企業にとって資金調達や資金繰りは、いつでも重要なテーマのひとつでしょう。
いくらよい商品やサービスを開発・販売しても、肝心の資金がなければ会社を切り盛りできないからです。

資金繰りの方法としてよく知られているのは、銀行融資です。しかし銀行融資の場合、実行されるまでかなりの時間がかかってしまいます。
稟議が通っても時すでに遅しになっては、元も子もありません。

そこでいざというときのために、ビジネスローンの活用も検討しましょう。
ここではビジネスローンとは何か、メリットデメリットとしてどのようなものがあるかについて、くわしく見ていきます。

企業が利用すべき「ビジネスローン」とは?

企業の資金調達の方法のひとつであるビジネスローンとは、どのようなものなのでしょうか。
ビジネスローンとは、法人向けの無担保ローンのことです。
企業などの法人向けではありますが、ほかにも個人事業主の方も申し込み可能です。

融資されたお金は、企業などの事業資金のために用いられます。
企業が利用する場合には、具体的には新規事業や設備投資・運転資金、取引先への支払いなどが考えられます。

ビジネスローンを取り扱っているところは数多くあります。
一例として銀行や信販会社、消費者金融などがあげられるでしょう。

企業の資金調達における「銀行融資」と「ビジネスローン」の違い

企業が金融機関や貸金業者から、融資の受けられるローンといわれると「銀行融資と何が異なるのか」と、思うでしょう。
銀行融資とビジネスローンは内容を見ると、いくつか相違点があります。
相違点として主に、以下のようなポイントがあげられるでしょう。

1. 金利
2. 融資金額
3. 審査スピード
4. 担保・連帯保証人

企業がビジネスローンを利用する際には、これらのポイントを把握したうえで利用を検討することが求められます。

1.金利

金利を比較した場合、銀行融資の方が低く設定されています。
これは別項で詳しく見ますが、審査内容の違いによるものです。
ビジネスローンの方が審査は甘めといえるでしょう。

つまりビジネスローンは、債権回収できない恐れが出てきます。
リスクマネジメントのために、高めの金利に設定されているのです。

金利には大きく分けて、固定金利と変動金利の2種類があります。
銀行融資は固定と変動両方ラインナップされているものの、ビジネスローンはほとんどが固定金利のみです。
固定金利とは最初に設定された利率で、利息の支払いをするタイプです。
一方変動金利とはその時々の金融情勢に従って、利率の見直しが行われる金利となっています。
一般的に年に2回金利の見直しが行われます。

固定金利は変動金利よりも、利率が高めなのも特徴です。
このことも考慮に入れて、企業で資金調達する際にはどこから調達するか検討してください。

2.融資金額

融資可能な上限も異なります。
銀行融資の方が、融資可能な金額は高めとなっています。

銀行融資の場合数千万、企業によっては億単位の融資にも対応しているのが特徴です。
一方ビジネスローンは、少額融資を目的にした商品です。
商品によってまちまちなものの、おおよそ300~500万円といったところでしょう。
このくらいが融資可能な上限額のものがほとんどなので、大きなお金を扱う企業などにとっては不向きな場合も考えられるでしょう。

3.審査スピード

審査スピードはビジネスローンの方が、スピーディです。
銀行融資の場合、不良債権化を避けるために丁寧に審査を実施します。
どれほど早くても2週間程度、通常は1~2か月程度、融資実行するまでに時間がかかるでしょう。

一方ビジネスローンの場合、おおよそ1週間から10日程度で融資が実行されます。
中には最短即日融資に、対応しているようなローンもあります。

審査スピードの違いに伴い、提出する必要書類にも違いが見られるのです。
銀行融資の場合決算書、個人事業主だと確定申告書・事業計画書・資金繰り表、納税証明書などです。
さまざまな書類を用意しないといけません。

一方ビジネスローンの場合、決算書もしくは確定申告書と事業実態のわかる書類、計画書などがあれば申し込めます。
企業の場合であっても、少額を少し借り入れたい、銀行融資のOKが出るまでにつなぎ資金がほしいといった場合には、ビジネスローンがおすすめです。

4.担保・連帯保証人

担保や連帯保証人の有無も、銀行融資とビジネスローンでは異なるポイントです。
ビジネスローンの場合、少額融資がメインとなります。
不良債権化対策として金利も高めに設定されているので、貸し手が損失するリスクは低いでしょう。
このため担保も連帯保証人も、基本不要としているものが多いのです。

一方銀行融資もかならずしも、担保や連帯保証人をつけないといけないわけではありません。
ただし債権回収が不能になるのは、避けたいという思惑は強いものです。
多額の貸付にも対応しているうえに、金利も低めだからです。

そこで少しでもリスクがあると判断されると、担保や連帯保証人をつけるよう求められます。
とくに企業などの法人で申し込む場合、代表者が連帯保証人になること前提になりがちです。

企業が把握すべき「ビジネスローン」のメリット

企業がビジネスローンで借り入れするにあたって、いくつかメリットが想定できます。
主なメリットとして考えられるものについて、ピックアップしました。

1. 融資までがスピーディ
2. 総量規制の対象外
3. 無担保無保証人

1.融資までがスピーディ

融資までの早さは、ビジネスローンの大きな魅力といえます。
遅くても申し込んでから、1週間から10日程度で融資してもらえます。
即日融資に対応しているようなビジネスローンもあるほどです。

企業がよく利用する銀行や政府系金融機関の場合、どうしても審査に時間がかかります。
数か月単位で、融資実行までに時間がかかるのが一般的だからです。

2.総量規制の対象外

貸金業法の中に、総量規制があります。
これはその人の年収の1/3を超えて、貸付を行ってはいけないというルールです。
過剰な借り入れをして返済不能の状態にならないための、利用者保護を目的とした決まりです。

しかしビジネスローンは、総量規制の対象外となっています。
つまり自分の年収の1/3を超えた借り入れも可能です。
ただし計画的に返済できるような、無理のない借入額に留めましょう。

3.無担保無保証人

公的機関や銀行からの融資を希望する場合、担保もしくは保証人を用意するようにいわれます。
しかしビジネスローンであれば、担保や保証人不要で申し込めるところも利点といえるでしょう。
担保や保証人を用意するのが難しいという企業は、ビジネスローンの活用も検討してください。

企業が押さえるべき「ビジネスローン」のデメリット

企業が融資を受けるビジネスローンには、デメリットもあります。
以下のようなポイントが考えられますので、留意したうえで申し込み手続きを進めましょう。

1. 金利は高め
2. 借入限度額は少なめ
3. 保証が必要な可能性

1.金利は高め

銀行融資と比較して簡単な審査でスピーディに融資を実行してくれるのが、ビジネスローンのメリットです。
しかし貸し倒れリスクも高いので、金利は高めに設定される傾向があります。

事業融資の金利相場を見てみると、日本政策金融公庫が0.3~2%程度です。
銀行融資は2%台が相場とされます。
ビジネスローンは10~18%が相場なので、公的融資や銀行融資と比較してかなり高めといわざるをえません。
企業が長期的に利用していく借入先として考えると、利息が高額となってしまい長期的には経営に影響する場合も考えられるでしょう。

2.借入限度額は少なめ

借入限度額も限定的です。
ビジネスローンは数十万円から、おおよそ数百万円程度の融資にとどまります。

日本政策金融公庫の中小企業向けの融資額は、4,800万円です。
特定設備資金が認められれば、7,200万円までの借入も可能です。
銀行融資に至っては最高1億円程度の商品もあり、ビジネスローンは限定的な融資にとどまることがご理解いただけるでしょう。

3.保証が必要な可能性

ビジネスローンでは無担保・無保証人で申し込みできるのがメリットと、ここまでに紹介しました。
ただしすべてのケースで不要とは限らない点には、注意が必要です。

銀行のビジネスローンをはじめとして、比較的金利が低く、ビジネスローンの中では多額の融資に対応している商品もあります。
このようなところで申し込む場合には、担保や保証人をつけるように求められる可能性が出てきます。
もし保証人を自前で用意できない場合には、信用保証協会による保証が前提になるかもしれません。

企業が利用するうえでビジネスローンを比較する際のポイント

ビジネスローンは金融機関や信販会社、消費者金融とさまざまな業者が提供するサービスです。
その中でもどこに申し込めばよいか、迷うかもしれません。
企業が利用する際、ビジネスローン選びのポイントとして、以下の項目を比較しましょう。

1. 金利
2. 借入限度額
3. 審査スピード
4. 融資対象
5. 申し込み方法

1.金利

比較ポイントとして外せないのは金利でしょう。
銀行融資と比較すると高めに設定されがちなものの、ビジネスローンの中でも利率はピンキリです。

少しでも低金利のビジネスローンに申し込んだ方が、後々の返済負担も軽減されます。
低金利なら利息支払いも少なく抑制できるからです。
とくに企業の場合はそれなりにまとまった金額の融資を希望する場合が多いため、1~2%の金利差で返済総額が大きく違ってくることもありえます。

2.借入限度額

借入限度額の上限がいくらかも、商品によってまちまちです。
数十万円程度の少額であれば、どこでも問題はないでしょう。

しかし企業で融資を受ける場合にはある程度まとまった金額のローンを組むことになることが多いため、上限をきちんとチェックすべきです。
各ビジネスローンの上限額を見てみると、500万円までという商品が多いものです。
しかし一部1,000万円以上の高額融資に対応しているものも見受けられます。
中には1億円まで貸し出しOKとしている商品も見られるため、複数の商品を確認しましょう。

3.審査スピード

申込から融資実行されるまでにどのくらい時間がかかるのかも、比較ポイントのひとつです。
できるだけ早く現金を確保したいと思っている企業は、優先順位のトップにすべき項目です。

ビジネスローンの中にはスピーディな融資に対応しているところもあれば、それなりに時間のかかるところもあります。
できるだけ早くお金を借りたいと思うのであれば、消費者金融系のローンがおすすめです。
即日融資に対応しているような商品も、しばしば販売されているからです。

中には最短60分で審査の完了するのが、売りとしている商品もあります。
即日融資に対応しているかどうかも、チェックポイントのひとつになりえます。
また、消費者金融系ローンを企業で借り入れをする際には、利用条件に合致しているかどうかも確認してから申し込みましょう。

4.融資対象

融資対象がどうなっているかも、比較しておきたいところです。
ビジネスローンは企業や個人事業主など、事業を営んでいる人向けの金融商品です。
しかし個別商品を見てみると、対象を限定しているようなものもあります。

法人から個人事業主まで幅広く募集している商品もあれば、法人もしくは個人事業主に限定した商品も見受けられます。
自分が申し込みできるのか、条件を申し込み前に確認しておいてください。

また企業などの法人でも個人事業主でも申し込み可能な商品の中には、条件が異なるものもあります。
法人の代表者か個人事業主かで、年齢条件などが変わってくる商品もあります。
見落としのないように注意しましょう。

5.申し込み方法

申込方法についても比較しましょう。
ビジネスローンの中には、来店して申し込まないといけないものも少なくありません。

一方で近年、電話もしくはWeb申込かつ来店不要で、借り入れできるようなローンも出てきています。
企業で事業を営んでいると、なかなか金融機関や貸金業者に来店できないという方も多いでしょう。
とくに金融機関の場合平日のみ、しかも午後3時くらいで閉店してしまうところも少なくありません。
平日の日中は仕事が忙しくて、銀行に行く時間を見つけられない方も多いでしょう。

Web完結するようなビジネスローンであれば、そのような手間をかける必要がありません。
融資はこちらの指定する口座に振り込まれるものが多いものです。
また返済についても、最寄りのATMで手続きできるようなビジネスローンもあります。
あまり頻繁にお店に行けない人は要チェックといえるでしょう。

企業向けのビジネスローンのまとめ

企業の資金繰りの方法として、銀行融資のほかにも今回紹介したようにビジネスローンで借り入れるアプローチもあります。
審査がスピーディで比較的早く借り入れできる、担保や保証人を用意しなくてもよい商品が多いなどの、メリットがあります。
一方高金利で、多額の融資には対応していないなどの注意すべきポイントもありました。
企業でビジネスローンを利用する場合には、銀行融資実行までのつなぎ融資などで活用するのはいかがでしょうか。