事業を営んでいくうえで、決して欠かせないものはお金です。
商売するために必要な設備投資、従業員を雇うのであれば人件費、オフィスを借りる場合には賃料などでお金が必要です。
自己資金ですべて賄えれば、これ以上のことはありません。
しかし事業によっては莫大なコストが発生し、自己資金では賄いきれない場合もあるでしょう。
このような時にどこから資金調達するか、方法を考えないといけません。
自己資金の手法はいくつかの選択肢があります。
その時々の状況に応じて、ベストの資金調達を検討しましょう。
目次
3種類の資金調達方法を理解する
資金調達方法は、大きく3タイプに分類できます。
3種類とは簡単にいうと、以下の通りです。
1. デットファイナンス
2. エクイティファイナンス
3. アセットファイナンス
この3つの資金調達方法は、メリットデメリットがそれぞれにあります。
自分たちにとってどの方法がベストか、検討してみてください。
デットファイナンス
デットファイナンスとは、簡単にいえば負債を増やす方法です。
金融機関などから借り入れることで、ビジネスするうえで必要な資金を調達する手法です。
デットファイナンスのメリットとして注目したいのは、簡単である点になります。
そしてレバレッジを利かせられるのもメリットといえます。
具体的に考えましょう。
たとえば自己資本が500万円の法人があったとします。
自己資本から考えて、そのほかの運転資金も考えると設備投資には、300万円がかけられる上限だったとしましょう。
ここで200万円の借入ができたとすると、設備投資に500万円お金をかけられます。
より質の高い機械を導入できたり、より大掛かりな設備投資ができたりします。
たとえば300万円設備投資をした場合の利益が、100万円だったとしましょう。
しかし500万円でより充実した設備を導入すれば、もしかすると倍の200万円儲けが出せるかもしれません。
同じ500万円の自己資金でも借り入れすることで、より大きな利益を上げられる可能性があるわけです。
しかし融資を受けるためには、さまざまなものを準備しなければなりません。
審査通過するために決算書など、会社の財務資料が必要です。
また担保や保証人を求められる可能性があります。
そしてお金を借りた以上、返済しなければなりません。
想定していた利益を上げられなかった場合、期日までに返済資金を用意できない事態に、追いつめられる危険性もあります。
エクイティファイナンス
エクイティファイナンスとは、資本を増やすという意味です。
先ほどのデットファイナンスは、他社から資本を調達する方法となります。
一方エクイティファイナンスは自己調達資本です。
一般的に株式を発行し、投資家に出資してもらうことで資金調達する方法を指します。
エクイティファイナンスのメリットは、借金ではない点です。
そのため集めた資金を後日返済する必要がなく、資金も外部に流れることはありません。
金融機関などから融資を受ける場合、会社に信用力がないと審査落ちしてしまいます。
しかし出資の場合、株式を引き取ってくれる投資家が見つかれば、審査通過できない法人でも利用できるのがメリットです。
株式は時として株価の上がることもあれば、下がる場合もあります。
思うように業績が上がらず株価も下がっても、下落分を法人が補填する必要もありません。
一方でエクイティファイナンスの場合も、デメリットがあります。
それは買収や合併などのリスクが伴う点です。
株式を発行して、第三者が過半数の株券を取得すると、経営権が移ってしまう恐れもあるわけです。
もし新規株式発行で資金調達する場合には、株式の持ち分がどうなるかを十分検討すべきでしょう。
「庇を貸して母屋を取られる」ような状況に、陥らないように注意しましょう。
アセットファイナンス
アセットファイナンスとは、会社の所有する資産を現金化することで資金調達する方法です。
アセットファイナンスのメリットは、即効性が期待できる点です。
不動産はさすがに難しいものの、車両などは買取マーケットがありますから、比較的短期で現金化できます。
急な出費などで、できるだけ早く現金が必要な場合にはおすすめの手法です。
しかしこの資金調達方法は、法人に何らかの資産がなければ使えないのはデメリットといえます。
またこちらの足元を見て、安く買いたたかれて結局損してしまう可能性もありますので、注意しましょう。
デットファイナンスの資金調達方法
デットファイナンスの資金調達方法として、具体的にどのようなものがあるかについてみていきます。
一般的に以下のような手法が考えられるでしょう。
1. 日本政策金融公庫
2. 銀行
3. ビジネスローン
4. 自治体
5. 社債発行
それぞれどのような手法で資金調達するのか、以下で解説します。
日本政策金融公庫
日本政策金融公庫はじめ、政府系金融機関から借り入れするという方法です。
次に紹介する銀行融資の場合、審査通過できない法人でも日本政策金融公庫なら、借り入れできる可能性があります。
銀行融資の場合業歴の浅いベンチャーや、零細企業のような経営基盤の脆弱なところへの融資は渋ります。
日本政策金融公庫はこのようなところにも、積極的に融資を行っているのです。
日本政策金融公庫は金利も低く設定されているので、のちの返済負担が軽減されるのもメリットです。
しかしデメリットとして、審査に時間がかかる点は理解しておきましょう。
申し込んでから面談を受けるなど、何段階も手続きを経ないといけません。
数か月単位で融資実行まで、時間がかかる可能性もあります。
銀行
銀行から事業性資金を借り入れるのは、多くの経営者が考える資金調達方法かもしれません。
銀行融資の魅力として、信用力が認められれば多額の融資を受けられる点があげられます。
場合によっては1億円前後の、借入が認められる場合もあるほどです。
設備投資で大掛かりな資金が必要な場合には、銀行融資を検討するとよいでしょう。
銀行融資も低金利の貸し出しを行っているものの、審査が厳しい点には注意が必要です。
たとえば赤字決算など、経営状態が芳しくない法人への貸し出しには、慎重になりがちです。
ベンチャーなど業歴の浅いところに対しても、審査は厳しめになりやすいでしょう。
また銀行融資の場合、審査に時間がかかるのもデメリットになるかもしれません。
早くても2週間程度はかかると思ってください。
1か月前後融資実行されるまで、時間がかかることも珍しくありません。
それまでに資金がショートしないか、じっくりと検討しましょう。
ビジネスローン
ビジネスローンとは、無担保の事業性資金の貸付商品です。
銀行のほかにも信販会社や、消費者金融などのノンバンクでも取り扱いが見られます。
ビジネスローンはそもそも、日本政策金融公庫や銀行で融資を受けられなかった事業者向けにサービスしているものです。
そのため審査は甘めに設定する傾向が見られます。
また審査期間が短いことも、メリットのひとつです。
どれほどかかっても1週間から10日もすれば、融資実行されます。
ノンバンクの中には、最短即日融資が可能な商品も見られるほどです。
「とにかく今すぐ現金がないとまずい」という事例には、ビジネスローンがおすすめです。
しかしビジネスローンは審査が短く、基準も甘めに設定しているので、不良債権化するリスクがあります。
そこで損失を最小限にするために、金利が高めになりがちなので、注意が必要です。
中には18.0%など、利息制限法ぎりぎりの設定にしているところもあります。
利息の支払い額を少なくするためにお金を借りたら、できるだけ優先的に返済に回し、返済期間を短くしましょう。
また借入限度額が少額なので、注意が必要です。
おおよそは数百万円単位、多くても1,000万円が上限だと思いましょう。
自治体
地方自治体の中には、独自の融資制度を設けているところがあります。
自治体の融資制度は、経済を活性化するための施策です。
ベンチャー企業やスタートアップ企業など、未知数のところへの貸し出しも積極的な傾向が見られます。
たとえ現在は赤字決算で利益が出ていなくても、将来性があると判断すれば、融資が認められる可能性は高いのです。
融資金額も数百万円から数千万円と、幅広く設定しています。
ただし自治体によって、その内容や条件もまちまちです。
融資制度そのものをやっていない自治体もあります。
まずは法人を管轄している自治体が、どういった融資を行っているかチェックしてみましょう。
社債発行
社債を発行して、個人・法人関係なく資金調達する方法もあります。
社債は株式とは違って、多く購入しても経営権を取得できるものではありません。
つまり経営に口を出さずに、資金調達だけ受けられるのはメリットです。
また社債は償還期間までに、元本を返せばよいのも特徴です。
その間は利息のみの支払いなので、償還期間を長めに設定すれば、無理のない返済計画を立てられます。
ただし利息の支払い分、余計にコストのかかってしまうことには注意が必要です。
また社債を発行した後で銀行融資を申し込んだ場合、社債を負債と評価されて審査通過できなくなるリスクもあります。
エクイティファイナンスの資金調達方法
自己資本を増やすことで資金調達する方法のことを、エクイティファイナンスといいます。
エクイティファイナンスで資金調達する具体的な手法として、以下のような種類が考えられるでしょう。
1. 第三者割当増資
2. 公募増資
以上ふたつの方法が考えられます。
それぞれどのようにして、資金調達するかについて紹介しましょう。
第三者割当増資
第三者割当増資とは、法人・個人などから出資してもらって資本増強する手法です。
どこから出資してもらうか、さまざまな相手が考えられます。
まずはベンチャーキャピタルからの出資です。
ベンチャーキャピタルとは、スタートアップ企業やベンチャー企業へ、積極的に出資しているところになります。
出資先が成長して、IPOやM&Aの時に株式を売却して、高い利益を出すのが目的です。
ベンチャー企業が運転資金として、数億円単位の資金が必要だったとします。
しかし銀行は業歴が浅いので、このような大型融資に対応する可能性は低いのです。
一方ベンチャーキャピタルの場合、話は別です。
ベンチャーの手掛けようとしている事業に将来性があると判断すれば、まとまった額の出資にも対応してもらえる可能性があります。
また個人投資家から、出資してもらうアプローチにも注目しましょう。
個人投資家の中には、企業に資金援助を積極的に行っているところもあります。
このような投資家のことを「エンジェル投資家」と呼ばれることもあるのです。
基本的にはベンチャーキャピタル同様、将来成長の見込めそうな企業に出資します。
そしてIPOやM&Aのタイミングで保有する株式を売却して、利益を確保するのが目的です。
エンジェルの場合、経営の経験がありノウハウをもっている方もかなりいます。
この場合どのように経営を進めていけば利益を得やすいか、アドバイスしてもらえる可能性もあります。
資金プラス経営者の知恵も受け取れるのは、魅力的です。
公募増資
エクイティファイナスの方法として、公募増資もあります。
一般の投資家から、株主の募集をかけます。
応募があれば、新規株式を発行する手法です。
なお株式発行する際の価格は、時価もしくはそれに近い株価を提示するのが一般的です。
先ほども第三者割り当ての場合、特定の法人や個人に出資してもらいます。
一方公募は不特定多数の法人や個人に対して広く募るのが、大きな違いといえるでしょう。
株式を上場すれば、株式マーケットを通じて不特定多数の人の間で、取引できるようになります。
そのため上場企業の取る、資金調達手段として知られています。
不特定多数の人に株式発行する形になるので、とくに多額の資金が必要な場合調達しやすいのです。
しかし株式をそれだけ多く発行するわけで、配当金を出す際にはこれまでよりもコストが上がります。
また株主が多くなりますので、議決権が希薄になってまとまりがつかなくなるなどのリスクのあることも、念頭に置いておきましょう。
アセットファイナンスの資金調達方法
法人が保有する資産を売却や担保にすることで、現金化する資金調達方法を、アセットファイナンスといいます。
アセットファイナンスにもさまざまな手法があり、主要なものとして以下のようなアプローチが考えられるでしょう。
1. ファクタリング
2. 資産売却
3. 手形割引
4. リースバック
5. M&A
それぞれに異なる特徴がありますので、どのような方法か詳しく見ていきましょう。
ファクタリング
近年注目を集めているのが、ファクタリングです。
ファクタリングとは皆さんが保有している売掛債権を売却することで、現金化する手法です。
商品を納品した際、その場で売上代金を受け取ることはビジネスの世界ではまれでしょう。
売掛金といって、1~2か月先に取引先から代金を受け取ることも珍しくありません。
しかし売掛金の回収を待っていると、それまでに支払い期日が迫っていて、資金がショートしてしまう危険性もあります。
そういった時に有用なのがファクタリングです。
ファクタリング会社が皆さんのもっている、売掛債権を買い取ります。
そのため予定よりも早く現金を確保できるわけです。
ファクタリングは最短即日で現金化できるようなところもあり、資金不足で切迫した状態のときに重宝します。
またファクタリングは、審査に通りやすいのもメリットのひとつです。
会社の信用力ではなく、売掛債権の内容や取引先の信用力をベースにして考査されます。
つまり銀行融資の審査に落ちてしまった法人でも、資金調達できる可能性は十分あるわけです。
ただしファクタリングで売掛債権を売却する場合、売掛金を100%現金化できるわけではありません。
取引手数料として、売掛金の一部はファクタリング会社に支払わないといけません。
本来回収できた金額よりも、若干目減りすることは頭の中に入れておきましょう。
資産売却
もし固定資産を保有していて、現在とくに使用していないものがあれば、売却して現金化するのも選択肢のひとつになりえます。
固定資産の中でも売却しやすいものとして、使っていない土地や保養所などの設備が考えられるでしょう。
資産売却というと不動産を連想する方も多いものの、動産も場合によっては売却できるものもあります。
たとえば車両です。
社用車の中でも役員車など必須ではない車両を売却して、資金確保するのはおすすめです。
また無形の固定資産も、売却対象になりえます。
特許権や商標権をもっているのであれば、これを売却も可能です。
今は使っていない建物や土地の場合、売却することで現金化できるほかにも、コストカットも可能です。
不動産を保有していると、税金など維持管理費が必要になります。
不動産を手放したことで、維持管理費の負担もなくなり、キャッシュフローの好転が期待できます。
しかしこの手法は、何か売れる資産をもっていることが前提です。
もし資産を保有していなければ、この手法が取れないのはデメリットといえます。
また資産を持っていても価値が低ければ、二束三文の値しかつかず思うように、資金調達できない恐れもあります。
もし企業が資産の売却を進めていると、業界で噂の立つ恐れもありますので注意しましょう。
「あそこの財務状況はまずいのではないか?」と、マイナスの印象を与える可能性のあることも留意してください。
手形割引
手形割引は約束手形をもっていて、まだ現金化できない場合に使える資金調達の方法です。
約束手形を銀行に買い取ってもらうことで、現金化する形です。
手形も一緒の売掛金なので、ファクタリングと根本的なシステムは一緒となります。
ただし手形割引とは異なる点も、いくつかあるので覚えておきましょう。
手形も売掛債権も、後日取引先から代金を回収することになります。
しかし取引先にお金がなければ、不履行になる恐れがあります。
ファクタリングで売掛債権が不履行になった場合、ファクタリング会社がその責任を負う形になるでしょう。
一方手形割引の場合、手形が不渡りになった時に利用者は、銀行に弁済しなければなりません。
またファクタリングは最短即日現金化も可能なほど、手続きがスピーディです。
しかし手形割引では、そこまでスピーディに現金化できるわけではありません。
ファクタリングの場合、不渡りのリスクを想定して手数料を高めに設定する傾向が見られます。
しかし手形割引の場合、不渡りが起きると銀行は利用者に弁済を求めます。
不良債権を握らされる心配がないので、その分手数料は低めに設定するのです。
無駄なコストをできるだけ負担したくないと思っているのであれば、ファクタリングよりも手形割引を利用したほうがよいでしょう。
リースバック
リースバックも、不動産売却の一種ではあります。
ただ通常不動産を売却すれば、その物件に関して一切関われません。
しかしリースバックは物件を売却した後でも、賃貸という形でその不動産を利用し続けられます。
工場や社宅をもっている法人もいるでしょう。
物件を売却すれば、それなりにまとまった資金が入ってくるかもしれません。
しかし工場や社宅の場合、手放してしまうと困るでしょう。
その場合にこのリースバックを活用するのがおすすめです。
リースバックであれば、売却しても引き続き工場でも社宅でも利用し続けられます。
ただし売却した不動産をリースバックで引き続き利用するためには、間借りする形になります。
賃料を支払わないといけなくなる点は、デメリットといえるでしょう。
ただし一時的に不動産を売却して、事業が軌道に乗って収益があげられたとします。
もし不動産を購入できるだけの資金を確保できれば、リース会社から買い戻せるでしょう。
不動産を保有していると、ランニングコストがかかります。
固定資産税や修繕費用などは、リースバックにすれば物件は引き続き利用できます。
またランニングコストを負担する必要もありません。
もし何らかの不動産を所有しているのであれば、リースバックで資金調達するのも選択肢のひとつです。
M&A
法人の何らかの事業を、ほかのところに売却する資金調達もあります。
これをカーブアウトといいます。
M&Aといって、法人丸ごと売却してしまう手法も考えられるのです。
M&Aというと一昔前までなら、あまりポピュラーな手法ではありませんでした。
大企業が実施するもので、中小企業には縁遠い存在だったかもしれません。
また会社売却に対して、抵抗感を抱く経営者もいるでしょう。
しかし近年M&Aは活発に行われていますし、中小企業でも手軽に行える状況になりつつあります。
事業や会社を売却すると、規模によってはかなりまとまった資金を確保できる場合もあります。
一部の事業を売却して資金調達し、本業に会社の資源を回すことも可能です。
ただしM&Aの場合、買い手がつかない恐れもありますので注意が必要です。
また売りに出すにあたって、競業避止義務やロックアップに阻まれ、制限がかかることも考えられます。
M&Aをしても希望する買い手が見つからないのではと、思っているかもしれません。
しかし近年ではM&Aのマッチングサービスも、数多く出てきています。
買収先の希望や売却する事業や法人を伝えて、マッチすると思われる業者を紹介してくれるのです。
資金調達をスムーズに進めるためのポイント
資金調達の方法はさまざまとあります。
しかしスムーズに資金を確保するためには、押さえておきたいポイントはいくつかあります。
もしこれから資金調達しようと思っているのであれば、以下のことを意識して計画を進めていきましょう。
使途と金額を明確に
まず資金調達するにあたって、何のためにいくら必要かを明確にすることです。
たとえば「売上強化のために工場に新しい機械を導入したい、その機械は1,000万円する」といった感じです。
とくに使途が明確でないと、融資や現金化が難しくなる可能性もあるので、注意してください。
また金額も具体的に算出しておくことが大事です。
たとえば先ほど機械導入のために、1,000万円必要であるという事例を紹介しました。
しかし全額別から調達するのではなく、自己資金や今後入ってくる売掛金が、トータル500万円あったとします。
つまり残り500万円を、どこかから調達しなければなりません。
このように具体的に、いくら不足するのか算出しましょう。
もし金額をきちんと算出していないと、調達してお金が足りないことを不安視して、少し色を付けて調達しようとしがちです。
とくにデットファイナンスで資金調達する場合、返済する際に利息も支払わないといけません。
借入額が大きくなれば、その分利息の負担も大きくなります。
必要最低限の資金を調達するためには、具体的にシミュレーションしておくことが大事です。
企業規模にふさわしい金融機関と付き合う
法人が資金調達する方法として、銀行融資を選択するケースは多いでしょう。
信用力があれば多額の融資を受けられるうえに、ビジネスローンと比較すると金利も低めに設定されているからです。
もし融資を前提にして銀行とお付き合いする場合、自分の身の丈に合ったところを選ぶことが大事です。
たとえば日本全国に展開している、メガバンクがいくつかあります。
このようなメガバンクは預金量も多く、多額の貸付も実施しています。
しかしメガバンクは、大企業などが取引先のメインです。
大企業ほどでなくても、それなりに業歴のある中堅企業くらいまでは、取引の対象と考えがちです。
そのため中小企業でメガバンクに融資をお願いしても、丁寧に対応してもらえない恐れがあります。
メガバンクになると行員ひとりで、数多くの企業を相手にしている可能性があります。
新規で中小企業となると、そこまで目配りができないかもしれません。
年商数億円程度の事業規模では、メガバンクを利用するのはあまり賢明ではありません。
もし中小企業が銀行とお付き合いするのであれば、地方銀行がおすすめです。
地方銀行は地域密着の影響をモットーにしていて、地元企業に対しても積極的に融資する傾向がみられるからです。
とくに第二地銀と呼ばれているところは、規模の小さな中小企業や零細企業を顧客にしているところも多くあります。
起業したばかりのスタートアップ企業や小規模経営、個人事業主の方であれば、信用金庫や信用組合がおすすめです。
信用金庫や信用組合は地銀よりも、営業エリアがさらにピンポイントになりがちです。
預金量は数千億円規模、1,000億円未満と小規模なところが中心になっています。
融資取扱額も少ないものの、営業エリア内であればきめの細やかなサービスができます。
金利はメガバンクや地銀と比較すると、やや高めといえるでしょう。
しかし担当者がマメに訪問してくれるうえに、現状をヒアリングしたうえで、さまざまなアドバイスが受けられます。
このように身の丈に合った金融機関と取引して、いざというときにスムーズに融資を受けられるよう、環境づくりを進めましょう。
事業計画書を綿密に仕上げる
とくに融資の場合、貸し出す側は「貸したお金を本当に回収できるのか?」を重視します。
相手に納得してもらえるように、事業計画書を作成することも大事です。
事業計画書を見て先方が「なるほどこれなら売り上げが出せる」と思えると、融資を受けやすくなります。
そのためにはどういった事業を始めるのか、オリジナルの売りは何か、どういったリスクがあってどう克服するかなどを盛り込むとよいでしょう。
またロードマップを策定することも大事です。
5年後や10年後には事業がどうなっているかについても、明確にする必要があります。
事業計画書を作成する際には、楽観的な内容だと金融機関は逆に「本当に大丈夫か?」と、思ってしまうかもしれません。
堅実かつ保守的な計画でも、十分収益が出るような説明を心がけましょう。
資金を引っ張ってくるためには、相手が「お金を出してもよい」と思わせるように、説得できる資料を用意することも大事です。
資金調達の方法のまとめ
どれほどよい事業を行っていても、資金繰りが悪化してお金が底をつけばどうしようもありません。
そのため経営者であれば、常に資金調達のことを頭に入れておく必要があります。
資金調達しようと思っても、想定通りにお金を確保できない可能性もあります。
そこで上記で紹介した複数の選択肢を用意して、AがダメならBで行くといった保険を準備しておくことが大切です。