会社設立する際には多額の開業資金が必要になります。その際の資金調達方法として、どのようなものがあるのでしょうか?まず思いつくのは銀行などからの融資ですが、それ以外の資金調達方法は果たしてあるのでしょうか?
今回は会社の融資、特に会社設立時の融資に焦点を当てて解説していきます。その会社設立時の選択肢としてビジネスローンというものはあるのでしょうか?
目次
株式会社も合同会社も融資判断に違いはない
現在、「会社」というと株式会社と合同会社が95%超を占めます。2006年の新会社法制定によって、かつて存在していた「有限会社」の新規設立ができなくなり、有限会社に代わるものとして合同会社制度ができました。
合名会社、合資会社は今も存在しますが、新規設立割合、登記している会社割合いずれも1%以下なのでほぼ無視してかまいません。
少数派だった合同会社は現在、新規設立会社の30%以上を占めるようになりました(つまり株式会社が60数%ということです)。珍しくなくなった合同会社ですが、融資を受ける際には株式会社と比べて有利不利はありません。
合同会社が不利になりやすいのは、一般的知名度で、「会社=株式会社、有限会社」と刷り込まれている中高年層の場合、「合同会社?知らない?信頼できない」となりますが、対金融機関であれば社員、行員の方は株式会社と合同会社を評価できます。両者に社会的信頼度や経営の透明性などの差異はないため、融資判断において、株式会社、合同会社どちらが有利、不利になることはありません。
むしろ、少数派の合同会社をあえて選択して会社設立したという事業者は、両会社形態の違いを類介しているという加点評価になる可能性もなきにしもあらずです。
会社設立のための開業資金融資については、株式会社、合同会社に違いはありませんので、どちらの会社形態でも問題ありません。
会社設立時の融資「創業融資」ができる金融機関
会社設立時に開業資金を申し込むための融資は、一般的に「創業融資」と呼ばれます。まず、創業融資の概要を理解していただき、そのうえで金融機関を考えましょう。
創業融資を受ける際の注意点
金融機関から創業融資を受ける際の注意点をまとめました。
創業前や開業後数年の融資は自己資金が不可欠
会社設立後、事業に必要な金額の全額融資を受けられるわけではありません。創業融資の場合、必要な金額の30%~50%を自己資金、つまり自分の預金や家族、知人からお金を調達することが求められます。
創業融資で自己資本が必要なのは、会社がもし事業に失敗したときも、自己資金からある程度返済に充てられるからです。
いきなり事業に失敗すると、返済費用を捻出できません。金融機関としても貸し倒れになってしまいますので、リスクヘッジのため自己資金を求めます。
自己資金が要らないケースは開業後、数年経ち、しっかり利益が上がっていることが確認できてからです。3期(年)以上の決算書がある会社が事業主であれば、決算書をもとに融資が実行されます。
この場合、自己資金は不要です。
自己資金が必要な場合の目安は30%以上
自己資金が必要な創業融資では、その目安は30%~50%です。
創業融資において求められる自己資金の目安は
・日本政策公庫の新創業融資:必要な金額の約30%
・自治体の創業融資:必要な金額の約50%
・民間金融機関:必要な金額の約50%
つまり、300万円の資金が事業に必要な場合、融資を受けられる金額は150万円~210万円くらいになります。
会社設立、開業後、2期分の決算書があれば、融資の枠組みは創業融資ではなく通常の(自己資金がいらない)融資を申請できます。会社設立5年くらいは
創業融資:事業計画をもとに融資、自己資金必要
通常の融資:2期分以上の決算書をもとに融資、自己資金不要
から選べます。会社設立後の実績をどのくらいアピールできるのか、会社経営の手腕が問われます。
日本政策金融公庫(新創業融資)
政府系金融機関の「日本生活金融公庫」では、会社設立した人(個人事業主含む)向けに創業融資を提供しています。
政府系金融機関なので、支払金利なども一般の民間金融機関と比較してかなり優遇されています。
会社設立した法人向けに「新創業融資」というメニューがあり、会社設立をした人(や目指す人)にとっては、メジャーな開業資金調達方法になります。
日本政策金融公庫の創業融資は、新創業融資以外にも「女性、若者/シニア起業家資金」「再チャレンジ支援融資(再挑戦支援資金)」「中小企業経営力強化資金」など多様な創業融資メニューがありますが、原則的に担保や保証人が必要になります。
提供できる担保や保証人になってくれる人がいない(頼めない)人向けに、無担保、無保証人の創業融資としてできたのが新創業融資です。
特例だった新創業融資ですが、今では一番メジャーなメニューになりました。
新創業融資は
①創業相談(日本政策金融公庫の窓口)
↓
②創業計画書の作成、各種資料の準備
↓
③審査
↓
④融資の実行
となります。
融資の決定にあたっては、創業計画書の作成が非常に重要です。
しかし、公庫の担当者も一般的な融資相談の枠を出てまで創業計画書の作成指導はしません。したがって、会社の代表者が独学でしっかりしたものを作るか、外部のコンサルタントや税理士など専門家の指導を仰ぐことになります。
自治体の制度融資
2つ目の会社が創業融資を受ける方法として、自治体の制度融資を挙げます。
自治体が直接お金を融資するのではなく、「地方自治体+信用保証協会」で創業計画を承認し、お墨付きを与えたうえで、地元の金融機関(地方銀行や信用金庫)が融資します。
自治体は、地域経済を活性化させるため、地元で会社を興して経済活動を行ってもらうことに注力しています。
地域の経済を支える融資は、地元金融機関なので、自治体、会社、金融機関がそれぞれ稼ぎ、経済活性化に寄与するため、創業融資を支援しています。
融資条件を決定するのは自治体です。創業●年以内、●●万円までというのは自治体次第です。融資の受付は自治体が窓口になります。
無担保が原則ですが、保証人の代わりに信用保証協会の保証を付けます。保証人に代わり何かあった時には保証協会が債務を弁済します。
審査は自治体→保証協会→金融機関へと書類が渡って行われますので計3回です。1回で済む日本政策金融公庫の新創業融資とは異なるので注意してください。
創業者向け制度融資は、都道府県、市区町村、それぞれに創業融資の制度を持っているところもあります。
例えば東京都の場合
・東京都の創業融資
・23区各区の創業融資
の2か所で融資を受けられます。会社の登記上の所在地、実際の本店所在地、それぞれの自治体で創業融資を申し込めることもあるので、確認してみてください。
民間金融機関の創業融資
民間金融機関の創業融資という選択肢もあります。ただし、民間金融機関で自治体の制度融資ではなく、単独で行っているところは多くありません。
創業は事業実績がなく、決算書による審査ができません。したがって、金融機関としてはリスクを負うことになります。自治体の制度融資の場合、信用保証協会がリスクヘッジになりますが、金融機関単独で行うと新規設立したばかりの会社がうまくいかなかったときの貸し倒れを排除できません。
したがって、民間金融機関単独の創業融資は金利が高くなります。
メリットとしては日本政策金融公庫と併用できることがあるので、多額の資金を調達したい場合や、開業後のお付き合いを考えた場合、少額の創業融資を申し込むという方法が有効です。
ビジネスローンの利用は会社設立時にできるのか?
日本政策金融公庫や自治体の「創業融資」以外の方法としてビジネスローンを考える人がいるかもしれません。ビジネスローンは主にノンバンクが行う事業用貸付です。
ビジネスローンは開業設備して少なくとも1期事業をしていないとおすすめできません。ビジネスローンは、即日融資が可能、審査も緩く迅速な資金調達ができる融資として注目されています。
【ビジネスローンからの融資の特徴】
- 金利:高い(利息制限法上限金利の場合も)
- 審査時間:短い(即日融資も可能)
- 審査の厳しさ:やさしい(スコアリングシステム)
- 借入可能額:少ない(多くて1000万円)
- 信用情報照会:あり
- 担保、保証人:原則なし
- 訳アリの法人の借入:比較的可能
ビジネスローンは、通常の融資や日本政策金融公庫などの創業融資とは審査方法を異にしていて、「スコアリングシステム」を採用しています。
決算書の実績や同業他社の数字を打ち込んで機械的に貸し倒れ率を計算し、それをもとに融資判断を行います。
会社設立前、あるいは、会社設立して間もない場合、自社のスコアがないためビジネスローンのシステムで審査できません。
ビジネスローン会社の中には、開業資金や設立後間もない会社について融資を受けつけていないところもありますが、中には会社設立前や直後に対応している会社もあります。
創業融資に対応している会社「も」あるということで、すべてのビジネスローン会社で開業資金の融資ができるわけではありませんが、独自の審査による資金調達は通常の創業融資にはないメリットがあります。
無担保、無保証人が原則のビジネスローンですが、創業融資の場合、担保の設定等が求められることもあります。事業計画書や自己資金など既存の創業融資とは異なる観点での審査もあるので、通常の流れでは難しい会社は、創業融資のビジネスローンが使えるところを探していただくのも1つの方法です。
融資によらない開業資金調達方法とは?
融資による資金調達方法は以上ですが、会社設立の際には、融資によらない資金調達も可能です。いくつか方法があるので紹介します。
補助金、助成金
国や自治体が運営する補助金や助成金を受給して資金に充てます。税金なので手続きは厳しいのですが、返済不要で給付される資金です。
例えば、東京都の「創業助成金」は、都及び東京都中小企業振興公社が運営する助成金です。
都内における開業を積極的にサポートし、そのスタートアップに際して、積極的に助成するものです。
条件を満たす創業前、あるいは創業後の個人(事業主)または、会社に対して、特定の経費の支出に対して、後日助成金を支給する仕組みになっています。
クラウドファンディング
特定の目的に対して、ネット上で寄付を募る方法です。目標額を達成したら、寄付者に一定のリターンを与えることが多いです。
目標額が達成されなかった場合の対応(返金するのか、寄付として受け取るのか)など細部を詰めないと危ない方法ですが、夢を持った人が資金調達する方法として注目されています。
既存の会社の中にも、特定のプロジェクトや設備資金についてクラウドファンディングをやっているところもあります。日常的な運転資金の調達には向いていません。
会社設立後の融資の選択肢としてビジネスローンを!アクト・ウィル株式会社がおすすめ!
会社設立にかかわる開業資金については、日本政策金融公庫や自治体の制度融資を使うことが多いですが、「別枠」でビジネスローンを利用できる可能性があります。
アクト・ウィル株式会社は手数料の安い無担保、無保証人の通常のビジネスローン以外にも、審査が通りやすい不動産担保融資、動産担保融資、車担保融資、保証人付き融資など多種多彩な融資方法を用意しています。
会社設立時、あるいは会社設立当初のビジネスローンについても対応できる場合がありますのでぜひご相談ください。
アクト・ウィル株式会社の大きな特徴として、通常口座振り込みの融資資金を、スタッフが現金をお客様の手元にお届けできます(振り込みもできます)。
開業時、現金がすぐに必要なケースや、創業融資を待っていられないご事情がある場合など、100%の融資は保証できませんがまずご相談ください。
会社設立から実際に事業が軌道に乗るまで、融資を適切に使って乗り切りましょう。