会社を設立して1年未満と、起業してまだ間もない企業の場合資金調達は悩ましい問題でしょう。
1年未満だとまだ経営が軌道に乗っていなくて、大きな利益を上げるのも難しいものです。
1年未満の企業が資金調達する場合、どこから現金を引き出すかがポイントになります。
ここでは1年未満の企業が資金調達する方法について、詳しくみていきましょう。
目次
創業1年未満が資金調達するのは難しい?
創業1年未満の企業が資金を集める方法として、いくつかの方法が考えられます。
1. 銀行融資
2. 日本政策金融公庫の新創業融資制度
3. 信用金庫からの融資
しかしいずれの方法も、問題点があります。
それぞれ詳しく以下で解説していきましょう。
銀行融資
企業がお金を借り入れるにあたって、銀行からの融資はまず考えられる候補です。
しかし結論からいうと、創業1年未満の企業が借り入れるのは実際問題難しいものです。
銀行は低金利で、億単位のまとまった資金の融資にも対応しています。
そのためより確実に債権回収できる、信用できる企業を相手にして貸し出しているのです。
大企業や業歴が長く、経営基盤の安定した企業を主に対象としています。
業歴1年未満だと、やはり先行きは未知数であることが否めません。
もちろん融資してくれるところもあるかもしれません。
しかし現実的には難しい方法と、言わざるを得ないでしょう。
日本政策金融公庫の新創業融資制度
日本政策金融公庫では、新創業融資制度に基づく融資を行っています。
新創業融資制度は新たに事業を始める方、もしくは事業開始して税務申告を2期終えていない企業が対象です。
つまり創業1年未満の企業も融資対象です。
ただし創業1年未満の場合、自己資金要件を満たす必要があります。
創業時に創業資金総額の1/10以上の、自己資金が確認できなければなりません。
新創業融資制度では最高3,000万円、うち運転資金1,500万円までの融資に対応しています。
こちらなら借り入れも可能かもしれません。
しかし融資を受けるまでに、かなりの時間がかかります。
申し込みをしてから融資実行まで、数か月単位はかかると考えてください。
また自治体で制度設計が行われています。
自治体によっては制度が複雑で手続きするのが難しい側面もありますので、注意しましょう。
信用金庫からの融資
信用金庫からの融資も選択肢のひとつです。
信用金庫は同じ金融機関ではあるものの、銀行と比較するとハードルはかなり低くなっています。
信用金庫は地域密着型の営業をしていて、地元の企業を育成する方針を掲げているところが多いのです。
このため創業間もない1年未満のようなスタートアップ企業に対しても、積極的に資金を貸し出しているところも多くあります。
ただし信用金庫から借り入れるためには、さまざまな書類を準備しなければなりません。
事業計画書や資金繰り表、試算表などが必要になります。
このような書類の手配がスムーズにできるのであれば、地元の信用金庫に一度相談してみる価値はあるでしょう。
創業1年未満でビジネスローンは利用できる?
上で紹介した資金調達方法以外に、ビジネスローンを活用する方法もあります。
ビジネスローンとは事業者向け融資のことです。
法人以外にも個人事業主を対象にして、貸し出しを行っています。
このビジネスローンで1年未満の業歴の企業でも、資金調達できるかについてみていきましょう。
原則は2年以上の実績が必要
ビジネスローンを利用するためには、原則2年以上の事業実績のあることが条件です。
というのも必要書類の中に、直近2期分の決算書もしくは確定申告書が含まれているからです。
ただしビジネスローンの中には、2年未満でも融資を行っているところもあります。
2年未満でも申し込み可能かどうか、ホームページで確認してください。
申し込み条件に「事業開始から2年以上経過している」や、もしくは「2期分の決算書もしくは確定申告書を提出する」といった文言がなければ、借り入れ可能かもしれません。
1年未満は審査が厳しくなる傾向
1年未満の事業者に対して融資を行っているビジネスローンも、もちろんあります。
しかし業歴が短いので、審査はやや厳しくなる傾向のあることは、理解しておきましょう。
1年未満の場合、企業の実力は未知数です。
このためお金を貸し出しても、きちんと返済してくれるかわかりません。
このようなところを嫌って、より慎重に審査する必要があるわけです。
また業歴1年未満の場合、決算書や確定申告書も用意できないでしょう。
どのように審査を行うのか、それは事業開始から現在までの売り上げ・収益の推移、今後の経営計画などで審査します。
代表者個人のこれまでのキャリアや、資産なども考査されます。
1年未満の事業者に対してビジネスローンの審査は、少し厳しめであるのは確かです。
しかししっかりとした事業計画を用意し、担当者を説得できれば融資を受けられる可能性は十分あります。
ビジネスローンを利用するメリット
起業して1年未満の経営者が資金繰りを進めるにあたって、ビジネスローンを利用するのもひとつの方法です。
ビジネスローンを利用するにあたって、さまざまなメリットがあります。
主なメリットとして、以下のようなポイントが考えられます。
1. 融資までスピーディ
2. 担保・保証人不要
3. 来店不要で申し込める
4. 審査が甘い
それぞれどのようなところがメリットか、具体的にここで解説しましょう。
融資までスピーディ
ビジネスローンの最大のメリットは、申し込みから融資までが早い点です。
ビジネスローンはかかっても、1~2週間後には融資が実行されます。
中には最短即日融資を謳っているところもあるほどです。
信用金庫や日本政策金融公庫でも、1年未満の企業に対して融資を行っているところはあります。
しかしこのようなところに申し込んだ場合、下手すると融資実行まで数か月単位で待たないといけません。
中には今すぐに現金を確保しないといけない場合もあるでしょう。
緊急性を要する資金調達の場合には、ビジネスローンの利用を検討しましょう。
担保・保証人不要
ローン会社によって若干対応が異なるものの、ビジネスローンは基本担保や保証人は不要です。
お金を借りたいけれども、担保として差し出せる不動産などを持ち合わせていない場合でも、申し込みできます。
ただし法人が申し込む場合には、法人の代表者が連帯保証人となる必要があります。
その点は注意が必要です。
来店不要で申し込める
ビジネスローンの中には、来店不要で契約できるような商品も見受けられます。
ローン会社にもよるものの、Webや電話、ファックスなどで手続きできるものもあります。
わざわざ店舗に出向く必要がないので、仕事が忙しくてなかなか来店できない事業者にとって、おすすめです。
またWebなどで手続きが完結すれば、近くにお店がなくても申し込みが可能です。
それだけ選択肢も広がるため、よりよい条件のところで借入できるでしょう。
Web完結の場合、審査通過すれば法人の口座に必要な資金が振り込まれる形で、融資実行されます。
もしくはコンビニATMなどで、借入できる場合もあります。
返済についてもローン会社の口座に振り込む、ATMの利用など来店が一切不要な商品も少なくありません。
審査が甘い
業歴1年未満の企業に対するビジネスローンの審査は厳しめと、ここまでで紹介しました。
しかし相対的にみるとビジネスローンの審査は、ほかの資金調達方法と比較すると甘めといわれています。
たとえば赤字決算でも、融資してくれる可能性があります。
銀行融資の場合、赤字決算など事業悪化しているところへの融資は嫌がるものです。
ビジネスローンでは年間売り上げをベースに、債権回収できるかを審査の中で重視します。
貸し倒れの起こらない可能性が高ければ、たとえ債務超過でも融資を検討してくれる場合もあるわけです。
日本政策金融公庫や銀行の審査では、税金や公共料金の支払い状況も考査されます。
もし税金や公共料金で滞納があれば、審査落ちになります。
しかしビジネスローンの場合、納税証明書を提出する必要のない商品もあるのです。
このため税金の未納があっても、審査に影響しません。
ビジネスローンは銀行融資の難しい、中小企業のための商品です。
そのため銀行よりも審査基準を緩めにすることで、利用者を募集しています。
ビジネスローン利用時の注意点
ビジネスローンはスピーディに融資してくれる、審査が甘いなどのメリットがあります。
しかしその反面、注意しなければならないポイントもいくつかあるのです。
その中でも特におさえておきたい注意点として、以下のような項目があります。
1. 金利が高め
2. 利用限度額は少なめ
具体的にどのようなところへ注意する必要があるかについて、詳しくみていきましょう。
金利が高め
審査を緩めに設定しているビジネスローンは一方で、金利は高いので注意が必要です。
審査が甘いぶん、貸し倒れのリスクは高くなります。
そこで金利を高めに設定することで、債権が焦げ付き大きな損害も出ないように、リスクマネジメントしているわけです。
ビジネスローンの上限金利を見てみると、15~18%が相場となっています。
業歴1年未満、初めて申し込む場合には上限金利か、それに近い金利に設定される可能性が高いのです。
銀行融資の上限金は2%相場といわれているので、かなりの高利であることがご理解いただけるでしょう。
もしビジネスローンを利用するのなら、資金的に余裕があれば返済に優先的に回すことがポイントです。
返済期間が長くなれば、それだけ余計に利息を支払わないといけないからです。
利用限度額は少なめ
ビジネスローンではそこまでまとまった金額の融資には対応していない点も、留意してください。
ローン会社によっても変わるものの、300~500万円を上限としているところが多いのです。
銀行融資の場合何千万円単位、中には1億円前後の融資に対応している商品もあります。
少額貸し出しであることがわかるでしょう。
とくに業歴1年未満の場合、信用力がまだないでしょう。
融資限度額500万円のビジネスローンでも、審査の結果次第では実際に借入できる金額は、さらに少なくなるかもしれません。
起業1年未満でより確実に審査通過するコツ
ビジネスローンは審査が緩いといわれているものの、起業1年未満の場合確実に融資が受けられる保証はありません。
しかし少し工夫すれば、審査通過の可能性を高められます。
その方法として主に、以下のようなポイントがあげられます。
1. ノンバンク系のビジネスローンを利用すべし
2. 返済能力のあることをアピール
3. 担保や保証人を用意する
なぜ以上のポイントが審査に有利に働くか、具体的に見ていきましょう。
ノンバンク系のビジネスローンを利用すべし
ビジネスローンを提供しているところはさまざまとあります。
大きく分けて銀行系と、ノンバンク系に分類できます。
銀行のほうが金利は低いものの、そのぶん審査は厳しめといえるでしょう。
ノンバンクは銀行と比較して、審査が甘めといわれています。
1年未満で業歴が短く、審査に受かるかどうか不安というのであれば、ノンバンク系のビジネスローンの中から申し込み先を絞り込みましょう。
ただしノンバンク系は金利が高めに設定されております。
できるだけ早めに、借り入れたお金は返済しましょう。
返済能力のあることをアピール
ローン会社が審査をするのは、貸し出したお金を確実に返してもらえるかを判断するためです。
そこで返済能力のあることを積極的にアピールすれば、融資を受けられる確率も高まります。
もし業歴1年未満でもきちんと利益を出せているのであれば、その資料を提出しましょう。
たとえ利益の出ていない場合でも、事業計画書を作成すれば有効かもしれません。
そこで融資を受けられればどのように活用して、どういった形で収益を上げるかなどを、具体的に示しましょう。
そうすれば先方も納得してくれて、融資を実行してくれるかもしれません。
担保や保証人を用意する
ビジネスローンは担保や保証人を用意しなくても、申し込めるのが魅力です。
しかし担保や保証人を用意することで、審査を有利にできます。
担保というと、不動産をイメージする人もいるかもしれません。
しかし不動産以外でも車や株券、国債なども担保にできるので、何か差し出せるものはないかチェックしてみましょう。
また余裕があれば、保証人を立てることでも審査を有利に働きますので検討しましょう。
業績1年未満の法人がビジネスローンを使う方法のまとめ
業歴1年未満とまだ実績のない法人に対して、なかなか資金を融通してくれるところはないかもしれません。
とくに銀行融資は厳しいでしょう。
ほかの資金調達方法もあるにはあるものの、融資までに時間がかかるなど問題もあります。
ビジネスローンなら、最短即日融資に対応しています。
また銀行融資と比較すると、審査は甘めといわれているものです。
業歴1年未満だと少し厳しく見られるかもしれません。
しかし今すぐ現金を確保する必要があれば、ビジネスローンの利用も検討しましょう。