納税しないといけないけれど手元に現金がない時、ビジネスローンなら税金滞納を回避できる有力な方法です。ビジネスローンで借入金ができたとしても税金滞納をするとあまりにもデメリットが大きく絶対に避けなければいけません。今回は税金滞納するとどうなるかという問題を紹介し、税金を納付するためにビジネスローンが有効なこと、納付にビジネスローンを使った場合のメリットデメリットを解説しましょう。
目次
資金繰りが厳しいのに税金を払う必要がある可能性とは
事業者は一般的に赤字で申告すれば納税の必要がありません。しかし以下のような場合は、税金を支払わなくてはいけません。
1.黒字で利益は出ているが、所有している現金が少ない
2.消費税や源泉所得税の預り金が多いが、所有している現金が少ない
詳しくみていきましょう。
1.黒字で利益は出ているが、所有している現金が少ない
帳簿上で黒字が出ると納税の義務が発生します。しかし黒字だとしても納税すべき現金が手元にない場合は納税できないという状況になります。
2.源泉所得税や消費税の預り金やがあるのに、所有している現金が少ない
黒字でなくても源泉所得税や消費税の預り金があると納税しなければなりません。しかし、手元に現金が少ない場合に納税できないという状況に陥ります。
税金滞納によるペナルティとは
本当は納税しなければならないのに、現金が手元にないという理由で税金を滞納してしまうと、当然ペナルティが発生します。具体的には以下のようなペナルティが課されてしまいます。
1.滞納した分の延滞税が課される
2.銀行借入等融資が受けられなくなる
3.財産の差し押さえ
以下、ひとつずつ具体的にみていきましょう。
1.滞納した分の延滞税が課される
既定の日(納期限)までの納税ができないと、延滞税が課されます。延滞税は納期限の翌日から発生しますが、2ヶ月を境に延滞税の税率が高くなる仕組みになっているので、万一納期限に間に合わなくてもできるだけ早く税金を納めなければ大変なことになります。
2.銀行借入等融資が受けられなくなる
税金を滞納すると、融資が受けられなくなります。これは3にも関連することですが、滞納の状態というのは財産の差し押さえにつながる恐れがあるために、融資をしても返済されない恐れが高くなります。つまり貸し倒れのリスクが高いと見られてしまい融資が受けられず、窮地に陥ります。
3.財産の差し押さえ
滞納状態を放置すると最悪の場合財産が差し押さえられます。いきなり差し押さえられるわけではなく、以下の手順を踏んで実施されます。
①納期限から1ヶ月を過ぎると督促状が送付される
②督促状が送付されてから10日以内に納税が無ければ差し押さえ可能という状況になる
③文章や電話で催告が行われる
④税務職員による財務調査が行われる
⑤財産の差し押さえ
財産の差し押さえは、売掛債権も含まれるため、差し押さえの事実が取引先にもバレてしまい、取引先との信用関係を失います。
脱税にならないためにも税金を滞納になりそうな場合はすぐに税務署へ連絡
税金を滞納すると脱税行為になってしまいますが、手元に納税すべき現金がなければどうすることもできません。でも放置せずに税務署に相談することで、脱税にならない方法があります。ただし、一時的な措置なので最終的に納税の必要が生じます。
1.延納を利用
2.猶予制度を利用
以上の制度を利用すれば、一時的に滞納状態から回避できます。詳しくみていきましょう。
1.延納を利用
税金が1時的に納付困難な場合に、一定の条件を満たせば、5年間の分割が認められる制度です。延納の条件は次の通りです。
①金銭で一度に納めるのが困難な理由がある
②申告の結果、納付税額が10万円を超えた場合
③担保の提供
2.猶予制度を利用
期限内に納付が難しい時に、予め申請し、税務署長の許可が受けられれば、原則として最長1年間に限って分割して納税が可能になります。その間の延滞税については次章の内容によって延滞金の一部が免除になる場合です。
ビジネスローンは納税資金としての利用も可能
税金の納付を延納や猶予制度を用いたとしても納付義務がなくなるわけではありません。その場合にどうしても資金が必要となった場合でもビジネスローンであれば納税資金として利用できる場合があります。その理由はビジネスローンの使途が自由とされているからです。
税金未納でも借りられるビジネスローンの見分け方
税金未納は、銀行などからの融資は期待できません。但し、ノンバンクであればビジネスローンの融資が受けられる可能性があります。理由として一般的にブラックリストと称される信用情報には税金の未納や滞納の情報は登録されないからです。
もし、納税証明書を融資の条件として求められるローンの場合は、未納の状態であれば納税証明書が発行されないので、そこからの融資はほぼ不可能と考えましょう。そのため、ノンバンクでかつ納税証明書の提出のいらないビジネスローンであれば税金未納でも融資が受けられ、税金の納付に使えます。
ビジネスローンを納税資金として借りるのはどのくらいか?
ビジネスローンで得た資金で納税する場合、どのくらい借りるのが得策かということですが、これは非常に難しい問題です。ただ納税額イコール融資額と考えるとその場では税金滞納状態から回避できたとしても、すぐに資金繰りが厳しくなることが予想されるからです。税金の場合種類によって支払時期が異なりますので、そのことも意識しなければなりません。また税金を支払っても手元に資金がなければ、資金繰りが厳しいのは同じです。また融資を受けたことによる返済も必要です。そのように考えれば、ひとつの目安として最低でも納税額の倍以上の融資を受ける必要があると考えられます。
ビジネスローンで納税資金を借りるメリット
ビジネスローンで税金滞納を行なうメリットには主に次のような理由があります。
1.税金が未納から脱却できる
2.キャッシュを減らさずに納税できる
以下、詳しくみていきましょう。
1.税金が未納から脱却できる
ビジネスローンで滞納している税金を支払う最大のメリットは、未納の状態からの脱却です。これまで述べたように税金を期日までに納付できない未納状態、税金滞納になると非常に不利な状況となり、最悪差し押さえを受けてしまう恐れがあります。一時的に借金をしてでも返済すれば未納状態で受けるデメリットから脱却でき、安心して事業継続ができます。
2.現金を減らさずに納税できる
もうひとつのメリットは現金を減らさずに納税できる点です。全く現金がないわけではないが、仕入れ等で現金が必要な時に納税で大幅に現金を失うことで資金繰りに影響をうけると、事業継続に支障をきたします。一時的にビジネスローンで現金を借り入れることで、現金の消耗を最小限に抑えられます。
デメリットは利息が発生する
ビジネスローンで税金を納める場合に起こりうるデメリットは利息です。ビジネスローンを使わずに納付できれば利息は発生しませんが、ビジネスローンを行なうことで利息分が余計にかかるためデメリットと言えます。
融資のリスケは避けるべき
融資による借入金の返済が困難になった時に、一時的に返済条件を減らしてもらうなど変更する事を融資のリスケ(リスケジュール)と言います。資金繰りを改善させる方法ですが、税金滞納中に資金繰りが厳しい際に安易にリスケを行わないようにしましょう。安易にリスケを行い一時的に資金繰りが改善しても、新規の借り入れが厳しくなるからです。
ビジネスローンなどの融資以外の資金調達方法は
ビジネスローンは利息の高い融資なので、その他に資金調達を考える事も検討すべきです。例えば売掛債権の現金化であるファクタリングを用いれば負債ではなく資産の現金化なので、手数料がかかりますが負債が増えることなく税金の納付ができます。
その他に補助金などを活用する方法はありますが、補助金は税金滞納があると原則として申請ができないので、納付に現金が足りないとわかればとりあえずビジネスローンなどで現金を確保して納付して、税金滞納状態を回避しながら補助金活用による現金調達を考えてみましょう。
ビジネスローン税金滞納のまとめ
税金滞納はデメリットが多く、最悪差し押さえの可能性があるので避けるべきです。納付用の資金調達としてのビジネスローンは、一時的に現金が手に入るので税金を滞納せずに回避できます。ただし、あくまで一時的な措置であることと、税金の性質などを理解したうえで融資額を決めるようにしましょう。またファクタリングなどのビジネスローン以外の資金調達方法も検討すべきです。