信用保証協会に保証を断られた経験はないでしょうか。
保証つき融資は銀行の融資が受けられない場合に有用ですが、その審査も通らないとなると資金調達が困難です。
そこで今回は、保証つき融資を断られた場合に考えられる原因と対処法について解説していきます。
保証つき融資が利用できなくてお悩みの場合は、今回紹介する内容を問題解決に役立ててください。
目次
そもそも信用保証協会とは
信用保証協会は、中小規模の法人の資金調達を円滑にすることを目的とする公的機関です。
公的な機関である信用保証協会が返済を保証することによって、銀行などの融資が受けやすくなります。
これを「保証つき融資」と呼び、以下のメリット・デメリットがあります。
・比較的長期間の借入が可能
・原則として担保や保証人を用意する必要がない
・自社に合ったさまざまな保証制度が利用できる
・手数料がかかる
・審査に時間がかかる
一方、信用保証協会に保証されない融資を「プロパー融資」と呼びます。
プロパー融資は金利が低く利用限度額がないメリットがありますが、審査が厳しい傾向があり中小規模の法人が利用するにはハードルが高い場合が多いです。
こういったプロパー融資の審査に通りにくい事業者の資金調達をサポートするために信用保証協会が存在します。
信用保証協会は全国にあるので、利用者に対して地域密着型で保証業務を行えるのが特長です。
保証つき融資の仕組み
保証つき融資は借入金の返済が厳しい場合に、信用保証協会が代わりに金融機関への支払いを行います。
保証つき融資を利用する流れは以下です。(※は返済不能だった場合に発生)
1.融資を申し込む
2.金融機関と信用保証協会の両者で審査が行われる
3.審査に通った場合、借入が可能になる
4.金融機関に対して借入金の返済を行う
5.※信用保証協会が返済額を立て替え払いする
6.※信用保証協会へ返済する
弁済してもらったあと、一括で返済するのは難しい場合がほとんどのため、長期的な返済計画を立てて債務を返していくのが一般的です。
また、以下のような保証制度も利用できます。
・流動資産担保融資保証制度(ABL保証)
・借換保証制度
・東日本大震災復興緊急保証
保証つき融資はニーズに合わせた利用ができて、誰でも借入しやすいと言えるでしょう。
保証協会に保証を断られた場合に考えられる原因
中小規模の法人の40%超が利用しているというデータもある信用保証協会ですが、少なからず保証を断られるケースもあります。
ここでは、保証を断られた場合に考えられる原因について解説していきます。
経営不振
保証を断られる一番わかりやすい原因として、業績が良くないことが挙げられます。
利益が少ない状態や赤字経営だと、借入金を返せないリスクが高いと思われるかもしれません。
以下に当てはまると審査が通らない場合があります。
・ここ数年赤字が続いている
・債務超過
融資を申し込む前に、まずは自社の経営状況を確認しましょう。
事業計画が甘く返済能力がないと判断された
審査の際に提出する事業計画書が信用保証協会が納得のいく内容でなかった場合、融資を断られやすい傾向があります。
たとえば、以下のような内容だと審査が通らない場合があります。
・データの信ぴょう性が薄い
・数値の算出方法に根拠がない
事業計画書を説得力のある内容に仕上げないと返済能力がないと判断され、保証を受けにくくなる傾向があります。
金額や資金使途が妥当でない
保証つき融資を申し込む際に、希望する金額や資金の用途が妥当でない場合に審査に通らないケースが多いです。
信用保証協会では、借入金が事業資金として適切に使われるか慎重に審査しています。
保証が受けられなかった場合は、申し込んだ内容が妥当か客観的に考えてみてください。
・融資希望額が売上に対して高すぎないか
・資金使途に対する融資希望額が妥当か
・資金使途が曖昧でないか
赤字の回復やプライベートで使う目的での借入が疑われると、断られる可能性が高まるので注意しましょう。
自己資金額が足りていない
自己資金が足りないと、審査でネガティブな印象を持たれやすいです。
十分な自己資金が用意できないと、計画的な資金繰りができていないと判断される可能性があります。
自己資金額の目安は以下を参考にしてください。
・資金総額の1/3以上
・創業時は最低でも資金総額の1/10以上
確実に保証を受けるためには、ある程度の自己資金を用意する必要があるとを理解しておきましょう。
信用力がない
法人の信用力が足りない場合も、保証が受けられない原因になりかねません。
信用保証協会は、財務に明らかな問題があると保証を断る場合があります。
以下にあてはまる場合は、融資を受ける前に財務状況の改善を図りましょう。
・金融機関への返済を延滞している
・多額の借入を行っている
・社会保険料や税金の未払いがある
保証つき融資は、事業としての実績が少ない中小規模の法人でも利用できるメリットがありますが、客観的にみて信用力が低いと融資を断られる場合があるため注意が必要です。
既存の保証つき融資で問題があった
すでに保証つき融資を受けている場合、利用時に何かしらの問題が起きていると信用力や財務状況の不安定さを疑われて、審査に通らない可能性が高まります。
たとえば、以下の項目にあてはまる場合は要注意です。
・滞納
・返済のリスケジュール
・資金使途の違反
新規で融資が受けられないリスクが高まるので、利用中は違反や延滞などがないようにしましょう。
保証の対象外
そもそも保証の対象外であることから、審査に落ちてしまうケースも少なくありません。
保証つき融資の対象になるかは「業種」「規模」「区域」などで判断できます。
融資の対象外となってしまうのは、例えば以下の場合です。
・業種別の従業員数や資本金の条件にあてはまらない
・漁業・林業・農業などの業種
・申し込んだ信用保証協会の管轄区域外で事業を行っている
業種によってはそもそも対象外な場合もあるので、よく確認しておきましょう。
保証協会に保証を断られた際の対処法
保証つき融資を断られた場合の対処法について解説します。
保証資格をチェックする
まずは、自社が保証を受ける資格を持っているかチェックしましょう。
先ほど説明した通り、業種や会社の規模などが条件にあてはまらない場合、審査に通りません。
他にも、以下の点に注意してください。
・事業の許認可等がないと保証が受けられない
・保証制度によっては業歴の基準を定めている
公式サイトで確認できるので、そもそも保証の対象となるか最初に見ておきましょう。
断られた原因を調査し改善に努める
なぜ断られたかはっきりとしない場合、原因の調査から始めましょう。
自社だけで調べるのが難しい場合は、専門家に相談するのも有効です。
専門家に相談することで、以下のサポートが受けられます。
・断られるリスクの診断と対策の検討
・自社に合った金融機関の選定
・金融機関との交渉の補助
会社が抱える問題点を知って改善策を考えることができるので、審査落ちで困ったら専門家を頼ることも検討しましょう。
事業計画書の内容を見直す
事業計画書の精度を高めることも、保証つき融資に通るために重要なポイントです。
事業計画書についても、専門家に監修してもらうことで説得力が上がってより完成度が高まります。
事業計画書の精度を上げるには、以下の点を意識することが必要です。
・売上など予測数値の妥当性
・市場や競合の適切な分析
・事業の課題やその対策
根拠となるデータの提出や説明を求められた場合に、速やかに対応できるようにしておくと企業の信用度アップにもつながるでしょう。
保証協会に断られた場合に事業資金を調達する方法
保証つき融資を利用できない場合に事業資金を調達する方法について解説します。
ビジネスローン
事業資金を用意したい場合は、ビジネスローンを活用するのが効果的です。
ビジネスローンは事業資金の融資を目的としており、さまざまな金融機関で利用することができます。
ビジネスローンの特徴は以下です。
・スピーディな資金調達が可能
・総量規制の対象外
・金利が高め
・利用限度額が低め
信用保証協会の保証を断られた場合でも利用できる可能性があるので、審査が通るか不安な方はビジネスローンを検討してみてください。
法人カードローン
法人に対して融資可能な法人カードローンを利用するのも一つの手です。
銀行やノンバンクなどで取り扱っており、以下のような特徴があります。
・審査が早い
・比較的審査に通りやすい
・金利が高め
・利用限度額が低い場合がある
個人向けのカードローンと異なる点として、事業目的での利用に限られる場合が多いです。
そのため、保証つき融資と同様に資金使途に気をつけましょう。
ファクタリング
借入以外で資金を工面する方法として、ファクタリングが挙げられます。
ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらうことで資金調達する方法です。
ファクタリングの特徴には以下があります。
・自社の経営状態に関係なく利用できる
・資金調達が早い
・利用できるのは売掛債権の範囲内
・手数料がかかる
負債を増やすことなく事業資金を調達できるため、資金繰りに困ったらファクタリングも検討してみてください。
保証協会に保証を断られた場合のまとめ
信用保証協会は、中小規模の法人の資金調達をサポートするために設立された公的な機関です。
そのため、保証つき融資を利用している企業は多いですが、利用できないケースも確かに存在します。
保証を断られた場合、この記事の内容を参考に原因や対処法を検討し、問題の解決を目指しましょう。
保証つき融資以外に事業資金を工面する方法も紹介したので、審査が通らなくて困った場合にぜひ活用してみてください。