいておこなわれるのに対し、銀行融資は金銭消費貸借契約に基づいておこなわれます。

これは、会社が保有する土地や有価証券を売却して現金を得るのと同じ資産の現金化なのです。

ファクタリングは自社の資産を活用して、キャッシュフローを改善する正当な資金調達手法です。

ファクタリングの仕組み

ファクタリングには、スピード重視の2者間ファクタリングと手数料重視の3者間ファクタリングの2つがあります。

それぞれの仕組みを、以下で詳しく解説します。

2者間ファクタリング｜資金調達が速い

2者間ファクタリングは取引先を介さないため、手続きがシンプルに進み、スピーディな資金化が可能です。

ただし、ファクタリング会社は、取引先から直接売掛金を回収できないため、債権が回収不能となるリスクを負います。

そのリスク分が手数料に反映されるため、3者間ファクタリングに比べて手数料は高くなる傾向があるのです。

したがって手数料が高くてもスピードを優先したい場合や、取引先に知られたくない場合は、2者間ファクタリングが有効です。

3者間ファクタリング｜手数料を抑えられる

3者間ファクタリングは、利用者から取引先へ売掛金をファクタリング会社へ譲渡する旨を伝え、承諾を得ます。

ファクタリング会社は取引先から直接回収でき、売掛債権の未回収リスクが低減されるため、手数料が低めに設定されやすいのです。

ただし、取引先の承諾を得るための手続きが必要になるため、資金化までには数日から1週間程度の時間が必要です。
また、取引先に債権譲渡の事実を知られてしまいます。

よって、資金調達までに時間の余裕があり、手数料コストを削減したい場合には3者間ファクタリングが効果的です。

ファクタリングの4つのメリット

ファクタリングには、4つのメリットがあります。

本項では、資金繰りを改善する特に重要な4つのメリットを解説します。

入金スピードが速いため緊急の資金需要に対応可能

ファクタリングの強みは、資金調達までの速さです。

銀行融資では審査や手続きに数週間から1ヶ月以上かかるのが一般的ですが、ファクタリングの場合は、申し込みから最短即日での現金化も不可能ではありません。

そのため、設備の故障による修繕費・大口受注に伴う仕入れ資金の確保・従業員への給与支払いなど、すぐ現金が必要な緊急事態において効果を発揮します。

支払いサイクルに悩まず、目の前のビジネスチャンスを確実に掴み、事業を拡大させるための有効な手段となるでしょう。

自社ではなく売掛先の信用力が重視される

銀行融資の審査では、自社の決算書や財務状況が厳しく評価されます。

そのため、赤字決算・税金滞納・創業から日が浅いなどの理由で、融資を断られてしまうケースは少なくありません。

しかし、ファクタリングの審査で最も重視されるのは、利用者ではなく売掛先（取引先）の支払い能力です。

自社の経営状況に課題があったとしても、取引先が上場企業や公的機関など、信用の高い相手であれば、その売掛金は価値ある資産として評価されます。

そのため、自社の業績が悪かったり、公的な支払いに遅れがあったりする場合でも、ファクタリングを利用できる可能性があるのです。

回収リスクを負わずに資金調達可能

一般的なファクタリング契約は償還請求権なし（ノンリコース）の形態を取ります。

償還請求権とは、もし売掛先が倒産して売掛金が回収不能になった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して支払いを求める権利を指します。

償還請求権がないノンリコース契約であれば、万が一の事態が発生しても、利用者がファクタリング会社に資金を返済する義務は一切ありません。

つまり、ファクタリングを利用すると、貸し倒れのリスクをファクタリング会社に移転できます。

ファクタリングは資金調達だけでなく、売掛債権に保険をかける効果もあるのです。

負債が増えないため将来に備えて融資枠を温存できる

ファクタリングは借入ではなく、あくまで資産（売掛金）の売却です。

ファクタリングを利用しても会社の負債は増えないため、自己資本比率などの財務指標や貸借対照表を悪化させず、金融機関からの信用格付けにも影響しません。

これは、将来的に事業拡大のための設備投資などで、銀行から大型の融資を受けたいと考えている企業にとって重要なメリットです。

目先の運転資金はファクタリングで確保し、いざという時のための貴重な融資枠を温存しておくと、より戦略的で柔軟な財務運営が可能です。

ファクタリングの3つのデメリット

便利なファクタリングにも、デメリットが存在します。

以下で紹介するリスクを事前に把握し、未然にトラブルを防ぎながら安全にサービスを利用しましょう。

銀行融資より手数料が高い傾向がある

ファクタリングを利用する上で注意すべきは、手数料が銀行融資の金利よりも割高である点です。

ファクタリング会社が負う売掛金の未回収リスクや、迅速なサービス提供のためのコストが手数料に反映されるためです。

特に、ファクタリング会社のリスクが高い2者間契約では、手数料も高くなる傾向があります。

年利に換算すると非常に高額に見える場合もありますが、これは短期的な資金繰りを改善するためのコストです。

したがって、手数料と得られるメリット（取引の成立、信用の維持など）を比較して、費用対効果を冷静に見極める必要があります。

ファクタリング業者を装った詐欺に遭う可能性がある

ファクタリングの需要増加に伴い、その仕組みを悪用する悪徳業者も存在します。

例えば、実態は高金利の貸付であるにもかかわらずファクタリングを装ったり、契約書にない不明瞭な費用を後から請求したりするケースが報告されています。

上記のような業者を避けるためには、契約書が債権譲渡契約であるかを確認し、金銭消費貸借契約となっていないか注意深くチェックしましょう。

また、手数料の内訳が明確で、会社の登記情報や実績が公開されているか確認するなど、複数の会社の比較検討が重要です。

3者間ファクタリングは信用不安を招く可能性がある

手数料を安く抑えられる3者間ファクタリングですが、取引先（売掛先）に債権譲渡の通知と承諾を得る必要な点が、デメリットとなる場合があります。

取引先によっては「ファクタリングを利用するほど、資金繰りが厳しいのではないか？」と、経営状況を懸念する可能性があります。

その場合、今後の取引条件の見直しや、取引量の縮小といった事態に発展する可能性もゼロではありません。

取引先との信頼関係を考慮し、少しでも不安がある場合は、手数料が高くても2者間ファクタリングを選ぶのがおすすめです。

ファクタリング申し込みから資金調達までの3STEP

本項では、ファクタリングの申し込みから入金までの3STEPを解説します。

ファクタリングを利用する際の流れを事前に把握し、慌てずスムーズに手続きを進めましょう。

STEP1：申し込み・必要書類の提出

まず、利用したいファクタリング会社の公式サイトや電話で問い合わせ、申し込みの意思を伝えます。

その際、審査に必要な書類の提出を求められます。
書類は事前に準備しておくと、手続きがスムーズに進むでしょう。

一般的に必要となる書類は、以下のとおりです。
本人確認書類（運転免許証など）
売掛金の存在を証明する書類（請求書・契約書・発注書など）
事業の実態を確認する書類（会社の通帳コピー・決算書など）

特に、請求書や契約書は審査の根幹となるため、正確なものを揃えておきましょう。

最近では、書類をオンラインでアップロードできる会社が増えており、手軽に申し込み可能です。

STEP2：審査・見積書の確認と契約

提出された書類をもとに、ファクタリング会社が審査を開始します。
審査の主眼は、売掛先企業が期日通りに支払いを行えるかという信用力と、提出された請求書が架空のものではないかという売掛債権の信頼性の2点です。

審査はスピーディで、早い場合は30分～1時間程度で完了します。

審査に通過すると、以下の情報が記載された見積書が提示されます。
手数料
買取可能額
契約形態（2者間か3者間か）
償還請求権の有無

この段階で安易に一社に決めず、必ず複数の会社から見積もりを取り、条件を慎重に比較しましょう。

STEP3：買取代金の入金・資金調達完了

契約が正式に締結されると、ファクタリング会社から、契約内容に基づいて算出された買取代金が利用者の指定口座に振り込まれます。

2者間ファクタリングであれば、契約後すぐに入金されるケースが多く、最短即日での資金調達が完了します。

入金された資金は融資と異なり、使用用途に制限はありません。
目前に迫った支払い・仕入れ資金・人件費など、事業に必要なあらゆる用途に自由に活用できます。

これで一連の手続きは完了となり、キャッシュフローの課題が解決されるでしょう。

ファクタリングの意味を理解して有効活用しよう

ファクタリングは借入ではないため、会社の信用力に影響を与えずにキャッシュフローの悩みを解決できる可能性があります。

手数料の高さや悪徳業者の存在などの注意点も正しく理解する必要があるでしょう。

本質的な意味と仕組みを自社の状況と照らし合わせれば、ファクタリングは経営の危機を救う強力な資金調達手段になります。

本記事を参考にして資金繰りの悩みから解放され、経営の安定化や事業拡大に集中できるよう、次の一歩を踏み出してください。