ある程度の実績のある法人などでないと厳しい銀行融資がある中で、ビジネスローンは自営業者や個人事業主にとっては比較的容易に資金調達ができる融資方法です。今回は自営業者が利用できるビジネスローンについて、メリットやデメリットについて詳しく解説します。またビジネスローンを自営業者が利用する際のポイントと注意すべき点や、ビジネスローン以外で資金調達可能な方法を紹介しましょう。
目次
自営業者は資金調達の選択肢が少ない
通常資金調達で融資を受ける場合は銀行や信用金庫などが考えられますが、法人企業である程度社会的な信頼関係がないとなかなか融資を受けることができません。自営業者は個人事業主であることが多く、事業規模が小さいために事業内容や将来性に不安があり、融資をしても本当に返済してもらえるかわからないのが現状です。そのため、自営業者は融資が受けられない場合が多く、資金調達の選択肢が限られます。
自営業者向けのビジネスローンとは
自営業者(個人事業主)向けの融資としてビジネスローンがあります。個人事業主や自営業者向けの商品があり、法人と同じ条件で融資が受けられる場合があります。
自営業者がビジネスローンを利用するメリット
自営業者がビジネスローンを利用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
1.開業した直後でも借り入れ可能
2.無担保・無保証人で融資が受けられる
3.審査が柔軟に対応してくれる
4.カードローン方式で限度額まで借り入れ可能
5.今後の継続性が認められれば赤字でも融資の可能性がある
6.申し込みから最短即日で融資も可能
7.法人向け貸付の場合は総量規制の対象外
以上7点のメリットがあります。ひとつずつ見ていきましょう。
1.開業した直後でも借り入れ可能
銀行などでは開業した直後で融資を受けるのは非常に困難です。なぜならば実績がないため融資しても資金が取り返せるかわからないからです。しかし、自営業者を対象にしたビジネスローンの場合は、開業した直後でも、事業計画書などの書類があれば融資を受けられる可能性が高いです。
2.無担保・無保証人で融資が受けられる
仮に銀行で融資を受けようとすると、担保が必要で、ある程度の担保があれば融資を受けられる可能性があります。これはお金を返してもらえない場合は担保がその代わりになるからで、人的担保と言える連帯保証人がいれば同様の措置が受けられる場合があります。しかし、担保も保証人もいないと融資は厳しいですが、ノンバンク系のビジネスローンの場合は無担保無保証で融資が受けられるサービスがあります。
3.審査基準が甘めで柔軟に対応してくれる
ビジネスローンは銀行融資よりも金利が高いです。しかし、金利が高いために審査が甘めで柔軟性があります。これは金利を高く設定していることで、万一貸した金が戻ってこない場合を想定しているからです。とはいえ、絶対に審査に通るというわけではなく、内容によってはビジネスローンでも審査落ちします。
4.カードローン方式を採用しているところが多く限度額まで借り入れ可能
ビジネスローンはカードローン方式を採用していることが多いです。これはATMで限度額まで借り入れが可能なことを表しています。大きなメリットとしては一度だけの融資ではなく繰り返し借りられるという点です。
5.今後の継続性が認められれば赤字でも融資の可能性がある
融資を受けられる前提として黒字企業である必要があります。赤字企業の場合は貸した金が戻ってこないと判断されるからです。しかし、ビジネスローンの商品によっては、以前の実績よりも将来の事業の継続性を審査項目に加えていることがあります。仮に今は赤字でも将来大きな黒字が見込めるような自営業者であれば、融資をしてもらえる可能性があります。
6.申し込みから最短即日で融資も可能
ビジネスローンは銀行融資よりも早い特徴があります。最近はパソコンやスマホなどからのオンラインで申し込みができるようになっており、オンラインで1時間程度で審査を終え、午前中など早い時間であれば即日融資をしてくれるところがあります。
7.法人向け貸付の場合は総量規制の対象外
個人消費者向けの融資には総量規制が設けられており、年収の3分の1と決まっています。しかし、自営業者などの事業主向けのビジネスローンの場合は、総量規制の対象外のため、年収以上の融資が受けられる場合があります。
自営業者がビジネスローンを利用するデメリット
自営業者用のビジネスローンにはメリットが多いですが、逆にデメリットもあります。
1.金利が高い
2.借入限度額が低い
3.返済能力を超える借入をする恐れ
4.今後の融資への影響
以上、4点のデメリットについて詳しくみていきましょう。
1.金利が高い
ビジネスローンのデメリットのひとつは金利の高さです。銀行融資と比べてビジネスローンの金利が高いのはメリットにもつながる審査の甘さや赤字での融資が受けられるなどと関係しており、金利を高くすることで、返済されない事態に備えているからです。どのくらい違うかといえば、それぞれの企業や金融商品によっても変わりますが、銀行系の融資なら5%未満なのに対してビジネスローンは14・5%と高めです。
2.借入限度額が低い
ビジネスローンのデメリットに、借入限度額の低さがあります。多くの所で数百万単位を限度額に定めています。銀行の場合は数千万や場合によっては億単位の融資が受けられる可能性があるのと大きな違いです。実はこれもビジネスローンのメリットである、赤字での融資可能や無担保無保証での融資を実施しているからで、上限を設けることで最悪の事態を回避する狙いがあるからです。
3.返済能力を超える借入をする恐れ
ビジネスローンは融資も甘めで、年収が低くても高めの融資が受けられるメリットがありますが、その為に借りすぎるというデメリットがあります。無意識のうちに返済能力を超える借入をする恐れがあるため、あとで大変なことになってしまう可能性があります。
4.今後の融資への影響
特にノンバンクのビジネスローンの経験がある場合は要注意です。ノンバンクのビジネスローンからの融資を受けていることがわかると、どうしても経営能力に問題があると見られる恐れがあり、将来的に銀行などへの融資を依頼する際に、過去の実績として悪影響を及ぼす恐れがあります。
自営業者がビジネスローンを利用するときのポイントと注意すべき点
自営業者がビジネスローンを利用するときには、最小限に抑えておくほうが将来的には無難です。例えば開業時の運転資金がどうしても欲しい時や、限定的な用途で短期的な資金がどうしても必要な時です。ビジネスローンは金利が高いためあまり高額の融資を長期的に行なうと、経営に影響が出てしまいます。また将来低い金利の銀行融資などを考えている場合は、ビジネスローンで短期間だけ融資を受けて、すべて返したら解約しておくと、銀行融資などの審査への影響が少なく済みます。
自営業者がビジネスローン以外に資金調達できる方法
自営業者にとってビジネスローンは資金調達がしやすい方法ですが、ビジネスローンのほかにも条件次第では以下の資金調達方法があります。
1.政府系金融機関
2.銀行や信用金庫
3.ファクタリング
4.カードローン
以下、ひとつずつ見ていきましょう。
政府系金融機関
政府系金融機関は、政府によって設立された金融機関で、中小企業や小規模企業を支援する目的で設立しているため、開業を目指す個人向けの融資を実施しています。政府系金融機関は金利が安いので、事業計画書をしっかりかけるなど、条件が整えばビジネスローンに頼らずに資金調達ができます。
銀行や信用金庫
基本的に銀行や信用金庫は融資が厳しめですが、事業を継続していく中で実績ができて黒字が続き、新たに設備投資をしたり、業務拡大を目指すときには、銀行や信用金庫で融資を受けることができる可能性が高いです。
ファクタリング
ファクタリングは、融資以外に資金調達をする方法です。自営業者の取引先からもらう売掛債権をいち早く現金化するのに役立つ方法で、最近は融資に代わって注目を集めつつある資金調達方法です。融資ではなく、あくまで資産を動かすものなので、借入金が発生しないというメリットがありますが、手数料が取られるのと、通常売掛債権の金額以上の資金を調達できません。
カードローン
カードローンは、消費者金融機関の融資です。自営業の中でも本当に小規模で家族経営の場合、ビジネスローンの融資も厳しい場合の最後の手段といえます。金利は最大で貸金業法で定められたぎりぎりの高さなので極力使わないことに越したことはありませんが、業績が悪い時に、どうしても資金が必要な場合、最後の資金調達手段のひとつといえます。ビジネスローン同様に即日融資してくれるのもありがたいです。
自営業者が利用できるビジネスローンのまとめ
自営業者や個人事業主が資金調達をする際に最も簡単な方法がビジネスローンです。金利が高いなどのデメリットがある一方、審査が甘めで、赤字であっても融資が受けられる可能性があります。また即日融資をしてくれる場合もあります。資金調達のひとつの選択肢としてビジネスローンを視野に入れておきましょう。