「最近、疲れた表情をしている」

家族や経営者仲間などから、そのような心配の声をかけられている経営者の方も少なくないかもしれません。

少子高齢化に伴う人材不足、働き方改革への対応、ウクライナ危機や急激な円安の影響による原油価格や仕入れ価格の高騰など、最近ではビジネスを取り巻く環境が急速に変化を続けており、経営者の方々は迅速かつ正確な判断を求められるケースが増加しているといえます。

経営の維持と安定のために頭と体をフル稼働させる日々。そのような疲弊と悩みの重なる日々を過ごしているわけですから、疲れた表情をみせてしまうのも無理のないことでしょう。

中でも、大企業に比べると圧倒的に経営資源が限られる中小企業の経営者の方は、悩みの種の数も多いことはずです。

そこで今回は、中小企業の経営者の方が特に抱えがちな悩みを2つ挙げるとともに、それぞれの解決策についても考えていきたいと思います。

1.キャッシュフローの悪化

キャッシュフローの悪化

まずはキャッシュフローの悪化です。

言うまでもなく、健全な経営を目指す上では、現金の流れを示すキャッシュフローを安定させ、維持してくことが大切です。

しかし、昨今のウクライナ危機や円安の影響によって仕入れが嵩み、建設業や製造業、それに運送業などの仕入が重要な業界では、どれだけ売上を維持できていても、支出が膨らんでしまい、キャッシュフローが悪化の一途をたどっているというケースが増加傾向にあります。

内部留保に不安を抱える中小企業では、特にその傾向が顕著であるとともに、対策を模索する上でも悩みが大きいことでしょう。

また、取引先の業績が芳しくなく、売掛金の回収に遅れが生じることによってキャッシュフローが乱れている中小企業も多々みられるようです。

原油や材料の高騰は、残念ながら自助努力だけではどうすることもできない要因ですので、情勢の鎮まりを待つしかしないもの。

したがって、キャッシュフローの改善を図るためには、最大限の自助努力を尽くす必要があるわけですが、そのひとつとして真っ先に着手したい対応策が固定費の削減です。

事務所の賃貸費、人件費、各種機器のリース代金など企業によって固定費は様々かと思いますが、なるべく多くの仕入れ費を確保するためにも、これらの支出はできる限り抑制したいところです。

たとえば、IT導入補助金を活用して関連ソフトやサービスを導入すれば、経理や事務の作業をオートメーション化でき、人員整理と人件費削減につながります。

必ずしも事務所での作業を求められない事業や、従業員の人数に対して事務所が広く賃貸費も高額であるようなら、事務所の縮小や在宅勤務やリモートワークを積極的に導入すれば、賃貸費を抑えることが可能です。

また、売掛金の支払遅延のように他社の財務状況が影響したキャッシュフローの悪化ならば、利用手数料こそかかるものの、支払い期日よりも前に回収可能なファクタリングの利用も効果的です。

2.人材不足や育成面での悩み

人材不足や育成面での悩み

ふたつめは人材面に関する悩みです。

少子高齢化に伴う労働人口の減少は今に始まった事象ではなく、中小企業の多くは長らく人材不足や育成面の悩みを抱えています。

人材募集をかけて、ようやく獲得できた若い人材であっても最近の高い独立志向や転職願望などから、数年で退職してしまうことはざらであり、それによって人材育成も思うように進まず、結果的に企業力が伸び悩むといったこともよく見られるケースです。

また、長く在籍すればするほど賃金面でも保障面でも多くの見返りが期待できる大企業に比べて、中小企業ではそれらが限定的であることがほとんどであるため、魅力度に欠けてしまうのも事実。

こうした悩みの解決策として提案したいのは、必ずしも正規雇用の従業員にこだわらないという考え方を持つことです。

アルバイトやパートなどの非正規雇用はもちろん、人材派遣やクラウドソーシングを活用するなど、適材適所での人材獲得に務めれば、定着率に対する悩みは軽減できるほか、人件費の抑制にもつながるものです。

その中で、優秀だと判断できた人材や、長く在籍する意思を示す人材が現れれば、改めて正規雇用を打診してみてもいいのではないでしょうか。

思い切りのいい割り切り方ではありますが、労働者側からしても自由度の高い選択が可能となる、ある意味“現代的”な雇用だといえます。

まとめ
まとめ (7)

中小企業の経営者の方が抱えがちな悩みは、大別すると資金面と人材面の2つではないでしょうか。

それぞれの企業によって細かく分けていけば、2つの大きな悩みから、さらにいくつもの悩みが浮き彫りになるかと思います。

混迷する世界情勢と急速な変化が引き起こし続けるビジネスへの打撃が鎮まる気配は今のところ感じられず、今後さらなる悪影響を及ぼす可能性も考えられます。

また、国内の社会情勢や経済情勢も目まぐるしい勢いで変化を続けており、中小企業の経営者の方々の悩みはますます増加していくことになるかもしれません。

だからこそ、それぞれの企業が組織としての最大限の自助努力を尽くして、困難に立ち向かっていかねければならないのでしょう。

経営者としての悩みを少しでも解消するためにも、まずは今回ご紹介した解決策から着手してみてはいかがでしょう。