法人代表者や個人事業主が事業性資金を調達する方法として、ビジネスローンが挙げられます。
銀行融資や日本政策金融公庫の公的融資と比較して、審査が早く基準も緩めで借りやすいといわれています。

ところでビジネスローンの中でも、さらにその中でいくつかの種類に分類できます。
その中の一つに、ビジネスローン専門業者が含まれます。

専門業者は審査の甘いビジネスローンの中でも、さらに緩くて借りやすいという評判をしばしば聞きます。
なぜ専門業者は審査が甘いのか、審査をクリアしてより確実に借り入れるにはどうすればいいかについて詳しく解説しましょう。

ビジネスローンの主要な種類について解説

ビジネスローンはどこが運営しているかによって、いくつかの系統に分類できます。
主要な種類は以下の通りです。

1.銀行
2.信販会社
3.消費者金融
4.専門業者

それぞれに異なる特徴があります。
一律にどれがいい悪いはないので、自分たちの状況に応じてベストな選択をしてください。

銀行

各金融機関で、法人向けビジネスローンを提供しています。
銀行のいいところは、低金利で借入できる点です。
金融機関によって変わってきますが、だいたい1.0~14.0%といったところが相場です。

通常ビジネスローンの初回借入時にはまだ返済実績がなく信用力が未知数なため、上限金利かそれに近い利率が適用されます。
しかしそれでも14%程度です。
以下で詳しく見ていきますが、ほかのところと比較するとやはり低金利であることは間違いありません。

しかし低金利ということは、それ相応の信用力が求められる点も留意しなければなりません。
業歴がまだ浅い、赤字決算など経営基盤が脆弱と判断されると審査落ちの憂き目をみる恐れもあります。
また慎重に審査が進められるので、多少結果が出るまでに時間がかかることも覚えておきましょう。

それでも1カ月前後かかるプロパー融資と比較するとスピーディです。
通常は数日程度で審査結果が出ますが、即日融資はまず期待できないと思ってください。

信販会社

信販会社やクレジットカード会社がビジネスローンを取り扱っている場合も珍しくありません。
知名度の高い大手はもちろんのこと、中小の信販会社でも取り扱っているところは少なくありません。

信販会社のビジネスローンを見てみると、結構借入限度額を多めに設定しているところが多いです。
この後紹介する消費者金融の場合、利用限度額の上限はせいぜい300~500万円といったところでしょうか。

しかし信販会社の利用限度額を見てみると500万円を超えて、数千万の借入ができるようなところも見られます。
もちろん審査は厳しくなりますが、十分な信用力があると判断されれば2,000万円や5,000万円といった借り入れにも対応しているような商品もあります。
これほどの借入が可能なら、設備投資などのまとまった資金が必要な場合でも利用可能でしょう。

ただし信販会社系のビジネスローンは銀行系と比較すると、金利が高めです。
主要な信販会社の金利を見てみると、3.0~18.0%といったところが相場になります。
上限金利が適用されると18.0%になるので、銀行より4ポイントも高くなってしまいます。

しかし銀行系と比較して金利が高いので、審査はやや甘めといえます。
銀行とのちに紹介する消費者金融のちょうど中間といわれています。

消費者金融

消費者金融でビジネスローンを取り扱っているところも少なくありません。
コマーシャルでしばしば宣伝している大手はもちろん、中小の事業者でも取り扱いのあるところも結構あります。

消費者金融のいいところは、審査がスピーディな点です。
スコアリングシステムといって、コンピューターで審査するノウハウを持っているからです。
人の手を介して審査する手続きと比較して、迅速に融資の可否を判断できます。

消費者金融系のビジネスローンの中には、即日融資に対応しているところも少なくありません。
急な出費で手持ちが足りない、売掛金の回収ができずに支払期日が迫っているような緊急事態で活用するといいでしょう。

一方消費者金融の場合、金利は高めと思っておきましょう。
相場で見ると、だいたい5.0~18.0%といったところでしょうか。
こちらも上限金利は18%なので、初回借入時には利息の支払い負担が大きくなりがちです。

上限金利が高め、審査スピードが速いということは審査の難易度はさほど高くありません。
自分たちの実績では審査通過できるか自信がない、ほかのビジネスローンに申し込んだけれども審査落ちしてしまったというのであれば、消費者金融の提供するビジネスローンを利用するといいでしょう。

専門業者

ビジネスローン専門業者とは文字通り、事業性資金の融資に特化してサービス提供している業者のことです。
他のところはカードローンなどの個人向けローン、住宅ローンをはじめとした目的ローンなどほかの商品も取り扱っています。

専門業者はノンバンク系の業者が運営しています。
専門業者の気になる金利ですが、消費者金融と同レベルと思ってください。
すなわち5.0~18.0%といったところが相場です。

ですから借り入れた場合、利息の支払い負担は大きいと思っておきましょう。
お金が入ってくれば、できるだけ返済に優先的に充てて返済期間の短縮を目指してください。
返済期間を短縮できれば、それだけ利息の支払いを圧縮できるからです。

ビジネスローン専門業者は審査が甘い?その理由を解説

「ビジネスローンは審査が甘い」とよくビジネスローンのポータルサイトで解説されています。
確かにほかの業者と比較すると、審査基準は甘めに設定される傾向が見られます。
それは以下で紹介するように、きちんとした理由があるからです。

1.事業性資金の貸し出ししか行っていないから
2.ノウハウが豊富だから
3.人の目で審査を実施しているから

それぞれなぜ審査が甘くなるのか、その根拠について以下で詳しく見ていきます。

事業性資金の貸し出ししか行っていないから

銀行や信販会社、消費者金融の場合、ビジネスローン以外にもいろいろなローン商品を取り扱っています。
法人向けのほかにも個人向けの融資を行っていますし、住宅ローンや自動車ローンなどの目的別ローンもラインナップしています。

貸金業者が利益を出して事業継続するためには、お金を貸し出さなければ始まりません。
お金を貸して、返済してもらい、さらに利息を徴収することで初めて収益が上がります。

他にも商品があれば、そちらで融資して利益を得ることが可能です。
しかしビジネスローン専門業者の場合、ビジネスローンで融資しなければ利益を確保できません。
ですからほかの業者と比較して、積極的な資金の貸し出しを行っています。

よってほかでは審査落ちしてしまうような法人に対しても、融資を実行している可能性が高いわけです。
他のところに申し込んで審査に落ちてしまった、それでも現金が必要というのなら、専門業者に今度は申し込んでみるといいでしょう。

ノウハウが豊富だから

ビジネスローン専門業者は、事業性資金の貸し出しに特化してサービスを行っています。
ということは法人に融資することに関するノウハウを豊富に持っているわけです。
これまでの経験の中で、リスクマネジメントに関する豊富な知識と経験を持っていると考えられます。

貸し倒れリスクのことも考慮に入れて、金利なども設定しています。
ですから万が一債権が焦げ付いてしまったとしても、利息の支払いによって損失を最小限に抑えるすべを持っているわけです。
よって多少リスキーな貸出先でも、金利の利率を調整するなどして貸し出しを行えます。

人の目で審査を実施しているから

大手の専門業者だとコンピューターをはじめとしたシステムで審査しているかもしれません。
しかし中小の専門業者だと、審査で人の手を使っている場合も多いです。
人の目で審査を行っている場合、審査に融通が利くのも甘いといわれるゆえんです。

コンピューターだと一定の条件を満たさないとはじかれて、融資否決になるかもしれません。
しかし人が審査すれば、多少柔軟に審査される可能性があります。
赤字決算など問題がある案件でも、例えばその法人が手掛けている事業に将来性があると判断されれば、審査基準を少し満たしていなくても融資実行される可能性が出てきます。

もし自分たちの信用力や実績では、審査通過できるかわからないというのであれば小規模のビジネスローン専門業者に申し込んでみるといいでしょう。

ビジネスローンの審査基準について解説

「ビジネスローンの専門会社は審査が甘い」と紹介しました。
しかしそもそもビジネスローンの審査では、どのようなところを見て融資の可否を判断しているのでしょうか?
審査基準はどこも公表していないのでブラックボックス化されていますが、一般的に重視されるのは以下のポイントです。

1.経営状況
2.業歴
3.資金の用途
4.代表者の信用力
5.返済能力

それぞれどのようなところが審査ポイントになるのかについて、以下で詳しく解説していきます。

経営状況

なんといっても審査で重視されるポイントは、対象の法人の経営状況です。
これまでの業績や売り上げ状況、財務状況に関してはほぼ確実に審査されます。
ほとんどのビジネスローンで必要書類として、決算書や確定申告書など会社の経営状況のわかる資料を提出するように求められるでしょう。

決算書や確定申告書をみれば、その法人の安全性や収益性などを判断できます。
貸したお金をきちんと返済できるだけの資金力を有しているかどうかは、業者も重要視します。

基本的に黒字経営が続いていれば、融資を受けられる可能性が高いです。
一方赤字状態であれば、審査は厳しくなるのは致し方ないところです。

ただし赤字決算だとすべて融資が否決されるかというと、そうではありません。
赤字決算になっているのはたとえば自然災害で大きな損失を計上したなど、一時的なケースもあります。
また今は赤字でも将来性のある事業を展開していて、将来黒字転換する可能性が十分あると判断されれば融資を受けられる場合もあります。

ただし慢性的な赤字経営の続いている法人に貸し付けても、債権回収できない公算大なので審査落ちのリスクは高まります。
何年も赤字が続いているようであれば、経営に何か問題があるのかもしれません。
収支を見直して、少しでも赤字からの脱却は目指せないか総点検しておきましょう。

業歴

業歴も重視されるポイントです。
業歴が長ければ、今後も安定して事業を続けられる可能性が高いと判断できるからです。
逆に起業して間もないと今後どうなるかは未知数なので、債権回収できない恐れがあり、審査落ちになる危険性も高くなります。

ビジネスローンの商品概要を見てみると、2年以上事業継続できている法人を対象にしているものが多いです。
必要書類を見てみると「直近2期分の決算書」を必要書類の中に含めているものが多いからです。

ただし起業してから1年以上経過していれば、申し込み可能な商品も少なくありません。
一方起業して1年未満の法人だと融資を受けられないことはないですが、審査は厳しめになると思ってください。
当てはまる法人代表者がいれば、ビジネスローン専門業者のような審査が緩いといわれるところにピンポイントで申し込んだ方がいいでしょう。

資金の用途

融資を受けた場合、その資金をどのように活用するかも重要なポイントです。
ビジネスローンに申し込む際には、資金用途について記入する欄が申し込みフォームにあるはずです。

ビジネスローンは事業性資金に使用することが前提です。
しかし事業に関わる使い方をすれば、基本どのように使用しても構わない商品が多いです。

新規事業のための立ち上げ資金や設備投資のための資金、運転資金などいろいろな使い方が考えられます。
さらには取引先への支払いのためにビジネスローンで貸し出された資金を充当しても問題ありません。

また用途だけでなく、希望する借入額についても入力します。
借入額が大きくなると、それだけ全額回収できないリスクも高まります。
よって審査も厳しめになるので、注意してください。

ビジネスローンの審査に受かりやすくするためには、必要最低限の金額を記載して申し込むことです。
ここでポイントになるのは、具体的に必要な額を算出しておくことです。
支払や設備導入などのためにいくら必要で、自分たちで賄えるお金はいくらあるのか、差し引きしていくら不足するのかを具体的に算出してください。

「だいたいこのくらい」のあいまいな算出法だと足りなかったときの不安から、どうしても余計に借り入れたくなるものです。
そうなると審査の難易度が上がってしまいます。
また運良く融資を受けられても、余計に借り入れているので無駄に利息も支払わないといけません。
結果的に返済負担が大きくなり、自分で自分の首を絞める結果になってしまいます。

またおおよその金額で借り入れようとすると、「この法人が計画的な経営ができていない」と先方に判断される恐れがあります。
その結果、融資を断られる危険性もありますのでしっかり資金計画を立てておきましょう。

代表者の信用力

法人で借り入れる場合でも、個人の信用力は重視されます。
特に法人代表者に十分な信用力があるかどうかは、審査の中で重要なポイントになりえます。
売上があって、経営基盤が十分でも代表者に問題があれば、きちんと返済してもらえない危険性が出てくるからです。

個人の信用情報は、信用情報機関で登録されています。
信用情報はビジネスローンの審査の中で、ほぼ確実に照会されます。
もし信用情報に問題があれば、審査落ちになる危険性も高まりますので注意してください。

信用情報にはこれまでのクレジットカードや各種ローンの利用状況について掲載されています。
また返済状況の履歴も記録されているので、滞納があると審査は厳しくなると思ってください。
ただし1度や2度延滞があるだけでは審査落ちの可能性は低いです。
うっかり返済期日を忘れていただけと評価されるからです。

しかし頻繁に滞納を繰り返していると、審査ではマイナスになりかねません。
「お金にルーズな人」「手元に資金が常にない人」と評価されてしまうからです。

特に注意しないといけないのは、事故情報です。
いわゆる「ブラックリストに載る」と呼ばれる状態です。
長期間の悪質な延滞や債務整理を行ったなど、事故情報として登録されます。
事故情報が載っていると、融資を受けるのはかなり絶望的と思ったほうがいいでしょう。

近年スマホの支払いを滞納して、ローンの審査に落ちるパターンが多くなっているといいます。
スマホは高額なので、端末を分割払いにしている人も多いでしょう。
分割払いの支払い状況も信用情報に記録されています。

うっかり支払期日までに支払いができないと、延滞扱いになってしまいます。
これを何度も繰り返していると、信用情報に傷がつきローン借り入れに不利に働きかねません。
これはビジネスローンに限らず、各種ローンやクレジットカードの申し込みも同様です。
分割でスマホを購入したのなら、忘れずに期日までの支払いを心がけてください。

返済能力

ビジネスローンで審査を行う理由は突き詰めていくと、「貸したお金をきちんと返してくれるかどうか」にかかっています。
そこで審査の中で、返済能力が十分あるかどうかはチェックされます。

返済能力には、先ほど紹介した法人代表者の信用力ももちろん問われます。
またきちんとした返済計画が立てられているかどうかも考査されるでしょう。

返済計画を具体的に立てられていることをアピールするために、事業計画書を作成しておくのはおすすめです。
事業計画書とはいつまでにどの事業でどれだけの収益が上がるのか、そして返済資金としていつまでにいくら準備できるのかなど今後の計画について記載されている書類のことです。
事業計画書があれば、今後の返済計画がわかるので審査に有利に働きます。

ただし事業計画書そのものが非現実的で、いい加減なものなら審査に不利に働きます。
「ずさんな返済計画で信用性に乏しい」と評価されてしまうからです。
事業計画書を作成する際には、十分今後の経営戦略を検討して客観的にみて実現性の高い計画書を作成しましょう。

ビジネスローン以外の資金調達法を検討しよう

ビジネスローン専門業者であれば、審査が緩めなので資金調達できる可能性は高いです。
しかし100%融資が受けられる保証はありません。
ですから万が一のために、ビジネスローン以外の資金調達方法についても視野に入れておきましょう。

主要なビジネスローン以外の資金調達手段として、以下のアプローチが考えられます。
1.ファクタリング
2.不動産担保ローン
3.公的融資
それぞれ、どのような特徴があるのかについて解説しますのでもしもの時の参考にしてください。

ファクタリング

もし売掛債権を持っているのであれば、ファクタリングと呼ばれる資金調達方法が利用できます。
売掛金は場合によっては回収するまでに数カ月もかかってしまいます。
すると現金化するまでに資金ショートしてしまうリスクも決して少なくありません。

ファクタリングはお手持ちの売掛債権をファクタリング会社に買い取ってもらって、資金確保する方法です。
売掛債権が優良なものか審査はありますが、法人ではなく売掛先の信用力が考査されます。
ですからビジネスローンで審査落ちしている法人でも資金調達できるかもしれません。

早ければ、即日現金化することも可能です。
ただし手数料がかかるので、売掛金全額回収できない点は留意してください。

不動産担保ローン

もし不動産を保有しているのであれば、その物件を担保にして融資を受ける方法もあります。
ビジネスローンは基本的に担保や保証人なしでも借り入れは可能です。
しかし不動産を担保にすれば、債権回収できなければ不動産を差し押さえればいいので債権回収できないリスクを軽減できます。

ですから無担保のビジネスローンよりも審査は甘めです。
なおかつ金利も低くなるので、返済負担も軽減されます。
ただしもし返済できなければ、お持ちの不動産を持っていかれるリスクのあることも理解しておきましょう。

公的融資

地方自治体や日本政策金融公庫による融資のことです。
民間は営利目的で融資を行いますが、公的融資の場合地域活性化や事業促進などの社会的使命もあります。
ですから民間では融資を受けられない案件でも、借入できる可能性があります。

公的融資の場合、低金利ですし返済期間も長期に設定できるものが多いです。
ですから無理のない返済計画が立てられます。
ただし審査期間が長いので、それまでの資金繰りをどうするかという課題も残ります。
日本政策金融公庫の場合、融資実行まで数カ月かかかることも珍しくありません。

ビジネスローン専門業者は借りやすい?のまとめ

ビジネスローンは審査が甘めといわれていますが、その中でも専門業者の場合トップクラスに緩いとされます。
事業性資金の貸し出しに特化しているので、法人にお金を貸さないと利益確保できないからです。

ただし専門業者でも100%絶対に借入できる保証はありません。
法人の財務状況や代表者の信用力に問題があれば、審査落ちになる可能性もあります。
その時のためにファクタリングや公的融資など、ほかの借入手段も視野に入れてビジネスローンをうまく活用していきましょう。