事業資金の調達方法はいくつもありますが、多くの事業主様がまず検討されるのが融資かと思います。
資金不足に悩まされる場合であっても事業拡大を狙う場合であっても、融資を受けられれば、課題の解決や目標への加速度も高まるだけでなく、安心感も得られるものです。
しかし、申請をしたからといって確実に資金を借り入れられるわけではなく、実際に資金が手元に届くまでには、大きな壁を乗り越えなければなりません。
それが融資審査です。
過去に金融機関の融資審査に臨んだものの、残念ながら通過できなかったという経験をお持ちの事業主の方も少なくはないでしょう。
特に金融機関の融資審査は厳しい審査基準を設けていることで知られますが、審査を通過するためには、無為無策で臨むのではなく、いくつかのポイントをおさえておく必要があります。
【関連記事】
「返済能力」と「資金使途」を根拠に基づいて示す

国内で融資を実施する機関や事業者は、大別すると3つに分けられます。
ひとつは銀行や信用金庫といった民間の金融機関、ふたつめは日本政策金融公庫をはじめとする政府系の金融機関、そして弊社のような預金業務を扱わないノンバンクの金融事業者です。
そのほかにも、各自治体が信用保証協会や金融機関と連携して事業資金を貸し出す制度融資もあります。
金融機関の融資審査は審査基準が厳しいものの、金利は低めに設定されていたり、反対にノンバンクは審査には通過しやすいが金利が高めに設定されていたりと、それぞれの融資に一長一短があるわけですが、審査通過の基準としてどの機関も事業者も最重視しているポイントは2つ。
それが「返済能力の有無」と「明確な資金使途」です。
つまり、金融機関にせよノンバンクにせよ、「貸したお金を滞りなく返済でき」「経営や事業のために正しく使われる」ことを根拠に基づいて証明できれば、審査通過は十分に可能になるといえます。
しかしそれらの証明は、どれだけ誠意をもって口頭で伝えたところで、何の説得力もなく根拠の証明にもなりません。
そこで必要になるのが各種書類の提出。
融資元を問わず、ほぼ必須で提出を求められるのは決算書・財務諸表、それに事業計画書です。
もちろん必要に応じてそれ以外の書類の提出を求められるケースもありますが、基本的にはこの3点の内容を基に「返済能力」と「資金使途」を見極められることになります。
各種書類の内容を向上させる

したがって、それらの書類の質を良くすることが融資審査通過のポイントとなるわけですが、だからといって虚偽の内容を記載したり、改ざんするような行為は絶対に許されるものではありませんし、場合によっては半永久的に融資を受けられなくなる可能性も否めません。。融資審査では、金融機関や信用組合、銀行支店の担当者が、申込者の判断力や実績、そして資金繰りの状況を細かくチェックします。ここで重要なのは、事業計画書や決算書、損益計算書といった資料を通じて、数字に基づく評価を正確に示すことです。
では、書類の質を良くするためには、どのような点を意識すべきでしょうか。まず、創業時や開業後の中小企業に共通するポイントとして、売上や経費の管理、資産や借入金の財務状況を正確に把握しておくことが挙げられます。さらに、信用情報や税務の状況も審査対象となるため、延滞や未払いがないように注意が必要です。保証人の有無や信用情報機関での記録も、審査判断に大きく影響します。
次に、書類を作成する際は、具体的な数値や期間を明記することで、金融機関にとって理解しやすくなります。例えば、設備投資や売掛金の回収予定、キャッシュフローや資金繰りのシミュレーションを資料として添付することで、通る可能性が高まります。また、表やグラフを用いて比較や傾向を視覚化すると、金融機関の担当者が一目で理解でき、信頼を高めることが可能です。
さらに、書類を作る過程で情報を集め、チェックや整理を行うことで、サービスや商品の収益性、不動産や出資に関するリスクの説明もスムーズになります。アプリや会計ソフトを活用することで、財務や管理の基礎を高めることができ、資料の正確性や信頼性を強化できます。こうした手続きや準備を事前に行うことで、融資審査における違いを作り、安定した事業運営に役立ちます。
最後に、融資審査で重要視されるポイントを整理すると、返済能力、資金使途、事業計画書や決算書などの資料の内容、そして信用や実績です。段階ごとにチェックし、正確な情報を用意することが、融資通過の第一歩となります。期間や条件、金額に応じて、資金繰りを計画し、適正な判断を行うことで、創業後や新規事業でも安定して支援を受けられる可能性が高まります。
事業計画書
まずは事業計画書です。
事業計画書の作成にあたって重要なポイントは、資金使途を明かすとともに、いかに具体性の高い事業計画を示せるかという点です。資金使途は主に設備投資や運転資金に分けられますが、希望する融資額を調達できた場合は、何に投資するのか、設備を導入するのか、機材を新調するのか、その数量や費用、さらには必要な人員の補充計画まで、可能な限り具体的に示すことが求められます。
そして、投資することによってどれだけの収益性や社会的な影響を期待できるのか、そこからさらに事業を成長させるための計画や予測を事細かく記載し、融資の妥当性や返済能力を金融機関に示すことが重要です。この際、資料や表を用いて、数字や期間を明確に示すと、金融機関の担当者にとって理解しやすく、信頼を高めることにつながります。
また、説得力をさらに増すためには、競合他社や市場の現状、傾向や今後の予測も盛り込み、自社を取り巻く環境やリスク要因を明確にしておくことが重要です。情報を整理してチェックを行い、詳細まで用意することで、金融機関からの評価を高め、支援や融資の通る可能性を高めることができます。
さらに、中小企業や個人事業主の場合、創業から間もない企業は実績が少ないため、事前に財務状況や資金繰りの管理を丁寧に行い、数字を正確に示すことが不可欠です。税理士や専門家のアドバイスを受けながら、申込に必要な資料を用意し、面談や書類提出時に理解されやすい形で提示することが、融資成功の大きなポイントとなります。
このように、事業計画書では目的、資金使途、収益性、市場分析、投資計画などを網羅し、融資通過に必要な判断材料を具体的かつ詳細に示すことが肝心です。設備投資や不動産購入、売上や経費の管理、キャッシュフローの把握まで含め、条件や期間を明確に示すことで、金融機関に安心感と信頼感を与えることができます。
決算書
次に決算書です。
先に述べておかなければならないのは、事業計画書とは異なり、決算書の内容は実際の収益性や経営状態、財務状況によって左右されるものであるため、いくら頭を巡らせても過去の数字は変わらず、単純に質が良くなるわけではありません。特に、中小企業や個人事業主の場合、創業直後や新規事業での実績が少ないと、金融機関や信用組合の担当者が審査する際に不安材料として見られやすくなります。そのため、決算書を通りよく理解してもらうためには、日常的な資金繰りや売上・経費管理、キャッシュフローの把握など、基本的な財務管理を徹底しておくことが重要です。
したがって、決算書の質を良くするためには、単純に営業努力を最大限に尽くすことが不可欠ですが、融資審査では各書類のいくつかの項目を重点的にチェックされるので、それらを改善し、金融機関にとって正確かつ詳細に理解できる資料として提示することが求められます。例えば、貸借対照表や損益計算書の内訳、売掛金や借入金の残高、設備投資の内容、資産や負債の状況などを整理し、数字を用いて具体的に示すことが重要です。
また、税理士や会計の専門家の助言を受けることで、信用情報や申告内容の正確性を高めることができ、金融機関が安心して評価できる状態を作れます。資料には、表やグラフを活用して視覚的に示すと、理解しやすく、信頼を高く得ることができます。さらに、期間や条件、金額を明記することで、判断する側にとって通る可能性のある書類として提供でき、融資審査での違いを生むことができます。
決算書を整えることは、事前の準備や事業計画書との整合性を確認することにもつながり、実現可能な計画や将来の成長を金融機関に伝える力になります。分かりやすく、やすく理解できる書類を作ることは、金融機関の支援を受ける第一歩であり、評価の向上や信頼獲得に直結します。
損益決算書
特に重要なのが損益計算書です。
この書類の中で金融機関が重視するのは、売上総利益、営業利益、経常利益、そして税引き前当期純利益と法人税を差し引いた当期純利益です。中小企業や個人事業主にとっては、創業後の実績を示す重要な資料であり、日々の資金繰りや経費管理の状況もあわせてチェックされます。
特に、営業利益と経常利益は重点的に確認される項目であり、中でも経常利益は利息の支払いと利益のバランスを示す重要な指標でもあります。金融機関はこの数字をもとに、融資通過の判断や返済能力の評価を行います。したがって、経常利益の黒字化を目指すことは、融資審査を通るために非常に有効であり、収益性や安定性を高めるための第一歩となります。
また、損益計算書では、売上や経費の内訳、原価や管理費の状況も明確に示すことが重要です。数字を具体的に記載し、表やグラフを用いて理解しやすく提示することで、金融機関の担当者は短時間で企業の財務状況や資産の状況を把握できます。さらに、税理士や会計の専門家の助言を受け、信用情報や確定申告の内容を正確に反映させることも、信頼性を高めるために欠かせません。
加えて、損益計算書を作成する際には、過去の実績だけでなく、今後の予測や計画も簡単に記載しておくと、融資担当者にとって事業の成長やリスクを把握しやすくなります。資金繰りの見通しや返済計画を添えることで、融資の条件や期間、金額に応じた適正な判断材料を提供でき、安心して支援を受けられる状況を作ることが可能です。
このように、損益計算書は単なる過去の記録ではなく、資金繰りや収益性の理解、融資審査における評価のための重要な資料です。事前に数字を整理し、具体的な内容を盛り込み、通る可能性を最大化することが、金融機関からの信頼を得るためのポイントとなります。
税金や公共料金の未払いや滞納を避ける

融資審査を通過するためのポイントとして、書類の質以外にもうひとつ大切な要素があります。
それが、税金や公共料金の支払い状況です。
ノンバンクでは、税金や公共料金の未払いや延滞を問題視せずに貸し出しが行われるケースもありますが、金融機関の融資審査ではそうはいきません。特に、確定申告や法人税の未払いは、事業者としての義務を果たせていない法人という烙印を押されるとともに、返済能力の無さを露呈する要因となり、審査において大きなマイナス評価となります。信用情報や信用情報機関に記録が残ることで、評価や信頼にも大きく影響するため、注意が必要です。
ですので、融資審査に臨むのであれば、税金や公共料金を滞りなく支払い、確かな返済能力を示すことが不可欠です。具体的には、経費や売上の管理、資金繰りの把握、財務状況の整理、キャッシュフローのシミュレーションを行い、資料や表にまとめて金融機関に提示することが推奨されます。
さらに、中小企業や個人事業主の場合、創業直後や新規事業では実績が少ないため、事前に管理を徹底し、数字や期間、金額を明示して融資担当者に理解されやすい形で提供することが重要です。税理士や会計の専門家に相談し、信用や支援を受けながら、通る可能性を高めることができます。
また、公共料金や税金の支払い状況は、金融機関にとって事業者の姿勢や責任感を示す目安でもあります。これにより、信頼性が向上し、融資条件や期間、金額の交渉においても有利に働くケースが多いです。支払いを怠らず、適正な管理を行うことが、融資審査成功への第一歩となります。
融資審査の際に最重視するポイント|まとめ

今回は、融資審査の際に金融機関や融資事業者が最重視するポイントについて詳しくご紹介しました。
金融機関でもノンバンクでも、融資審査で最重視するのは「返済能力」と「資金使途」であるという点は共通しています。これは審査の種類や借入金額の大小にかかわらず基本となる考え方であり、どの金融機関でも概ね同じ通りの基準で確認されます。審査期間の長短に差はあっても、確認される本質的なポイントは大きく変わりません。
裏を返せば、「返済能力」と「資金使途」を具体的かつ客観的な数字で明確に示すことができれば、融資審査は決して越えられない壁ではありません。ただし、「これくらいなら大丈夫だろう」といった甘い見通しで準備を進めるのは危険です。売上予測や利益計画は根拠を示し、現実的な数値で作成することが重要です。
そしてこれらを証明するための手段として、事業計画書や決算書の内容を向上させるとともに、税金や公共料金の支払いを怠らずに行うことが挙げられます。特に決算書や損益計算書は、金融機関が企業の実力を判断するための重要資料です。簿記2級や3級レベルの基本的な財務知識を身につけておくと、自社の数字を正しく説明できるようになり、担当者との面談もスムーズに進みます。
近年では会計ソフトやスマートフォンのアプリを活用して日々の経理管理を効率化することも可能です。こうしたツールを活用し、日常的に数字を把握しておくことが、いざというときの融資申請に大きく役立ちます。
融資を検討する際には、以上のポイントをおさえつつ、十分な準備期間を確保し、書類の精度を高めてから審査に臨みましょう。事前対策を徹底することが、融資成功への最短ルートといえます。





