企業を大きくさせる上でも、起業する上でも資本金なしだと上手くいかないことも多いのです。事業者にとっては資本金なしで企業を大きくするには、高いハードルがあるからです。資本金は企業にとっては信用の担保となっているので、資本金なしの状況はあまりいい状況とは言えないでしょう。この記事では、資本金なしの企業に関して解説していきましょう。

資本金なしの企業とは?

資本金は企業を始める上で、まず用意するものです。しかし、資本金なしという企業も少なくありません。資本金は大企業にとっては必須ですが、小規模な企業では資本金なしの企業も多くあるのです。こうした背景には、法律改正が大きく影響しています。
2006年の日本の会社法改正が大きな契機になっていて、資本金を準備するかどうか悩む事になってしまうきっかけにもなっています。これにより1円から会社が設立できるようになり、若年層などでも会社企業のハードルは下がりました。

資本金なしの企業はなぜ存在するのか

近年では、資本金なし、または少額の資本金で起業する人が増えています。法律の改正によって、起業のハードルが下がった事が大きな要因です。もちろん、大企業などは資本金がないと事業拡大は見込めませんが、ニッチな市場を開拓する企業などでは資本金はそれほど必要ないと言われています。資本金なしという企業は、従来では信用に値しない企業と見なされることもありましたが、近年ではこうした考えは無くなりつつあります。

資本金なしの企業のメリットとデメリット

資本金なしの企業には、メリットとデメリットが存在します。企業側でマインドチェンジが行われたと言っても、いまだに資本金なしの企業には高いハードルがある事も事実です。
資本金なしの企業のメリットは、以下の通りです。

・ 起業のハードルが低い
・ リスクが低い
・ スピーディーな会社設立

起業のハードルが下がったというのは、法律の改正による最大のメリットです。合同会社などの新たな会社形態によって、若年層や大学生でも会社が設立できるというメリットが生まれました。こうする事で、これまでニッチな事業と考えられていた分野や若年層のニーズに合った会社が設立できるようになりました。

倒産の際のリスクが低いというのは、起業する上でも心理的なハードルを下げる効果があります。資本金を用意する必要がないために、仮に事業が失敗しても個人の損失を抑えるという効果があります。特に初めて起業する人は、負債を抱えてしまう事が大きな不安要素です。
こうしたリスクが少なくなった事によって資本金なしの企業が増えており、結果的には業界の活性化という効果を生む事にも繋がっています。

スピーディーな設立もメリットの一つです。資本金を準備する必要がないという事で、手続きも簡略化されています。資本金を準備するという手間は相当な労力が必要となります。しかし、資本金を準備する必要がないという事で、迅速に手続きが終わって市場に参入するチャンスを逃さないというメリットが出てきます。

こうしたメリットの一方で、資本金なしの企業のデメリットも存在します。一般的に資本金なしの企業のデメリットは以下のモノが考えられます。

・ 信用力が低い
・ 事業拡大に時間がかかる
・ 外部投資のハードルが高い

資本金は企業の信用力を判断する材料となります。金融機関や投資家は、資本金がいくらかによって企業価値を把握する傾向があります。そのため、資本金が少ないと、倒産のリスクが高いと判断される可能性があるのです。これは金融機関からの融資や取引先との契約などに、大きな影響を与えてしまいます。この信用度というのが、最大のデメリットと言えるでしょう。
企業側では資本金なしというモノに対しての認識に変化が訪れているものの、いまだに資本金なしだと不安を感じるという企業もある事は覚えておいた方がいいでしょう。

事業拡大に時間がかかるのは、覚悟しなければなりません。資本金がないという事は、投資家や出資してくれる人からの投資や金融機関などからの融資は期待できないと考えておいた方がいいでしょう。運転資金はもちろん、設備資金安堵を準備できないと事業の拡大ができにくくなってしまいます。こうした事から事業拡大のビジネスチャンスが少なくなるという事は念頭に置いておきましょう。

外部投資のハードルが高い事も重要です。資本金が少ない企業には、出資が集まりません。しかし、企業を拡大しようとする会社には、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家の出資も大きな資金調達先なのです。資本金なしというのはこうした外部投資と相性が悪いために、多くのデメリットを生み出してします事は覚悟しておかなければいけません。

資本金なしの企業は日本には多い

2006年の法律改正では、資本金を理由にビジネスを諦めるという事が無くなりました。資本金なしの企業が増えている背景には、「スモールビジネス」やフリーランス的な働き方という考えが広がっていった事に起因しています。政府もこうした流れを活発化させるために、資本金なしでの起業をしやすくなるようにしているのです。地方自治体もこうした動きに呼応して、様々な制度を作っているために資本金なしの企業は日本に増えています。

資本金の重要性とは?

資本金は企業の要素としては非常に大きいと言わざるを得えません。事業運営や成長を支えるために必要な元手となっていて、外部の金融機関や取引先、出資者などはこの資本金で会社を評価します。事業を成功させる上では欠かしませんが、資本金なしの企業が増えているのも事実なのです。
社会でも評価が分かれつつある資本金の有無に関しては、様々な事を知っておくべきです。ここでは、有利になる事と不利になる事をしっかりとは把握するために、資本金の重要性を解説していきます。

資本金なしだとどのような影響があるのか

資本金なしの状態では、前述したデメリットに苦しむ可能性があります。しかし、メリットを最大限に生かすためには、どのような影響があるかも知っておかなければいけません。例えば、大企業を目指して大きな事業展開をするような会社では、資本金なしの状況は大きな影響が出てしまいます。その一方で、ニッチな産業を狙う小さな規模の企業にとっては、資本金なしはそれほど大きな影響はありません。
このように自社の置かれている状況によって、資本金なしがどんな影響を与えるかは変わってくるのです。

資本金ありだとどんな事が有利になるか

資本金ありだとどんな事が有利になるかを知っておかなければ、資本金なしの状況を乗り切る事はできません。一般に、資本金ありの場合に有利になると考えられているのは、以下の事です。

・ 企業の信用力を支える
・ 金融機関からの融資を受けやすくする
・ 初期投資や運転資金の確保

企業の信用力を支える材料になるという事は、企業経営に有利に働きます。企業の財務的な健全性は、資本金がいくらかで判断する事も多いのです。信用力が高ければ、多くの取引先と交渉ができるようになり、結果的に事業拡大が成功します。企業を調べると企業名などの他に「資本金○○万円」と必ず書いてある事からも、資本金の重要性が分かるでしょう。

資本金がしっかりとあると、金融機関からの融資を受けやすくするというメリットが発生します。金融機関は審査の際に返済能力を重視します。仮に倒産したとしても資本金があれば、元本を回収できる可能性が高まります。資本金が多ければより多額の融資を検討してもらえるために、事業の拡大や販路の拡大、設備を投資など様々な事ができるようになるのです。

初期投資や運転資金の確保は、事業のスタートをしっかりと進めていく上では有用です。資本金が潤沢だと、こうした必要資金を資本金を通じて賄う事も出ます。初期費用によって営業車やパソコン、人材確保などがスムーズに進められるので、早くから事業を軌道に乗せる事ができるでしょう。資本金があるという事は、企業にとっては大きなアドバンテージになる事は覚えておかなければいけません。

資本金なしの企業にはどんな悪影響がある?

資本金なしでは、様々な事に影響します。資本金なしの企業はデメリットを最小化する努力をしなければ、多くの悪影響が出てきてしまうのです。資本金がないと、デメリットが顕在化した時に対応できずに、様々な問題が出てしまう事が多いのです。ここでは資本金なしの企業はどんな悪影響が出てくるかを解説していきます。

デメリットの顕在化は避けたい

資本金なしで起こりえる事態は、デメリットと通じるものがあります。デメリットが顕在化すると、どんなことが企業に降りかかるのかを知っておくとしっかりとした対処もできるでしょう。企業にとってはその価値をしっかりと保つために、資本金なしという事が事業の足を引っ張るという事は避けたいです。
資本金なしによるデメリットを最小化するように心がける事で、デメリットの顕在化を避ける事ができます。

キャッシュフローに支障が出る可能性もある

事業を始めたばかりの企業にとっては利益を上げる事は、かなり難しいでしょう。その際に資本金がなければ、売り上げがしっかりと出るまで耐えられないという問題が出てくるでしょう。キャッシュフローとは現金の流れを指し、資本金がキャッシュフローの流れに大きな影響を与えてしまいます。利益が上がる期間にも、賃貸や人件費、光熱費などは支払わなければいけないために、資本金がないとこうした資金繰りに苦労する事になるでしょう。

取引先や顧客からの不安の声は上がる事もある

資本金は信用力の証となります。資本金なしという企業形態は一般的になりつつありますが、それはあくまでも起業家の間でだけです。一般の顧客や取引先からは、信用のない企業と見なされてしまう可能性が高いでしょう。資本金の少ない企業とは取引をしないという企業もいまだに多いので、取引先や顧客からの不安の声は上がってしまう事は覚悟しておく必要があるでしょう。

予期せぬ支出への対応力に問題あり

事業を進めていれば、予期せぬ支出というモノが発生します。こうした不測の事態に対応するために資本金が存在しています。しかし、資本金なしの場合では対応力が低いために、経営が一気に傾いてしまう可能性が出てくるのです。
設備の修理費や急なプロジェクト費用に加え、近年ではハラスメントや他社とのトラブル、近隣住民とのトラブルなどで法的なトラブルが起こる可能性もあります。事業運営をしていく上で、常にトラブルに対応する必要できなければ事業の成功は見込めません。その際に資本金がないと、トラブルの解決に苦慮する事もあるので、常にこうした可能性は頭の片隅に置いておかなければなりません。

資本金なしの企業のまとめ

資本金なしという事は企業にとっては、メリットとデメリットが存在しています。資本金なしというのは、日本では増えてきていて、デメリットも少なくなってきています。資本金なしの企業を経営していく上では、どんなことが起こりうるのかも把握しておくと安心して事業を進めていけるでしょう。