ビジネスローンはおすすめできるか?

~銀行融資との比較、メリット・デメリットから考える~

問)ビジネスローンはおすすめできるか?
答)おすすめできます ただし注意すべき点を知ることが重要です

ビジネスローンは事業資金を調達する方法の一つですが、良い点もあれば注意すべき点もあります。
そこで今回は「ビジネスローンはおすすめできるか?」をテーマにして、下記のように解説していきます。

1. ビジネスローンとは?
2. ビジネスローンと銀行事業資金融資の違い
3. ビジネスローンのメリット・デメリット

記事では銀行の事業資金融資と比較するため、知己の銀行員Aさんから聞いた話も盛り込みますので、事業資金調達でビジネスローン利用を検討している人は参考にしてください。

ビジネスローンはおすすめできるか?〜その1.ビジネスローンとは?

「ビジネスローン」としてイメージされるのは「利用までの時間が短く手続きもカンタンな事業資金の融資」といったところでしょう。
では、そもそもビジネスローンとは?など基本事項のおさらいから始めることにします。

ビジネスローンの基本事項

ビジネスローンの定義は上記の通りで、そのほか基本事項は以下の通りです。

 <ビジネスローンの基本的事項>
• 消費者金融やノンバンクなど貸金業者(注)が取り扱っている事業資金融資
銀行などの「〇〇ビジネスローン」は、ここでいうビジネスローンではなく事業資金融資の商品名
実際は証書貸付やカードローンなどの事業資金融資
資金使途は原則として事業資金に限定
ただし貸金業者によっては自由というところもある
保証人も担保も不要が原則
ただし会社で代表者が保証人となる場合も

(注)貸金業者
貸金業者とは、許可を受けて登録され、貸し付けを事業として行う正規の業者です。
消費者金融やノンバンク、一部の信販会社などが含まれます。
*銀行などは「金融機関」なので、貸金業者には該当しません。

貸金業を行う場合には、登録を受けなければなりません。借り入れを行おうとする業者が登録業者であるかどうか「登録貸金業者情報検索サービス」を利用するか、財務局又は都道府県へ最新情報を確認しましょう。

【参考引用】
金融庁/お金を借りる方、借りている方へ/登録貸金業者情報検索サービス
https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/

ビジネスローンはおすすめできるか?〜その2.ビジネスローンと銀行事業資金融資の違い

「ビジネスローンは貸金業者の扱う事業資金融資で、銀行の事業資金融資とは違う」
と説明しましたが、具体的な違いを一覧表でまとめてみました。

<ビジネスローンと銀行事業資金融資の違い>
ビジネスローンは消費者金融、ノンバンクの公式サイトより
銀行融資に関しては知己の銀行員Aさんより
ともに筆者調べによる

 

ビジネスローン 銀行の事業資金融資
借入の最高限度 500~1,000万円程度 原則として上限なし
金利(上限・実質年利) 15~18% 1%~3%台
保証人 不要
代表者の保証が必要な場合も
原則不要
信用保証協会利用(注)
代表者の保証が必要な場合も
担保 原則不要 担保が必要なケースが多い
審査スピード 最短当日融資も可能 最短でも1週間から数か月
契約手続き 原則来店不要 来店して契約するのが基本

(注)信用保証協会利用
金融機関で融資を受ける際に、公的機関の「信用保証協会」に融資の保証をしてもらうことで、金利など有利な条件で利用可能
信用保証協会融資(略して「マル保融資」などとも)を利用する場合には手数料として信用保証料を支払う必要がある

【参考出典】
一般社団法人全国信用保証協会連合会/もっと知りたい信用保証

もっと知りたい信用保証

銀行融資は金利が低い反面、審査にはそれなりの時間が必要で、しかも審査は厳しめです。
いっぽうのビジネスローンは、銀行の事業資金融資に比べると審査が柔軟なのでスピードも早いのですが、その代わりに金利が高めになっています。
言い換えると
「ビジネスローンは審査が柔軟で早い反面、融資する側の貸金業者はリスクを負うので、その代償として金利が高めになっている」<知己の銀行員Aさん談>
とも表現できます。
(この点についてはメリット・デメリットの章でもう一度説明します)

「ビジネスローンは総量規制の対象外」とは限らないので注意

「ビジネスローンは総量規制の対象外」
一部のサイト記事などで、ビジネスローンの説明やメリットのひとつとしてこのような記載がありますが、ビジネスローンは無条件に総量規制の対象外とはならないので、注意が必要です。
銀行事業資金融資との違いに関係するので、少し説明します。

まず「総量規制」についてです。
総量規制とは、個人がお金の借り過ぎ(貸し過ぎ)を防止するため、貸金業者による個人向け貸出を規制するものです。

<総量規制とは>
個人が年収の3分の1を超える貸付けを受けることは禁止されている
(例)年収300万円の人が借入れできるのは100万円が最大
総量規制の対象は貸金業者からの融資で、銀行の住宅ローンや買い物代金のクレジット払いなどは規制の対象外(リボ払いや分割払いは別途「割賦販売法」が適用され対象外)
• クレジットカードのキャッシングは、総量規制の対象になる
• 法人には総量規制は適用されない(あくまで個人限定)
個人には個人事業者も含まれ、事業資金も原則として総量規制の対象になる
ただし個人事業主に限り「例外貸付け」が認められる場合もある
「例外貸付け」:返済能力が認められるといったように特別なケースに限り、年収の3分の1を超える借入れが可能になること

総量規制の「例外貸付け」はあくまで特別なケースに限ります。
認められるには様々な条件があり、繰り返しになりますが、ビジネスローンは無条件で総量規制対象外ではないので注意してください。

【参考出典】 
日本貸金業協会/お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)
https://www.j-fsa.or.jp/association/money_lending/law/annual_income.php

ビジネスローンはおすすめできるか?〜その2.ビジネスローンのメリット・デメリットで考える

ではビジネスローンがおすすめできるか、今度はメリット・デメリットで考えてみましょう。

メリット1.審査が早い

銀行融資や公的融資(日本政策金融公庫など)に比べると、ビジネスローンは審査が早いところが最大のメリットです。
銀行融資に比べ提出書類も少なく、FAXやパソコンからの送信も可能で、原則として来店不要な点もメリットになっています。

メリット2.手続きがカンタン

審査が早いことにもつながりますが、手続きがカンタンなところもメリットです。
銀行融資に比べると提出書類は少なく、その書類もFAX・パソコンのメール送信などで対応してもらえます。
契約書類を郵送やオンライン契約などで済ませることができるので、原則として来店不要な点も魅力の一つでしょう。
そして、手続きがカンタンなことから、申し込んだ時間や審査状況によっては申し込み当日の融資利用も可能になっています。

メリット3.業況が悪くても利用できる場合がある

審査が柔軟なビジネスローンでは過去の業況が悪くても、現在の状況などから利用できる場合もあります。
赤字、債務超過(財産より負債・借金が多い)、リスケ中(返済を減額するなど救済措置を受けている)でも利用できる可能性はあります。

デメリット1.返済にはきびしい

これはビジネスローンに限らないことで、消費者金融などの融資では返済が遅れた場合、その対応は銀行などに比べてきびしくシビアです。
「銀行は返せるだろうと判断した人に融資するが、貸金業者は返せなかったらどうやって取り立てするのか?を考えたうえで融資する」<知己の銀行員Aさん>
こうした姿勢の違いからくるもので、決して貸金業者が悪質だというわけではありません。

デメリット2.銀行融資の審査に影響する場合も

現在ではテレビCMやネット広告などもあり、消費者金融やノンバンクは社会的にも認知されています。
以前に比べてネガティブなイメージも無くなっているのが実態です。
しかしながら、銀行などの金融機関ではいまだに「高利借入」などのイメージは払拭されずに残っています。
「顧客の預金から融資をするという銀行の保守的な姿勢から、消費者金融へのマイナスイメージは昔とあまり変わっていない」<知己の銀行員Aさん談>

このような理由から、ビジネスローンを利用中だったり、過去に利用歴があったりすると銀行に融資を申し込んでも審査落ちになる可能性は高まります。
(現在だけでなく、過去の利用歴も銀行ではわかります)

デメリット3.金利は銀行融資より高め

日本政策公庫など公的融資や銀行の事業資金融資に比べると、ビジネスローンの金利は高めなのがデメリットのひとつです。
「融資の金利はリスクの高さに比例するので、大企業より中小企業のほうが金利は高く、また会社より個人事業主の方が金利は高くなる。これは銀行の事業資金融資に限ったことではないので、銀行融資よりリスクが高いビジネスローンは、リスクの高さに比例して金利も高くなるのが原則」<知己の銀行員Aさん談>
またビジネスローンは「返済不可能になった場合も想定」(前述)しています。
したがって融資することのリスク、返済できなかった場合のリスクを盛り込んで金利が設定されているわけで、決してビジネスローンは不当に金利が高いわけではないとも言えます。

まとめ

ビジネスローンはおすすめできる、ただし注意すべき点を知ることが重要
ここまで説明したように、ビジネスローンを知り、メリット・デメリットもしっかり確認したうえで、慎重に利用を考えてください。
ビジネスローンを取り扱う貸金業者は認可を受けた正当な事業者です。
ですからビジネスローンは資金調達手段のひとつであり、銀行融資は公的融資に比べ悪質なものでもないのです。
条件や将来への影響なども考えたうえで、ご自身が納得できたならビジネスローンの利用も経営には有効な手段と言えるでしょう。