2020年大流行したコロナウィルスの感染者は2022年現在、未だに増減しつつも日本経済は落ち着きを取り戻し、緩やかに安定軌道に乗り始めています。

2022年11月、東証株価指数(TOPIX)は一時2020台まで上昇し、約3ヶ月ぶりに2020台を上回りました。

昨年の同時期に比べれば企業の経済活動に対して前向きにとらえる経営者や投資家の方々が増えているように思えます。

また、一時は業績に大きな不安を抱えた製造業や小売業などでは、売上高を上方修正する企業も多くみられるなど、ゆるやかではありながらコロナ渦以前の活況を取りもどしつつあるように思えます。

では、全国の倒産状況はどうでしょうか。

東京商工リサーチの発表によると、今年4月~9月の倒産企業件数は3141件。前年同期で2937件、約7%を上回る結果となりました。

倒産に至る理由は様々ですが、やはりいくら新規感染者数が減少傾向にあっても、ワクチンの接種が開始されたといっても、コロナの感染拡大が続く限り、経営者の方々はコロナ関連の倒産リスクを抱えていることを肝に命じておかなければなりません。

では、いざ経営の危機に瀕した際、経営者の方々はどのような手段をとるべきだといえるのでしょうか。

会社が倒産危機に陥ったら経営者がとるべき4つの手段

経営危機になったら経営者がとるべき4つの手段

企業が倒産の危機に瀕した際に経営者の方がとるべき行動は主に4つ。

「事業」「資金繰り」「雇用」の3つの見直しに加え、「M&A」を視野に入れることです。

ひとつずつ見ていきましょう。

①事業の見直し

まずは事業の見直しです。

企業が展開する事業は、常に「需要」に合っていなければ、はっきりいって存在価値はないものと断言できます。

ここでいう需要とは、時代や社会、市場が求めるものであり、これらの目まぐるしい変化に適応させていかなければ、倒産は現実的な問題となり経営に重くのしかかってきます。

新型コロナの感染拡大は、信じられないほどの速さで社会を大きく変化させました。つまり、もしも現在展開している事業で不利益を被っており、倒産の可能性がチラつくようであれば、早急に事業の見直しを図る必要があるといえます。

たとえ思い入れの強い事業があったものの、不採算部門や赤字事業があるようなら切り離しの決断を下すとともに、時代や社会や市場が「何を求めている」かを見極めたうえで、可能であるなら新たな事業に乗り出すといった、思い切ったテコ入れが倒産回避のための大きなカンフル剤となりえるといえます。

②資金繰り

2つめは資金繰りの見直しです。

企業の資金繰りに関しては、営業活動における収支状況だけで成り立つものではなく、社会情勢もそのバランスを崩す大きな要因となるといえます。

したがって、社会を大きな混乱に陥れたコロナ渦においては、経済活動に係る収支状況だけにとらわれることなく、冷静に社会状況を分析した上で、前もって不要な経費を削減するといった細かな資金繰りの見直しが会社の倒産危機に功を奏するといえるでしょう。

③雇用

3つめは雇用の見直しです。

会社の倒産危機に瀕した企業の多くは、経費削減を図るために、まずは従業員の雇用解除を検討する傾向にあります。

従業員の賃金は大きな経費の支出であるため、事業継続のための資金確保をするには致し方ない判断だとはいえるのは確かです。

ただし、従業員は経営資源のひとつです。

安易な従業員解雇は事業を継続するにあたって支障が生じる可能性も十分にあり、経費削減を目的としていたはずが、経営活動が立ち行かなくなって、さらなる経営危機に陥るリスクも孕んでいるといえるのではないでしょうか。

雇用の見直しにあたっては、事業にどれほどの影響を与える可能性があるのかを見極めた上で、それでもなお人件費の削減が必要だと判断した場合は、雇用形態の変更やそれに伴う副業の解禁に踏み切るといった多様な選択肢から決断するべきだといえるでしょう。

④M&Aの検討

最後は、M&Aの検討です。

M&Aとは、「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略語で、企業の合併と買収のことを指します。

また、広義においては資本提携もM&Aのひとつといえます。

合併や買収と聞くとネガティブなイメージがつきまといますが、M&Aを実施できれば、経営危機に瀕した企業であっても展開する事業を継続させることが可能になります。

つまりM&Aは、会社の倒産危機を回避するための生き残り戦略のひとつなのです。

会社が倒産危機!のまとめ

冷静な判断に基づいた手段の決行を
今回は、会社の倒産危機に陥った場合にとるべき4つの手段を解説いたしました。

日本経済が緩やかに回復、安定していく中で東京商工リサーチの発表の通り、会社の倒産件数は減少どころか増えているのが現状です。

決して他人事とはいえない会社倒産を避けるためにも、経営者の方々には冷静な判断に基づいた手段の決行が求められます。