融資返済シミュレーションと言えば、一般的にカードローンや住宅ローンの返済額をつかもうと、個人がネットなどで利用するものです。
しかし、この融資返済シミュレーションにはいくつもの種類があり、それらは銀行の事業資金融資でも活用されています。
そこでこの記事では「融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法」をテーマに実際の現場で事業資金融資の審査をする銀行員が解説していきます。
事業資金調達を検討している人は参考にしてください。
目次
- 融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜1.活用のために融資返済シミュレーションを知る
- 融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜2.融資返済シミュレーションの主な種類
- 融資返済シミュレーション1.「返済シミュレーション」〜返済額と支払利息がわかる
- 【解説】返済方法、返済方式について
- 【解説】事業資金融資の返済方法について
- 融資返済シミュレーション2.「借入可能額シミュレーション①」〜年収から借入可能額がわかる
- 融資返済シミュレーション3.「借入可能額シミュレーション②」〜毎回返済希望額から借入額を逆算する
- 融資返済シミュレーション4.「繰上返済シミュレーション①」〜繰り上げ返済で返済がどれだけ減るかわかる
- 融資返済シミュレーション5.「繰上返済シミュレーション②」〜繰り上げ返済で返済年数が何年短縮されるかわかる
- 融資返済シミュレーション6.「借り換えシミュレーション」〜借り換えするとどうなるかわかる
- 【解説】借り換えシミュレーションと「借入明細」について
- 融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜3.融資返済シミュレーションをどうやって事業資金調達に活用するか?
- 融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法~まとめ
融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜1.活用のために融資返済シミュレーションを知る
まず融資返済シミュレーションの基本事項を説明します。
融資返済シミュレーションとは
融資返済シミュレーションとは、文字通り融資の返済をシミュレーションするものです。
そもそもシミュレーションとは「状況や現象をコンピュータで観察、分析する手法」といった意味で、できごとやシステムの結果をあらかじめ数値やグラフで表現して、将来に起こるべき事態や問題の解決に役立てるものです。
というより、もうシミュレーションはシミュレーションという言葉で定着しています。
シミュレーションはこの記事のようにお金に関すること以外でも、物理や化学、経済から気象予想、あるいは軍事面などあらゆる場面で利用されています。
例)台風進路のシミュレーション、経済動向の予想、戦術シミュレーションゲーム(いわゆるシミュレーションゲーム)
またライフサイクルと、そこで必要になるお金の収支を予想して貯蓄や運用のタイミングを考える「ライフプランシミュレーション」などもあり、こちらに私自身の収入や退職予定、家族構成などを入力した結果は「あなたは当面の間、家計破綻するような心配はありません。
ただし状況が変わると結果が大きく変わる可能性があるなど、貯蓄面では充分な余力がないため楽観はできません。
今の生活サイクルを続けながら、当面使う予定がないお金は資産運用を検討しましょう。」となりました。
このように、人の一生まで予想することができる(当たっているか?は別として)シミュレーションは融資でも活用されていて、銀行でもローンの審査で利用したり、事業資金審査でも活用されたりしています。
たとえば住宅ローンやカードローンでは、申込者の年収に対するローン返済の割合を示す「返済比率」が重視されますが、これもシミュレーションで計算しています。
融資返済シミュレーション利用時の注意事項
ネットでカードローン会社のサイトや、住宅ローン返済額を知りたいと銀行公式HPなどで「シミュレーションはこちら」とある場合には、注意しなければいけないことがあります。
まずシミュレーションを利用しようとすると「個人情報の取り扱いに同意を」とか「住所や氏名」などの入力が必要になることがあります。
往々にして情報入力項目が多ければ多いほど、シミュレーションも精緻な結果が得られるようになっているのですが、逆にいえばこちらの情報を明かさないと利用できないシミュレーションもあるということになります。
安易に個人情報を明かすと、入力した相手にその情報を知られることになりますので、ここは慎重に考える必要があります。
また個人情報の入力などは不要でも「Cookie(クッキー)」への同意が必要になる場合もあります。
「Cookie(クッキー)」とはあなたがネットで検索する目的や嗜好(好き嫌い、趣味)などの情報であり、こちらも安易に取り扱いに同意してしまうと、次回からサイトで優先的にこういった「あなた好み」の情報が優先して表示される可能性もあります。
もちろん個人情報の取り扱いやCookieがすべて問題あるわけではなく、便利と感じられるなら問題はありませんが、自分の情報を守りたい人は慎重な対応が必要になります。
個人情報の取り扱いやCookieが煩わしいなら、政府や公的機関などのシミュレーションは比較的こういった傾向は少ないのでおすすめです。
ちなみに私もシミュレーションはこうした公的サイトのものを利用しています。
一方、記事執筆のために専門サイト、たとえばカードローン記事の為に金融会社のHPや「比較サイト」にアクセスすることもあり、そのあとはやたらとカードローンの宣伝がサイトに優先表示されるようになってきます。
融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜2.融資返済シミュレーションの主な種類
融資返済シミュレーションの種類はいくつもあり、また同じシミュレーションでも細分化されているものもあり、主に次の通りです。
<融資返済シミュレーションの主な種類>
1. 「返済シミュレーション」〜返済額と支払利息がわかる
2. 「借入可能額シミュレーション①」〜年収から借入可能額がわかる
3. 「借入可能額シミュレーション②」〜毎回返済希望額から借入額を逆算する
4. 「繰上返済シミュレーション①」〜繰り上げ返済で返済がどれだけ減るかわかる
5. 「繰上返済シミュレーション②」〜繰り上げ返済で何年短縮されるかわかる
6. 「借り換えシミュレーション」〜借り換えするとどうなるかわかる
融資返済シミュレーション1.「返済シミュレーション」〜返済額と支払利息がわかる
融資返済シミュレーションの中では、これが一番オーソドックスなもので、毎回の返済額と内訳(元金と利息)、そして返済後の残高や支払利息の累計などがわかります。
シミュレーションに必要な情報
シミュレーションするためには、以下のデータが必要になります。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 借入金額(〇〇万円)
● 借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
【解説】返済方法、返済方式について
融資返済シミュレーションでは「返済方法」を入力することになっているため、ここで基本事項を説明します。
返済方法は「返済方式」とも呼ばれ「元利均等(元金と利息を組み合わせて、毎回の返済を均等=同額にするもの)」「元金均等(毎回の元金は均等で、そこに利息を加え返済する)」が代表的な返済方法です。
その他にも元金や利息の計算方法でさまざまな派生型があり「元利定額」「リボルビング方式」「残高スライド」といった項目の組み合わせなど多岐にわたり、こちらは主に消費者金融などノンバンク系のカードローンで用いられるもので、以下の返済方法や複数を組み合わせたものなどがあります。
● リボルビング方式:毎月の支払額を一定にする方式のことで、その計算根拠が下記のものとなる
● 残高スライド方式:計算の基準となる日(月末日など)の残高に応じて、翌月からの返済額が決まる方式のこと
● 定額方式:毎月返済額を1万円だけなど、返済を定額に指定する方式
● 定率方式:毎月返済額を定率(前月残高の3%など)に指定する方式
例)「返済方式は残高スライド方式です」「返済方式は定率リボルビング方式」
シミュレーション例
【前提条件】
借入金額:1億円、借入金利:1.0%(年)、返済年数:10年、返済方法:元金均等返済
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 毎回返済額:916,666円
(うち返済元金):833,333円
(うち利息):83,333円
● 総支払額(元利金の合計):105,041,560円
(うち支払利息の総額):5,041,560円
【解説】事業資金融資の返済方法について
通常、事業資金融資では元金均等返済が基本形で、金融機関では毎回元金を千円単位にして、最終回に調整する「最終回調整方式」が主流になっています。(上記例では毎回返済元金833,000円・最終回返済元金873,000円など)
また元金均等返済では毎回の元金だけが均等なので、基本的に最初は返済(元金と利息の合計)が大きく、以後返済が進むほど返済が小さくなっていきます。
たとえば上記の例では、以下の通りに推移します。
● 1回目: 返済額916,666円(うち元金833,333円、うち利息83,333円)
● 2回目: 返済額915,971円(うち元金833,333円、うち利息82,638円)
● 3回目: 返済額915,277円(うち元金833,333円、うち利息81,944円)
⇊ ⇊
● 60回目: 返済額875,694円(うち元金833,333円、うち利息42,361円)
⇊ ⇊
● 120回目:返済額834,067円(うち元金833,333円、うち利息694円)
このように、毎回の元金と利息が明確化されるので経費処理などでスムーズに処理できるため、事業資金融資では元金均等返済が主流、元利均等返済は少数派になっています。
融資返済シミュレーション2.「借入可能額シミュレーション①」〜年収から借入可能額がわかる
このシミュレーションは、いくらの年収ならいくらまで借入可能か?といったように、年収から返済比率を逆算するものです。
ちなみに「年収」が事業資金では定義がむずかしく、借入可能額シミュレーションは事業資金では用いられず、代わりに「償還力」【注2】という概念で計算をします。そこで、以下については主にローンの場合とイメージしてください。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 借入金額(〇〇万円)
● 借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
● 年収(前年の税引き前給料支給総額)
● その他の借入(カードローンやマイカーローンなど)
シミュレーション例
【前提条件】
前年年収(給料支給額)400万円、借入金利:1.0%(年)、返済年数:35年、返済方法:元利均等返済、その他の借り入れ:なし
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 年収から借入可能な金額:4,132万円
【注2】償還力
「償還年数」とも呼ばれる。事業資金融資で企業の返済能力を計算する考え方。「要利益償還債務」(今回の借入金額と既往債務=過去に借り入れて返済中の融資で、原則として1年以上の長期借入のみ、短期融資は含まない)を、「償還財源」(減価償却費と利益=一般に税引き後当期利益を用いる)を使って何年で返し終えることができるのか?を計算して、その企業の融資返済能力や、追加融資の可否を考えるもの。
計算式は以下の通り
(分子)要利益償還債務
――――――――――― =償還力(年)
(分母)償還財源
例)新規融資1億円、既往債務3億円、税引き後当期利益3千万円、減価償却費2千万円の企業における償還力
要利益償還債務(1億円+3億円)
―――――――――――――― =償還力8年
償還財源(3千万円+2千万円)
*一般に上記の計算式で計算した償還力が10年以内なら、返済能力があると考えられている
融資返済シミュレーション3.「借入可能額シミュレーション②」〜毎回返済希望額から借入額を逆算する
こちらも住宅ローンで利用するのが主流ですが、事業資金の場合にも元利金の合計で毎月返済〇〇万くらいならいくらまで借入できるか?などで使えます。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 毎回返済可能額(〇〇万円)
● 借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
シミュレーション例
【前提条件】
毎回返済可能額(元利合計)85万円、借入金利:1.0%(年)、返済年数:10年、返済方法:元金均等返済
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 借入可能な融資額:9,272万円
● 毎月返済額:849,932円(元利合計)
融資返済シミュレーション4.「繰上返済シミュレーション①」〜繰り上げ返済で返済がどれだけ減るかわかる
現在の借入条件で繰り上げ返済した場合に、毎回返済額がどれだけ少なくなるか?がわかるシミュレーションです。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 初回借入金額(〇〇万円)
● 借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 初回からの経過期間(〇年〇ヵ月)
● 繰り上げ返済する金額(〇〇〇万円)
シミュレーション例
【前提条件】
初回借入金額:1億円、借入金利:1.0%(年)、返済年数:10年、返済方法:元金均等返済、初回からの経過期間(5年0ヵ月)、繰り上げ返済する金額:500万円
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 繰り上げ返済前の毎回返済額:876,401円
⇊ ⇊
● 繰り上げ返済後の毎回返済額:789,159 円
繰り上げ返済前との比較:▲87,242円(毎回返済額が少なくなる)
融資返済シミュレーション5.「繰上返済シミュレーション②」〜繰り上げ返済で返済年数が何年短縮されるかわかる
こちらも繰り上げ返済ですが、現在の借入条件で繰り上げ返済した場合に、返済期間(回数)がどれだけ短くなるか?がわかるシミュレーションです。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 初回借入金額(〇〇万円)
● 借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 初回からの経過期間(〇年〇ヵ月)
● 繰り上げ返済する金額(〇〇〇万円)
シミュレーション例
【前提条件】
初回借入金額:1億円、借入金利:1.0%(年)、返済年数:10年、返済方法:元金均等返済、初回からの経過期間(5年0ヵ月)、繰り上げ返済する金額:500万円
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 繰り上げ返済前の残り返済期間:5年0カ月
⇊ ⇊
● 繰り上げ返済後の残り返済期間:4年7ヵ月
繰り上げ返済前との比較:▲5か月返済期間が短くなる
このように、繰り上げ返済は「返済額軽減型」と「返済期間短縮型」の2種類ありますが、一般的には「返済期間短縮型」を選ぶ人の方が多いのが実態です。
これは、同じ繰り上げ返済金額でも返済額軽減型より返済期間短縮型のほうが、支払う利息が少なくなるから(事例では返済期間短縮型では支払利息が▲235,408 円少なくなるのに対し、返済額軽減型では▲125,014 円の減少)ですが、これは同じ繰り上げでも、借金する期間が短いほど利息支払いは少なくて済むからです。
融資返済シミュレーション6.「借り換えシミュレーション」〜借り換えするとどうなるかわかる
現在の借入条件から、他の金融機関で借り換えをした場合に、返済額がどのくらい減るか?がわかるシミュレーションです。
こちらも主に住宅ローンで活用されるシミュレーションですが、事業資金融資でも借り換えを検討する際に用いられます。
<シミュレーションに必要なデータ>
● 初回借入金額(〇〇万円)
● 返済方法(元利均等返済/元金均等返済)
● 返済年数・返済回数(〇年/▲▲回)
● 初回からの経過期間(〇年〇ヵ月)
● 借り換えする金額(〇〇〇万円)
● 借り換え前の借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 借り換え後の借入金利(年〇〇.〇〇〇%)
● 借り換え前の返済額(元利合計〇〇円)
● 借り換え後の返済額(元利合計〇〇円)
シミュレーション例
【前提条件】
借入金額:1億円、返済年数:10年、返済方法:元金均等返済、初回からの経過期間(5年0ヵ月)、借り換えする金額50,000,020円、借り換え前の借入金利:1.0%(年)→借り換え後の借入金利:0.5%(年)
*計算をシンプルにするため、ここでは借入に必要な経費(印紙代や手数料など)は計算していません。
【シミュレーションで得られる結果】(筆者によるシミュレーション)
● 借り換え前の毎回返済額:876,401円
⇊ ⇊
● 借り換え後の毎回返済額:854,166円
繰り上げ返済前との比較:▲22,235円(毎回返済額が少なくなる)
融資の借り換えでは、必要な費用を考える必要があります。例えば事業資金融資でも、契約証書に貼る収入印紙や融資の手数料など、また担保が必要になれば登記費用も発生しますので、実際に借り換えをシミュレーションする場合には手数料も考慮して実質的に得になるか?を考える必要があります。
また借り換えシミュレーション、特に住宅ローンの場合などでは、借り換え後の金利が、借り換えしたときから最終回返済まで全く変わらなかったら?という前提に基づいた「支払利息総額の比較」という項目もあります。
しかしこちらは「年利1%で借りている借金を、年利0.5%の固定金利で借り換え、最後まで金利が変わらなかった場合」の比較であって、住宅ローンでも事業資金融資でも変動金利で借り換えた場合には全く意味がない、あくまで理論値としての数字だという点に注意が必要です。
したがって、この記事では支払利息総額は事例等に含んでいません。
【解説】借り換えシミュレーションと「借入明細」について
借り換えは銀行員が提案することが多く、住宅ローンでは他行でもっと低金利にして借り換えることは、よく行われます。
この点は事業資金融資も同じで、他行より有利な条件を提示して借り換えを銀行員が提案する場合があります。
その場合は銀行員が借り換えシミュレーションに基づき「事業資金借入のお借り換え提案書」などといって、セールスにも借り換えシミュレーションが活用されています。
上記の必要な情報で解説したように、借り換えをする場合には現在利用している借入の詳細な内容、融資条件などを掴む必要があり、そこで「借入明細」が重要になってきます。
借入明細は、事業資金融資を受けた場合、融資が実行となったあと、銀行から送付されてくるもので、毎回返済額や金利などその融資に関する様々な情報が記載されています。
これらは「お借入明細」「返済予定表」などといった名称で、文字通り利用者が毎回の返済額や仮り換え条件などを確認するためのものです。しかし借り換えを提案したい銀行員にとっては、借入明細には必要な情報がすべて網羅されており、「喉から手が出るくらい」欲しいのも借入明細なのです。
銀行員なら、借入明細を見れば借り換え提案に必要な情報を人目で理解できますし、その他にも営業戦略上で有益な情報が詰まっているからです。
しかし、これを逆に考えると、借入明細を見せてしまったら現在取引中の銀行の返済条件を知られてしまい、ある意味「手の内を明かす」ようなものとも表現できます。
では、借り換えでより有利な条件を引き出すために借入明細を見せないで「金利は◯%ですよ」などと、実際より低い金利にして、更に低金利を引き出そうとするお客様がたまにいらっしゃいます。
しかし、借り換えを現実に取り扱う場合には、かならずエビデンス(証拠)として借入明細は提出することになっていますので、嘘をついていた場合には問題化して、今度は借り換え融資が審査落ちになる恐れすらあります。
大事な借入明細なので、切り札として銀行員との交渉に使う事もできますが、その使い方には注意が必要なのです。
融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法〜3.融資返済シミュレーションをどうやって事業資金調達に活用するか?
では、ここまで説明してきた各種の返済シミュレーションを、事業資金調達でどのように活用するか?銀行員として考えられる活用方法を、いくつか紹介します。
返済シミュレーション
借入を考えている金額と返済年数で毎回返済額がいくらになるか?を自分で考えることができる。また借り入れしてから数年後に金利が上昇した場合に返済がどのくらい増えるか?逆に金利が下がれば返済がどのくらい減るか?といったようにネガティブなシナリオ、ポジティブなシナリオの双方を考えることも可能です。
また自分で返済シミュレーションをある程度は作れるようにしておけば、銀行員と事業資金融資の話をする際にも、金利や返済額など条件面での数値的根拠の知識が交渉で有利に働くことができるかもしれません。
繰り上げ返済シミュレーション
繰上返済シミュレーションの場合は、こちらもある程度の知識を備えれば、返済額軽減型が良いのか?それとも返済期間短縮型がいいか?など自社に適した方法をあらかじめ検討することができます。
たとえば決算が黒字の時に繰り上げ返済をする場合、返済額軽減型にしたほうが支払利息を多く経費計上できる(前述)ため、相対的にメリットとなる場合もあります。
また赤字の状況化では、返済期間短縮で支払利息を減らすか?あるいは毎回の支出を抑えるために返済額軽減型を選ぶか?など能動的・自発的に繰り上げ返済を考えることも可能になります。
融資返済シミュレーションを事業資金調達に活用する方法~まとめ
今回は融資返済シミュレーションのいくつかを紹介し、事業資金調達の役立てる方法についても銀行員として考えられる活用法を解説しました。
この記事が皆さんの参考になれば幸いです。