ブラックリストに載っていることを気にして、日本政策金融公庫の融資を諦めている方も多いのではないでしょうか。
ブラックリストに登録されると5〜10年ほどローンの契約などが制限されるため、日本政策金融公庫のような信用度の高い機関からの借入はできないと思っている方がほとんどでしょう。
結論から言うと、ブラックリストに載っていても日本政策金融公庫の融資を受けられる場合があります。
この記事では、審査落ちした場合の対処法や資金調達方法についても解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
目次
日本政策金融公庫とは
日本政策金融公庫は、中小規模の事業者の資金調達をサポートすることで、一般の金融機関の取り組みを補完する公的な機関です。
具体的には、以下のような制度を取り扱っています。
• 一般貸付:中小規模の事業者のほとんどが利用できる
• 特別貸付:要件に当てはまる場合に有利な条件で借入できる
• 生活衛生貸付:特定の業種が利用できる
日本政策金融公庫を利用するメリット・デメリットは以下です。
• 金利が低め
• 返済期間が比較的長め
• 保証人や担保がなくても利用できる制度がある
• 審査に時間がかかる
• 会社の規模によっては利用できない場合がある
中小企業等は、実績や信用が足りなくて融資を受けるのが難しいケースが少なくありません。
そこで、中小企業等のスムーズな資金調達をかなえるために、日本政策金融公庫が事業資金の調達を支援しているのです。
当機関で融資を受けることで、信用度が上がって他の金融機関の融資も受けやすくなるため、利用できる場合はぜひ活用しましょう。
ブラックリスト入りする主な原因
ブラックリストとは、信用情報機関に事故情報が登録されている状態を指します。
ブラックリストに登録されることで生じるデメリットは以下です。
• クレジットカードが作れない
• ローンが契約できない
• 保証人になれない
• スマホの分割払いができない
では、どのような場合にブラックリスト入りしてしまうのか、主な原因を詳しくみていきましょう。
61日または3ヶ月以上の延滞
支払いが一定期間遅れると、ブラックリストに載る可能性があります。
督促状が届いたら速やかに内容を確認し、記載されている期日までに支払うようにしましょう。
すぐに返済できない場合は支払いについて金融機関へ相談し、督促の連絡を無視することのないようにしてください。
代位弁済
代位弁済は、保証付き融資を利用して返済できなくなった場合に、信用保証協会が債務者の代わりに支払いを行うことを指します。
大体3ヶ月ほど返済が遅れることで執行され、代位弁済の記録がブラックリストに載ってしまうので注意しましょう。
債務整理
債務整理は、債務が返せない場合に借金の減額や支払いを免責してもらう制度です。
債務整理には以下の種類があります。
• 任意整理:利息分のカットや分割払いの交渉を行う
• 個人再生:裁判所に認められることで借金を減額してもらう
• 自己破産:裁判所に認められることで返済を免除してもらう
債務整理は返済ができない場合の最終手段となるため、ブラックリスト入りは免れません。
今後の生活にも支障が出る可能性が高いため、債務整理を選択せざるを得ない状況になる前に、財務状況の改善を図る必要があります。
ローンなどの多重申し込み
短期間で複数の金融機関に借入を申し込むと、多重申し込みを行なった事実がブラックリストに登録されます。
多額の借入が必要になるほどの資金難であると思われるため、返済能力の低さを疑われてしまうでしょう。
実際に延滞をしていなくても記録が残ってしまうため、借入はできるだけ計画的に行うようにしてください。
ブラックリストでも日本政策金融公庫を利用できる?
ブラックリストに載っている時点で、融資の審査を通過するのは厳しいと思った方が良いでしょう。
ただ、日本政策金融公庫は申込者の信用情報だけ見て判断するわけではないため、ブラックリストに載っていても融資が受けられる可能性があります。
たとえば、事業の実績や将来性などが評価されれば、融資を受けられるかもしれません。
ブラックリスト入りしていても諦めず、まずは相談してみましょう。
ブラックリストが原因で日本政策金融公庫の審査に落ちた場合の対処法
ブラックリストが原因で日本政策金融公庫の審査に落ちた場合の対処法について解説します。
事業計画書に説得力を持たせる
日本政策金融公庫が納得するような事業計画書を作成できれば、ブラックリスト入りしていても借入できる可能性があります。
たとえば、以下の内容を見直してみてください。
• 将来予測の妥当性
• データの信ぴょう性
• 事業に対する熱意
自社だけで解決できない場合は、専門家に監修してもらうことで完成度を高められます。
事業計画書の精度を高めることで融資を受けられる確率がアップするため、内容を見直してみましょう。
税理士に紹介状を書いてもらう
税理士に相談して紹介状を書いてもらうのも有効な手段です。
事業計画や融資の目的などを確認し、信頼できる企業と税理士に認められると紹介状を発行してもらえます。
税理士のチェックは厳しいですが、紹介状があることで信用力の高さを証明できるため、審査で評価してもらえる可能性が高いです。
また、日本政策金融公庫に提出する書類の作成に関しても税理士のサポートを受けられます。
プロに依頼することで自社の信用を上げられるので、審査落ちで悩んでいたら相談してみましょう。
「早期経営改善計画策定支援」を利用する
早期経営改善計画策定支援を活用することによって、経営改善につながり融資を受けやすい状態を目指せます。
この政策は、国が認定した専門家のサポートを受けて経営改善計画に取り組むことで、かかった費用の2/3を国が補助し、中小企業等の経営改善を促進するという内容です。
早期経営改善計画策定支援を受けることで、以下のメリットがあります。
• 自社の経営課題が客観的に把握できる
• 専門家から具体的なアドバイスをもらえる
とっつきにくいイメージを持たれるかもしれませんが、簡潔な内容であることに加え、中小企業庁で推進しているので安心して取り組めます。
返済負担率が30%を超えないようにする
ローンの種類によっては、年収のうち返済額が占める割合を指す「返済負担率」も重要です。
返済負担率は30%前後を基準とする場合が多く、数値が高いほど金融機関の貸し倒れリスクも上昇します。
返済負担率を下げる方法は以下です。
• 年収アップ
• 借入する金額を減らす
返済負担率を30%以下に抑えることで、返済能力があることをアピールできます。
ブラックでも審査が通りやすくなる可能性があるので、返済負担率が高くならないように意識してみましょう。
一定期間をあけて再度申し込む
審査に落ちてしまった場合、ブラックリストの登録が解除されるまで待ってから申し込むのも一つの手です。
登録された原因にもよりますが、一定期間待たないとブラックリストが解除されません。
• 滞納・延納:完済から5年ほど
• 代位弁済:弁済から5年ほど
• 債務整理:5〜10年ほど
一度ブラックリストに載ってしまうと、すぐに解除する方法はないので注意しましょう。
ブラックリストでも資金調達する方法
ブラックリストでも資金調達する方法について解説します。
有担保ローン
ブラックリストでも、担保を用意するローンであれば、無担保のものに比べて融資が受けやすい傾向があります。
物的担保のほか、人的担保も場合によっては有効です。
• 不動産
• 車
• 連帯保証人
特に車を担保にする「車担保融資」は、ブラックリストでも利用できると聞いたことがある方もいるかもしれません。
ただし、車担保融資は高金利な場合が多い上に悪徳業者も少なくないので、利用する場合は細心の注意を払いましょう。
助成金や補助金
地方自治体が用意している助成金などの制度も、基本的に信用情報に関係なく活用することが可能です。
原則あと払いとなるため、すぐに事業資金を得たい場合には向きませんが、借入と違って返済の必要がありません。
助成金・補助金には、たとえば以下のようなものがあります。
• 創業支援
• 事業再構築支援
• 環境問題への取り組み支援
制度の内容は自治体によってさまざまなので、自社に合ったものを活用しましょう。
ファクタリング
売掛債権を保有している場合は、ファクタリングを利用することで事業資金が得られます。
ファクタリングは、売掛債権を買い取ってもらうことで、売掛先の入金を待たずに売掛金を現金化できるサービスです。
申込者ではなく売掛先の支払能力が審査されるため、自社の信用情報に関係なく利用できます。
ただし、手数料がかかることや売掛先の信用度によっては利用できない場合がある点に注意しましょう。
クラウドファンディング
事業の内容によっては、クラウドファンディングによって事業資金を募ることもできます。
クラウドファンディングは、インターネットなどで不特定多数に向けて事業の魅力を発信することで、取り組みに賛同した方から資金提供してもらう方法です。
ただし、よほど魅力的な内容でないと支援してもらえない上に資金使途の透明性が求められるでしょう。
うまくいけば多額の事業資金を得られる可能性もあるので、事業内容に自信がある場合はチャレンジしてみてください。
ブラックリストでも日本政策金融公庫で借入できるかのまとめ
ブラックリストでも日本政策金融公庫で借入できる可能性はあります。
日本政策金融公庫で融資を受けた実績は、他の融資を受ける際にも有利な情報となるため、ブラックリストに載っていても諦めずに申し込んでみてください。
審査に落ちた場合は、今回紹介した対処法を参考にして再チャレンジしましょう。
また、ファクタリングなど申込者の信用情報に関係なく利用できるサービスもあるため、資金調達に困ったら活用してみてください。