急な資金ニーズが発生した時には、銀行の長期ローンの審査が完了するまで待てないという場合もあります。また、売掛金での取引が多い場合には、売掛金の入金を待つ間に資金不足が発生してしまう事もあるでしょう。そうした場合に有効なのが、資金を「つなぎ融資」として借り入れる方法です。この記事ではつなぎ融資の仕組みや金利の特徴、利用する際のポイントなどを解説していきましょう。

つなぎ融資とは?

つなぎ融資は短期の借り入れであり、急な資金の需要を解決するためにも重要な存在となっています。資金が突然ショートしてしまった場合には、つなぎの資金を調達するという必要性があります。つなぎのための資金というのは短期間の借り入れが必要であり、その資金にビジネスローンなどを活用する事業者も少なくありません。

つなぎ融資の基本的な定義

つなぎ融資とは、一時的な資金不足を補うために資金調達をする事を指します。短期間で利用する融資という事で、金利との関係はしっかりと確認していかなければいけません。具体的な例を挙げると住宅ローンの実行前、不動産投資の資金調達、事業資金のつなぎ資金などのシーンでつなぎ融資が利用されています。

つなぎ融資が必要になる主なケース

つなぎ融資が必要になるケースにはどんなものがあるのでしょうか。一般的には、つなぎ融資は、資金のタイミングが合わない場合に発生する「資金ギャップ」を埋めるために必要となります。その状況は事業によって違いますが、個人でも法人でもこうした資金ギャップは起こり得るために、そうした事態に対応できるようにしておかなければなりません。

つなぎ融資が必要となる代表的なケースには、以下のモノがあります。

 住宅ローンの実行前の資金確保
 売掛金回収までの運転資金調達
 不動産投資の購入資金
 事業拡大や設備投資時の資金調達

これらのケースでは資金ギャップが出やすいと言われていますが、あくまでも一部の例に過ぎません。事業継続にはイレギュラーな事態に対応する能力が必要不可欠と言えます。そのためにも、つなぎ融資のために使える金融商品は常に気にしておいた方がいいでしょう。

つなぎ融資の金利とは?

つなぎ融資を考える上で、最も重要な要素は金利です。つなぎの資金として調達するために、短期間での借り入れとなります。そのため、金利が高くなってしまう傾向がある事は覚えておきましょう。各金融機関では、つなぎ融資の場合には金利は比較的高めに設定する事が慣例となっています。適切な資金計画を立てないと、つなぎ融資を実行した事で経営が圧迫されるという事態も想定されます。

つなぎ融資の金利の仕組み

つなぎ融資の金利は通常の住宅ローンや事業ローンとは異なる性質を持っています。短期の借り入なので、金利を高くして利益を上げる必要があるのです。金利においては、「日割り計算」または「月割り計算」で利息が決定される場合も多いです。つなぎ融資は年単位での借り入れは稀なので、こうした仕組みがとられています。

金利の相場と影響要因

つなぎ融資の金利は金融機関や利用目的によって異なります。一般的には年利2パーセント~5パーセント程度が相場ですが、ノンバンクになればさらに高くなります。しかし、以下の要因によって金利が変動する事がある事は知っておきましょう。

 借入先の金融機関
 借入期間
 担保の有無

借入先の金融機関

どこで借りるかによって金利は変わってきます。一般的には、銀行系のつなぎ融資は比較的低金利な場合が多いです。預貯金機能を持たない金融機関であるノンバンク系のつなぎ融資はやや高めの金利となっています。

借入期間

借入期間も金利に影響を与えます。1ヶ月~3ヶ月程度の短期間であると、金利は低めに設定される傾向があります。完済までの計画が立てやすく、リスクが少ないと判断されるからです。一方、6ヶ月以上の借入れになると、高金利になります。リスクが増すためという理由が主なもので、つなぎ融資という点からいえば、6か月以上の借り入れは長すぎると考えてもいいでしょう。

担保の有無

担保を用意するかどうかも金利に影響を与えます。担保ありのつなぎ融資の場合は、回収リスクが低くなるために金利が低くなる可能性があります。
また、無担保のつなぎ融資の場合には、リスクが高いために金利が高くなりやすいです。しかし、担保を用意すると、その価値算出に時間がかかりスピード感のある融資はできない事も覚えておきましょう。

他のローンと比較した際の金利の違い

他のローン商品との金利の違いも知っておきましょう。借入期間が数年から数十年に渡る住宅ローンの場合には、0.5パーセント~2.0パーセントです。事業融資の場合は銀行系であれば、1.0パーセント~10パーセント、ノンバンク系であれば3.0パーセント~18パーセントと幅広く設定されています。
また、
カードローンは10.0パーセント~15.0パーセントであり、個人向けに提供されている事と無担保な事を理由に高金利となっています。

つなぎ融資の金利比較

ここではつなぎ融資の金利比較を見ていきましょう。各金融機関がつなぎ融資を準備していますが、その金利条件は異なっています。銀行系、ノンバンク系でそれぞれ異なった金利のために、金利の違いを知っておけば、自社に適した融資を選択する事ができます。

つなぎの資金のために融資してもらうと、不動産のつなぎ融資では通常の不動産ローン融資よりも高く設定されます。事業に利用されるつなぎ融資では、ビジネスローンを利用する事が一般的です。ここでは、事業者が利用する機会が多いであろうビジネスローンの金利を比較していきましょう。

銀行系の融資

銀行系のつなぎ融資に使えるのは、ビジネスローンです。融資スピードが早く、短期の借入にも対応できるために事業におけるつなぎの融資にも対応できます。ビジネスローンは金利がやや高めに設定してありますが、短期間の借入なのでそれほどの負担にはならないと考えていいでしょう。

GMOあおぞらネット銀行

まずは、GMOあおぞらネット銀行のビジネスローン「あんしんワイド」です。融資額は1000万円までで、金利(実質年率)は年0.9パーセント〜年14.0パーセントと幅広く設定されています。つなぎ融資に利用する場合には、やや金利が高く設定される事は覚悟しておきましょう。GMOあおぞらネット銀行の融資までの期間は最短で2営業日となっていますが、このスピード感も魅力的です。

PayPay銀行ビジネスローン

近年、急速に注目度を高めているのがPayPay銀行です。キャッシュレス決済に利用している人も多いために、ビジネスローンを申し込みやすいと考える人も少なくありません。融資額は10万円〜1000万円となっていて、金利(実質年率)は1.8パーセント〜13.8パーセントと比較的低く設定されています。融資までの期間は銀行系のローンとしてはかなり早く、最短翌営業日となっています。

住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行のビジネスローン「事業性融資dayta」は高額な融資が可能です。つなぎの融資としては少額の融資にも対応し、50万円〜3,000万円まで借り入れる事ができます。金利は公式には記載ないために、審査を通じて決定されることになります。融資までの期間は最短即日ですが、融資対象が法人のみという点に注意しなければいけません。

楽天銀行

ネット銀行の大手である楽天銀行のビジネスローンもつなぎ融資として利用できます。融資額は100万円〜1億円と幅広く、ビジネスローンとしても極めて優秀な金融商品と言えます。金利(実質年率)は楽天銀行所定の利率となっていて、審査を通じて決定されます。ネックとなるのは融資までの期間で、申し込みから数営業日という事でスピード感という点では他の銀行に劣っています。

東京スター銀行

幅広いサービスが魅力の東京スター銀行の「スタークイックビジネスローン」も融資額という点ではつなぎ融資に適しています。融資額は10万円〜1,000万円までの融資金が可能で、金利(実質年率)は4.5パーセント〜14.5パーセントとなっています。融資までの期間が最短5日という事で、申し込みは早い段階で行うべきでしょう。

ノンバンク系の融資

銀行よりもつなぎ融資に向いているのが、ノンバンクのビジネスローンです。つなぎ融資の場合には、スピード感を求めている事業者が多い傾向にあります。短期間の借り入れとなるために、金利の高さよりもスピード感を優先するという理由から、つなぎ融資にはノンバンクの方が適していると言えます。

AGビジネスサポート

AGビジネスサポートの「事業者向けビジネスローン」は、つなぎ融資として利用可能です。融資額は50万円~1000万円となっていて、金利(実質年率)は年3.1%〜年18.0%です。銀行系よりは金利が高くなってしまいますが、それ以上に審査が緩いという点がメリットとなっています。
即日融資可能で、つなぎ融資には最適です。融資対象も法人と個人事業主の2種類に対応していて、借りやすいビジネスローンとなっています。

ファンドワン株式会社

ファンドワン株式会社もノンバンクとしては優良な企業です。融資額は30万円〜500万円となっていて、つなぎの融資には最適な額を借り入れる事ができます。
金利(実質年率)は年10.0%〜年18.0%と下限金利がやや高いですが、短期間の借り入れであれば十分でしょう。融資までの期間は最短即日とつなぎ融資にとってありがたい融資スピードを実現しています。

アクト・ウィル

アクト・ウィルの「信用保証融資」は、つなぎ融資には最適なビジネスローンです。融資額は500万円で、金利(実質年率)は年10.0%〜年20.0%となっています。融資までの期間が最短即日であり、審査のスピードが最短で60分と結果が早くわかるという事も事業者にとっては嬉しいポイントです。来店不要でオンライン完結型なので、忙しい事業者にとっては助かる事も知っておきたいポイントとなっています。

「信用保証融資」の融資対象は事業者のみの利用となっているために、事業に特化したサービスを受ける事ができます。無担保の融資であり、条件次第では1億円までの融資が可能な事で大口の契約も可能というのが特筆すべき点です。また、弊社担当者と事業主の相談によって金利が決定され、融資を実行までサポートしてくれるためにつなぎ融資から大口融資まで対応している点も覚えておきましょう。

Carent

Carentのビジネスローン「キャレント スーパーローン」もつなぎ融資に適しています。限度額が1万~500万円と、下限の融資額が1万円という点も見逃せません。金利は7.8%~18.0%となっていて、即日融資にも対応しています。
「キャレント スーパーローン」は、利用限度額100万円以上だと、年7.8%〜年15.0%と金利が低く契約できます。また、利用限度額100万円未満だと年13.0%〜年18.0%と、やや高い金利の設定となっています。利用額によって金利が変わるというのは注意しておきましょう。

つなぎ融資を利用するメリット

つなぎ融資を利用するメリットを見ていきましょう。つなぎ融資を使うと、足りなかった資金を一時的に調達でき、事業へのリスクを回避できます。一般に、つなぎ融資を使うメリットは以下の通りのものがあります。

 資金不足のリスクを回避できる
 スムーズな事業運営や取引が可能になる
 信用力の向上につながる場合がある

資金不足のリスクを回避できる

資金不足のリスクを回避できるというのは、最も直接的なメリットです。つなぎ融資は資金調達のタイミングのズレを補う事ができ、資金ショートという事態を回避できるのです。事業資金の不足を防ぐためにつなぎ融資を利用する事は、経営全体に濃い影響を与えます。
例えば、不動産購入や設備投資の際、長期融資の実行までの間の資金繰りを円滑にする事ができ、資金的な不安を解消する事ができます。

スムーズな事業運営や取引が可能になる

スムーズな事業運営や取引が可能になるというのも、会社としてはありがたい点です。資金繰りに苦しんでいる場合には、交渉してリスケジューリングしたりすると他の会社に迷惑をかけてしまう場合も少なくありません。
また、従業員への支払いなどが滞ると、経営が一気に悪化してしまう可能性もあります。資金の流れが滞るという事態を避けるためにも、つなぎ融資を活用する事業者が増えているのです。

具体的な例としては、納期遅れや取引先への支払い遅延という事態を防ぐことができます。こうした事が、スムーズな事業運営につながり、結果的に事業継続可能性を高める事になるのです。

信用力の向上につながる場合がある

信用力の向上につながる場合があるという事も覚えておきましょう。仮に資金繰りが悪化しようとしても、つなぎ融資を使う事で資金管理が改善されます。そうすると資金繰りの問題が発生せず、取引先や金融機関への支払いが滞らないという状況が生まれるのです。
すると、企業の信用力が向上するために、事業が継続しやすくなったり、将来的な融資や取引条件が有利になったりという効果も期待できます。

つなぎ融資を利用するデメリットとリスク

つなぎ融資を利用するデメリットとリスクも存在します。つなぎ融資は基本的には、それほどの危険性はありません。実際に支払われる予定のモノを、前倒しで調達するという性質があるからです。資金管理をしっかりとしていればリスクは少ないですが、潜在的なリスクについては知っておいた方がいいでしょう。

金利が高めに設定されていることが多い

先述してきた通り、つなぎ融資の場合には金利が高めに設定されている事が多いというデメリットが最も知っておきたい点です。つなぎ融資は短期間の資金調達手段という事で、通常の長期融資と比較すると高めに設定されてしまいます。
金利が高くなると、総返済額が増加する可能性があるために、あらかじめ返済計画を立てておくなどの対策をしておきましょう。

短期間の返済負担が大きい

短期間の返済負担が大きいというのも見逃せないリスクです。つなぎ融資はあくまで一時的な資金調達手段なので、返済期間が短く設定されています。何らかの支払いまでの借り入れであると、返済への負担はそれほど高くありません。
しかし、事業の収益化が遅れると、想定外の負担になってしまうためにつなぎ融資を利用する際には、キャッシュフローの流れを正確に把握しておかなければなりません。

審査が厳しくなる場合がある

審査が厳しくなる場合があるという点もあります。特に銀行系のローンでつなぎ融資を受けようとすると、審査は厳しくなります。短期間での返済が求められるためであり、確実な返済方法を示さないと金利を高く設定される可能性もあります。
安定した収益が見込めない企業や信用力が低い企業の場合には、つなぎ融資を利用する事が難しくなる事があるのです。

つなぎ融資の金利のまとめ

つなぎ融資は、一時的な資金不足を補うための便利な融資手段となっています。適切に活用すると、資金繰りをスムーズに進める事ができます。そのネックというのは、金利が高めに設定されているという事でしょう。
事前に金融機関が設定している金利を十分に比較して、利用する事が大切です。この記事で紹介したつなぎ融資の金利なども参考にして、資金調達をお考え下さい。