緊急に資金が必要な法人が、しかも即日融資で資金調達するには、ビジネスローンが一番です。
さらにビジネスローンでも銀行系、消費者金などノンバンク系では、ノンバンク系のビジネスローンでないと、即日融資はむずかしいでしょう。
そこで今回は、法人の緊急・即日融資に、なぜビジネスローンなら対応可能なのか?などについて、現場で融資審査している銀行員がわかりやすく解説します。

法人の緊急・即日融資にはビジネスローン〜1.ビジネスローンの基本事項

法人の緊急・即日融資が、なぜビジネスローンなら可能なのか?この点を考える前に、まずビジネスローンの基本事項を再確認しておきましょう。

ビジネスローンとは?

ビジネスローンは、法人・個人事業主など事業者向け事業資金融資の一種です。
一般的な事業資金よりも融資限度額など全体的にコンパクトで、しかもスピーディーなため使い勝手も良い融資です。
またその他の特徴は以下の通りになります。

  <ビジネスローンとは?>
● 「ビジネスローン」は総称で、他に「事業者ローン」「事業ローン」とも呼ばれる
● 本来ローンは個人向け融資(マイカーローン、カードローンなど)を指すが、小口でコンパクトな点から「ビジネスローン」とよばれている
● 銀行とノンバンク(消費者金融や信販会社など預金業務がない金融業者)がそれぞれ取り扱っている
● 一般に審査が早く、回答までは数時間〜即日というところが多い
● 融資利用も最短で申し込み即日に可能なところもあり、審査回答と融資利用のスピードが売り
● 資金使途は事業資金だが、一部では「使いみち自由」の場合も
● 無担保、保証人なしが一般的だが、法人代表者が保証人になる場合や、担保が必要なケースもある
● 手軽な反面、借入金利は事業資金融資より高めになっている
● 申し込みから融資利用までスマホやパソコンなど来店不要で手続きするのが基本
● 融資利用は口座振込や銀行・コンビニATMで24時間融資可能なところも

続いて、ノンバンクビジネスローンと銀行ビジネスローンを、即日融資が可能か?という点を中心に比較しながら説明します。

なぜノンバンクビジネスローンは即日融資が可能なのか?

消費者金融や信販会社などのノンバンクは、ビジネスローンを積極展開しています。
そしてノンバンクビジネスローンのウリは何と言ってもスピードと手軽さです。
「スピード回答・即日融資」と公式サイトなどで宣伝しているように、法人で緊急・即日融資を必要としているなら最適と言えます。
ではなぜ即日融資が可能なのでしょうか?
それはノンバンクビジネスローンが即日融資するために商品設計されているからです。

 <ノンバンクビジネスローンが即日融資可能な理由>
1. 最大のウリである即日融資をするため、申し込みはスマホやパソコンなど非対面・機械対応が主流
郵送なら即日は不可能で、また来店や電話の申し込みも、その応対だけで時間を浪費するとその後の審査、融資利用まで即日では間に合わなくなてしまうから
2. 審査はビッグデータに基づき分析するAI審査なので、融資判断はほぼ瞬間的に回答が出る 実際、スマホやネット申し込みの内容は、そのままAI審査に入力されるので時間が短縮される体制
3. 最終的な融資の判断は人間がするのだが、基本的にはAIの回答(データに基づく分析結果なので客観的・公平だから)がそのまま最終判断になることが多い
4. 審査を柔軟かつスピーディーに行うため、ノンバンクから見れば借入が返済できなくなるリスクも高くなるので、その対価として高めの金利設定になっている
5. (金利の例:銀行ビジネスローン・最大年14%台⇔ノンバンクビジネスローン・最大年18%台 *最大金利・筆者調べ)

なぜ銀行ビジネスローンは即日融資がむずかしいのか?

そもそも銀行の事業資金融資は、審査がスムーズに進んだとしても最短で数日〜一週間、長引けば1ヶ月以上回答が出ないのが普通のことです。
これは銀行がのんびりと仕事をしているわけではなく(まあ、少しはあるかも知れませんが・銀行員談)、審査のプロセスがそのような時間軸になっているだけなので、銀行員の私は決して銀行の融資審査が遅いとは思っていません。
むしろ、自分が入社した数十年前に比べればそのスピードは格段に進化していると言えます。
このように慎重、悪く言えばゆっくりじっくり審査しているので、どうしても即日融資には間に合いません。
銀行のビジネスローンは、一般的な事業資金よりは審査から融資利用までの時間がかからず、手続きもカンタンな商品と位置づけられていて、たとえばその銀行に融資取引がない法人への新規開拓ツールとして活用されるような融資商品なのです。
そのためそもそも銀行ビジネスローンでは、一般的な事業資金よりは手軽でスピーディでも、即日融資までは目指していないのです。たとえばネットで銀行ビジネスローンを検索すると「即日回答」はあっても「即日融資可能」という銀行は少ないのが実態です。

【注意】「即日回答」は即日融資ではない

法人で緊急・即日融資を目指すとき注意が必要なのは「即日回答は即日融資ではない」という点です。
上記したように、たとえば銀行ビジネスローンで「スピード審査で即日回答も可能!!」とあっても、そこから契約に数日かかるなら、即日融資までは間に合いません。
また「即日融資可能(注1)」などと注意書きがある場合、欄外に目を通すと「注1.審査の状況で回答結果のお知らせが届く時間によっては、即日融資が対応できない場合もございます」などと説明がありますので、必ず説明はしっかり、特に「注意書き」には文字通り注意してください。

法人の緊急・即日融資にはビジネスローン〜2.即日融資を実現させるための必須項目

ここからは、具体的に法人で緊急・即日融資を受けるために必須となる注意事項を解説します。
ここでは即日融資可能なノンバンクビジネスローンの流れに沿った説明ですが、基本的な部分は銀行ビジネスローンも同じです。

1.【事前準備】必要書類の確認と準備

スマホやパソコンで申し込みフォームに必要事項を入力して、審査から契約までに必要な書類をスキャンして送信することで、一連の申し込みが終わります。
たとえば主に以下のようなものが、必要書類としてあげられます。(ノンバンクビジネスローンの例・筆者調べ)

<ビジネスローンに必要な書類>
(法人の場合)
● 代表者の運転免許証、健康保険証のコピー
● 決算書・2期分
● 取引関連の請求書や領収書

*【以下は必要に応じ】
● 納税証明書
● 印鑑証明書
● 試算表

(個人の場合)
● 運転免許証、健康保険証のコピー
● 確定申告書・2年分

*【以下は必要に応じ】
● 納税証明書
● 印鑑証明書
● 試算表

ビジネスローンも融資商品ですが、最近ではノンバンクや銀行でも申し込み⇒審査通過⇒契約完了といった流れで、契約証書などは作らずにそのまま契約になる、個人で言えばカードローンと同様の流れに変わっています。
とはいえ、印鑑証明書や納税証明書が必要になったとき、すでに役所窓口がしまっている時間だったなら、もう即日融資は無理になってしまいますので、注意が必要です。
こうしたミスを防ぎ、スムーズな申し込みをするためには、まずしっかりと申し込みについての説明を読み込むことです。
また上記したような必要書類の一覧を打ち出ししたり、自分で書き抜いたりして書類の漏れを防ぐのもオススメです。

2.【申し込み】時間との勝負・午前中の申し込み完了は必須

申し込んだ当時に即日融資を受ける時間軸を考えれば、申し込みは午前中に完了するのが必須です。
たとえば即日融資可能というノンバンクでは、24時間365日申し込みを受け付けているところもあります。
もちろん実際に審査がスタートするのは、金融業者の営業時間になってからなのですが、前倒しで前日の夜に申し込みをすれば、朝イチから審査してもらえるかも知れないなど、可能性も広がります。

3.【連絡への対応】問い合わせにすぐ返答できるように待機

審査では不明点も出てくるので、場合によっては金融業者から問い合わせの連絡が来ることもあります。
そのため「日中連絡が取れるお電話番号」「連絡先のメールアドレス」などを申し込みフォームには入力する欄があります。
金融業者からの質問など、向こうから連絡があったとき、すぐに答えないと即日融資は無理になる可能性が高くなります。
また。そもそも問い合わせへの返答がなければ、融資自体も審査が進みませんし、金融業者はどんどん申し込みを処理しなければいけないので、待ちきれないと審査落ちになる可能性すらありますので注意が必要です。

4.【状況確認と催促】急いでいるとアピールが必要

とにかく大事なのは即日融資が必要だと伝えることです。
申込みフォームの連絡事項等で伝えられればいいのですが、そうでなければ申し込みを済ませた(入力完了、送信完了)あとに電話やメールで急ぐ旨を伝えれば、向こうも急ぎ扱いにしてくれる可能性があります。
もちろん、即日融資希望者はあなただけではないので、必ずしも優先的に対応してもらえないかも知れませんが、かといって黙っていたなら、この申し込みは急がないのだろうと、後回しにされる可能性はあります。
またノンバンクビジネスローンは即日融資希望が普通のことなので、「手続きを早くして」と催促しても悪く取られることはないでしょう。
ただしここで、あまり感情的な文章や、乱暴な言葉づかいをするとマイナスにしかならないので、仮に急いでいたとしても、言葉遣いや文章は落ち着いて丁寧にしましょう。

5.【次の一手】審査落ちに備え、他の方法を探しておく

銀行ビジネスローンも、ノンバンクローンも「即日融資可能」と言っても、当然ながら必ず融資を受けられるわけではありません。
融資は審査に通らなければ受けられないのですが、即日融資を希望する場合は、審査に通ることに加え、一秒でも早く審査回答をもらい、融資が利用できなければいけません。
そして、審査落ちになったときに備えて、資金調達手段を探しておく必要があるでしょう。
たとえば個人のカードローンを一時的に使うとか、親戚や親兄弟からお金を借りるなど、選択肢は人それぞれで数も種類も変わってきます。
ただし、同じようなビジネスローンを同時進行で申し込むと、融資申込み情報が個人信用情報(原則として影響するのは個人事業主など個人の場合ですが、法人でも代表者の個人信用情報にはアクセスするので)に複数登録され融資審査でマイナスになる、俗に「申し込みブラック」と呼ばれる状態になる恐れもあります。
とにかく、事業経営にも通じることですが、1つ目がダメなら「二の矢」つまり審査落ちに備えて他に資金調達できる方法を探しておくことが、重要になってきます。

法人の緊急・即日融資にはビジネスローン〜3.まとめ

今回は法人で緊急・即日融資を受けるのはノンバンクのビジネスローンが最適と説明してきました。
私は銀行員で、本来なら銀行の味方をするべきだとは思いますが、即日融資に向いているのは何か?
読者の皆様のためにお答えするなら、やはりノンバンクのビジネスローンでしょう。
銀行員としては残念ですが、スピードに関してビジネスローンで銀行は消費者金融等ノンバンクには勝てません。