企業にとって、事業の継続はもちろん、事業を拡大してさらなる増収を狙う場合でも資金調達は欠かせないものです。

企業の資金調達方法は、金融機関からの借り入れのほか、省庁や各地方自治体が実施する補助金・助成金の受給などいくつかありますが、そのひとつに新株の発行による資本の増資があります。

このように、新株の発行によって資金を調達する方法を「エクイティ(株主資本)ファイナンス」といいます。一方、金融機関からの借り入れや社債を発行するなどの資金調達方法は「デットファイナンス」と呼びます。

「エクイティファイナンス」は、株式会社特有の資金調達方法にはなりますが、負債ではない「自己資金調達」であるため、金融機関からの借り入れのように利子を伴う返済も不要ですし、増資に成功すれば企業の財務体質や社会的な信用力の向上も見込めます。

今回は、数ある資金調達方法のなかから、株式発行による資金調達方法である「エクイティファイナンス」の種類やメリット・デメリットについて解説していきます。

■4種類に大別されるエクイティファイナンス

4種類に大別されるエクイティファイナンスエクイティファイナンスには、大きく分けて4種類の方法があります。

・ 公募増資(時価株式増資)

まずは公募増資です。

公募増資は、その名の通り特定の投資家ではなく、不特定多数の投資家を募り、新株の割り当てを行う方法です。つまりは、主に株式市場への上場を果たしている企業が行える増資手段といえます。

また、新株の発行価格は時価に応じて設定するのが基本であることから、時価株式増資ともよばれます。ここでいう時価とは、その時々の株価のことです。したがって、株式の発行数が少なくても、時価が高ければ多くの資金を調達することができます。

さらに、資金を公募するという性質上、第三者から広く資金の提供を得られるほか、株主層の拡大・増加にも期待できるのも公募増資の特徴です。

・ 株主割当増資

2つ目は株主割当増資です。

株主割当増資は、新たに株主を募るのではなく、既存の株主に新株予約権を割り当てる方法です。

新株予約権は、既存の株主が保有する株式数に応じて割り当てられます。

ただし、投資家はあくまでも新株の割り当ての“権利”を受けるだけで、権利の行使(新株の申し込みや払込み)は強制されるものではありません。したがって、権利の行使は株主の判断に委ねられるものであり、もしも株主が行使しなければ、権利は失効します。

・ 第三者割当増資

3つ目は第三者割当増資です。

第三者割当増資は、特定の第三者に新株を割り当てる方法です。割り当ての対象として、自社の役員や経営者の親族、取引先や金融機関を選択することも多いことから縁故募集などとも呼ばれます。

このような特徴から、主に未上場企業が行う増資方法といえるほか、たとえ自社の株価が低くても増資を期待することができます。さらに、取引先に株式を保有してもらうことにより、取引先との関係性を強めるといった効果も望めます。

また、第三者割当増資も株主割当増資と同様に、新株割当ての権利を与えるだけですので、引き受けは義務にはなりません。

・転換社債型新株予約権付社債

最後に、転換社債型新株予約権付社債による増資方法です。

少し難しい名前が付けられていますが、転換社債型新株予約権付社債とは、端的にいうと新株予約権が与えられた社債のことであり、企業が一定の価格で発行する株式にいつでも転換できる権利があります。

転換社債型新株予約権付社債は一般社債よりも、利回りが低いという特徴があります。

ただし、株式に転換した後に購入時よりも価格が上昇すれば、投資家は高い利益を得られるほか、株式に転換することなく社債のまま満期を迎えれば、額面金額が償還されます。

■エクイティファイナンスのメリット

エクイティファイナンスのメリットエクイティファイナンスのメリットは、なんといっても金融機関等からの融資のような利息を伴う返済が不要であることでしょう。

負債ではない「自己資金調達」であるため、調達した資金がマイナスになることはなく、自己資本比率も向上し、財務体質の強化にもつながります。

また、株式発行による資金調達は賃借対照表では「負債」ではなく「資本」として扱われますので、金融機関から新たに融資を受ける際にもプラスになります。

■エクイティファイナンスのデメリット

エクイティファイナンスのデメリット一方で、株式を発行すれば、株主である第三者に経営権を奪われる可能性も生じます。

言うまでもありませんが、株式会社の場合、株式を多く保有する株主が経営に対して意見を出す権利を取得できます。そのため、たとえ多額の資金を調達できたとしても、株主の方針に沿わない経営であれば、経営者は会社の経営権を失うことにもなりかねません。

また、新株を発行して新規株主が誕生した場合は持ち株率が変動するため、1株の価値が下がるといった理由で既存株主からの反感を買い、たちまち株価が下落する恐れもあります。

■まとめ

まとめ

このように、エクイティファイナンスでは、負債にはあたらない自己資金調達ができるため、財務体質の強化につながるというメリットがある一方で、株式を保有する株主の意見や方針を考慮に入れた経営を実行しなければならないというデメリットがあります。

そのため、エクイティファイナンスも金融機関からの借り入れと同じように、自社の現状や将来の展望をしっかりと考慮に入れた上で、賢く実行するべきだと言えるでしょう。