関西で自分にあったビジネスローンを利用したい。
関西でビジネスローンを選ぶには、ビジネスローンの種類や内容を知ることが一番の近道です。
そしてそれに加えて、関西の経済状況も知ればビジネスローン選択の大きな道しるべになります。
そこでこの記事では、関西の経済状況から、関西で利用できるビジネスローンの内容と注意点を銀行員が説明しています。
現場で融資審査している銀行員の解説なので、ビジネスローンを利用して関西で資金調達を考えている人は、ぜひ参考にしてください。

関西でビジネスローンを利用した事業資金調達〜関西経済の現状

関西でビジネスローンを利用する近道は関西経済を知ることです。
そこで、はじめに関西経済の現状から探ってみましょう。

関西経済の現状

公的な開示資料を元に、関西経済が置かれている現状を箇条書き形式でまとめました。

 <関西経済の現状>
・関西(ここでは経済産業省の「近畿経済産業局管内」福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県とする)とは、総面積で全土の8%を占める地域
・関西地域の経済規模は全国に対して2割弱を占めている
・業種内訳としては、輸出関連が約22%(全国比・以下同じ)、百貨店・スーパー等が約17%、製造業の事業所数は約18%など
・最近の景況としては、鉱工業生産指数:2年連続上昇、住宅着工件数など住宅関連投資は2年連続増加、公共投資は7年連続減少、百貨店やスーパーマーケットの販売額が4年ぶりに増加
・雇用方面では、有効求人倍率が 11 年連続で 1 倍を超えているいっぽうで、企業倒産は件数・負債総額とも3年ぶりに増加傾向
(*2023年初頭の政府統計資料等より・筆者調べ)

コロナ禍から回復の兆しが見えるいっぽうで倒産件数の増加など、関西経済も楽観視はできない状況が続いています。
特に2023年の現在は、不安定な国際情勢やエネルギー価格等の上昇など先行きの不透明さが残るいっぽうで、2025 年の万博開催に向け、新たな需要や投資拡大など、関西経済の成長には一定の期待感も漂っています。

関西でビジネスローンを利用した事業資金調達~関西で利用できるビジネスローンを種類別に説明

ではここから、関西で利用できるビジネスローンを種類別に解説します。
いわゆるビジネスローン(消費者金融・クレジットカード会社・信販会社などノンバンクの、個人事業者や会社向けの事業資金融資商品)だけでなく銀行など金融機関の事業資金融資や制度融資も広義でビジネスローンであるため、合わせて説明しています。
(*各種ビジネスローン等の内容説明は、代表的なものを筆者調べで記載しています。実際にビジネスローンを検討するときは、必ずご自身で確認してください)

関西のビジネスローン1.消費者金融大手・クレジット系

消費者金融大手、ノンバンク系などのビジネスローンが、事業資金調達の代表格で関西でも利用できます。関西に本社がある消費者金融大手も含め数社の内容をまとめました。

<関西のビジネスローン・消費者金融大手・ノンバンク系>

消費者金融大手A 消費者金融大手B クレジットカードC
利用できる対象 個人事業主、法人 個人事業主、法人 個人事業主、法人
借入金額 50〜1,000万円 500万円まで 20〜1,000万円
金利 最高・年18.0% 最高・年18.0% 最高・年5.8%
返済年数(回数) 最長3年(36回) 最長3年(36回) 最長5年(60回)
融資利用までの時間 申し込み当日も可能 申し込み当日も可能 申し込み当日も可能
担保・連帯保証人 無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)

<消費者金融大手・クレジットカード系ビジネスローン〜その他の特徴>
・融資の種類はカードローンが主流で、証書もある
・利用可能な対象者は個人事業主、法人(有限会社、株式会社など)
・利用者の年齢は、個人事業主なら69歳まで、法人代表者では75歳までなど
・資金使途は事業性資金なら自由(個人消費には原則使えない)
・融資期間は最長でも5年(60回返済)程度だが、10年まで可能な会社もある
・金利の種類は固定金利、変動金利などさまざま
・実質年利で3%台~最高18.0%台で、審査結果により個別に決まる
・インターネットでWEB契約が主流で郵送なども可能と、非対面契約が基本
・借入の利用方法は借入専用カード、あるいはスマホアプリの融資利用も
・担保:原則不要(審査によっては必要となるケースも)
・保証人:原則不要(法人の代表者や、審査状況で保証人が必要となるケースも)

関西のビジネスローン2.地元の中小金融業者

関西の地元中小金融業者は30社あります。(貸金業の登録を受けた正規の事業者・関西に本社のある全国規模企業を除く・筆者調べ)
中小金融業者ビジネスローンの概略は主に以下の通りです。

<関西のビジネスローン・地元の中小金融業者>

金融会社A 金融会社B 金融会社C
利用できる対象 個人事業主、法人 個人事業主、法人 個人事業主、法人
借入金額 5〜100万円 500万円まで 1億円まで
金利 最高・年18.0% 最高・年18.0% 最高・年17.52%
返済年数(回数) 最長8年(96回) 最長10年(120回) 最長20年(240回)
融資利用までの時間 申し込み当日も可能 申し込み当日も可能 申し込み当日も可能
担保・連帯保証人 無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)

借入形式などほとんどの内容は消費者金融大手と同じです。
違いは返済年数で、こちらは中小金融業者のほうが長めになっています。
また借入条件などあまり詳細に明記されていないところもあり、実際の条件は見えにくいところがあるので、検討の選択肢とする際にはしっかりと見極める必要があります。

関西のビジネスローン3.銀行系

関西を拠点にする金融機関(本店・支店のある金融機関)は以下の通りです。(メガバンク及び全国規模のJAなど除く・筆者調べ)
・地方銀行 7行
・第二地方銀行 1行
・信用金庫 29金庫
・信用組合 21組合
・労働金庫 1金
関西圏ではそれぞれの県の金融機関もあり、ビジネスローンも多様なものが揃っています。
なお基本的に地域金融期間は、それぞれ営業圏(テリトリー)があり、県・市町などどこに住んでいるか?で取引できるところが限定されますので、検討する際にはまず自分(自社)の所在地にある金融機関か?を確認する必要があります。(営業圏などは各金融機関の公式サイトで調べることができます)

<関西のビジネスローン・銀行系>

銀行A 銀行B 信用金庫C
利用できる対象 個人事業主、法人 個人事業主、法人 個人事業主、法人
借入金額 100〜1,000万円 10〜500万円 50〜500万円
金利 最高・年9.0% 最高・年14.9% 最高・年13.8%
返済年数(回数) 最長10年(120回) 最長10年(120回) 最長10年(120回)
融資利用までの時間 (表記なし 数日から数週間) (表記なし 数日から数週間) 申し込み当日も可能
担保・連帯保証人 無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)
無担保、保証人不要
(条件により担保が必要、あるいは法人代表者が保証人になる場合がある)

銀行系ビジネスローンは消費者金融大手や中小金融業者などに比べると金利は低めになっています。
今回各種の金利は最高金利を記載していますが、最低水準の金利は3%台もあり、低金利が特徴といえます。
いっぽうで融資利用までの時間が明記されていないなど、借入までのスピードで消費者金融系の方に叶いません。

関西のビジネスローン4.制度融資

個人事業樹脂・中小企業を対象にした低利で固定金利など有利な条件の融資で、都道府県などがサポートする融資です。
実際には取引する金融機関で借り入れる形式で担っています。

<京都府制度融資「経営あんしん融資 小規模企業おうえん資金」>
●対象
京都府で営業(事業所がある)している個人・法人で、飲食業など許認可が必要な業種では、許認可を受けている
●資金使途
事業資金全般
●融資額
2,000万円まで
●金利
年1.2%(固定金利)
●返済期間
10年以内(必要に応じ6ヶ月間の元金返済据え置き可)
●担保と保証人
担保:不要 保証人:個人、法人(代表者)とも不要
●融資の保証
信用保証協会保証付 別途保証料(融資額に対し年0.50〜1.80%)が必要になる

関西でビジネスローンを利用した事業資金調達〜メリットとデメリット

関西でビジネスローンを利用する場合の、メリットとデメリットについて説明します。

メリット〜有利な条件、低金利で資金調達ができる

審査に通れば、無担保・保証人不要など有利な条件で、かつ低金利で資金調達できる可能性があります。
長期の不況から金利水準はまだまだ低空飛行の状況が続いていますし、消費者金融大手や金融機関も競争で低金利を打ち出してビジネスローンをアピールしていますので、有利なビジネスローンを利用するのは今が適していると考えららます。

デメリット〜融資条件はしっかり確認する必要がある

ここまで紹介したように、一言にビジネスローンといっても多種多様なものがあります。
自社にあったものはどれか?などを考えるときも、ネットの比較サイトなどは便利ないっぽうでその記載内容は必ずしも正しいとは限りません。
これらは基本的に特定の金融業者、金融機関をプッシュしている傾向がありますし、また簡潔に読みやすい構成をするために、必要な情報が網羅されないこともあるからです。
そのため、やはり面倒でも自分でしっかりと内容を調べたうえで検討し判断することが必要です。

関西でビジネスローンを利用した事業資金調達~まとめ

景気回復の兆しが見え始めていますが、まだまだ他の地域と同じように、好転したとまでは考えられない状況が続く関西では、必要な資金調達のために正確な情報把握や、取引金融機関に相談することが大切です。
また業況が苦しくなると、金融機関の融資を断られるなど、どうしても資金調達はきびしくなるものです。
かといって、許認可のない金融業者などいわゆる「街金、闇金」との取引は金利や返済条件が法外なものになるなどリスクが高いのでおすすめできません。
この記事が参考になれば幸いです。