低金利な融資として、株式を担保にして借入を行う「株式担保ローン」を検討している方もいるかもしれません。
うまく活用すれば効果的な資産運用がかないますが、その分資産を失うリスクも高いため、十分注意して利用する必要があります。
そこでこの記事では、株式担保ローンの金利相場に加えてメリット・デメリットについて解説します。
株式担保ローンを有効活用したいとお考えの方は、今回紹介する内容をぜひ参考にしてください。
株式担保ローンとは
株式担保ローンは、保有している株式を担保にして借入を行う金融商品です。
株式を担保とするので、原則として保証人を用意する必要がありません。
株式を手放さずに融資を受けられるため、株式を保有した状態で資金調達したい場合に有効です。
株式担保ローンの金利の相場
株式担保ローンの金利は、大体1.5〜4.0%であることが一般的です。
個人向け商品のほかに、個人・法人どちらも利用できる商品もあり、それぞれの金利は以下のようになります。
• 個人向け商品の金利相場:年0.9〜4.2%
• 個人・法人向け商品の金利相場:年1.5〜3.8%
借入する金額によっては税制優遇が受けられる場合もあります。
金融機関や商品によって金利が大きく異なるので、自分に合った商品を探してみてください。
株式担保ローンのメリット
株式担保ローンのメリットは以下があります。
低金利で借入できる
株式担保ローンは、他の融資に比べて金利が低い傾向があります。
金融機関や商品による違いこそあるものの、基本的に年3%前後の金利で借入できるので、想像以上に利息がかさんでしまう心配がありません。
中には、金利が年1.0%前後の商品も存在するので、より低金利の融資を探している場合におすすめです。
審査が通りやすい
通常の融資に比べて、審査が通りやすいのも株式担保ローンのメリットです。
株式担保ローンは、株式を担保にすることで金融機関の貸し倒れリスクを軽減できるため、融資が受けやすい傾向があります。
一方、通常の融資の審査は厳しい場合が多く、申込者に問題があると審査に落ちてしまうケースも少なくありません。
株式担保ローンは、主に担保の価値を審査するため、申込者自身に不利な要素があったとしても審査に通る可能性が高いです。
迅速な資金調達が可能
株式担保ローンは比較的審査が早く、最短即日で入金される場合もあります。
提出書類が少なく手続きが簡単なため、住宅ローンや教育ローンなどの目的別の商品と比べて、借入までが早い場合が多いです。
そのため、株式担保ローンは急にまとまった資金が必要になった場合にも使いやすいと言えます。
レバレッジをかけた資産運用が可能
レバレッジを効かせた資産運用ができることも、株式担保ローンの特長です。
金融商品におけるレバレッジとは、借入を行うことで収益を高める効果が期待されることを指します。
たとえば、2,000万円分の株式を担保として1,000万円の運用資金を借入した場合、株式の配当のほかに1,000万円で資産運用した収益も得られる可能性があります。
株式担保ローンは、うまくいけば大幅に資産を増やせる場合があるので、効果的な資産運用をしたい方におすすめです。
株価が上がれば大口の融資を受けられる可能性がある
株式の価値が上がることで、株価に応じた融資額の借入が可能です。
通常の個人向け金融商品は「総量規制」により、年収の3分の1を超える融資は受けることができません。
しかし、株式を担保とする融資は原則として総量規制の対象外のため、株式の評価額によっては高額な借入ができます。
担保の価値が上がることで融資可能額が増える可能性があるのは、通常の融資にはない特徴です。
配当や株主優待を受けながら借入ができる
株式担保ローンは、株式を担保にしたあとも配当や株主優待を受けることが可能です。
株式を売却したわけではないので、配当金の受け取りや株主優待のサービスを今まで通り利用できます。
状況によっては株式を売却して資金調達するよりも有効な場合があるので、検討してみてください。
資金使途は基本的に自由
株式担保ローンで借入した資金は、原則として自由に使えるという特徴があります。
資金使途が限定されないことで、目的別ローンを別個に契約する必要がなくなり、株式担保ローンに一本化して利用することも可能です。
ただし、以下などのケースで借入金を使えない商品もあるので、事前に確認してください。
• 有価証券の購入費
• 保険の契約資金
資金使途が基本的に自由である株式担保ローンは、個人・法人問わず使い勝手が良いと言えるでしょう。
株式担保ローンのデメリット
株式担保ローンのデメリットは以下があります。
株式の種類や借入可能額に制限がある
株式担保ローンは、担保にする株式の種類によって借入できる割合が決められています。
現金の価値を100%とした場合、担保とする株式の価値は50〜60%程度と考えられるのが一般的です。
そのため、保有する株式に1,000万円の価値があったとしても500〜600万円ほどの評価となり、思ったように借入できない可能性があります。
また、NISA口座で保有しているものは担保の対象外となる場合があるので注意してください。
延滞時の利率が高めに設定されている
返済が滞った場合、借入金のほかに遅延損害金を支払う必要があります。
遅延損害金の利率は商品によって違いがあるものの、14.0%程度である場合が多いです。
遅延損害金の最大利率が14.6%なので、かなり高めの利率が設定されていると言えます。
延滞した日数分だけ遅延損害金が上乗せされてしまうので、なるべく延滞は避けましょう。
株式の価値変動リスクがある
株式担保ローンにおいて、担保にする株式の価値変動リスクは避けられません。
不動産などと異なり、数ヶ月後に株式の価値が大幅に下がる可能性もあります。
そのため、有価証券を担保にしたい場合は、投資信託などの価格変動リスクが比較的少ないものを選ぶのも一つの手です。
株式担保ローンは、突然担保の価値が落ちるリスクがあることに注意して利用しましょう。
株価が下落した場合に担保割れや売却のリスクがある
株式担保ローンでは、株式の価値が下落した際に担保割れが起こるリスクもあります。
担保割れは、担保の価値が融資額を下回る状態を指し、追加担保の差し入れや一部返済などをしなければいけません。
そこからさらに株価が下落すると、強制的に株式を売却される可能性もあります。
自社株を担保にしていた場合、売却されると会社の所有権にもかかわってくるため要注意です。
株式会社の倒産リスクがある
会社が倒産してしまうと、保有している株式の価値はゼロとなってしまいます。
株式担保ローンを利用していた場合、借入金をまとめて返済するか同価値の株式を担保として用意しなければいけません。
どんな会社も絶対倒産しないという確約はありませんが、少しでも倒産するリスクの低い企業を選んで株式を購入するのが無難です。
株式担保ローンは、株式会社が倒産すると担保の価値がなくなってしまうリスクがあることを理解しておきましょう。
富裕層向けの商品である
株式担保ローンは基本的に富裕層向けの金融商品です。
富裕層の方がさらに資産を増やす場合に適しているため、ほとんど株式を保有していないような個人の方には向いていません。
このように利用者が限られてしまうのも、株式担保ローンのデメリットの一つです。
株式担保ローンの注意点
株式担保ローンの注意点について解説します。
利用できる金融機関は限定される
株式担保ローンを利用できる金融機関はかなり限定されます。
現在利用している金融機関で取り扱っていないと、場合によっては他の金融機関へ株式を移管する必要が出てきます。
また、所有している株式を担保にできるかは金融機関や商品によって変わってくる点にも注意しましょう。
株式担保ローンはどの金融機関でも取り扱っているわけではないので、事前によく確認しましょう。
返済計画を事前に検討する
先ほども説明した通り、株式は価格変動リスクが大きいため、いつ担保の価値が失われてもおかしくありません。
株式担保ローンの利用時は、そういったリスクに備えて事前に返済計画を立てておく必要があります。
万が一、株式会社が明日倒産しても問題なく一括返済できるくらいの余裕があると良いでしょう。
また、借入金の返済の状況が良くないと、契約更新の際に審査落ちしてしまう可能性もあるので注意してください。
株式担保ローン以外に低金利で資金調達する方法
株式担保ローン以外に低金利で資金調達する方法を解説します。
カードローン
カードローンは金利が高いイメージがあるかもしれませんが、株式担保ローンと同程度の金利で融資が受けられるものも存在します。
ただ、上限金利は18.0%前後であることが多いため注意が必要です。
一般的に、ノンバンクより銀行カードローンの方が審査が厳しいですが、その分金利が低い傾向があります。
借入までのスピードも早く、最短即日で利用できるケースもあるので、急いで借入したいけど担保が用意できない場合におすすめです。
不動産担保ローン
担保にできる不動産を保有している場合は、不動産担保ローンを利用するのも有効な手段です。
株式担保ローンと同じく、担保を用意することで金融機関の貸し倒れリスクを抑えられるため、無担保融資より低金利で利用できる傾向があります。
また、不動産担保ローンは担保の価値が落ちにくく、株式担保ローンよりも長期間の借入に向いています。
借入に時間がかかるというデメリットがあるものの、安定した資金調達がしたい方におすすめです。
株式担保ローンの金利のまとめ
株式担保ローンの金利は、個人・法人にかかわらず大体1.5〜4.0%に設定されています。
この金利は通常の融資と比べても低いと言えるので、低金利の融資をお探しの場合は株式担保ローンを検討してみてください。
ただし、株式には価格変動や倒産によって価値が下落するリスクも存在します。
株式担保ローンは、リスクに備えられるだけの資産がない方には向かない商品ということを理解しておきましょう。