商業や工業など、さまざまなことを行う事業者は「人手が足りない」「来年も経営できるか」「人がすぐやめてしまう」など沢山の問題に悩まされることでしょう。
その中でも、事業のために融資を受けるべきか受けないべきかを悩む人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、融資を受けるべきか悩んでいる人へ向けて、融資を受けるべき3つのメリットと5つのデメリットをテーマにして解説していきます。
この記事では、メリットやデメリットについて理解できるだけでなく、おすすめの融資方法や逆におすすめしない融資方法についても解説しています。

事業者が融資を受けるメリット3選

事業者が融資を受けるメリットは3つあります。

・資金繰りが良くなる
・事業展開が早くなる
・融資を受けた実績が作れる

融資(別名:借金)は、世間の声を聞くと「怖い」「絶対にしたくない」などネガティブな声が多いですが、事業をするにおいてはメリットになるケースがあります。
そこで今回は、メリットを3つピックアップして具体的に説明していきます。

1資金繰りが良くなる

1つ目のメリットとして融資を受けられると、資金繰りが良くなることが挙げられます。
理由は、事業に回せる運転資金が増えるからです。
事業にもよりますが、物販業では、運転資金が増えると売上が増えます。
仕入量が増え、出品できる個数が増えるからです。
また、世の中には資金がないことが原因で、利益が出ているにもかかわらず倒産している会社も存在します。別名、黒字倒産です。
黒字倒産は「後継ぎがいなかった」「資金が足りなかった」など理由はさまざまですが、資金が足りないことに関しては、融資を受けることで解決できます。
以上の理由から運転資金を増やすために、融資をすることはメリットです。

2 事業展開が早くなる

2つ目のメリットとして、資金が多いことで事業展開の早さが上がることが挙げられます。
理由は、資金がないからと断念していたアイデアをすぐ実行に移せるからです。
ビジネスを行う上での基本として、競合は必ず発生します。
また、どれだけ良いサービスを作っても真似されてしまうのが一般的です。
では、どのように差別化していくのか?それは競合が始める前に事業展開をすることです。
競合が入る前に、事業を作ってしまう、または事業を展開してしまうことで他社との差別化につながり認知度も上がります。
そのため、事業展開のために融資をして運転資金を増やすことは大きなメリットです。

3融資を受けた実績が作れる

「融資を受けた」という実績を作れます。
実績があることで、会社の業績が悪いときでも、融資してくれる可能性が高くなります。
銀行は、通常の審査だけでなく、過去に融資を受けた経験があるかなど、信用に値する人なのかを調査するからです。
融資を受けた経験があるということは、完済できる能力がある、資金があるなどと捉えられますので銀行としても信用しやすい人材です。
また、銀行から融資をした経験があることで、上記のように信用ができる人と見なされ、借り入れまでの期間が短縮されるケースも存在します。

事業者が融資を受けるデメリット5選

融資を受けるメリットがあるようにデメリットも存在します。

・借りた金額より多く返す必要がある
・返済義務がかかるためストレスになることがある
・融資がきっかけで経営が難しくなることがある
・審査が必須である
・保証人や担保を探すのに労力がかかる

融資したことをきっかけに多重債務することになってしまい、最悪の場合だと自殺するまで追い込まれてしまったケースも存在します。
新型コロナウイルス蔓延時には飲食店や観光業が多大な影響を受けました。
他にも日本は地震大国とも呼ばれており、またいつどのような災害が来てもおかしくない時代です。
災害は突発的に発生する場合がほとんどであるため、防ぎようがありませんが、起きた後どうなるかを具体的な行動を含めて考えておくと良いでしょう。
そこで融資を受けるメリットだけでなく、デメリットについても紹介していきます。

借りた金額より多く返す必要がある

デメリットの1つとして、借りた金額より多く返済する必要があることが挙げられます。
銀行も事業の一環として融資しているため、無料で貸してくれることはまずありえません。
銀行は、貸付する金額や期間に応じて、返済額とは別で貸付した額に対する利息を得て経営が成り立っているからです。
たとえば、1000万円を年利1.40%で借りたとすると14万円が銀行の利益となり合計1014万円の返済義務があります。
上記では、1000万円で計算しましたが、借り入れ金額が1億円となる場合もあります。
借りる金額が多くなればなるほど、その分払うべき利息額も多くなる点はデメリットといえるでしょう。

返済義務がかかるためストレスになることがある

多額の融資を受けると、ストレスになることがあります。
日々の生活の中で融資額(借金)が何千万円、何億円となることはあまりありません。
ほかに、一括返済(繰り上げ返済)を試みても、銀行から断られるケースも存在します。
理由は、銀行もいつ頃にどのくらいの金額が返済されるか、融資額、利息利益を考えながら、個人や企業に融資をして経営しているからです。

銀行の経営は、個人や企業に莫大なお金を貸して、その利息額で成り立っています。
そのため、一括返済を断るケースが多くなっています。
また、借金を繰り返すことによって、借金が当たり前になってしまうなど、さまざまな理由で人の心に影響を及ぼすため注意が必要です。

融資がきっかけで経営が難しくなることがある

3つ目は経営が難しくなることです。
融資をきっかけに、経営が厳しい状態に陥ったり最悪の場合、倒産することは珍しくありません。
融資を受けるということは、言い換えるなら借金をすることと同義です。
そのため、当たり前の話ですが、毎月の返済義務が発生します。
それをきっかけに、会社の利益が返済額を上回っている状態なら問題ありませんが、下回ってしまったときに経営が難しくなるケースがほとんどです。
また、返済は数年単位でしていくため、近年話題になっている新型コロナウイルスのような突発的な災害がまた起こることも考えられます。
そういったことも考えて、借り入れ金額を調整しなければならないこともデメリットといえるでしょう。

審査が必須である

融資を受けるデメリットは審査が必須な点です。
銀行は、会社の利益や総資産、実績などから返済能力があるかを審査する義務があります。
これは貸金業法第13条(返済能力の調査)によって定められていて、守るべき法律です。
他にも、銀行からしても返済が行われないと銀行経営に影響を及ぼすため、さまざまな方面から審査しています。
そのため、融資まで時間がかかることがほとんどです。(過去に融資を受けた実績があるなどを除く)
また、事業者は会社員と比べて審査が厳しくなります。
収入が安定しないため、完済できるかという目線で見られてしまうからです。
以上の理由から、早くお金を借りたい事業者、他にもブラックリストに入っている人にとっては大きなデメリットといえます。

保証人や担保を探すのに労力がかかる

デメリットとして、融資を受けるために保証人や担保が必要なケースがあります。
保証人や担保が必要なケースは、資産額が足りなかったり、会社を創業する資金のためなど人によって状況はさまざまです。
保証人を探すうえで家族や友達に話しづらい人もいるでしょう。
話すのに気を使ってしまったり、ストレスが溜まり、精神的に参ってしまうことがあると思います。
保証人や担保となるものがすぐに見つかれば良いですが、そう簡単でもなく見つからない場合もあるため労力が必要です。

事業者にはおすすめしないお金の借り方

事業者がお金を借りる方法としておすすめしないことがあります。
それは以下2つです。

・消費者金融
・事業者融資における個人間融資

世の中には、色々なお金の借り方が存在します。
それは、事業者がお金を借りる場合でも例外ではありません。
お金の借り方(融資)を失敗すると、自分の本来受けられるメリットが得られないことや業績が悪化してしまうこと。最悪の場合、会社を倒産せざるを得ない状況へと追い込まれます。
そうならないためにも、事業者がお金を借りるうえでおすすめしない方法を2つピックアップして、何がいけないのか具体的に解説していきます。

消費者金融は利用しない

1つ目は、近年生活費を目的に利用者が多くなっている傾向にある消費者金融です。
消費者金融をおすすめしない理由は、金利が高いからです。
誰もが知っている代表的な消費者金融から借りようとすると、年利6.0%から18.0%(金額次第)の利息を払うこととなります。
しかし、銀行などの日本政策金融公庫から融資できれば、年利1%から2%と低金利で借り入れが可能です。
事業者が融資を行うにおいて、無駄なお金をいかに払わないで経営するかが大切になってきます。
そのため、消費者金融などの高金利な融資はおすすめしません。

事業者融資において個人間融資は絶対に利用しない

事業者だけでなく、個人でもそうですが、匿名で利用できるSNSやインターネット掲示板で募集されている個人間の融資は絶対に利用してはいけません。
理由は、予期もしていないトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるからです。
また、闇金である可能性や違法で営業している可能性も0ではありません。
実際に個人間融資を利用してしまいトラブルにあった人もいることから、注意喚起もされています。
審査がないから「はやく」「気軽に」借りられることが魅力と考えている人もいますが大変危険です。
また、審査なしを謳っている業者は違法になるので利用しないよう注意してください。

事業者が受けるべきおすすめ融資3選

今までメリットやデメリットに話してきましたが、ここからは実際に事業者が利用できる融資を3つに分けて解説します。

1.日本政策金融公庫からの融資
2.信用金庫(信用組合)からの融資
3.自治体制度を利用する

日本政策金融公庫からの融資

日本政策金融公庫の融資方法は大きく分けて3つに分けられます。

・国民生活事業…個人規模や小規模向け
・中小企業事業…中小企業向け
・農林水産事業…農林漁業や国産農林水産業向け

利用者が多いのは「国民生活事業」と「中小企業事業」です。
国民生活事業は、1000万円以下の小規模または短期の運転資金として利用する人におすすめです。
中小企業はその名の通り中小企業向けとなっており、平均で1企業あたり1.3億円の融資を受けています。
また、審査は日本政策金融公庫のみで行なわれているため、3週間ほどでお金を借りられます。

信用金庫からの融資

2つ目として、信用金庫からの融資を受ける方法があります。
信用金庫とは、中小企業や個人事業主向けの金融機関です。
また、創業時や初めて融資を利用する人に向いている金融機関となっています。
注意点としては、信用金庫の審査は、信用金庫だけでなく信用保証協会の許可が必要な点です。
そのため、融資まで約2ヶ月から3ヶ月の時間を要してしまいます。
はやく融資を受けたい人には、不向きな融資方法でしょう。

自治体制度を利用する

3つ目は、地方自治体制度を利用して、融資を受ける方法です。
特徴としては、地方自治体が介入しているため、銀行や信用保証協会の審査が通りやすい傾向にあることが挙げられます。
理由は、自治体としても、企業が増えることは街の繫栄に繋がるからです。
そのため、自治体は融資を受けたい人を前向きに支援しています。
デメリットとしては、「自治体」「金融機関」「信用保証協会」の3者が絡むため
審査に時間がかかる点です。
具体的には、融資の申し込みから実行まで1~2ヶ月ほどかかります。

事業者融資メリット・デメリットのまとめ

この記事では、事業者が融資を受けるメリットとデメリットをテーマにして解説してきました。まとめると以下の通りです。

事業融資が融資を受けるメリット
1.資金繰りが良くなる
2.事業展開が早くなる
3.融資を受けた実績が作れる

事業融資が融資を受けるデメリット
1.借りた金額より多く返す必要がある
2.返済義務がかかるためストレスになることがある
3.融資がきっかけで経営が難しくなることがある
4.審査が必須である
5.保証人や担保を探すのに労力がかかる

事業者が融資を受けることで得られるメリットは大きいですが、その分デメリットなどリスクの部分も大きくなります。
すべての物事は必ずメリットがある一方でデメリットも存在します。
それは事業者が融資を受けることにおいても例外ではありません。
そこで一番大切になってくるのは、情報収集能力です。
「自分が今どのような状況」で「何をしたいか」をしっかりと理解したうえで考え、融資を受けるべきかを決めることをおすすめします。