ビジネスローンの金利相場はどのくらいでしょうか?取り扱っている金融機関や金融商品、申込者の属性など様々な要因が重なってビジネスローンの金利が変わってくるのが現状です。今回は金融機関ごとのビジネスローンのおおよその金利の目安や金利に影響する要素、低い金利の融資が受けられる方法を紹介しましょう。

ビジネスローンとは何か

ビジネスローンとは、個人事業主や法人の経営者を対象とした事業用の融資を行う為の金融商品です。利用用途は事業に関するものに限定されます。ビジネスローンの金利は金融機関によってことなり、また利用者の個人的な信用度によっても大きく異なります。

ビジネスローンに似たカードローンは違うもの

ビジネスローンの中にはカード式で借りられる場合が多いので、カードローンに似ていて間違えやすいですが、カードローンとは全く異なるものです。

1.融資・審査の対象
2.資金使途の制限
3.総量規制による扱い

以上、3点について詳しくみていきましょう。

1.融資・審査の対象

ビジネスローンは最初にも記述した通り、あくまで事業を行う個人や法人経営者が対象となっております。それに対してカードローンは一般的な消費者で、かつて「サラ金」と呼ばれた金融商品なので、対象が全く異なります。

2.資金使途の制限

カードローンは、マイホームや車などの目的別ローンとも違い基本的に資金用途の制限がなく、自由に資金が使えます。ビジネスローンはあくまで事業用資金のための融資なので、事業以外の目的には使えません。

3.総量規制による扱い

カードローンは、貸金業法で定められている総量規制の対象となっており、年収の3分の1までが融資の限度額と決まっています。それに対してビジネスローンは事業者向けの融資のため総量規制の対象外となっており、年収関係なく融資が受けられます。

ビジネスローンの金利相場

ビジネスローンの金利相場はどのくらいでしょうか?これは一概に言えません。個人の信用に加え、ローンの融資を行っている金融機関や金融商品によってバラバラだからです。

1.政府系銀行
2.都市銀行
3.地方銀行
4.ネット銀行
5.ノンバンク

その中でも、大まかに分けてビジネスローンを行なっている5つの金融機関のカテゴリーに分けておおよその金利を確認していきましょう。

1.政府系銀行

最も金利が安いのは政府系の銀行です。日本政策金融公庫では新たに事業を行う人に対して、事業計画書の提出などある一定の条件を満たせば、非常に低い金利での融資を実施しています。おおむね0.3%〜2%台という金利での貸し付けを行っています。

2.都市銀行

メガバンクなどの都市銀行のビジネスローンは政府系機関よりは高めで、主に実績のある企業が多いです。低い場合は1%台がありますが、高い場合は14%クラスの物もあり、金融商品の違いや申込者の信用によって大きく変わってきます。

3.地方銀行

地方銀行については、都市銀行と大きくは変わりませんが、少し高めになっていることが多いです。銀行のある地方に貢献するような事業を行っている企業で、付き合いが深ければ都市銀行よりは融資が受けやすく、金利が低めになる場合があります。低いところで3%台から高くて15%台です。

4.ネット銀行

最近増えてきたネット銀行の場合は、ネット上ですべて完結する性格上のため融資の速度も速く、手続き面で既存の銀行よりコストなどが軽減できるため、その分金利が低く設定されている場合があります。低いところで3.1%位で高いところは13.8%と、地方銀行や都市銀行より金利が低めになっています。

5.ノンバンク

預貯金機能の無いノンバンクの場合は、銀行系よりも金利が高めに設定されています。銀行では融資が厳しい法人経営者や個人事業主でも借りやすい為、金利を上乗せしてリスクを分散しています。金利は低くて5%台からで高い場合は18%と、法律で定められた利息の制限ギリギリの事が多いです。

ビジネスローンの金利の決定要素とは

ビジネスローンの金利が決まるのは、取り扱っている金融機関が独自で行っているというよりも市場や業界、条件や信用力といった要素が複雑に絡み合って設定されています。

1.金融市場の状況
2.金融業界の動向
3.貸付の条件
4.融資を受ける債務者の信用力

上記4点が主な金利の決定要素です。詳しくみていきましょう。

1.金融市場の状況

金融市場の動向は金利に大きく影響します。つい最近も日銀がマイナス金利政策を解除したというニュースがありましたが、こういった大きなニュースに対して金融市場は敏感に反応します。一般的に経済情勢(景気)が良くなると資金需要が高まり金利が上昇傾向になりやすいです。

2.金融業界の動向

市場とは別に業界の動向も金利の影響を受けやすい要素です。貸金業を行っている金融機関は、融資した先から元金に利息を上乗せした金額を返してもらい、利息分で利益を得ていますが、その利益が出る分の金利を上げなければなりません。他社との競争で金利を上げすぎると顧客が奪われてしまうので、他社の動向を見ながら金利を調整するということも念頭に入れられており、ビジネスローンの金利に影響します。

3.貸付の条件

金融機関はビジネスローンのために様々な金融商品を用意していますが、それぞれに貸し付けの条件が定められています。無担保無保証のローンもあれば、不動産など担保が前提のローンなどいろいろありますが、一般的に担保がある金融商品の金利は担保が保証となるため低めです。

4.融資を受ける債務者の信用力

市場や業界の動向、金融商品のほか最も金利の影響があるのは信用力です。創業間もなく初めて融資を申し込む人とすでに実績があり、業績が伸びていることがはっきりしている人とでは信用力が全く異なります。当然後者のほうが金利は低く融資が受けられ、前者の場合は金利が高いばかりか審査内容によっては断られる場合があります。

低金利の銀行系ビジネスローン申し込む際の注意点

ビジネスローンの中で銀行系は比較的低金利ですが、申し込む場合には以下のような注意点があります。

1. 審査は比較的厳しいので準備を万全にする
2. 毎月の返済額をなるべく多くする
3. 高金利のビジネスローンにも同時に申込む

上記の注意点を意識しないと、資金調達に失敗する恐れがあります。詳しくみていきましょう。

1. 審査は比較的厳しいので準備を万全にする

ノンバンクに対する銀行の審査は厳しいです。事業内容を詳しくみて、過去の実績を確認しながら確実に利息をつけて資金が回収できるかを確認します。本当にそれが可能かどうかを銀行の担当者に事業計画や返済計画を用意し、確実に返済できることを理解してもらえるよう準備を万全にしなければなりません。

2. 毎月の返済額をなるべく多くする

ビジネスローンの場合、1度の返済額は多くしたほうが無難です。返済期限を延ばすとその分余計な利息分を払わないといけないのと、次回の融資の際に前回の融資分が残っていると、審査に影響する恐れがあります。また返済が早いと銀行の印象も良くなるので、無理のない範囲で返済額を高くしたほうが無難です。

3. 高金利のビジネスローンにも同時に申込む

低金利で借りたいと思っていても確実に審査に通るわけではありません。いくら完璧な事業計画や返済計画があっても銀行が融資できると判断しなければ審査に落ちます。その際に「資金調達が間に合わない」と慌てないように比較的審査が緩めのビジネスローンにも申し込んでおきましょう。

ノンバンクのビジネスローンが高金利である理由

ノンバンクのビジネスローンは銀行系のビジネスローンよりは金利は高いです。

1.審査の難易度が比較的緩い
2.迅速な融資実行をするため
3.貸し倒れリスクの補填

詳しくみていきましょう。

1.審査の難易度が比較的緩い

ノンバンク系は、審査の難易度は緩いです。理由は銀行系との差別化もあり、銀行の融資を申し込んで落ちた人でも融資が受けられるようにしているからです。その代わり金利を高くしています。但しノンバンクでも絶対に大丈夫ということはありません。

2.迅速な融資実行をするため

ノンバンク系は銀行系よりも融資実行の速度が速いです。銀行だと数日かかる審査と融資開始に対してノンバンク系は審査の項目が銀行と違うため、即日融資を実現しているところがあります。

3.貸し倒れリスクの補填

ノンバンク系が銀行系よりも金利が高いのは貸し倒れリスクへの対応です。銀行が落としそうな相手にもお金を融資するノンバンクにとって、銀行よりも貸し倒れのリスクが高いです。その為、金利を高めに設定して万一の事態に備える必要があり、貸し倒れが発生したら高い利息分で補填します。どうしても金利は高くなります。

ビジネスローンを低金利で借りる方法

金利は本来払う必要のない費用なので、できれば低い方が良いのは間違いありません。しかし銀行系はどうしても審査が厳しいので、金利の高いノンバンクを選ばざるを得ない場合、ノンバンクでも以下に紹介した条件によっては低い金利で借りられます。

1.低金利のキャンペーンに申し込む
2.限度額ギリギリまで借りる
3.不動産などの担保を差し入れる

上記内容について、具体的にみていきましょう。

1.低金利のキャンペーンに申し込む

ノンバンクの金融機関は、顧客を獲得するために低金利のキャンペーンを行っている場合があります。キャンペーン中に申し込めば低い金利で融資を受けられるので、予めいくつかの金融機関でキャンペーンがないかどうか調べておくとよいでしょう。

2.限度額ギリギリまで借りる

金利はビジネスローンに限らず、借りている額が高いほど低く設定しているのが一般的です。そのため定められた限度額ギリギリまで借りると金利は低くなります。ただし不必要に借りても最終的に返済しなければならないという事実があるので、本当に必要な額の範囲にとどめておきましょう。

3.不動産などの担保を差し入れる

金融商品によっては無担保無保証と、不動産などの担保を求めるものがあります。もし不動産を持っていたり、連帯保証人になってくれる人がいたりするなら、担保や保証人付きの融資を申し込むと、無担保無保証よりも金利が低く借りられます。ただし、この方法で返済が滞ってしまうと担保で出した不動産が借金のカタに取られたり、連帯保証人に多大な迷惑をかけてしまうデメリットがあります。

ビジネスローン金利相場のまとめ

ビジネスローンの金利相場は、金融機関によっても金融商品によっても変わり、申込者の信用度によっても変わってきます。また市場や業界動向も影響します。そのため申込者の現在の状況を冷静に判断し、最も適した融資方法が必要ですが、キャンペーンや担保などを使うことで予想より低い融資が受けられる場合があります。