お金を借りるにあたって、さまざまな選択肢があります。
銀行のほかにもノンバンクといって銀行ではない、消費者金融や信販会社でも、各種ローンを用意しています。
事業性資金を融資するビジネスローンなども、提供しているノンバンクは少なくありません。
ノンバンクの中にも、さまざまな貸金業者があります。
地域密着している中小企業もあれば、日本全国にチェーン展開している大手もあります。
大手のノンバンクの中にはコマーシャルなどの宣伝も積極的に展開しているところもあって、名前なら知っている業者もあるでしょう。
ビジネスローンを利用するにあたって、大手のノンバンクを利用するのも選択肢のひとつです。
ここでは大手のノンバンクには、どのような特徴があるかについて解説します。
目次
そもそもノンバンクとは?
ノンバンクという言葉がよくわからないという人もいるでしょう。
「バンク(銀行)」という言葉が含まれているように、銀行との対比という意味で使われることが多いのです。
お金の貸し出しがメインの会社
ノンバンクとは一般的に、金融機関以外のお金の貸し出しを行っている業者のことです。
貸金業者と同じような意味ととらわれがちでしょう。
しかしクレジットカード会社やリース会社など、貸金業者でないところもノンバンクと呼ばれるので、微妙に異なる部分があります。
一般的にはノンバンクというと、消費者金融のことを指すという意味合いで使われることが多いものです。
大手ノンバンクというと、大手の消費者金融を指します。
日本全国に支店や無人契約機を展開しているようなところを、大手と呼ぶのです。
銀行との違いとは?
銀行との違いはまず、規制される法律が異なります。
銀行は銀行法、ノンバンクは貸金業法による規制を受けています。
銀行法と貸金業法の大きな違いとして、総量規制があるでしょう。
総量規制とは、お金を貸し付ける際にその人の年収の1/3を上限とすることというルールです。
銀行は貸金業法の縛りがないので、総量規制にとらわれずに貸付が可能です。
ただしビジネスローンの場合、ノンバンクでも総量規制による規制の対象外となります。
つまり申込人の年収の、1/3を超えた融資にも対応できます。
また預金業務の有無も、銀行とノンバンクの違いといえるでしょう。
銀行は預金業務が行えるものの、ノンバンクだと預金は受け付けていません。
ノンバンクはもっぱら、貸付業務に特化して営業しています。
ノンバンクの将来性
ノンバンクの今後は、さらに成長していく可能性があります。
というのも消費者ニーズが多様化しているからです。
たとえばコロナ禍で、不要不急の外出が制限されるようになりました。
そこで台頭してきたのが、通販業界です。
インターネットで商品チェックできるうえに、購入したいものもその場で注文できます。
わざわざお店に行く必要がなくなり、利便性もアップしました。
ネット通販の場合、クレジットカードを使ってショッピングするのが主流です。
クレジット決済の需要は、今後も伸びると考えられます。
またノンバンクの営業形態も、多様化してきています。
たとえばソーシャルレンディングや、クラウドレンディングなども出てきているのです。
さらにAIを使ってスコアリングをして、お金を貸し出すサービスを行っているところも見られます。
それぞれの事情に合わせたサービスも、今後登場する可能性は高いでしょう。
大手ノンバンクのビジネスローンを利用するメリット
大手ノンバンクの多くで、ビジネスローンを提供しています。
大手ノンバンクのビジネスローンを利用するメリットは、さまざまとあります。
主なメリットとして、以下のような項目が考えられるでしょう。
1. 融資までスピーディ
2. 審査が柔軟
3. Web完結が可能
4. 無担保で借入可能
それぞれどのような部分がメリットなのかについてみていきます。
融資までスピーディ
大手ノンバンクの特徴として見逃せないのは、審査時間の早さでしょう。
大手ノンバンクでは、スコアリングシステムを導入しています。
コンピューターで審査を実施するので、スピーディに結果が出るわけです。
銀行でもビジネスローンは用意しています。
いわゆるプロパー融資と比較すると、ビジネスローンは結果が早く出ます。
しかしどれほど早くても、3~5営業日は待機しなければなりません。
融資実行までに、2~3週間程度かかることも珍しくありません。
一方ノンバンクの場合、審査が最短30分とか1時間といったところも多いのです。
そのため最短即日融資に対応しているところも見られます。
急な出費でとにかく今すぐに現金が必要といったときには、大手ノンバンクのビジネスローンを利用するとよいでしょう。
審査が柔軟
審査が柔軟なところも、銀行にはない大手ノンバンクの特徴です。
そもそも大手ノンバンクは、銀行の審査に受からなかった法人を対象にサービスを行っています。
そのため銀行と比較すると、大手ノンバンクは審査基準を低く設定する傾向が見られるのです。
たとえば銀行のビジネスローンで審査落ちになってしまった法人でも、大手ノンバンクなら融資を受けられる可能性は、大いにあります。
とくに中小企業は経営基盤が弱かったり、業歴が浅かったりして銀行からの融資を受けられないことも、珍しくありません。
しかし大手ノンバンクは、このような中小企業を対象にしています。
中小企業に広く門戸を広げているので、銀行で融資否認された人は、大手ノンバンクに申し込んでみるとよいでしょう。
たとえば赤字経営の法人に対して、銀行は融資を渋る傾向が見られます。
しかし大手ノンバンクの場合、赤字決算でも将来性があると判断すれば、融資してくれる場合もあります。
審査が柔軟という意味では、大手ノンバンクは用途が多様な点にも注目です。
銀行の場合、事業性資金でも何に使うのかまで指定する必要があります。
たとえば設備導入のための資金借入の場合、見積書などを提出しなければなりません。
一方大手ノンバンクの場合、事業性資金であれば設備投資でも運転資金でも、基本自由に使えます。
複数の用途で、借入したい場合に重宝します。
Web完結が可能
法人経営していると、本業が忙しくてなかなかお店に行って融資の申し込みができない人もいるでしょう。
大手ノンバンクのビジネスローンを見てみると、手続きがWeb完結のところもかなりあります。
ブラウザもしくはアプリですべての手続きができるので、外出することなくその場で手続きできます。
またWeb完結であれば、自分の好きなタイミングで手続きできるのも強みでしょう。
深夜や早朝、土日祝日でも申し込みは可能です。
ただし申し込みはできても、審査などは営業日に行われるので、後日に回されることはあらかじめ理解しておきましょう。
無担保で借入可能
銀行の場合、融資を受けるにあたって担保や保証人をつけるように、求められる場合もあるでしょう。
しかし法人の中には不動産など、担保に入れられるようなものがないところもあるのです。
また保証人になってくれるような人が見つからない事態も、十分想定できます。
しかし大手ノンバンクのビジネスローンは、原則保証人や担保なしでも申し込みが可能です。
担保というと基本的には、土地や建物などの不動産を差し出す場合が多いのです。
ただ中小企業や個人事業主の場合、担保にできる不動産を保有していない場合もあるでしょう。
そういった場合無担保・無保証人で融資してくれる、大手ノンバンクのビジネスローンはありがたいでしょう。
ただし100%確実に、担保や保証人が必要なしとは限りません。
商品や審査状況によっては、担保や保証人を求められる場合もありますので、その点は理解しておきましょう。
大手ノンバンクのビジネスローンを利用するデメリット
大手ノンバンクのビジネスローンを利用する場合、メリットだけでなくデメリットもあります。
デメリットを理解したうえで、融資の申し込みをするか判断しましょう。
大手ノンバンクのデメリットとして、主に以下のようなことが考えられます。
1. 金利は高め
2. 融資限度額が少なめ
3. 銀行融資に悪影響の出る可能性がある
4. 信用保証協会の保証が求められる場合も
それぞれどのようなところがデメリットになるかについて、ここで紹介します。
金利は高め
金利が高めなので、返済総額が大きくなる可能性があるため注意しましょう。
法人が事業資金の融資を受ける方法は、大手ノンバンクのほかにも銀行融資や、日本政策金融公庫からの借り入れなどもあります。
日本政策金融公庫は0.3~2.0%、銀行融資は2.0%台が相場といわれています。
一方ノンバンク系のビジネスローンは、3.0~18.0%が相場です。
かなり金利の高いことがわかるでしょう。
またノンバンク系は銀行系のビジネスローンの金利よりも高くなっています。
銀行系は3.0~14.0%が相場なので、ノンバンク系の金利の高さがご理解いただけるでしょう。
ノンバンクのビジネスローンは審査が緩く、スピーディなところはメリットです。
ただし審査の甘い分、債権回収できないリスクがどうしても大きくなります。
そこで不良債権化したときを想定して利息を多めにとって、損害をできるだけ少なくしたいわけです。
ただし大手ノンバンクは中小のノンバンクと比較すると、金利は低く設定しています。
というのも中小ノンバンクは大手の審査に落ちた、法人代表の受け皿になっているからです。
大手よりも審査を緩くして融資を行っているので、金利を高くしてリスクマネジメントを行う必要があるわけです。
融資限度額が少なめ
融資限度額が少なめなのも、大手ノンバンクの短所のひとつでしょう。
金融機関の場合、広く預金を募っているので資金力があります。
そのため信用力の高い法人に対しては、まとまった資金を融通できるのです。
銀行融資の場合、数億円単位の融資を行うこともあります。
日本政策金融公庫でも、一般貸付融資は4,800万円を上限としています。
一方ビジネスローンの場合、多くても1,000万円が上限です。
大手ノンバンクでも、1,000万円がマックスと考えてください。
小規模ビジネスを展開するためなら利用できても、大きなビジネスだと大手ノンバンクのビジネスローンでは、融資額が不十分かもしれません。
銀行融資に悪影響の出る可能性がある
もしビジネスローンを利用していると、銀行融資の際の心証が悪くなる可能性もありますので、注意が必要です。
銀行融資に申し込む場合、決算書の提出が求められます。
決算書にビジネスローンからの融資を受けている旨は、記載しなければならないので、隠しようがありません。
大手ノンバンクから融資を受けているとなると、銀行側は「経営が厳しいのではないか?」と思うかもしれません。
その結果融資を断られてしまうわけです。
もしノンバンクの借入があって、プロパー融資に申し込もうと思っているのであれば、今抱えている債務の返済を優先しましょう。
また業歴が何年もあって、経営も比較的安定しているのであれば、銀行融資の審査もクリアできる可能性があります。
低金利で融資可能額も大きいため、大手ノンバンクのビジネスローンを利用する前に、プロパー融資に申し込んだ方がよいでしょう。
信用保証協会の保証が求められる場合も
大手ノンバンクのビジネスローンは、無担保・無保証人で申し込みできるのがメリットと、別項で紹介しました。
しかしその代わり、信用保証協会の保証を前提にしている場合もあるので注意してください。
とくに大手ノンバンクビジネスローンの中には、ほかのノンバンク系よりも低金利や、融資限度額の高い商品が時たまあります。
このようなビジネスローンを利用する際には、信用保証協会の保証が必要な可能性もあるので、商品概要で確認してください。
大手ノンバンクのビジネスローンについてのまとめ
大手ノンバンクのビジネスローンは、最短即日融資に対応しているところも見られます。
そのため今すぐに資金調達する必要がある、緊急性の高い事態に利用するとよいでしょう。
法人経営していると突発的な支払いを要求される、当て込んでいた入金が遅れて手持ち資金が足りなくなることは、十分ありえます。
そういった時にビジネスローンを活用するとよいでしょう。
ただし大手ノンバンク系のビジネスローンは、プロパー融資や銀行系ビジネスローンと比較すると、金利は高めです。
融資を受け、資金が手元に入ったら優先して返済に回しましょう。
早く返済することで、利息の支払いを必要最小限に抑制可能です。