日々の資金調達が上手くいっていても、一度に高額な税金の請求があった場合には、途端に資金繰りが厳しくなることがあります。やむを得ず税金を滞納してその場を乗り切ったとしても、使える現金がなければ結局は事業を継続し続けられません。では、税金滞納時に運転資金が必要となった時、融資を受ける事が可能なのでしょうか。この記事では、税金滞納中に受けられる融資と、融資を受ける方法について解説します。

税金滞納時に銀行から融資を受けることは可能か

税金滞納時に融資を受けられるかどうかは、融資をお願いする相手が銀行などの金融機関か、貸金業者などのノンバンクかによって異なります。銀行や信用金庫などは融資の審査が厳しいため、税金滞納時には融資を受けられる可能性が非常に低くなります。

融資を受ける際、銀行や信用金庫等は提出された資料や信用情報をもとに融資が可能か判断します。銀行融資では、基本的に納税証明書の提出を求められます。しかし税金滞納中には納税証明書を発行できないため、融資の審査を進められないのです。

また、納税証明書の提出を求められなかったとしても、信用情報に税金滞納の履歴が残っている可能性があります。その際にも返済能力が無いとみなされ、融資は受けられません。

税金滞納は基本的には信用情報に残らない

信用情報において、基本的に税金滞納の情報は履歴に残りません。しかし、クレジットカードで税金を支払っている場合には注意が必要です。

クレジットカードの滞納情報は履歴に残ります。そのため、クレジットカードを介して税金滞納の履歴が残ってしまう可能性があるのです。納税証明書の提出を求められなかった場合でも、その点には注意してください。

税金滞納の履歴があるか確認する方法

税金滞納の履歴が残っているか不安な場合には、信用情報の開示請求をすることで確認できます。個人の信用情報はCIC、JICC、KSCの3社が管理していますが、法人の信用情報を管理しているのはJICCのみです。開示請求した結果、税金滞納の履歴が残っていた場合には、銀行以外からの融資も検討してください。

税金滞納中であっても銀行から融資を受ける方法

たとえ黒字経営であっても、納税時期に現金が足りなければ税金滞納状態になることがあります。事業の継続や拡大のため、税金滞納中であってもまとまったお金が必要になることもあるでしょう。そのような時には、優先的に税金滞納を解消することで新たな融資を受けられる可能性があります。具体的な方法は次の通りです。

1.税金滞納分について、分割で納める合意を税務署とおこなう

金融機関にもよりますが、税務署と税金を分割で納める合意がなされている場合、融資の審査に通る可能性があります。具体的には、信用保証協会の保証付融資を利用する場合です。税務署と、滞納分の税金を1年以内に分割払いする合意がなされている場合、保証が認められることもあります。

2.納税証明書の提出を求められた税金を優先的に支払う

銀行で融資を受ける際には、多くの場合、納税証明書の提出を求められます。しかし納税証明書は一種類だけではありません。税金ごとに別の納税証明書が発行されるため、金融機関から提出を求められた納税証明書分の税金滞納さえ解消できれば、融資を受けられる可能性が出てきます。複数の税金を滞納している場合には、融資に必要な税金を優先して払いましょう。

3.融資されたお金で税金滞納を解消する

税金滞納を解消する意思があっても、現金が無ければ解消できません。そのような場合には、税金滞納を解消する金額分のみノンバンクなどから融資を受け、税金滞納を解消した後に改めて銀行などからまとまった融資を受ける方法もあります。銀行から受けた融資を使ってノンバンクへ返済することで、融資を比較的低金利な銀行融資一本にまとめることが可能になり、返済も楽になります。

ノンバンクであれば税金滞納時にも融資を受けられる可能性がある

消費者金融などのノンバンクは融資の審査基準が銀行よりも緩いことが多く、税金滞納時であっても融資を受けられる可能性が高くなります。ただし、融資審査の基準はノンバンクごとに違います。税金滞納中の融資には、納税証明書の提出を求めないノンバンクを選ぶと良いでしょう。

税金滞納時にノンバンクで融資を受ける注意点

たとえノンバンクであっても、税金滞納の他にローンの滞納があるなど、返済能力が乏しいと判断される場合には融資を受けられない可能性があります。信用情報にも注意が必要です。

また、ノンバンクは多くの場合、銀行などの融資に比べて金利が高くなります。納税時期や納税金額はあらかじめ予想できるものです。納税時期に現金が足りなくなるとわかっている場合には、税金滞納状態になる前に、銀行などから計画的に融資を受けておくと良いでしょう。

税金滞納時に利用できるノンバンク融資の具体例

融資にはさまざまな種類があります。税金滞納時にも利用できるノンバンクの融資は次の通りです。

1.ビジネスローン

ビジネスローンとは事業資金の融資を受けるためのローンです。

ノンバンクのビジネスローンは融資の上限が銀行よりも低く、1,000万円程度であることが一般的です。高額な融資を希望する場合は、銀行に融資の相談をする必要があります。そのため、ビジネスローンで税金滞納を解消し、銀行の融資審査を受ける方法を取ってください。

ビジネスローンで融資されたお金は事業資金としてのみ使用できます。事業によって生じた税金は事業資金として認められるため、ビジネスローンによる融資を税金滞納の解消に使用することは可能です。

2.不動産担保ローン

現金が足りずに税金滞納状態になっている場合でも、現金以外の資産を所有していることもあります。不動産を所有し、それに担保価値があるならば、税金滞納中であっても不動産を担保に融資を受けられる可能性があります。

3.売掛債権担保融資

現金も不動産も所有していない場合には、商品在庫や売掛金などを担保とする、売掛債権担保融資を利用することもできます。ただし税金滞納時には、売掛金から税金滞納分の金額を差し引いた分しか担保として認められません。税務署によって、税金滞納分の売掛金を差し押さえられてしまう可能性があるためです。高額な融資を必要としている時に利用すると良いでしょう。

税金滞納中に融資以外で資金調達をする方法

税金滞納中の資金調達方法として、融資以外にはどのような方法があるでしょうか。代表的な例をご紹介します。

1.ファクタリングを利用する

ファクタリングとは、売掛債権を現金化する仕組みのことです。売掛債権担を担保にして融資を受ける方法とは違い、売掛債権を買い取ってもらうことで現金を得られます。ファクタリングにも審査がありますが、主に売掛先の信用力を審査するため、ファクタリング利用者が税金滞納時であっても利用しやすいという利点があります。

2.助成金や補助金を利用する

中小企業などの場合には、公的機関による助成金や補助金を事業資金とすることも考えられます。しかし、税金滞納時には助成金や補助金の申請ができません。申請を考えている場合には、あらかじめ税金滞納を解消しておく必要があります。

3.資産を売却する

所有している不動産を売却しても問題がない場合には、思い切って売却してしまう方法もあります。不動産を所有していると、毎年高額な固定資産税を支払わなければなりません。固定資産税が税金滞納の原因となっている場合には、売却することで税負担が軽くなる可能性もあります。ただし、後々困ることがないよう慎重に検討してください。

税金滞納時に融資を受ける方法のまとめ

今回は、税金滞納時に受けられる融資とその方法を解説しました。税金滞納時に銀行から融資を受けることは難しいですが、必要な税金のみを優先して支払うことで融資を受けられる可能性があります。また、ノンバンク系であれば、税金滞納時であっても融資を受けられる可能性が高くなります。さらに、税金滞納時の資金調達方法は融資以外にもありますので、最適な方法を選んでください。