運転資金の調達は、経営者にとっても重要な仕事です。もしも運転資金が足りないという状況になったら、経営が成り立たなくなってしまう最悪の事態になってしまいます。そのため運転資金は足りないという事にならないように努めている経営者・事業者の方も多いでしょう。しかし、運転資金が足りない状況になる事を想定して、様々な事を知っておく必要があります。この記事では、運転資金が足りない時の様々な状況を解説していきましょう。

運転資金が足りない時にどうするか

運転資金が足りないというのは、内部の経営状況が影響する場合があります。それ以外にも景気の落ち込みや円安、円高などの外部の影響なども影響します。運転資金が突然足りなくなってしまうのは、経営者であれば幾度となく直面する課題です。まずは、運転資金に関しての情報をまとめていきます。

そもそも運転資金とは?

運転資金は、会社経営をするために必要な費用です。この資金は設備投資などで必要となる資金などは含まれず、日常的な業務で必要になってくる手元資金です。例えば、会社を経営していれば光熱費や人件費などがかかります。これらに対応しているのが、運転資金という事になります。原材料や商品の仕入費用などもこうした経費に入っていて、様々な用途に使われています。運転資金が不足すれば、すぐに経営に影響が出てしまうので、運転資金不足は何としても避けたい事態です。

運転資金が足りない原因とは?

運転資金が足りないという状況に陥ってしまうのは、景気の悪化などだけではありません。経営に何らかの問題があり、運転資金が足りないという状況が生み出されてしまうのです。考えられる理由で多いのは、以下の4つの問題点です。

・キャッシュフローの認識不足
・仕入れと売り上げのバランス
・売掛金のシェアが大きすぎる
・売掛金の割引

キャッシュフローの認識不足は重大な事態を引き起こします。会計をしっかりと管理できていないと、運転資金が足りないという事態に気が付く事が遅くなってしまいます。売り上げに問題がなくとも、入金のタイミングなどの管理を怠れば、「黒字倒産」という事態に直面してしまうでしょう。そのため、キャッシュフローをしっかりと管理する事で、運転資金が足りないという状況を避ける事もできます。

仕入れと売り上げのバランスは、運転資金にも大きな影響を与えてしまいます。在庫管理は運転資金に影響を与えることが多く、最近では在庫の管理をAIなどを使って管理する事もあります。在庫管理や仕入れと売り上げに大きな乖離があると、いずれは運転資金が底をつき、資金が足りないという事態を引き起こします。こうした事を防ぐために、過去のデータや在庫管理の有料システムなどを使う事で、管理を最適化する必要があります。

売掛金のシェアが大きすぎるのは、問題があると言えるでしょう。現金を多く保有したうえで、売掛金のシェアが大きい事は問題ありません。問題なのは、現金を持ってない状態で、売掛金のシェアが多い場合です。売掛金は現金化するまでに時間がかかり、運転資金は現金で支払う事が多いために、運転資金としては相性がよくありません。そのため、売掛金と現金とのバランスをしっかりと整えておくことが、運転資金が足りないという状況を避ける事に繋がります。

売掛金の割引は、現金が足りない会社がしがちな方法です。現金を早急に欲しい場合には、満期前の売掛金を現金化させることができます。そのためには手数料がかかり、手数料分引かれた額だけが現金化されます。現金がすぐに必要な時には役立ちますが、これを何度も繰り返すと「自転車操業」になりかねません。こうした事態を防ぐためにも、売掛金の扱いには十分に注意しなければなりません。

運転資金が足りない時の対策とは?

運転資金が足りない時には、焦りが出るモノです。そんな時に慌てないためにも、以下のポイントを気にしておく必要があります。普段からできる対策法は、以下の3つです。

・必要な資金の把握
・融資制度の対象になっているかの確認
・金融機関とのコミュニケーション

必要な資金を把握する事は、事態を解消するためにも重要です。運転資金が足りないからといって、多くの資金を融資してもらう必要はありません。不必要なほどの資金を借りると、返済の際の利息などが負担になってしまいます。まずは運転資金が足りなくなった分を融資してもらう事だけで十分なので、運転資金がどれだけ足りないかを算出しておくといいでしょう。

融資制度の対象になっているかの確認も日ごろから行っておきましょう。地方自治体が用意している融資制度というのは、意外にも知られていないものです。自社が融資の対象になっているのかやどの制度の対象になっているかなど、日ごろから不測の事態に備えて情報を集めておくと安心です。

金融機関とのコミュニケーションも密にしておいた方がいいです。融資担当者などと日ごろから付き合いをして、追加融資の相談をすぐにできるような関係性の構築も重要です。融資を受ける際に担当者とイチから関係性を作っている時間があるとは限りません。そのため、常に銀行との関係性を良好に保っておくことが必要です。

運転資金が足りない時の資金調達法とは?

運転資金が足りない時の資金調達法には、様々なものがあります。いざという時には、以下のような資金調達を把握しておくと助かるでしょう。

・日本政策金融公庫からの融資
・銀行からの融資
・銀行カードローン
・消費者金融
・ファクタリング会社
・助成金や給付金・補助金

銀行や公的な金融機関で融資を頼むというのが、最も安全な方法です。この方法だと金利も安く、月々の返済額も負担になりません。こうした金融機関では審査が遅くなってしまい、運転資金の補填に間に合わない可能性もあります。
そうした場合にはノンバンク系の金融機関を使うといいでしょう。ノンバンクは融資金額が低い代わりに、融資までのスピードが早いという利点があります。そのために、運転資金が早急に欲しい時はノンバンク系を利用すると、資金調達が素早くできます。

他にも債権をファクタリング会社で現金化するというのも一つの方法です。さらに、運転資金の不足が予測できている時は、助成金制度や補助金制度を使って、資金を調達するという手もあるでしょう。こうした様々な対策を知っておくことで、運転資金が足りないという状況にも柔軟に対応する事ができます。

運転資金が足りない時に補填してもらうコツ

運転資金が足りない時には、どういった方法で補填すればいいのでしょうか。運転資金を補填するためには、一般的には5つのポイントを意識する必要があります。そのポイントとは、次の5つです。

・資金が必要な理由を明確化する
・融資までの期間を確認する
・返済計画をしっかりと明示する
・必要な額だけを融資してもらう
・正直な理由を話す

資金が必要な理由を明確化する

運転資金が足りないという状況になった時には、なぜ資金が必要かを明確化しましょう。そうすれば、どの金融機関で融資を受けるかを決定する材料になります。さらに、どうして運転資金が必要なのかを明確化する事で、銀行の担当者ともスムーズに融資が進んでいきます。どれだけの金額が必要なのか、いつまでに必要なのかなど、様々な事を整理して融資担当者とコンタクトを取るといいでしょう。

融資までの期間を確認する

融資までの期間は、把握しておいた方がいい状況の一つです。運転資金の不足分の融資には、数か月の審査機関を待つ余裕はありません。そのため、どれくらいで審査が通るのかを確認したうえで融資を受けておくと審査機関も安心して待つことができます。待つ期間があれば銀行で融資を受け、時間がなければノンバンクでの融資を選択するといいでしょう。

返済計画をしっかりと明示する

返済計画をしっかりと担当者に提示すると、審査がスムーズに進みます。銀行の融資を決める上では、返済が滞らないという事が重要なポイントです。銀行側もこうした事を重視していて、審査において返済計画がしっかりとしていると銀行側としても安心して融資をする事ができます。そのため、運転資金が足りないという状況になったら、まずは冷静に返済計画を練る事は大切です。

必要な額だけを融資してもらう

融資担当者と話す時には、必要な融資額を明確に伝えた方がいいでしょう。運転資金が足りない分を算出し、必要最低限の資金だけを融資してもらうと短時間で融資してもらえます。不必要な資金を融資してもらおうとすると様々な書類や手続きなどがあり、融資が遅れてしまう恐れがあります。

正直な理由を話す

正直に運転資金が不足した理由を伝えるという事も重要です。銀行では定性評価というモノに重きを置いている場合も多くあります。これは数値では現れない評価値であり、担当者の判断によって決定されます。下手にウソをついて資金を得ようとすると、ウソが露見した時に定性評価を著しく下げてしまうでしょう。正直に話せば、融資担当者も親身になって相談に乗ってくれる事も少なくありません。

運転資金が足りない時の対処法まとめ

運転資金が足りないという状況は事業をしているのであれば、起こる可能性は常にあります。常日頃から様々な対策を考えておくことも必要ですが、いざ起こった時にどういった調達法を選択するかも知っておく必要があります。融資を受ける時にも注意点を知っておくとスムーズに進めることができるでしょう。
今回紹介した運転資金が足りない時の対処法などを参考にして、不測の事態に備えておくと安心です。