今も昔も、起業家にとって大きな壁となるのは資金調達です。

どれだけ自信にあふれる事業計画を打ち立てようとも、「カネ」が足りなければ実現させることは難しく、結果的に志半ばのまま頓挫してしまうケースも少なくありません。

また、すでに起業を果たしている経営者であっても、追加融資が認められないことから資金調達に失敗して事業拡大が叶わなかったということもあるはずです。

事業を行うにあたって大切になるのは、「ヒト・モノ・カネ」だといわれますが、結局のところ「カネ」がなければ「ヒト」を雇用することも教育することもできず、「モノ」の製造や調達にも難儀することでしょう。

したがって、事業の立ち上げにも継続にも「カネ」こそが最重要となる資源であり、資金調達の失敗はそのまま事業の失敗にも直結する可能性をはらんでいると言わざるをえません。

同時に「カネ」は最重要である資源である一方、「モノ」や「ヒト」に比べると、圧倒的にその確保のハードルが高いというのが現実であり、多くの起業家や経営者は資金調達に苦労しているものです。

資金調達の選択肢は金融機関からの融資に限らない
資金調達の選択肢は金融機関からの融資に限らない

ところで、多くの起業家や経営者は資金調達を考えた際に真っ先に出向くのが、銀行や信用金庫、それに日本政策金融公庫といった各金融機関かと思います。

それは、こういった金融機関からの融資はノンバンクのビジネスローンに比べても金利が低い上に、融資を受けられたという事実が信用スコアとなり、企業の社会的価値の向上や、取引先からの信頼を高める要因にもなるからといえるでしょう。

しかし、金融機関の融資審査の基準が高く設定されており、通過が難しいことは周知の事実。

追加融資となればなおさらです。

そういったハードルの高い金融機関の融資審査に通過できなったかった時点で、「資金調達は失敗」だと頭を抱えてしまう起業家や経営者も数多くいますが、幸いにも現在では資金調達の選択肢は幅広く存在しています。

そのひとつが個人投資家からの出資です。

個人投資家とのコンタクトは難しくない
個人投資家とのコンタクトは難しくない

個人投資家からの出資など、そもそもそういった人物に出会うことすら難しく、金融機関からの融資よりもハードルが高いと考える人も多いようですが、手元にあるPCやスマホのみで出資を受けられる可能性もあるのです。

たとえば、ツイッターやfaeebookといったSNSの活用。

実際に若手起業家の中にはSNSで個人投資家と積極的にコンタクトを取り、自身の事業計画やその価値をアピールすることによって創業資金や運転資金の獲得に成功したという事例が多々あります。

ただし、SNSには個人投資家を騙りながら、「保証金」などの名目で金銭をだまし取るような悪質な人物が潜んでいるのも事実。

SNSを活用した個人投資家とのコンタクトを不安に思われるようであれば、マッチングサービスの利用も選択肢のひとつとなります。

利用にあたって手数料の発生がややネックとはなるものの、個人投資家と起業家を結びつけるマッチングサービスは、サービスを展開する企業によって個人投資家が精査されることもあり、SNSよりも安心したコンタクトが可能になるのが特徴だといえます。

個人投資家に出資を求める際の注意点
個人投資家に出資を求める際の注意点

このように、今や個人投資家からの出資は決して難しい選択肢ではなく、金融機関からの融資に比べれば「カジュアルな資金調達手段」といえなくもないくらいにハードルが下がりそうなイメージがありますが、注意すべき点もいくつあります。

ひとつは個人投資家がどういった目的で投資を実施しようと考えているかを把握することです。

個人投資家による出資は融資ではないため、利息を伴う返済を求められることはありませんが、事業の成長に応じたリターンを求められることは十分に考えられます。

もちろん中には、事業や人間性に大きな魅力を感じ、リターンを求めない慈善活動的な出資を申し出る人もいるかと思います。

どういった目的であれ、出資側と出資を受ける側の認識に齟齬が生じることによって後々大きなトラブルに発展するケースも実際に発生していることもあり、それを回避するためにもしっかりと互いの意思疎通を図る必要があります。

もうひとつは、事業の価値を明確に提示しそれを共有できるかという点。

個人投資の場合、金融機関の融資審査のように組織の判断ではなく、あくまでも個人の価値観に委ねられます。

したがって個人投資家から出資を受ける際に大きなポイントとなるのは、互いの価値観の合致ともいえ、仮に将来的な収益見込みなどといった数値に確実性を欠いていたとしても、出資を受けられるチャンスは拡がるといえます。

逆を言えば、どれだけ高い収益の見込みを提示できたとしても、事業に対する価値観の共有ができなければ、出資の可能性は下がると考えられます。

融資を受けたいと金融機関へ交渉する際には、ついつい数値にばかり意識が向き、実際に金融機関側もその数値を重視するわけですが、個人投資からの出資の交渉時には、どこまで価値を提示でき、またそれを共有できる個人投資家とコンタクトを取れるかにかかっているといっても過言ではありません。

まとめ
まとめ

事業を展開するにあたって資金調達はいつの時代も高い壁となるものですが、現代ではその選択肢は幅広く、たとえ金融機関から融資を断られても諦める必要はありません。

特に個人投資家からの出資は、近年の起業家が活用するケースも多く、実際にその資金を元に事業の立ち上げから成功までに至った事例も多々あります。

資金不足や資金調達の失敗に悩まれる前に、まずは個人投資家とのコンタクトから検討してみてはいかがでしょうか。