不動産担保ローンを法人が活用する方法を解説します。不動産担保ローンは法人にとっては、低金利で多くの資金調達が可能なため、新規の設備投資や運転資金、税金の支払いなどにとても便利です。今回は不動産担保ローンのメリット・デメリットなどを紹介しながら、不動産担保ローンを法人が利用する場合に注意する点やポイントについて解説します。

目次

不動産担保法人向けローンとは?

不動産担保法人向けローンとは、法人を対象にした不動産を担保にした融資方法です。不動産の価値をデポジットとして資金提供を受けるため、無担保無保証系の融資と比べると審査に通りやすいと言われており、不動産の価値次第では大きな資金融通が可能です。

不動産担保ローン法人向けのニーズとは

不動産担保ローンの法人向けのニーズにはどのようなものがあるのでしょう。様々な利用ニーズがありますが、大まかなところでは次の4点が考えられます。

1.開業資金
2.運転資金
3.納税資金
4.つなぎ資金

以下、詳しくみていきましょう。

1.開業資金

開業資金には多くの現金が必要ですが、不動産を持っているのなら不動産を担保に資金を調達することができます。

2.運転資金

開業後に軌道に乗るまでは不安定なので、潤沢な運転資金が必要です。不動産担保ローンで資金を融通できると事業に余裕が生まれます。

3.納税資金

法人の場合は法人税や法人事業税、消費税などいろいろな税金を支払う必要があります。納税のための資金を確保しておけば慌てることはありません。

4.つなぎ資金

前年度の業績が悪いなどで資金が途切れがちになった時のつなぎ資金に不動産担保ローンは非常に役立ちます。

不動産担保ローン法人向けのメリット

不動産担保ローン法人向けには様々なメリットがあります。

1.利用限度額が大きい
2.無担保ローンよりも担保がある分審査がゆるい
3.幅広い資金使途に利用できる
4.返済期間が長めで、返済負担を軽減しやすい
5.金利が低め
6.赤字決算など融資が受けらえない状態でも追加融資の可能性がある
7.担保用の不動産の資産価値が高ければ優遇の可能性も

上記、7項目について詳しくみていきましょう。

1.利用限度額が大きい

利用限度額が他の融資よりも大きくなる傾向があります。理由は申込者(法人)の信用度に加えて担保としての不動産の価値が加わるからです。

2.無担保ローンよりも担保がある分審査がゆるい

担保を拠出すると、無担保ローンより審査が緩めと言われています。金融機関にとって貸した金を利息をつけて確実に回収できるかが重要であり、無担保の場合は最悪の場合お金が戻ってきません。しかし不動産を担保に拠出しているので、最悪の場合に不動産を売却することで資金回収が可能だからです。

3.幅広い資金使途に利用できる

銀行融資の場合は使途が限定される場合が多く、事業者なら事業とは直接関係のないものに対しての使途は制限されるのが一般的です。しかし、不動産担保ローンの場合は、不動産を担保にしていることもあり、資金の使途は比較的自由に行えるというメリットがあります。

4.返済期間が長めで、返済負担を軽減しやすい

不動産担保ローンの場合は、一般的な銀行融資などと比べて返済期間が長めに設定されていることが多いです。そのため返済への負担が軽減しやすいというメリットがあります。

5.金利が低め

不動産担保ローンは、通常の融資と比べて金利が低めに設定される場合が多いです。

6.赤字決算など融資が受けらえない状態でも追加融資の可能性がある

通常赤字決算や税金を滞納しているといった状況であれば融資はできません。しかし、不動産を担保に資金調達を行う不動産担保ローンの場合は、不動産の価値が高いものであれば、融資をしてくれます。

7.担保用の不動産の資産価値が高ければ優遇の可能性も

不動産担保ローンで拠出する不動産の資産価値にもよりますが、都会の一等地にあるもの等、その価値が非常に高い場合は、融資の上限金額や金利が安くなるなど通常以上に優遇をしてもらえる可能性があります。

不動産担保ローン法人向けのデメリット

不動産担保ローンで、注意すべきデメリットにはどのようなものがあるのでしょう。

1.審査に時間がかかる
2.手数料などの費用がかかる
3.返済滞れば担保用不動産を失う場合もある
4.担保用の不動産に資産価値が見られなければ審査に落ちることも

上記5項目について詳しくみていきましょう。

1.審査に時間がかかる

不動産担保ローンの場合、通常の融資と比べて審査に時間がかかります。審査は法人の信用度に加えて、不動産の資産価値を調査するためその分余計に時間がかかります。

2.手数料などの費用がかかる

無担保無保証の融資の場合は、法人の決算書などで法人の信用度だけが調査のため、通常手数料はかかりません。しかし、不動産担保ローンの場合は不動産の価値を調査しなければならず、その分経費が余分にかかるため、一定の手数料がかかります。

3.返済滞れば担保用不動産を失う場合もある

不動産担保ローンで返済に滞りが起きてしまった場合は、担保として拠出している不動産を競売にかけられてしまい、その金を借金の穴埋めに使われるので、不動産を失う恐れがあります。

4.担保用の不動産に資産価値が見られなければ審査に落ちることも

不動産であればなんでもよいわけではありません。山間部にある土地の場合や、僻地に点在しているような不動産の場合、資産価値が低いと判断される場合があり、場合によっては担保として認められない場合があり、別の担保を用意できなければ審査落ちになります。

不動産担保ローン法人向けの審査に必要な書類

不動産担保ローンの審査に必要な書類を確認しましょう。

1.代表者本人確認書類
2.決算書
3.固定資産評価証明書(名寄台帳)
4.各種納税証明書

4つの書類について詳しくみていきます。

1.代表者本人確認書類

不動産担保に限らず、融資を申し込む場合は法人代表者の確認書類が求められます。

2.決算書

法人企業としての事業成績がわかる決算書は、審査の重要な書類です。ただ不動産担保がある場合決算書が赤字だとしても審査に落ちるとは限りません。

3.固定資産評価証明書(名寄台帳)

担保として拠出する不動産(固定資産)が、どのようなものであるか、そしてどのくらいの資産価値があるのかがわかる評価証明書の提出が必要です。

4.各種納税証明書

法人がしっかり納税しているかどうかの証明書の提出が必要です。

不動産担保ローン法人向けの審査の流れ

不動産担保ローン法人向けの審査の流れを確認しましょう。

1.お申込み
2.書類提出
3.審査
4.ご契約
5.お借入れ

金融機関によって多少の差はありますが、おおむね上記5点の流れになります。

1.お申込み

不動産担保ローンの申し込み段階です。ここで融資希望額などを担当者に伝えます。

2.書類提出

金融機関から指定された書類を提出します。書類には不備が無いように注意しましょう。

3.審査

金融機関の審査が行われます。法人企業としての信用度と、担保として拠出された不動産の資産価値をチェックします。

4.ご契約

審査に通れば契約になります。契約書類に目を通して問題なければサインや捺印を行います。

5.お借入れ

契約が終われば借り入れです。金融機関が認めた限度範囲内での資金が口座に振り込まれます。

不動産担保ローン法人向け審査で重視されるポイント

不動産担保ローン法人向けでの審査ではどのようなところが重視されるでしょう。

1.会社としての信用力
2.融資金額を左右する不動産の担保価値

大きくは上のふたつです。詳しくみていきましょう。

1.会社としての信用力

法人企業、会社としての信用力が審査されます。これは他の融資でも行なわれるもので、直前の決算書の内容や税金の滞納がない、法人の存続期間や成長度などが総合的に審査されます。

2.融資金額を左右する不動産の担保価値

不動産担保ローンの場合は、法人としての信用に加えて拠出された不動産の資産価値が審査の対象です。法人としての信用度に疑問があったとしても拠出した不動産に高い価値が見いだされれば融資の対象になりますし、逆に信用度が高くても不動産に価値が見いだされない場合、不動産担保ローンとしては審査落ちになる恐れがあります。

不動産担保ローン法人向けの選ぶコツ

不動産担保ローンを選ぶ際のコツを最後に紹介します。

1.担保が利用対象地域に入っているか
2.諸費用を計算して比較する
3.利用限度額が必要な金額以上か
4.金利と審査のバランス

以下、詳しく紹介します。

1.担保が利用対象地域に入っているか

不動産担保ローンの場合、担保として拠出可能な不動産の地域が決まっている場合があります。地域の対象外であれば、いくら資産価値の高い不動産であっても対応してもらえません。

2.諸費用を計算して比較する

無担保無保証の融資と比べて不動産担保ローンは諸費用がかかります。たとえ金利が低めで融資が受けられたとしても諸費用が高いと不動産を担保にしてまで融資を受ける意味が半減します。諸費用がどのくらいかかるかあらかじめ計算し、無担保無保証の融資と比べてどちらが有利か比較判断しましょう。

3.利用限度額が必要な金額以上か

不動産担保ローンは、他の融資と比べて利用限度額は高めの場合が多いです。それでも上限があり、もし限度額が必要な金額以上かどうかは事業の計画への影響があるため重要です。利用限度額が必要な金額以下であれば、追加の担保で実現可能なものかどうか、金融機関に相談しましょう。

4.金利と審査のバランス

金利の審査のバランスも意識しなければなりません。一般的に金利の低い融資ほど審査が厳しいからです。決算書などで出てくる財務状況や拠出する担保の不動産価値などを考慮したうえでのローンを申し込むようにしましょう。

まとめ

不動産担保ローンを法人で借りる場合は、限度額が高くなり金利も低くなるメリットがある一方、支払いに滞りが出た場合は、不動産を失うデメリットがあります。また審査に時間がかかり諸経費が掛かるのが不動産担保ローンなので、本当に不動産担保ローンが適切か、他の融資や資金調達方法が良いのかをしっかりと比較検討したうえで申し込みましょう。