ノンバンクで利用できる事業資金は何?
銀行だけの事業資金融資ってあるの?
今回の記事では事業資金融資の商品別に、基本説明からノンバンク・銀行のどちらで利用できるのか?そしてそれぞれの条件などの違いまで銀行員がわかりやすく解説します。ノンバンクの事業資金融資で資金調達を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~1.ビジネスローン【ノンバンク】【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~2.手形割引【ノンバンク】【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~3.カードローン【ノンバンク】【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~4.ファクタリング【ノンバンク】【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~5.手形貸付【ノンバンク】【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~6.証書貸付【銀行】
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~銀行員が考えるおすすめ順位
- ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~まとめ
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~1.ビジネスローン【ノンバンク】【銀行】
一つ目の融資商品はビジネスローンで、ノンバンクと銀行の両方で利用可能です。
ビジネスローンとは?
ビジネスローンは消費者金融や信販会社、そして中小貸金業者といったノンバンク(預金を扱わない貸金業者をノンバンクと呼んでいます)
ビジネスローンは主にノンバンクの事業資金として主流になっている融資商品です。
融資限度額が数百万円から多くても1千万円程度、返済期間も5年から10年までなど、事業資金融資としては小口の融資になります。また原則として無担保、保証人不要といった手軽で利用しやすい融資です。
銀行でも最近になってビジネスローンを取り扱うところが増えてきました。これは事業資金融資の利用対象者が不況や銀行間の競争激化で先細りになっている状況から、ノンバンクの看板商品だったビジネスローンに活路を見出す銀行が増えてきたからです。
なお事業資金融資として、銀行では証書貸付や手形貸付を主に扱っています。ビジネスローンもこれら事業資金の一種ではあるのですが、特に「無担保、保証人なし、小口の融資商品」をビジネスローンとして積極展開しています。現在ではこのような状況からビジネスローンは銀行とノンバンクの競争の場所となっています。
特徴や注意点
ビジネスローンの特徴としては、まず融資の形態が「当座貸越タイプ」と「証書貸付タイプ」に分かれるところです。
当座貸越タイプ(カードローンタイプとも)なら、利用可能な限度額を設定し、その範囲内で借りたり返したり、といったように反復利用が可能です。
いっぽう証書貸付タイプは、最初に必要額を借り入れて、あとは分割して返済していくだけで、当座貸越のように借りたり返したりなどはできません。
無担保、保証人なしという手軽さの反面、金利は高めの設定になっています。ここで言う「高め」とは、銀行事業資金融資なら手形貸付などと比べて金利が高いという意味です。
また銀行など金融機関のビジネスローンより、ノンバンクのビジネスローンのほうが高金利です。
金利水準は、銀行系ビジネスローンでは年5%台〜年14%台、ノンバンク系ビジネスローンで年5%台〜年18%台となっています。
また小口で手軽ということは、融資する立場から見ると返済不可能になるリスクも高いということになり、そのために金利が他の融資商品より高めの設定になっていると同時に、返済が遅れたり、返済不可能な状態になったりした場合の督促や対応も、他の融資よりやや厳し目になっている点には注意が必要です。
またノンバンクに対する金融機関の見方にも注意が必要です。これは古い体質の金融機関に多く、したがって地方銀行などでその傾向が強いようですが、ノンバンクを「高利貸付」つまりいわゆる「サラ金」などと一律でとらえてしまい、ノンバンクと取引があるだけでその会社との取引には慎重になる金融機関が、いまだに存在します。これは、銀行員の私がノンバンクに迎合するわけではありませんが、もう時代も変わってそもそもサラ金・高利貸しといった言葉自体が死語になりつつあるわけです。またノンバンクもテレビCMなどでイメージ改善を積極的に行い、今ではノンバンクでお金を借りるのはごく普通のことだと銀行員である私は考えています。しかしそのいっぽうで、上記したように古い体質の金融機関などではノンバンクとの取引に対しネガティブなイメージを抱くところもある、という事実は覚えておいてください。ですから自分が融資取引をしている、あるいはこれから融資を考えたい金融機関が古い考えをもっているなら(実際にはその担当銀行員と話してみれば、おおよその考え方などは感じ取ることができます)ノンバンクとの取引は慎重に考える必要があるかも知れません。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
ノンバンクのビジネスローンは申込みから融資利用まで最短で即日など審査や契約がスピーディーなところがメリットです。したがって急に資金が必要になった場合などに利用すれば有効活用できます。また融資条件などはノンバンクによって様々なので比較検討しながら選択するといいでしょう。
なお一部記事では「同時の申し込むとマイナス」といった記述があり、ある側面ではまちがっていない(同時に申し込むと、かなり資金繰りに困っていると思われてしまう、という内容)と思われます。しかしここも、同時申し込みでは?などと聞かれたとしたら「複数のビジネスローンを比較しているところで、同時に申し込みをしてその対応も比べている」と答えればそれほど審査にマイナスとはならないと銀行員は考えます。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~2.手形割引【ノンバンク】【銀行】
二つ目の融資商品は手形割引で、ノンバンクと銀行の両方で利用可能です。
手形割引とは?
手形割引とは、取引で受け取った手形(受取手形)を銀行やノンバンクで資金化するものです。手形を発行(「手形の振り出し」と表現)した人や会社(「振出人」)の信用度や、手形割引依頼者の業況などを審査する融資の一種となっています。
手形には約束手形と為替手形(*)があり、両方とも手形割引ができます。
(*約束手形、為替手形
約束手形:いわゆる手形のこと 支払期日を定め、その期日までに支払うことを約束する証券という意味でこう呼ばれている。手形を受け取った相手は3ヶ月から6ヶ月先の期日までその手形を資金化することはできないことになる。この期日を「手形サイト」と呼び、期日に銀行で資金化刷る仕組みだが、資金繰りのため手形サイトまで保有する事ができない場合に手形割引を利用する。
為替手形:期日に支払う約束の証券という点は約束手形と同じだが、手形発行者が「支払人」と呼ばれる第三者に対し、受取人に対して支払うことを委託する形式。取引が一対一ではない複数の関係者が存在する場合に利用されるものだが、関係が複雑になり、最近では取り扱いが減っている。
特徴や注意点
手形割引はその法律的な解釈で「手形買取説」と「手形担保説」の2つに分かれます。
手形買取説とは文字通り「手形を買い取る」というもので、銀行やノンバンクでは手形期日までの残り期間や、手形振出人と割引依頼者の信用度などを審査して割引をするか判断するとともに、手数料(「割引料」と呼ぶ)の料率も決定します。この割引料が差し引かれて(割り引かれて)資金化できることから「割引」という表現になっています。手形割引料は上記のように手形の信用度や依頼者の業績に応じて個別に決定されますが、金融機関よりノンバンクのほうが高めで、目安として銀行などの金融機関は、割引区手形金額に対して最大年5%程度、ノンバンクでは最大年14%程度といった水準(筆者調べ)です。
いっぽう手形担保説とは、割引した手形を担保として期日まで預かり、期日に資金化できれば融資した資金が回収できるといったように、割引というより融資をするというイメージによるものです。
いずれにしても、期日に資金化できなかった場合、銀行やノンバンクは資金の返却を割引依頼者に求め、依頼者には手形が返却されます。(これを「手形の買い戻し請求」と呼ぶ)
つまり、手形割引の場合は資金を受け取ったら終わりではなく、手形の期日までは返金の可能性を抱えているということになり、この点は手形の期日まで借金しているというイメージのほうが現実に近いと言え、ここが手形割引で最も重要な注意点です。
手形割引は、振出人の信用度が高ければ依頼者が赤字など業績不振でも資金調達できる可能性があるいっぽう、手形の資金化不能(いわゆる「不渡り」)時には資金を返却する義務がある点が重要です。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
上述した通り、手形割引は申込者の決算内容だけでなく割引対象手形発行者の信用度も審査の大きな要素です。たとえば銀行の場合、赤字などで一般的な融資が対応しにくい利用者でも手形割引で発行者の信用度が高い場合は資金調達の対応をすることもよくあります。したがって「他の融資が借りにくいときの手段」として手形割引が活用できます。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~3.カードローン【ノンバンク】【銀行】
三つ目の融資商品はカードローンで、ノンバンクと銀行の両方で利用可能です。
カードローンとは?
カードローン(当座貸越)とは、融資限度(「極度」「融資枠」あるいは単に「枠・ワク」とも)を最初に決めて、その範囲内なら審査なしで借入利用ができる融資商品です。
カードローンは「当座貸越(とうざかしこし)」とも呼ばれ、銀行、ノンバンクの事業資金融資だけでなく、会社員や主婦・アルバイトの人でも利用可能な一般のカードローンも同じ融資商品です。
特徴や注意点
当座貸越の当座とは「とりあえず、今すぐ」といった意味で、文字通り当面の短い期間だけ借入利用(ワクを利用)して、必要がなくなれば返済(ワクを埋める)するのが本来の性質で、必要な資金を必要な期間だけ限定的に利用できるのが特徴です。
その反面、必要で借りたあと返済ができずにワクの利用を続けていくと利息支払いが重なり、返済できずに最悪の場合は破綻する恐れもあり、これは個人でも多重債務に陥る入口がカードローンになっていることからもわかります。
金利については「借りたり返したりが自由」という利便性があることから金利も高めの設定で、銀行など金融機関では年5%〜年14%台、ノンバンクでは年12%〜年18%台(筆者調べ)になっています。
カードローンは、いつでも利用できるという点から、融資利用残高(その人・会社、今いくら融資を利用しているか?)では、カードローンは利用額ではなく極度額の満額(極度500万円・利用額10万円でも、すぐ残り枠を全額利用できるので、500万円を利用残高と考える)が融資利用額になる点は覚えておいてください。
また事業資金融資のカードローンでは、原則として1年や2年の自動更新になっていますが、毎年提出する決算内容によっては継続ができなくなる場合もあり、継続不可となったときには原則として利用中の残高を返済する必要があるので、この点も注意が必要です。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
カードローンは利用限度(ワク)を持っているだけで、いつでも融資利用が可能で、返せるときに返しておけば利息支払いも最低限で済むので、短期に計画的な利用ができれば活用の場面が広がります。
たとえば今すぐ明確に事業資金が必要ではないが、急に資金が必要なときの備えが欲しい時に、カードローンを作っておくのもいいでしょう。また資金が今すぐ必要ではないということは、逆に言えば資金繰りが安定して、つまり業績も問題が少ない時なので、そうした状況なら新規融資を申し込んでも審査通過の可能性が高くなります。
つまり「困っていないときに、困ったときの準備をしておく」という考え方です。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~4.ファクタリング【ノンバンク】【銀行】
四つ目の融資商品はファクタリングで、ノンバンクと銀行の両方で利用可能です。
ファクタリングとは?
ファクタリングとは、取引により発生した売掛金(現金即日払いではなく、期日までに振込などで支払う約束をした取引を「掛け売り」と呼び、その支払いが約束された資金を売掛金と呼ぶ)を買い取ってもらうことで、資金調達する方法です。
特徴や注意点
ファクタリングは売掛金を買い取ると説明しましたが、売掛金が期日に約束通り支払われない場合には、調達した資金を返却しなければならず、このあたりは手形割引と類似し、手形割引と同様に融資商品と解釈されています。
ファクタリングは「2者(2社)間ファクタリング」と「3者(3社)間ファクタリング)に分かれます。これは取引形態における関係者の数を表し、2者間ファクタリングでは申込者と業者(銀行・ノンバンク)、3者間ファクタリングは申込者と業者に支払人(売掛金を支払う約束をしている取引先のこと)という関係です。3者間ファクタリングは業者から支払人に連絡をして、売掛金を買い取ったことと、支払いは業者宛に変更してもらうことなどを通知します。いっぽう2者間ファクタリングでは支払人への連絡などは行われず、売掛金が申込者に支払われたら、申込者が業者に売掛代金を支払うという流れになります。
支払人=取引先まで巻き込むため3者間ファクタリングがわずらわしく、2者間ファクタリングのほうが利用しやすいとも言えるのですが、その利便性から3者間ファクタリングより2者間ファクタリングのほうが手数料は高くなり、また銀行よりノンバンクのほうが手数料は高くなっています。またリスクを回避する観点から銀行では3者間ファクタリングが主流で、ノンバンクでは2者間ファクタリングと3者間ファクタリングの両方から自社に適した方を選択できます。
手数料は銀行・3者間で年1〜3%、ノンバンクでは2者間・年最大15%、3者間・年最大18%(筆者調べ)の水準です。
3者間ファクタリングは手数料が2者間より低い反面、取引先にファクタリングを利用したことを知られてしまうので「資金繰りに困っているのではないか?」など取引関係に悪影響を及ぼす可能性があります。いっぽう2者間ファクタリングは手数料が高めな点と、売掛金が自社に振り込まれたあと業者に戻す必要があり、まちがってもこの資金を使ってしまわないように注意が必要です。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
ファクタリングの活用事例は、売掛金と約束手形が性質上近いのと同じで、基本的に手形割引の活用事例と共通する部分が多いといえます。
つまり
自社が赤字でも支払者の信用度が高ければ、資金調達できる可能性がある
一度ファクタリングできた支払者は次回も利用できる可能性が高い
と言えます。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~5.手形貸付【ノンバンク】【銀行】
五つ目の融資商品は手形貸付で、ノンバンクと銀行の両方で利用可能です。
手形貸付とは?
手形貸付は銀行で用意した借入専用の手形用紙で契約する融資商品です。この手形の様式は手形割引の項で説明した一般的な約束手形と同じなので手形貸付と呼ばれています。
特徴や注意点
手形貸付は、借入期間が1年以内の短期借入で利用されています。大きなお金が短期間で出入りする、建設業などの業種でよく利用される融資商品です。
いっぽう受取手形を担保にして融資を受ける「手形担保貸付」も広義で手形貸付と表現されますが、こちらは銀行で取り扱っているところは見当たらず(筆者調べ)、またノンバンクで「手形貸付」と取扱商品がある会社も、その中身がいわゆる手形貸付なのか?手形担保貸付名なのか判別できなかったので、この記事では「手形担保貸付」の説明は省略します。
手形貸付は短期融資なので返済方法が期限一括返済(数ヶ月〜1年以内の返済期限までに一括で返済する形式 元金の分割返済はなく、毎月は利息のみの支払いとなる)なので、期限には当然ながら返済しなければいけません。そのため売上回収などの資金を返済に当てるように資金繰りをしっかりすることが求められます。
いっぽう手形貸付は期日にもう一度同じ金額で借り入れする「書き換え」の対応をしてもらえる場合もあります。しかしこの書き換えも、必ず継続してもらえると決まっているわけではありません。 業績や返済状況などその都度融資判断で継続できるか審査されるので、状況によっては書き換え不可となって、返済が必要になる場合もありますので注意が必要です。ちなみにこの書き換えにおける場面で、利用者ではなく銀行の経営状態悪化で、通常時なら書き換えていた融資を返済させることを、俗に「貸し剥がし」と呼んでいますが、もちろんこれは異例で悪質な銀行対応であり、最近でそのような金融機関はさすがにありません。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
商品や原材料を仕入れ→売上を回収するといった事業活動の基本的な流れの中で、現実は仕入れてから売るわけで、売上金の回収より先に仕入れ代金の支払期日が来ることがあり、こうしたときに必要となるのが「経常運転資金」と呼びます。「経常」とは普通の、いつもの、といった意味で企業の資金繰りではよくあるものとして、手形貸付はこの経常運転資金で活用されることが多くなっています。
また経常運転資金以外にも季節的な要素が高い商品や原材料(例・夏向け商品の水着、冬のスキー用品、春の新茶やカツオ・サンマなど旬がある魚介類など)を一度に仕入れて需要が発生する時期に販売して売上を回収するという季節色が強い「季節資金」でも手形貸付は活用されています。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~6.証書貸付【銀行】
六つ目の融資商品は証書貸付です。
証書貸付とは?
証書貸付は銀行など金融機関でもっともオーソドックスな基本的融資商品です。
証書貸付は長期の融資においてほぼすべてを網羅しています。例えば住宅ローンやマイカーローンなどの「消費性ローン」(個人が家や車など耐久消費財を購入したり、旅行などで消費したりするお金を借りることからこう呼ばれる)も証書貸付の一種です。
特徴や注意点
証書貸付の正式名称は「金銭消費貸借契約書(または〜契約証書とも)」と呼ばれ、事業資金や住宅ローンも同じ金銭消費貸借契約証書と用いて融資契約をします。 証書貸付は、最初にまとまった金額を借り入れして、あとは分割返済していくだけで、カードローンのように「借りたり返したり」といった利用はできず「返していくだけ」なのが特徴です。
なおノンバンク、銀行で取り扱うビジネスローン(上述)でも証書貸付形式のものがあります。しかしノンバンクではもっぱら「ビジネスローン」という名称を使っているので、ここではビジネスローンと別のものとして、銀行など金融機関が取り扱う証書貸付として解説しました。
ノンバンク・事業資金融資の活用事例
証書貸付は事業資金融資の代表格なので、逆に「ここは証書貸付が最適!」などの表現がしにくいのも現実です。しかし毎月返済を滞納なく続けていくことがひとつの、しかし大きな実績になります。つまり「私は(我が社は)事業資金融資をしっかりと、約束通りに返済していくことができます!」と宣言できるとも言えます。
また長期の事業資金、たとえば店舗や工場、あるいは機械や車両購入などの設備資金は証書貸付が活用できます。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~銀行員が考えるおすすめ順位
ここから、融資を審査する銀行員としての視点で考えた、ノンバンクの事業資金融資・融資商品別のおすすめ順位と、その理由を解説します。
なおここで言うおすすめ順とは融資商品の優劣やいい悪いといった表現ではなく、どれを利用すべきか考える時、優先順位で先に利用した方がいい、少しでも早いタイミングで利用しておいたほうが、あとあと困ることがないといった観点で銀行員が考える順番です。個人的見解ではありますが、融資の現場で感じたことなので相応の根拠はあると考えています。
<ノンバンクで利用可能な事業資金融資 銀行員が考えるおすすめ順位>
カードローン
ビジネスローン
手形割引
手形貸付
ファクタリング
証書貸付
おすすめ順1.カードローン
銀行員のおすすめ順、1位はカードローンです。
それはワクを持っていればいつでも使えるし、ワクを持っているだけでは費用が発生しないからです。
おすすめ順の理由
カードローンは審査に通って契約が終われば、いつでも利用が可能な融資商品です。金融機関やノンバンクの窓口や自動融資機、あるいはコンビニなどのATM、そしてパソコンやスマホでも利用可能なものもあります。また24時間365日利用できるカードローンもあるので、金融機関やノンバンクの窓口休業日でも資金調達が可能です。
またカードローンは、そのワクを持っているだけで融資利用をするまで費用は発生しません。つまり「ワクを持っているだけならお金はかからず、しかもいつでも利用可能」ということです。(カードローンの中には保証料、手数料といった費用が必要なものもありますので確認は必要です)
そのいっぽう、どこでいくらのワクをもっているか?は新規でカードローンを申し込んだ際の審査段階でわかってしまいます。なぜそれがわかるのか?については金融機関やノンバンクの審査内容なので詳しく述べることはできませんが、金融機関やノンバンクでは審査の段階で申込者がどこで?どのような融資を?いつから?いくら借りているのか?などの情報はかなり正確に把握できます。
そのためカードローンに限らず、ノンバンクや金融機関で新規の事業資金融資を申込むときに「現在のお借入は?」「お借入状況」などの項目で、融資の現在残高や毎月返済額などを記入(入力)するときは、事実をありのまま記入することをおすすめします。「借入が多いと審査でマイナスになるかも?」などと考えて少なく記入、あるいは利用中の融資を意図的に申告しないで申し込んでも、審査段階で調査した内容と比較されます。ここで調査結果と申込みの自己申告内容があまりにかけ離れていると「借入を過少申告している」「借金があることを隠している」ととらえられて、かえって審査のマイナスイメージが強くなってしまうことがありますので、注意が必要です。
おすすめ順2.ビジネスローン
2番目におすすめできるのはビジネスローンです。
おすすめ順の理由
ノンバンクのビジネスローンは一言で言えば「簡単便利」です。申し込みから審査、そして契約と融資利用までネット完結も可能なので、金融機関やノンバンクの営業時間や、自分が融資相談に行く時間のロスを避けられます。
また審査が柔軟なので、決算内容で自信が無くても申し込みはトライしてみる価値があると思います。ただ、カードローンに利便性では勝てないのでこの順位としました。
最近のノンバンクではビジネスローン自体がカードローン形式になっているものもあるので、双方のメリットを兼ね備えているカードローン形式のビジネスローン利用も有効だと考えられます。
とはいえビジネスローンはノンバンクにおける事業資金融資の代表格なので、やはりノンバンクと事業資金融資の取引を考えていくうえでは、ビジネスローンを外すことはできないでしょう。
おすすめ順3.手形割引
3番目におすすめできるのは手形割引です。それは赤字などで他の融資が借りにくいときでも手形割引なら資金調達できる可能性があるからです
おすすめ順の理由
手形割引の説明でも触れましたが、申込者の決算内容だけでなく手形の発行者(手形銘柄)も審査の大きな要素で、申込者が赤字や債務超過でも手形銘柄が良ければ手形割引してもらえる可能性があります。
また一度手形割引で対応してもらった手形は、要はその銀行やノンバンクで「手形として割引可能と合格」したとも言えるので、すぐに手形割引しなくても資金的に余裕がある場合、対象の手形を受け取ったなら、いざというときの資金調達に使えると考えられて資金繰りでアテにできるとも言えます。
おすすめ順4.手形貸付
4番目のおすすめは手形貸付です。それは、しっかり返済していれば、継続利用も可能だからです。
おすすめ順の理由
手形貸付は短期の融資で、上述した通り売上の回収で短期に完済できるのが基本で、つまり借りる理由も返せる理由もはっきりしている融資商品だとも言えます。そのため、6ヶ月後の期日であればしっかりと返済をして、必要ならまた申し込めば良いわけです。一度審査を通過した借入理由(夏用の商品仕入れなど)で、しかも期日に予定通り完済できたなら、同じ内容の融資申し込みなら審査もスムーズに進むと思われます。またこういったスムーズな借入と返済を続けていれば、今度はノンバンクや金融機関の方から融資の売り込みがあったり、期日が近づいても完済ではなく書き換え(同じ期間、同条件などで融資の期限を延長して利用できる)を提案してきたりすることもあります。
おすすめ順5.ファクタリング
6番目におすすめなのはファクタリングです。それは融資審査とは違う視点で取り扱いを考えてくれるので、資金調達の可能性が高まるからです。
おすすめ順の理由
ファクタリングも融資商品の一種としてここまで説明してきましたが、ファクタリングを解説した一部の記事では「ファクタリングは融資ではないので、融資が利用できない人でも可能性があります!」といった記載もあります。これもある点では間違いとは言えず、売掛金を買い取る行為だけ考えるなら、極論すれば申し込む人の業況はあまり関係ないとも言えるわけです。実際に赤字や債務超過など、一般の事業資金融資が利用できなくてもファクタリングで資金調達できる場合はあります。この点から「ファクタリングは審査がありません」と記載する記事もあるわけですが、これは事業資金融資の審査はないといった意味合いであり、ファクタリングとして取り上げ可能なのか?といった審査は存在するはずです。
いっぽう、ファクタリングをあまり使いすぎてしまうと、上述のように取引先に知られてしまい「あの会社は大丈夫か?」と心配される恐れがあります。また売掛金を買い取ってってもらうということは、それ以前には決算書などに期末の売掛金として残っていたものが、ファクタリングを利用することで消えてしまうこともあり得ます。こうなると、事業資金融資で金融機関に決算書を毎期提出しているような場合、前回には存在した売掛金が今期にははなくなっていると、私なら決算書を見て疑問を覚えます。そもそもその会社との取引が打ち切られてしまったのではないか?とまで心配になります。しかし逆に「ファクタリングを利用したから売掛金は残らなかった」との説明を聞いたなら「この会社は売掛金の入金も待てずにファクテリングで資金化しないといけないほど、資金繰りに困っているのか?」と考えるかも知れません。
ファクタリングも資金調達の手段として認知が高まっている手段のひとつではありますが、上記したように利用する際には注意も必要です。
おすすめ順6.証書貸付
6番目、最後におすすめなのは証書貸付です。その理由はおすすめ順では最後でもやはり基本だからです。
おすすめ順の理由
証書貸付が銀行員としておすすめ順の最後になったのは、決して証書貸付にメリットがないとか、優先順位で最後にすべきだとか言うわけではありません。上述したように、事業資金融資の基本なので、特段おすすめ順で早くなる必要もなく、当たり前に利用をおすすめできるということに尽きます。
これは逆に言えば、ノンバンクのカードローンやビジネスローン、あるいはファクタリングなどにくらべれば融資利用の敷居は高く、だからこそ証書貸付が利用できれば長期間でゆっくりと変s内していけるという、時間的な余裕も持つことができるのです。
ですから、おすすめ順が最後尾でも、証書貸付が一番下ではありませんので、この点は覚えておいてください。
ノンバンクで利用可能な事業資金融資と銀行で利用可能な事業資金融資~まとめ
今回はノンバンクの事業資金融資、銀行の事業資金融資の内容と、どちらで利用できるか?と言った点や特徴・注意点などを解説してきました。それぞれ融資商品の特徴を掴み、自社の資金調達に役立ててください。この記事が参考になれば幸いです。