法人を営んでいると、資金調達のためにローンを組むことも珍しくないでしょう。
法人向けローンの中でも有名なものとして、ビジネスローンがあります。
ビジネスローンは審査が比較的緩やかで、スピーディに融資実行してくれるので重宝するでしょう。

しかし法人向けローンはビジネスローンのほかにも、さまざまな種類があります。
ここでは法人向けローンとして、どのようなものが使えるかについて解説します。
資金調達が必要になった時のために、頭に入れておくとよいでしょう。

法人の利用できるローンとは?

法人を対象にしたローンはビジネスローン以外にもいくつかあります。
主な資金調達方法として、以下のような選択肢が考えられるでしょう。

1. 日本政策金融公庫
2. 銀行融資

それぞれどのような特徴があるかについて解説します。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫という政府系金融機関で、法人向けの融資を行っています。
あとで紹介する銀行融資は低金利ですが、その分審査は厳しめなのが特徴です。
とくに創業間もない法人はまだ信用力が十分でないとして、融資を断るケースも珍しくありません。

日本政策金融公庫であれば、創業間もない法人でも融資を積極的に行っています。
金利も銀行と比較してもそん色ないくらいの、低い利率で運営されています。

審査も甘めで、個人事業主でも借り入れできる可能性は十分あるのです。
さらに日本政策金融公庫から融資を受けたことが、ひとつの実績になります。
政府系金融機関の審査に通った、それだけ信用力があると判断され、銀行融資も受けやすくなるでしょう。

たとえば新規事業を始める、もしくは事業開始してから7年以内の法人を対象にした、新規開業資金と呼ばれるローンがあります。
最大7,200万円までの融資に対応している、大型ローンです。
返済期間は設備資金が20年、運転資金が7年を上限として比較的長期的な借入期間に設定できます。
しかもいずれも据置期間として2年間が設定できるので、無理のない返済計画が立てられます。

起業するにあたって資金調達したいのであれば、こちらを利用するのも選択肢のひとつです。
ただし融資実行されるまでに、1か月程度の時間が必要になるかもしれません。

銀行融資

法人がローンを組むにあたって、連想しやすいのが銀行融資でしょう。
文字通り金融機関がお金を貸し出すローンです。
まとまった金額の融資を希望する際に活用してほしいローンです。

銀行融資の場合、信用力次第ですが数億円単位の借入もできます。
しかも銀行融資は低金利なので、返済の負担もそこまで重くありません。
金融機関にもよるものの、2~5%といったところが相場です。
ビジネスローンだと10%を超える金利設定にされる場合もありますので、かなりの低金利であることがわかります。

ただし低金利なので、審査は厳しめの傾向があるのも理解しておきましょう。
また審査通過できたとしても融資実行までに時間がかかります。
普通でも1か月、場合によっては1か月以上かかってしまう恐れもあります。
融資実行されるまでの資金繰りについても、検討しておく必要があるでしょう。

銀行の法人向けローンの種類

銀行は法人向けにローンを提供しています。
しかしこの銀行の法人向けローンには、この中でもいくつかの種類があります。
銀行によってすべてラインナップされていないかもしれませんが、主な種類として以下のようなローンがあげられるでしょう。

1. プロパー融資
2. 信用保証協会の保証付き融資
3. 不動産担保融資
4. 売掛債権担保融資
5. カードローン

銀行によってはビジネスローンを提供しているところもあります。
このように多様な商品を展開しているので、自分の場合どのローンを選択すべきか、申し込む前に慎重に検討しましょう。

プロパー融資

プロパー融資とは、銀行が直接法人に対して貸し出しを行うローンです。
「銀行融資」とよく呼ばれますが、これは基本的にプロパー融資のことを指すと思ってください。

保証協会などを挟まないで直接融資するので、もし不良債権化した場合銀行は大きな損害を被ります。
そのため審査は厳しく、融資実行までに時間がかかります。

プロパー融資は創業間もない、お付き合いもとくにない法人に対して貸し出すことはあまりありません。
普段から取引関係があり信頼関係を構築している、しかも業績も堅調な法人を対象にした融資と考えましょう。

返済期間は短めな傾向が見られます。
そのため借入の段階で返済のめどが立っている、短期間できちんと返せるかは考えておきましょう。

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証のついた融資です。
信用保証協会が保証人になってくれて、いざ債務者から債権回収できなかった場合に身代わりになります。
銀行としてみれば、たとえ債務者が返済不能の状態になっても信用保証協会から回収可能です。
リスクが低いので、プロパー融資と比較すると審査は緩くなります。

中小の法人は、経営基盤が大手企業と比較すると脆弱です。
そのためプロパー融資の審査は厳しめになります。
しかし信用保証協会の保証付きであれば、審査通過できる確率はアップします。

ただし信用保証協会の保証付きであれば、協会に保証料を支払わないといけません。
また協会の審査を通さないといけないので、審査に時間がかかってしまいます。
申し込んでから融資実行されるまで、少なく見積もっても1か月程度はかかると想定しておきましょう。

不動産担保融資

不動産担保融資とは、文字通りお手持ちの不動産を担保にして融資を受けるローンです。
もし不動産を保有しているのであれば、こちらのローンも利用できます。
担保にできるのは不動産、具体的には土地や建物です。

不動産担保融資の場合、低金利で借入ができます。
しかも長期の返済期間の設定もできるので、無理のない返済計画を立てられます。

銀行としてみれば、こちらもローリスクの融資だからです。
もし法人が返済不履行になったとしても、担保にしている不動産を差し押さえればよいからです。

また担保になる不動産がしっかりしていれば、融資を受けられやすいのもメリットといえます。
不動産の価値次第ですが、数億円単位の借入もできるかもしれません。
不動産担保融資というと、多額の借入が前提ではないかと思う人もいるでしょう。
しかし少額の借入でも対応してもらえます。

売掛債権担保融資

売掛担保債権とは、法人が抱えている売掛金を担保にして貸し出すローンのことです。
売掛金に関連する資金調達方法として、近年注目されているファクタリングがあります。
両者を混同しやすいものの、性質はまったく違います。

売掛債権担保融資は、売掛金を担保にした融資です。
そのためいずれ、法人は返済しなければなりません。

一方ファクタリングは、売掛債権を現金化する手法です。
ローンではないので、後々返済義務は発生しません。

売掛債権担保融資を受ける前提として、売掛金のある取引先に通知しなければなりません。
取引先の承諾がないと融資は受けられないので注意しましょう。
また取引先の中には、売掛債権担保融資を契約書の中で明確に禁じているところもあります。
契約書に売掛債権に関する条項がないか、あらかじめ確認しておきましょう。

売掛金は時として、なかなか現金化できないところが資金繰りのうえで、頭痛のタネになりがちです。
売掛金の回収前に仕入れの支払いの方が先に来てしまうと、キャッシュフローが悪化してしまいます。
このような資金繰りが悪化したときに売掛金を担保にして、ローンを組むのもひとつの手です。

カードローン

カードローンで借入する方法もあります。
カードローンは個人向けの商品もあるので、内容は知っている法人の代表者も多いでしょう。
カードローンの審査に通過すると、ローンカードが発行されます。

ローンカードを使ってATMにて手続きすれば、借り入れられます。
返済も同様にATMを使って手続きするのが一般的です。

カードローンは審査が緩めといえるでしょう。
中小企業の代表者でも審査通過できる可能性が十分あります。
ただし金利は高めに設定されているので、長期の借入には不適格です。
利息が膨らんで、返済負担が大きくなってしまうからです。

カードローンの場合、各自で利用限度額が設定されます。
利用限度額の枠内であれば、前回の借入が完済する前でも新規借り入れが可能です。
カードローンは通常数十万円から数百万円の借入向けのローン商品です。

ただし一部数千万円単位で借入できるようなカードローンもあります。
しかしこのようなカードローンを利用するためには、信用保証協会の保証を受けることが前提です。
それでもおおよそ2,000万円が上限と考えましょう。

事務所購入時にローンを組む

法人の中には、ビジネスの拠点になる事務所を購入しようと検討しているところもあるでしょう。
しかし事務所購入といっても、手持ちの資金だけで賄うのは難しいかもしれません。
その場合にはローンを組んで購入するのも選択肢のひとつです。

事務所購入を検討していてローンを組むとき、どういったメリットがあり注意すべき点は何かについてみていきます。
また法人が事務所購入時にローンを組む場合、どういったところを審査で重視されるのかについても、あわせてみていきましょう。

事務所購入時にローンを組むメリットとは?

法人が事務所を購入する際にローンを組むメリットとして、選択肢の幅が広がる点は留意しておきましょう。
ある程度自己資金のある法人でも、購入できる事務所には制約があるはずです。
しかしローンを組めば、借入金が自己資金に上乗せされます。

自己資金だけでは購入できないような価値の高い物件を購入できます。
たとえば最寄り駅から近い立地条件のよいところに部屋を購入できるかもしれません。
アクセスがよければ従業員も通勤しやすくなるので、仕事へのモチベーションも上がるでしょう。
取引先の訪問にも便利なので、お得意様に喜ばれるかもしれません。

事務所購入の際にローンを組んで、自己資金を多少手元に残せるのもメリットのひとつです。
事業を営んでいると、想定外の事態に遭遇することもあります。
売掛金が当初の予定通りに回収できない、予想外の出費を強いられるなどです。

もし事務所購入で自己資金のほとんどを使い切ってしまうと、突発的な事態に対応できない恐れがあります。
自己資金としてどの程度手元に残しておくべきか、判断材料になるのが限界利益です。
限界利益とは、売上から変動費を差し引くことで算出できます。
すべての固定費を回収できる指標のひとつとして使われます。

ローンを組んで自己資金をある程度残すのも、法人にとって重要な戦略のひとつです。
資金繰りに余裕をもたせ、リスクマネジメントすることも大事でしょう。

不動産購入時にローンを組んだ場合、新規の借入を起こせる可能性があるのもメリットのひとつです。
たとえば法人の代表者がマイホームを所有していた場合を仮定しましょう。

住宅ローンを組むにあたって、借入上限額が6,000万円だったとしましょう。
ところが実際の残債が3,000万円だとしたら、残り3,000万円余力があると判断できます。

このように借入限度額の枠内であれば、マイホームを第二抵当権に設定できます。
担保の価値が増えるので、新たな借り入れができるわけです。

法人の事務所購入時のローン審査の基準とは?

法人が事務所を購入するときにローンを組んだ場合、他と同様審査が実施されます。
審査基準は金融機関によってまちまちで、基準は公開されていません。
しかし一般的には、法人としての信用力があるかどうかを重視します。

現在の経営状況が堅調か、過去にローンを組んだ場合の返済状況などをチェックします。
たとえば法人の売り上げに対して、返済額の割合がかなり高いと審査は厳しめになるでしょう。

また基本的に黒字経営できている法人でないと、審査通過が難しくなります。
赤字だと決して不可能とは限りません。
しかし2期連続赤字など慢性的に赤字の状況になっていると、融資を受けるのは厳しいでしょう。

現時点では黒字経営であったとしても、確実に融資を受けられる保証はありません。
たとえば過去に返済延滞があった場合、いざというときに返してもらえないかもしれないと判断される恐れがあるからです。

担保にする不動産にどの程度の価値があるかも、審査の可否や融資可能額に影響します。
担保価値を算出するにあたって、時価×掛け目で計算します。

時価とはその時点における物件価格です。
不動産は土地と建物の2種類あって、時価の算出方法は異なります。
土地の場合公示地価や路線価、固定資産評価額をベースにして算出します。
一方建物は経年劣化や再調達した際の価格などをベースにするのです。

掛け目はあまり一般的には聞かない言葉かもしれません。
掛け目とは、担保価値を時価よりも低めに評価するための率のことです。
基本的に不動産は時間の経過とともに、価値は徐々に下がっていきます。
損失を出さないために、下がった後の価値を想定して見積もりを出します。

事務所を購入する場合、注意しなければならないのはビルの築年数です。
もし耐用年数を超えた物件を購入すると、融資が受けにくくなるかもしれません。
不動産の価値が低く評価されるからです。
決して融資が受けられないわけではないものの、プラスで担保を出すようにいわれるかもしれません。
そのため事務所を購入する際には、建物の築年数を確認しておくとよいでしょう。

法人だけでなく、代表者の信用力もローンを組む際の判断材料になりえます。
法人の信用力は十分でも、個人的な問題があれば融資否決されてしまう恐れもあるでしょう。

カードローンやフリーローンと同じ部分が考査されます。
過去に返済滞納が何度もあった、債務整理などの事故情報があるなどは問題でしょう。
また短期間で複数のローンに申し込んでいるなどあると、問題視される恐れがあります。
さらに各種税金未納があると、審査通過するのがかなり難しくなります。
水道光熱費や家賃の支払い遅延があった場合、そのことが信用情報に記載されていると、審査でマイナスの心証を与えるでしょう。

法人だけでなく、代表者の信用も問われることは頭に入れておきましょう。
金融機関で審査基準や審査にかかる期間はまちまちです。
あるところでは断られても、他では審査通過できる場合もありますので、複数の金融機関で相談してみるのがおすすめです。

すでにメインバンクを抱えている場合、そこでローンの申し込みをしないといけないと思っているかもしれません。
もちろん選択肢のひとつですが、別の借入先を見つけても問題ありません。
不動産会社に相談すれば、金融機関を紹介してくれる場合もあります。

事務所購入する際には区分所有オフィスという選択肢も

事務所を購入する場合ローンを組むほかにも、どの物件を購入するかも重要なポイントになりえます。
物件選びの中でも近年注目を集めているのが、区分所有オフィスです。
区分所有とは、ビルの中でもフロアごともしくは部屋ごとに分割して保有する方法です。
リスクマネジメントがしやすくなるなどのメリットがあるので、有力な選択肢になりつつあります。

区分所有の場合、一棟丸ごとと比較すると価格そのものは安いでしょう。
つまり同じ予算でも、よりハイグレードなオフィスを購入可能です。
グレードの高いオフィスであれば、設備などもそろっているため作業効率性もアップします。

一棟丸ごと購入してしまうと、実際にはそこまでスペースが必要ない物件を買うことになるかもしれません。
もし余っているスペースがあれば、賃貸として貸し出すことも検討しなければなりません。

一方区分所有の場合、フロアや部屋など自分たちの用途に合わせて購入できます。
よってデッドスペースができにくく、効率的に部屋を活用できます。

区分所有オフィスを見てみると、商業地やオフィス街など人気のエリアの物件が多いのです。
つまり事務所移転などでオフィスを売却する際にも、高値で売れる可能性があります。
区分所有オフィスは需要過多の状態が続いているので、買い手が付きやすいのもおすすめの理由のひとつです。

法人の車をローンで購入する方法について解説

法人名義の車を購入する際も、個人同様ローンを組むのも選択肢のひとつです。
法人向けローンを組むにあたって、どういったところが審査で考慮されるのか、どういった書類を用意すればよいかについてまとめました。

法人向けローンに申し込む

法人名義の車両を購入する場合、個人向けローンは利用できないので注意してください。
法人向けローンの中から申し込み先を選びましょう。
ただし個人向けの自動車ローンと比較すると、選択肢は限られると思ってください。

法人向けと個人向けローンの違いは、総量規制の制約の有無です。
総量規制とは、申込人の年収の1/3を超えて借入できないというルールです。

個人向けの場合、この総量規制が適用されます。
一方法人向けローンの場合、総量規制の対象外です。
そのため年収の1/3を超える、まとまった融資を受けられます。

中には営業車など、法人名義の車両を複数購入したいと思っている代表者も多いでしょう。
複数購入する場合、まとまった資金が必要になります。
自己資金だけで賄えない場合には、法人向けローンの購入を検討するとよいでしょう。

法人向けローンに申し込む際の必要書類

法人向けの自動車ローンに申し込む場合、ほかのローン同様必要書類をいくつか準備して提出しなければなりません。
金融機関によって提出する書類が若干異なるかもしれません。
しかし一般的には以下のような書類の提出を求められると思ってください。

• 財務関連の資料
• 代表者に関する資料
• 登記簿謄本

法人の財務状況のわかるような書類を準備してください。
具体的には財務諸表や確定申告書、納税証明書などを準備しましょう。
通常直近2~3期分の資料を用意しないといけないので、手配を進めておきましょう。
また決算月から数か月経過している場合には、現在の財務状況を把握するために、試算表を提出するよう指導される場合もあります。

代表者に関する資料は、本人確認書類です。
免許証やパスポートなど氏名や生年月日、住所・顔写真の確認できるものを準備してください。
また場合によっては代表者の年収や他社借り入れ状況を確認できるような、書類を提出するようにいわれる可能性もあります。

金融機関によっては、登記簿謄本を提出するよう求められる場合もあります。
申し込んでいる法人が本当に実在するかどうか、確認するためです。
業種によっては、営業許可証の提出が必須になるかもしれません。

登記簿謄本は法務局に出向いて取得する以外にも、オンライン請求も可能です。
オンライン請求は法務局に行かずに、ネットで手続きできるので便利なシステムです。
しかしオンラインの場合、登記簿謄本は郵送にて届けられる形になるので、どうしても入手するまでに時間がかかります。
今すぐローンに申し込みたいと思っているのであれば、面倒でも法務局に出向くのがおすすめです。

法人向けローンの審査内容

自動車のローンの審査内容は、法人向けと個人向けとでは内容が異なります。
個人向けの場合、申込人の信用力をベースにして判断します。
一方法人向けの場合、会社の信用力を中心にして融資の可否を判断する傾向が見られるのです。
具体的に、法人の何を見て判断するのでしょうか。

まずは会社概要です。
具体的には以下のような事柄についてチェックされます。

• 会社の規模
• 資本金
• 業歴
• 事業内容

これらの情報をチェックすることで、健全な経営ができているかどうか推測していきます。
また事業内容をみれば、ローン購入する車両の用途に適しているか、借入の正当性があるかを判断できるのです。
先方を納得させるためにもなぜその車が必要なのか、なぜ借入する必要性があるかについて、説明できるようにしておきましょう。

業歴や資本金は審査の可否で重視される項目です。
業歴が浅いとまだ経営基盤が確立していないとみられて、審査が厳しくなる恐れもあります。
また資本金に対して希望借入額が大きすぎると、返済できるのか疑問視される恐れがあるので注意してください。

会社の財務状況がどうなのかも、審査の際に重視されるポイントのひとつです。
財務諸表や負債諸表を提出するように求められ、借入金額をきちんと返済できるめどが立っているかの、判断材料になるからです。

もし赤字経営に陥っているようであれば、借入を断られたり借入額を下げられたりする可能性が出ていきます。
またほかにも借り入れがあって、残債がまだかなり残っている場合は自分のところに回せる資金がないのではと、懸念されるでしょう。

とくに事業を始めて間もないころは、さまざまな支払いをしなければならず、まだ経営も軌道に乗っていないことも多いでしょう。
負債がある程度大きくなることも珍しくありません。
その場合今手掛けている事業がいかに今後利益を出せるのか、事業計画書などを準備して担当者を説得しましょう。
もし金融機関の担当者が将来性ありと判断すれば、融資の稟議が通る可能性もあります。

法人用の自動車ローンの審査の中で重視される項目として、事業の安定性があげられます。
自動車ローンはまとまった金額を融資することも多く、返済期間も長期化しがちです。
そこで現在手掛けている事業が安定していて、コンスタントに利益を上げられているかは注視するわけです。

もし起業して間もないベンチャーやスタートアップの法人や、景気によって収益がかなり左右される事業の場合、審査に不利になるかもしれません。
また大企業と比較すると、中小企業は経営基盤が盤石ではないので、どうしても審査が厳しめになりがちです。
事業の安定性の評価が低くなりそうな法人であれば、今後安定した収入の得られることを資料などで説明するとよいでしょう。

法人向けローンに申し込むにあたっての注意点

もし法人名義の車両を購入しようとしてローンを組む場合、いくつか注意すべきポイントがあります。
まずは諸費用に関する問題です。
ローンを組んで購入する場合、本体費用はのちに分割にて支払います。

しかし諸費用については先払いなので、自己資金で賄わないといけません。
自動車関連の税金や自賠責保険料、さらに各種手数料も発生します。
目安は車両本体価格の1~2割程度発生すると考えておきましょう。

とくに複数の車両を一括で購入する場合、1~2割といってもそれなりの金額になります。
250万円の車両を4台購入すればトータル1,000万円、その1~2割になると100~200万円です。
諸費用を賄えるだけの財力があるのか、事前に検討しなければなりません。

また経理の仕訳作業もローンを組むことで新たに発生するので注意してください。
車両の場合、減価償却しなければなりません。
車両の購入費は普通車で6年、軽自動車は4年が法定耐用年数になります。

減価償却は定率法と定額法の2種類で算出するのが一般的です。
しかし税務署に事前届け出をしていなければ、定率法で計算しなければなりません。

さらにローンの返済額は経費計上できない点も留意してください。
ローンの利息支払い部分だけが経費として計上できるので、自分たちで仕訳する際には注意しておきましょう。

カーリースを利用する選択肢も

法人用の車両を調達するにあたって、ローンを組むほかにもカーリースを利用する方法もあります。
カーリースの特徴として、月額定額支払いである点があげられます。
税金や保険料・車検の費用、メンテナンスコストなどが月額に含まれているのです。

ローンを組んだ場合、初期費用が発生するのでどうしても最初の費用負担が大きくなります。
カーリースであれば定額なので、導入直後の負担が軽減されます。
しかも月々支払っているリース料は、全額経費として処理可能です。
節税効果が期待できるので、ローンを組むだけでなくカーリースも検討しましょう。

法人のローン活用方法に関するまとめ

ここまで見てきたように、法人向けのローンの選択肢はビジネスローン以外にもさまざまなものがあります。
それぞれに異なる特徴があるので、自分たちの現状にマッチした形式で資金調達しましょう。

またローンを組む方法だけでなく自分たちの資産を売却する、売掛債権を現金化するファクタリングなどで、資金調達する方法もあります。
総合的に見て、どう資金繰りをするのが自分たちにベストか慎重に検討しましょう。