ビジネスローンは中小企業が資金調達をする際に、頻繁に使用される金融商品です。しかし、近年増えつつある合同会社とは、相性が悪いという印象を持たれています。しかし、ビジネスローンとは事業用のローンであり、実績のない合同会社はビジネスローンを利用する機会も多くあるのです。この記事では、合同会社がビジネスローンを使う時に知っておきたいポイントを解説していきましょう。
目次
合同会社とビジネスローンの概要
合同会社がビジネスローンを借りる時のポイントを知っておく事は、事業者にとっては重要です。「合同会社が何なのか分からない」という声や「ビジネスローンって何?」という声もあり、情報がないままでビジネスローンを契約するのはリスキーです。情報をしっかりと理解するためにも、合同会社やビジネスローンに関しての基本的な情報もまとめていきましょう。
そもそも合同会社とは?
合同会社は、株式会社などと比べると知名度が低い会社形態です。これはアメリカの「LLC (Limited Liability Company) 」という会社形態をモデルにしており、出資者と経営者が同一という事が最大の特徴です。こうした経緯から、日本版LLCとも呼ばれ、資本金なども最小限に抑えられているために、若年層やゼロからの企業にも適しています。2006年の会社法の改正によってつくられた会社形態なので、いまだに金融機関などでは支援体制が整っていない現状があります。
ビジネスローンとは?
ビジネスローンはビジネスを目的としたローンです。銀行の融資よりも高い金利である事と引き換えに、スピード感のある資金調達を可能にしています。ビジネスローンには銀行系とノンバンク系の2種類があり、それぞれ特徴が違うため、自社の企業形態に合ったビジネスローンを選択する事が重要です。
ビジネスローンとは相性が悪い?
ビジネスローンは中小企業にとっては、比較的借りやすい金融商品です。銀行の融資よりも審査のハードルが低く、実績がそれほどなくても1000万円ほどの融資はしてくれる事が多いからです。しかし、合同会社とは相性が悪いと言われています。というのも、合同会社には実績が少なかったり、売り上げも少額だったりする傾向にあります。そして、ビジネスローンの審査であっても、実績などの情報が重視されることになるのです。特に、銀行系のビジネスローンはこうした事を審査基準としているために、合同会社では高額のビジネスローンは組みにくいというのが現状です。
銀行系ビジネスローンは借りにくい?
合同会社が資金調達をする方法はいくつか存在します。しかし、資金調達しにくい会社形態というイメージも強い事は否めません。ビジネスローンと合同会社との関係性は、銀行系なのか、ノンバンク系なのかによって大きく変わります。
銀行系のビジネスローンであると、合同会社への融資に慎重な姿勢を取ってくる可能性が高いです。審査も通りにくく、契約されても高金利であったり、少額であったりと何かと悪い面が多くなります。
合同会社が借りるのであれば、ノンバンク系のビジネスローンを選択する事と契約までのスピードは早くなるでしょう。仮にノンバンクのビジネスローンを契約し、それを完済すれば完済履歴となります。実績作りにもなるため、最初のうちはノンバンクでビジネスローンを組むという合同会社も多くあります。
合同会社がビジネスローンを借りたいときのポイント
合同会社がビジネスローンを借りたいときのポイントにいくつかあります。資金調達の際には金融機関の審査を通過する必要がありますが、合同会社であると簡単には通りません。しかし、絶対に通らないという事ではなく、気を付けるべきポイントをしていればしっかりとした融資を受ける事ができます。
合同会社でもビジネスローンでも契約できるようになるポイントは以下の通りです。
・合同会社の目的などを明確化する
・資金の必要性をアピールする
・返済計画をしっかりと立てる
それでは、これらの点についてひとつひとつ解説していきます。
合同会社の目的などを明確化する
合同会社の目的などを明確化するというのは、ビジネスローンを借り入れる上でも重要です。合同会社は信用度が低い会社と見なされる事も多く、定性評価は低くなってしまいます。この一方で、スコアリング審査などを導入しているような金融機関では、定量評価を重視しています。
合同会社の審査通過が厳しいのは、定性評価で評価が低くなってしまうからでした。つまり定量評価を重視する会社では、合同会社だからと言って評価を下げられないのです。ノンバンクの金融機関では、スコアリング審査を導入しているために、客観的な数値だけで契約が成立します。
定性評価を重視しているような金融機関では、どうしたらいいでしょうか。それは定性評価を上げるようなピールをしっかりとする事が重要です。合同会社がどのような目的で設立されたかやどれだけ事業に将来性があるかを伝える事で、しっかりとしたビジネスローンを契約できる可能性が上がるのです。ビジネスローンの窓口担当者を説得できるほどの熱意が伝われば、低金利のビジネスローンを契約できるでしょう。
資金の必要性をアピールする
資金の必要性をアピールする事も重要です。なぜ事業に資金が必要なのかやどれだけの資金が必要なのかも重要な説得材料になります。運転資金を手に入れたい場合には、月々の収支やいくらあれば経営を続けられるかという正確な数値を算出しておくことも重要です。資金の必要性に説得力があれば、合同会社でも審査を通してくれる可能性が上がるでしょう。
返済計画をしっかりと立てる
返済計画をしっかりと立てるのは、最も重要と言えます。ビジネスローンの返済が滞るという事態を避けたいと金融機関は考えています。そのため、返済計画をしっかりと立てていると、金融機関側は安心して貸すことができるのです。合同会社は実績も少ないために、経営状態を不安視する傾向にあります。その不安を払しょくしてもらうためにも、返済計画は重要なファクターとなります。
合同会社が利用するならどのビジネスローンがいい?
合同会社がビジネスローンを利用する時には、銀行系とノンバンク系という選択肢があります。ノンバンク系とは、預貯金のない金融機関や貸金業者によるビジネスローンです。この2つはメリットとデメリットがあり、合同会社にとっては銀行系にするか、ノンバンク系にするかは大きな分岐点となります。ここからは、銀行系とノンバンク系の特徴をそれぞれ見ていきましょう。
銀行のビジネスローン
銀行系のビジネスローンは、銀行の通常の融資よりも審査が緩いことが特徴です。銀行系のビジネスローンの最大の魅力は金利の低いという事です。特にネット銀行のビジネスローンは金利が低い傾向があり、楽天銀行が取り扱っているビジネスローンで、金利は1.475%と最低金利が設定されていて、ノンバンク系とは比べ物にならないほどの低金利を実現しています。
そのため、中小企業にとっては銀行のビジネスローンを利用すると、月々の返済額が少なくなります。しかし、合同会社は銀行の審査を通りにくいという現実があります。合同会社は信用度が低い会社という評価を銀行が下すことが多く、審査を通過するのは難しいとされています。審査を通過しても、高金利のビジネスローンになってしまうなど、デメリットも多くなってしまいます。
ノンバンクのビジネスローン
ノンバンク系のビジネスローンは審査が緩いので、合同会社でも借り入れをする事ができます。大手の消費者金融であれば、高額な融資も可能であり、合同会社でもしっかりとしたローンを契約できます。クレジットカード会社や信販会社、消費者金融といった金融機関では、合同会社でも審査が簡単に通るとされています。
デメリットとしては銀行系よりも、金利が高くなってしまいます。金利相場は10から18%であり、総返済額もその分大きくなります。しかし、銀行系のビジネスローンとは違い、融資のスピードが早い事も大きなメリットです。合同会社にとっては審査が簡単な事は大きなメリットなので、ノンバンクを選ぶ事が多くなっています。
合同会社であっても、情報やデータさえそろっていればスコアリング審査では不利になる事はありません。定量評価は、客観的すぎるという意見もある制度です。中にはAIを導入して、より精度の高い定量評価を実現しているノンバンクもあります。市場の将来性などの不確定な要素は考慮されないために、スタートアップ企業などには不利になるという声もあるのです。
しかし、合同会社にとっては、ノンバンクの数値による客観的な評価が有利に働きます。信用度などの心証はほとんど反映されないので、ビジネスローンをしっかりと契約できる可能性が大きく上がるのです。
合同会社のビジネスローンのまとめ
合同会社は新たな会社形態として、幅広い人が会社を作る事ができます。その反面、デメリットもあるために、資金調達などが難航してしまう事も少なくありません。どこで借り入れをするかで、審査を通過できるかも変ってくるために、情報をしっかりと集める事が重要です。
合同会社ならではの事情も多く、資金調達にビジネスローンを利用する時には、この記事の情報なども参考にしてご検討ください。