2020年も間もなく終わりを迎えようとしています。

今年は、新型コロナウイルスの感染症拡大という未曾有のパンデミックが発生し、世界中が大きな混乱に見舞われた1年となりました。

多くの国が、感染症拡大の防止を目的に、渡航制限や外出自粛の要請などを実施したことで、人や物の流れは著しく沈滞。この1年の間に、世界中の人々が生活や行動に大きな変化を余儀なくされるとともに、経済界も近年まれにみる大ダメージを受け続けてきました。

人や物の流れの滞りによって、経済を支える需要と供給の双方が受けたショックは想像をはるかに超える大きなものとなっています。

人々の行動が制限されることによって、物やサービスに対する需要は大幅な縮小傾向となり、企業の生産をはじめてとする経済活動も低迷。また、工場の稼働停止や人員の削減などの供給の制約によって、需要を満たすことのできないジレンマに陥っている傾向にもあります。

結果として貿易をはじめとする世界各国にまたがったサプライチェーンは断絶。新型コロナの蔓延は、全世界に経済危機を招くほどの深刻な問題へと発展してきました。

このように歴史的な長期停滞へと陥っている世界経済。では、新型コロナの感染拡大によって世界の主要国はどれほどの経済ショックを受けたのか確認していきたいと思います。

中国

中国

新型コロナの発生地ともいわれている中国は、世界でもっとも早く経済への影響がみられた国といえます。国内での感染が急速に広まった今年初めには、生産活動や物流のストップなどが影響し、小売売上高や工業生産などが前年比で10%以上縮小。加えて、輸出は17%、輸入は4%減小となりました。

特に、主要な貿易相手国である欧米への輸出の低下による影響は大きく、このような供給ショックが中国経済の停滞に直結したと考えられます。

その後は、徐々に経済活動の再開がみられたこともあり、工業生産は回復傾向がみられたものの、1〜3月期のGDP成長率は前年比で6.8%マイナスとなるなど、近年急成長を遂げてきた中国の経済が減速する事態に陥ったことは言うまでもありません。

アメリカ

アメリカ

中国とともに、世界の経済を牽引するアメリカが受けたダメージも甚大です。世界で最も多い感染者数を抱える国となったアメリカでは、3月からニューヨークなどの主要都市にて外出や移動を大幅に制限するロックダウンを実施。

消費活動も生産活動も制限された経済大国は、中国と同じように、1〜3月期のGDP成長率は前期比5%マイナス。ただ、7月〜9月には個人消費支出や輸出が回復したこともあり、GDP成長率は33.1%と、マイナスに転じた1月〜6月に比べると急回復するに至りました。

一方、アメリカで特に大きな問題となっているのが雇用の悪化です。各主要都市によるロックダウンの実施後である4月には失業率が14.7%にまで伸び、7月まで10%台を推移するなど、深刻な問題へと発展。8月以降は1桁台にまで落ち着いているものの、依然として雇用問題が重くのしかかっていることには変わりないといえます。

ヨーロッパ

ヨーロッパ

ヨーロッパでも、イタリアでの爆発的な感染拡大を皮切りに、スペインやフランス、イギリスやドイツといった主要国で、感染が拡大していきました。
これらヨーロッパの主要国でも、GDPの成長率は軒並み低下。1〜3月期のユーロ圏のGDP成長率は13.6%マイナスとなり、過去最低の成長率となりました。

ロックダウンの効果もあり、それぞれの国で一時は感染者の減少がみられたものの、ここにきて再び増加の傾向がみられます。特にイギリスでは感染者数の増加が顕著になっており、11月から12月の頭の間にかけて人口が最も多いイングランド地方で2度目のロックダウンを実施。年末に向けた経済活動が大きく抑制される可能性が高まっており、再び経済の停滞を招くことが懸念されます。

ブラジル

ブラジル

南米大陸最大の経済大国であるブラジルでは、感染者数の急激な増加がありながらも、ロックダウンは実施することなく、外国人の入国禁止といった制限措置にとどまる対策をとってきました。

企業の経済活動や外出自粛など、いわゆる「不可欠な活動」を大きく制限しなかったこともあり、GDPの成長率は5.8%のマイナスにとどまり、他の主要国に比べれば経済の縮小幅は少なかったといえます。

ただし、失業率はアメリカと同水準ともいえる13.8%に達するなど、新型コロナによる打撃が確実に受けているほか、7月末をピークに減少傾向にあった新規感染者数もここにきて再び増加していることもあることから、今後の経済に対する不安は拡がっています。

いまだに新型コロナの収束がみえない中、世界の経済は下降と上昇が波を打つように繰り返されており、今もなお不安定な状況が続いています。

各国は、前例にないほどの積極的な経済対策の実施を続け、経済の縮小に歯止めをかけようと動いているものの、やはり不可抗力にあたる新型コロナが収束に至らない限りは、イタチごっこが継続されるだけではないのかと考えることができます。

間もなく、世界各国の経済を激変させた1年が終わりを迎えますが、来年こそは有効性の高いワクチンの普及が進み、新型コロナの蔓延が収束に向かうこと。そして、世界の経済の復興とさらなる成長を願わずにはいられません。